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夜間旅行者



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【この小説が収録されている参考書籍】
夜間旅行者 (ハヤカワ・ミステリ)

夜間旅行者の評価: 4.00/5点 レビュー 2件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(4pt)

旅行とは・・・

昔、旅行会社で働いていたし、今も定期的に海外旅行に行く。その一方で昨今の各所でのオーバーツーリズムの諸問題、実際街にあふれかえる外国人観光客を見るにつけ、そもそも旅行とは?と思ってしまうことがある。

旅行は景色、建造物、食べ物、何にせよその場所の他所とは異なる秀でた物を訪れたりするものと超一般的には捉えられているが、ダークツーリズムというあえてネガティブスポットに行くというのもある。この話はダークの中でも災害をスポットに当てたツアーをオーガナイズする旅行会社の話。こういう会社に近しいもの実在するんだと思う。小説ではそれが作られた災害現場だったという。。

社内政治や現地擬似(?)恋愛なんかもリアリティあって面白かった。最後がまるでハッピーでないのも韓国っぽくて好きだった。観光スポットに行くのは興味なくて、ただ街を歩いたり、ハイキングしたりの旅行に完全シフトしているけど、やっぱりこの方向性でいいなと改めて思ってしまった。
夜間旅行者 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:夜間旅行者 (ハヤカワ・ミステリ)より
4150019967
No.1:
(4pt)

「観光立国」へのアンチテーゼとして

2023/10月前半の三日間、雨の中乗鞍・上高地方面を散策していたため(笑)、読書はしばし忘れていました。
 韓国の作家、ユン・ゴウンによる初めての翻訳作品。
 主人公は、コ・ヨナ。彼女は旅行会社“ジャングル“の首席トラベル・プログラマーであり、数多くの「災害ツアー」商品を扱っています。災害が商品価値であり、より刺激的な災害オプションを探ってきました。彼女は或る時から自分は会社の中で降格したのでは?という囚われを抱き、上司の提案で自社の災害ツアーの査定のためベトナムの砂漠に存在するシンクホールを有する“ムイ“を訪れることになります。スリラーとしては30%を過ぎたあたり、ヨナにとって或る致命的な出来事が起きたことをキッカケにして物語が動き始めます。よって、ストーリーについては詳述することができません(笑)。
 ハヤカワ・ミステリとは言えオーソドックスなミステリとは呼べず、訳者あとがきを読むと「エコ・スリラー」と表現されていたりもしますが、どうでしょうか?
 伏線と呼ぶより仕掛けられた文学的符牒がスリラーのように回収されていく手際に唸りながら、もはや“Japan As No.1“がひと時の幻想であり、「観光立国」として生き延びる以外に未来を見出せない我が国(日本)へのアンチテーゼとも言えるような不思議な物語に仕上がっていると感じられました。
 旅の行程がうまく行かなければ行かないほど、そこに旅の面白さが感じられたりもします。そこに旅行者の夢を串刺しするような作者のイメージが被ってくることによってフィクションが「現実」を凌駕する瞬間が確かに存在しています。それは「才能」によるものだと思います。
 □「夜間旅行者」(ユン・ゴウン 早川書房) 2023/10/10。
夜間旅行者 (ハヤカワ・ミステリ)Amazon書評・レビュー:夜間旅行者 (ハヤカワ・ミステリ)より
4150019967

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