■スポンサードリンク
鳴かずのカッコウ
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
鳴かずのカッコウの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.56pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全48件 41~48 3/3ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
前作の『ウルトラ・ダラー』や『スギハラ・ダラー』に比べて、中国の存在が大きくなっている。それはこの11年で、中国の脅威がますます高まったことに対応しているだろう。「日本の生き残り」というということを真剣に考えなくてはならない時期に至ったことが『鳴かずのカッコウ』から分かる。 といっても、物語の中心となる舞台は日本の神戸なので、中国の地理や歴史に詳しくなくても全く問題ない(特に、神戸に馴染みのある人は読んでいて楽しいはず!)。 神戸の他にも、ウクライナの「リヴィウ」という都市が物語の冒頭に登場する。「なぜウクライナなのか?」と疑問に思う方は、ぜひ本書を読んでほしい。読後には、きっと「プロローグがウクライナである必然性」に納得するはずだ。 著者は、「国際政局を見ている我々にとって、ウクライナという地域ほど分かりにくいものはない。ですから、僕もこの地域だけは、直接、出かけていって土地勘を養うようにしています。」(『独裁の宴』134頁)と発言しており、実際に2014年10月のウクライナを取材していることから、本書のウクライナに関する記述は入念な取材に基づいていると思う。 また、新時代のサイバー技術に関する設定も凝っている。私は、本書を読んで初めて「シーサーチャー」や「Signalアプリ」といったものの存在を知った。個人のPCのハッキングがどのように行われるかも物語の中で詳述されている。 もちろん、サイバー技術などのモノによるインテリジェンスだけではなく、『ウルトラ・ダラー』でお馴染みの、人間力を駆使した情報獲得「ヒューミント」のエッセンスも物語に詰め込まれている。物語のある場面で、主人公に対して、先輩インテリジェンス・オフィサーはこう伝える。「われわれがいうヒューミントは、人に会って直に話を引き出す。これに尽きる。」時代が変わっても、人間同士のやり取りが国家の命運を左右するという力強いメッセージが表れている。 インテリジェンス関連の機微に触れる情報は、取材源の秘匿などの制約が多いから、ノンフィクション作品では、どうしても内容がぼんやりしてしまうが、小説ではそのような「奥歯に物が挟まった感」がなく、事件や人物も明快なので、ぐんぐん読み進められる。ノンフィクション作品や国際情勢の新書が苦手な方にもオススメ。予備知識ゼロでもこの一冊で、現在の日本を取り巻く国際情勢を肌感覚で把握できる。今の世界を知りたい全ての読者に推薦できる傑作だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
日本にいるのに,情報を集めることで世界のいろんなことが,日本に居ながらにして分かるなんて,情報の世界ってほんとすごい世界。小さな情報が点と点でつながり,それが更に広げて真実を追い求めるそんな世界が日本にあったとは,これまた驚きです。非常にリアルな,本当にあったんじゃないかと思ってしまうストーリーに読み入ってしまいました。 「近未来をピタリと当てる」。それが情報,インテリジェンスの意味なのだろうと本書を読んで感じさせられました。地道に,かつ論理的に情報収集を行って,誰にも分からない未来のことをピタリと読んで国益を守る,そんな仕事を公安調査庁が,鳴かずのカッコウ,影身の存在として日々,これまで活動を続けていたんだなと。必要なパズルのピースを埋めては広げ,更に必要なピースを集める,そんな地道で壮大な物語に感銘を受けました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
港都市神戸で、国際的な情報戦が二重底、三重底にもなって展開されており、何度も唸らせられた。 物語の後半では、著者のこれまでの取材に基づき東アジア情勢を舞台とした将来の情報戦において、更なる大奥があることを示唆しているように思える。 読み始めるときと読み終えたときに、本の表紙から受けるイメージがどのように変わるかはあなた次第と、著者が言っているような気がした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ミステリーや警察小説をよく読むが、公安調査庁が題材の小説とは珍しいと気になりつい購入。 公安調査庁は、イギリスのMI5のような事実上の情報機関。警察機関のように犯罪の証拠を集めて犯人を検挙するのではなく、内部協力者や裏社会の住人などを使って国の安全保障やテロなどに関する情報を集めて分析することに特化している。それゆえに本作にも派手な逮捕・鎮圧シーンなどはなく、主人公は身分を隠しながらひたすら地道な情報収集活動を行っている。 派手なアクションを期待している人には物足りないかもしれないが、これがインテリジェンス世界のリアルなのかもしれない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
