此の世の果ての殺人
評判
此の世の果ての殺人の評価:
3.51/5点 レビュー 55件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全104件 21〜40 2/6ページ
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本作は巨大隕石衝突による地球滅亡が約束された世界線が舞台の、いわゆる特殊設定ミステリと呼ばれる部類のものであると推測する。だが肝心のその特殊性を全く活かし切れていない。世界の終わりを間近に迎える人類の狂乱、機械文明の破綻などは随所描かれているが、どこぞのSF小説を流用したかのようなありきたりで陳腐な描写が散見され、目新しさは皆無。序盤の異様でグロテスクな自殺体の描写で釣っているだけのように思えた。
肝心のミステリ要素も、途中までは二転三転と面白みもあったが無駄に増えていく登場人物のせいで全体のテーマ性が薄れ、一貫した『何か』が欠けている。おまけに犯人も非常に分かりやすく、「ただの快楽殺人鬼」というこの上もなくつまらないオチが待っている。快楽殺人鬼を犯人にする、ということ自体は何もおかしくないし、そういった犯人を描いた素晴らしいミステリ作品はこの世にたくさんあるが、犯人の背景の深掘りも何もなく、よって殺人を楽しむ犯人への恐怖感を覚える間もなくドタバタと忙しいだけのラスト。ただ読者の奇をてらうためだけに無理矢理考えたオチ、と思ってしまう程、肩透かしを喰らった。
筆者は群像劇を描きたかったのだろうか。群像劇の傑作はどれもみな作中人物の関係性が最後にはパズルのように綺麗にカチリと嵌り、この上もない爽快感をもたらしてくれるものだが、今作においてはそれらが一切感じ取れなかった。特に意味もなく現れ、特に意味もなく死んだり生き残ったりする。実に稚拙極まりない。
何より、隕石衝突による地球滅亡を散々謳っておきながら、読者の感情を強く揺さぶるような(今風に言うと『エモい』)終焉の描写も浅い。というか無い。これでは何のためにこの舞台を設定したのか、本当に分からない。余韻にも浸れない。
何故今作が江戸川乱歩賞を受賞できたのか甚だ疑問である。よほど他の候補が駄作過ぎたのか何なのか……とにかく、とても残念だ、という感想以外に持つことができなかった。