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(短編集)

一茶



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【この小説が収録されている参考書籍】
白き瓶/一茶 藤沢周平全集 第八巻
新装版 一茶 (文春文庫)

一茶の評価: 4.00/5点 レビュー 33件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 21~22 2/2ページ
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No.2:
(5pt)

新装版・風狂人の俳諧魂

俳聖芭蕉と違って、一茶は親しみやすい俳句を作る俳人であるという常識をもつ我々である。何の説明もない「一茶」というタイトル。上(14章)・中(9章)・下(12章)の名称がない。これは一茶の評伝でもなく、俳句の紹介で終始しているのでもない。風狂の人として全国各地を行脚する放浪人として描かれている。「僧とも俗ともつかない薙髪の男」と原文にある。本書は評伝・伝記ではない。四国は讃岐金毘羅・観音寺、伊予松山に俳諧紀行しているが、こちら特有の地方色は表出されていない。
 ないものねだりをしてはいけない。作者の意図したものは、一茶の生き方「むしろ他郷で野垂れ死にすること」を願って旅しながらも、最後は故里にもどり、幾人目かの女を抱いて、六十五歳の生涯を閉じる。一茶の生涯は一体何だったのか。それは俗中の俗に流されながらも、生涯二万句を詠んで後世に残した【風狂人の俳諧魂】ではなかったか。
この小説を結ぶ一文は次のように何事もなかったように、何かの鼓動を感じさせて終る。

 雪はまだ降りやまずに、柏原の山野を白く包みこんで動いていた。
新装版 一茶 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:新装版 一茶 (文春文庫)より
416719242X
No.1:
(5pt)

食わず嫌いでした

それがしは、藤沢周平著書読破に後何冊かに迫っている。
しかし、残りの本には何かしらの理由があって後回しになったものばかりだ。
その訳とは、「実在の歴史上の人物を扱ったものが嫌い」、先の「白き瓶 長塚節」、「回天の門 清河八郎」がそうだ。
しかし、嫌いと言えども、一旦著者の本を読むとその人物に引かれ嵌り、更にその人物の別の本まで購入し読んでいる。単なる「食わず嫌いか?」不思議で現金な者だ。
さて今回は「一茶」。

「小林一茶」については全く無知であった。生涯、何でも題材にし2万もの句をつくったという尋常ならざる風狂の俳人。2万もの句の中で確実に知っていたのはたかだか10句前後だ。情けない。
・大根引き 大根で 道を教えけり
・われと来て 遊べや親の ない雀
・雀の子 そこのけそこのけ 御馬が通る
・やせ蛙 まけるな一茶 ここにあり
・名月を とってくれろと 泣く子かな
・春雨や 牛に引かれて 善光寺
などなど

ところが、この人物、ここまで哀れな人物であったとは全く知らなかった。これは驚きだ。「目から鱗」というのはこういうことか?「無知」とはなんと情けなく、恥ずかしいことか。

■人物像:
現・長野県信濃町の農家の長男として生まれた。幼少に生母と死別、その後継母と合わず、15で江戸に奉公。職業を転々としその後何処で何をしていたか10年間消息不明。51で、夢であった「江戸の俳諧師」を諦め、生まれ故郷に無念の都落ち。
・秋寒や 行先々は人の家
・秋の風 乞食は我を 見くらぶる

ここまで住処も妻も持たず、食うや食わずの生活。継母、義弟と財産分けで大もめ10年。やっと定住場所を得、54歳で28の女子と結婚。妻、子供4人を次々と亡くし、再婚の妻には2ヶ月で逃げられ、その後3度目の結婚。65で他界。最後までお金や運に恵まれず貧乏、不幸連続の生涯。ここまで人物を知ると、句の見方も変わってくる。

「・・・そこのけそこのけ 御馬が・・」の“御馬”が、どうして“お馬”でなく“御馬”なのか、「名月を・・泣く子かな」、「親のない雀」の意味も理解した。

実は、今は無きそれがしの実家は、一茶の生まれ故郷からかなり近いところにあった(長野市の北、野尻湖のすぐ近く、黒姫駅がある信濃町)。駅で言うと3駅南である。そう、今に思うと極近。帰省の際のはいつも素通りしていたことになる。学生時代「近くである」ことはうすうすとは知っていたがその程度。一茶と良寛もダブっていた。しかし、これを読んだ後は思いっきり「一茶」について勉強した。即、別の本も注文した。

しかし、一茶の生涯は1763-1828年(明和〜文政の江戸時代)。明治維新もペリー来航も更にもっと後の時代。田舎百姓を追われた15の少年は江戸でさぞ苦労したことでしょう。

「mm−、“知る”とは楽しいことだ、読書の醍醐味ですかな?和尚 ハハハ・・」
さて、今年の夏、「一茶記念館」でも行って来よう。

■お薦め度:★★★★★(一茶の句の読み方が変わります、是非)
新装版 一茶 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:新装版 一茶 (文春文庫)より
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