飾らないインテリジェンス・オフィサーの日常と事件がリアルに描かれていて面白いです。オススメ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
映画化には向いていない、地味な内容ですが、それがかえってリアリティーを生んでいるような小説。もっと読みたい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
インテリジェンスについての小説や映画、ドラマと言えば、007のような超人的な主人公が登場することも多いと思うが、この作品の登場人物は普通の公務員、しかも新人・若手であることから、自然な形で読み進めることができた。設定が東京でないこともかえって日常感があって親しみが持てた。もっとも、エピソード自体は国際政治の最前線にかかわるもので、後半の急展開からも今回の作品を連作の第一弾と読むこともできると思われる。次の展開に期待したい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
XYZ、こんな書き出しをすると、一定の年代では新宿の種馬というキーワードが想起されるに違いない。 しかし、定石通り、数式の話である。 この本の発売前に、ウルトラダラーとスギハラダラーが再版されたが、ほぼ同じ時代でアジアの問題を異なる角度から切り取った内容とも言える。 高等数学の、ある立体をX軸平面、Y軸平面、Z軸平面で切り取った時の面積を求めなさいとかという感じ。 率直に言って、この本だけでは、イマイチ何のことかよくわからない話も多いし、物語も、なんだか尻切れトンボな感じである。 一方で、かつての二作で書き洩らした内容であるとか、内容を補完する内容がさりげなく文中にちりばめられている。 昨今では、話をまとめた本やキーワードやキーセンテンスを太字にする本が基本になりつつあるが、そういう人に向けていない構成になっている。 北朝鮮の問題は北朝鮮にとどまらず、香港やロシアどころか世界中に繋がってくる。 国境のインテリジェンスは国境なきインテリジェンスで、企業やなんとか法人と言った疑似国家まで含めて理解する必要に迫られている。 しかも、いまだに縦割り行政にもかかわらず。 さて、くだんの二作を読むのに手間取って、当日に買ったものの、翌日に一気に読破することになった。 新人らしい、馬鹿なくだりも出てくる。 LINEなんかで上司の噂話とか、二つの意味でよろしくないのだが、敢えてそういうものを記載するところに、この本の真骨頂があるのかもしれない。 スパイの為のハンドブックの内容をいまさら守っても、その内容ごと外部に漏れては意味がない。 あの時代とは、インフラも社会も人間の意識も違うのである。 一方で、そういう部分の人間の欠点を全部あげつらっていたら、誰も働けず、重要な情報を取ることなどできない。 もはや、スパイ産業も運用の仕方をよく考えないといけない。 誕生日の発行であるとか、若かりし頃を過ごした神戸が舞台とか、親近感を感じて購入した。 案の定、いくつかのキーワードが出てきた。 異常な記憶力、カプチーノ、キングスカレッジ、そして、モテない。 1年くらい前に、文中にも出てくる「灯台下暗し」とスパイかなんかが横を駆け抜けながら叫んでいった日もあるが、おそらく、手嶋龍一がこの物語を作るにあたって使った資料や組織、あるいは気まぐれの中に、僕の資料がいくつか紛れ込んでいたんだろう。 お茶を習いに行って、僕の昔の同級生と仲良くなった同僚もいた。 政治事件に巻き込まれていった当初の放射線科学会のサッカー大会では、「教授はお前のことなどすべてお見通しだ」と他所の大学の准教授か講師に言われたこともあるが、学術機関や宗教機関は本書にも触れられているように、情報交換やスパイの育成機関でもあるので、色々と情報が出回るのだろう。 もっとも、その内容がどこまで真実でどこまでノイズかを判断する頭がなければ、それはインフォーメーションであって、インテリジェンスではない、本書にもある通りだ。 それに対する僕の返事は、「お見通しなのはお見通し」であった。 既に、佐藤優の本をよく読んでいたからだ。 そして、ネット監視については、スノーデンの開示した内容の精密さにもビックリしたものの、そもそも、どこかから情報が漏れることは学生のうちから知っていて、遊んでいた。 話を戻すと、情報は切り取られて上層部の都合の良いように扱われるが、人事評価や人間関係が敢えてタコツボ式社会で不公正であることで、もっと大きなインテリジェンスが作られることもある。 その事について、今までの所の3部作でも、真珠湾奇襲や911を敢えて止めなかったインテリジェンスが描かれている。 