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町奉行日記
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【この小説が収録されている参考書籍】
町奉行日記の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.68pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 21~24 2/2ページ
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時代小説でここまで琴線を揺さぶられ、登場人物の心情が、私の心の奥底にしみてくるとは思っても いませんでした。多くの主人公は侍とは言え、白馬に乗った暴れん坊な将軍様でも無ければ、葵の御紋を 権勢に悪党を懲らしめる老人でもありません。今でいえば、皆サラリーマンみたいな一般の人々なのです。 なので、藩を会社に置き換えれば、そのまま、日本の企業社会に通じるものがあります。 恐らく、山本周五郎は、自身のテーマというか課題的な物(そこには娯楽性も含まれる)を、そのまま 当時の世相に落とし込んで書くことを避け、時代小説を選んだのでは?とも、周五郎以後の世代としては 勝手な解釈をしてみたりするのです。 娯楽に徹している町奉行日記も良いのですが、身命を賭して前藩主の遺言を成した男の話である「土佐の国柱」 藩政改革の為に敢えて憎まれ役と汚れ役を引き受けた男の話である「晩秋」、人を信じること、明けない夜は 無いことを町人の視点で描いた「金五十両」、藩政改革を行う為、汚れ役を甘受した主人公と、それへの裁きを 務めることになった友との友情、そしてその間に居た女性を描いた「落ち梅記」、好いた人の名誉と自分の矜持を 守る為、シングルマザーへの道を選んだ女性を描いた「霜柱」等々……至極の短編が納められた一冊です。 時代小説だから…なんて言わずに是非一読を。やはり読み継がれられているだけのものを持っているのです。 附:読むときは(特に前半)ハンカチ必須です。後、涙腺の弱い方が電車内で読む際は御注意下さい。 | ||||
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武士たるものの美しさ! バラバラの話なんだけどどれもがいぶし銀の光をまとう芸術品。 | ||||
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周五郎の発刊する単行本で、私は個人的にこの作品が最高に好きです。 単行本タイトルにもなる「町奉行日記」は、ドラマ化もされてご存知の方もいるかもしれませんが、江戸から新規に赴任した町奉行が、壕外という藩の権力が及ばない場所を、自らの力で浄化する、推理あり人情ありお笑いありの、痛快小説。 どんな人でもきっと楽しめます。 本書には全部で10の短編が収められています。どれも力作で、外れはありません。周五郎をあまりよく知らない人でも読んでみてください、きっと好きになります。 | ||||
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山本周五郎は当然時代小説なのだが、登場人物は現代的、少なくともワシらの親ぐらいの高度成長期、晩年の小津映画や植木等ものに通じる日本社会の秩序と義務感とモラルをキチンと背負った現代人を封建社会の枠組みの中で自在に動かしている事に魅力がある。というか、藩やお上や親方を会社・地域社会・家庭に置き換えると登場人物たちがリアルに迫ってくる。日本がまだちゃんと機能していた時代の大人たちの気持ち・悩みとしてむしろ、大正・昭和ぐらいの時代を感じるのはわたくしだけだろうか。そんなわけで、武芸の達人や豪傑・ヒーローはでてこないのだけれど、だけにエンパシーは深い。 ワタクシがおすすめしたい「落ち梅記」はこの短編集の中程に出てくる目立たない作品だが、青年時代からの決別と㡊??うか、大人になる事の喪失感をバックテーマにした美しい短編だ。あらすじを書くと長くなるので省略するが、登場人物、その相関関係、積み上げていくエピソードそして手鏡や梅の実一個にいたるあらゆる道具立て全てが完璧に美しく配置されている。この雰囲気は江戸時代というより大正ロマンの城下町がふさわしい。惜しむらくは主人公の金之助がお人好しにも程がある!ということだが、この無理を江戸の封建時代に設定を置く事で解消している。エンディングも見事!裁きをする側・される側に分かれた親友同士の結末はどう決めてもしこりが残ったであろう。ここを雨中を立ち去るヒロインの後ろ姿に落ちる梅の音(これは主人公の連想)になぞえて「……あの時も雨が降っていた」と結ぶこの余韻の深さ!評論家めい!た分析をしてしまったけど、ワタクシは本当に感動した | ||||
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