もっとも、それはアメリカだけでなく、日本やイギリスも同じ歴史を持っている。 エニグマ解読を悟らせないための敢えての被弾やスギハラ公電や小野寺公電の無視。 それは、各国の戦術レベルを超えた、世界の軍産複合体や闇の財閥の戦略の矛先が自国に集中しないためのインテリジェンス。 こんなものはわかってもどうしようもないが、わからないともっとどうしようもない。 結果として、優秀だったり、うっかり実績を作りかけた若手は世襲社会に疎まれて左遷されてしまうわけだが、中央部での醜い争いを考えればトータルではどちらが幸せかは不明なのが難しい所だ。 神戸は頭と同じ読みである。 山口組発症の淡路島は国生み神話の最初の島であり、だから、ヤクザはシマというのだろうか? ならば、舞子はアメノウズメになるのか? 神戸を神の戸と書くのは偶然だろうか? 六甲というのは、ユダヤ教の六芒星を表現しているのだろうか? そんな市章が日本のあちこちに存在する。 姉妹都市のラトビアのリガに行った時にブラックヘッドなるものがあった。 この町出身のイギリスの哲学者アイザリアバーリンの親戚がモサド長官のエフライムハレヴィである。 こうやって紐解いていくと不思議な事は多い。 とはいえ、偶然の出会いなどあまりない。 リガ国際空港RIXと関西国際空港KIXの記号が似ていることや、ドイツ系スウェーデン人のイギリス外交官アーネスト・サトウの母の旧姓がメイソンとか偶然なわけもない。 古墳がある沿線の南海電車がコンパスカードだったのも偶然ではないだろう。 では公安のサクラも、このエリアのサクラが語源のJクラブに繋がってくるのだろうか? この感想文も脱線甚だしいが、冒頭の内容は最後に触れられているものの、あまり出てこなかった本作。 実は次回作の伏線なのか、それとも、脱線こそがインテリジェンスなのか? この宇宙とサイバー空間の時代に、冷戦最後の空母を中国が偽装を重ねて引き取った話がこの世界で何処まで意味があるのだろう? おそらく、Five Eyes に日本が入っていないことも含めて意味があって、そこに気になるラジオはBBCでおなじみの英国情報士官が絡んでくるのが重要なのであろう。 6番目が日本なのか、イスラエルなのか、それとももっと違う国なのか? イギリスは白人の国であるとともに、ユダヤ金融の中心地である。 ブレグジットで1番を譲ったアムステルダムと共に。 円とポンドがドルを挟んだイブサンローランのマーク、渚にまつわるエトセトラを思い出してYOUTUBEを引っ張り出すと関西人バリバリの2人が出てきた。 と思ったら、片割れは東京もんらしい。 作中の神戸の中でもマイナーな地名が多すぎて、半分くらいしか実感のある土地はなかった。 それも、中高の部活と30歳からのフリーターライフがなければ、たぶん、三ノ宮以外ほとんどわからなかったと思う。 垂水区のどこかとの試合での乗り合いタクシーで同級生が「こんな辺境の地にもローソンが!」と叫び、タクシーの運転手さんに怒られたことも覚えている。 しかし、その塩屋の近所にジェームズ山があったことも、長年近所にいながら知らなかった。 バイトのついでに、自動車学校の看板を地下鉄で見かけたくらいである。 関心を持って調べないと何も気づかない。 基礎知識がなければニュースの意味も変わるし、未来に起こることを予測するインテリジェンスは生まれない。 僕も朝日新聞の創業者の家が阪神間にあったことも知らなかったが、今は都心部の駅近に人が集まっているが、昔はそうではなかったことや、神戸が一時世界一の港だった経緯などを知らなければわからないことも沢山ある。 今は、神戸どころか関西からも人は減り始め、灘高はついに関東のトップに日本一の座を明け渡しそうなこの時代である。 それはともかく、蒼天航路やキン肉マンくらいしかメジャーな漫画も出てこなかった。 蒼天航路なんかも実際キン肉マン程メジャーでもないし、この設定は何だったのだろうか? あるいは、著者は、人手不足の公安のレベルを上げるために、このような本を執筆したのかもしれない。 これから、ますます、AIやITは発達する。 しかし、扱うのは人間である。 例えばAIやITに毒が混ぜられた時に、どういう対処をするのかも、人間が思いつく答えにこそ意味がある。 漫画でもいいから代理経験や知識を重ねた人間が日本の公安で必要とされている。 僕の人生も、ボタンの掛け違えがなかったら、案外公安だったのかもしれない。 なんか、他の資料とか見ながら考え事しながら書いていたら、3時間が経過していた。 サッカーなら延長戦まで行っている。 鳴かずのカッコウ の意味は本書から読み取れなかった。 影の薄いスパイというものでは、ちょっとそのまんま過ぎる。 未来を予測するインテリジェンスから未来をつむぎだすインテリジェンスへの変化。 そろそろあの世が見えてきたので、そういう人生の遊び方もいいかなと思ってきた。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!