ブラフマンの埋葬

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評判

ブラフマンの埋葬の評価:

3.96/5点 レビュー 75件。 D ランク

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平均点3.96pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全150件 41〜60 3/8ページ
No.110
(4pt)

小川洋子ファンタジーが心暖まる

小川洋子さんの小説は情景描写がとても丁寧で的確です。文章にムダがなくピーンとした空気を感じます。本書は小川ファンタジーの一つです。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.109
(4pt)

小川洋子ファンタジーが心暖まる

小川洋子さんの小説は情景描写がとても丁寧で的確です。文章にムダがなくピーンとした空気を感じます。本書は小川ファンタジーの一つです。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.108
(5pt)

愛らしい小川ワールド

童話みたいで、カフカみたいで、暖かく、そして知的で隅々まで作者の気配りが届いているしっかりした文章のすばらしさ。本を読み楽しさを教えてくれる優しさに包まれた一冊です。チェコとか、中央ヨーロッパかな、と思わせる田園地帯の小さな街。太古に亡くなった人達が墓地に住んでいる雰囲気。でも、日本と違って湿気がないから、周りの死者たち(本には直接出てきませんが)の雰囲気も明るいですね。
ブラフマンって誰でしょう。私は、ハイドパークやセントラルパークにいる大きなリスたちと、カナダや北欧のビーバーを思い浮かべました。可愛いよね。ブラフマンの最後で示されるように、生と死って本当に隣り合わせ。何だか、絶対的な障壁があるのではなくて、ごく自然に行き来しているような。「僕」を見つめる写真の家族も、そんな感じですよね。8.の最初、「秋を運ぶ最初の季節風が吹いた。」からの季節の変化の描写は好きでした。「季節風が止んだあとに、素晴らしい朝が訪れるのもまた、毎年のことだった。」の後の季節描写も素晴らしいですね。この本を読む機会を得ることができて、とても幸せです。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.107
(5pt)

愛らしい小川ワールド

童話みたいで、カフカみたいで、暖かく、そして知的で隅々まで作者の気配りが届いているしっかりした文章のすばらしさ。本を読み楽しさを教えてくれる優しさに包まれた一冊です。チェコとか、中央ヨーロッパかな、と思わせる田園地帯の小さな街。太古に亡くなった人達が墓地に住んでいる雰囲気。でも、日本と違って湿気がないから、周りの死者たち(本には直接出てきませんが)の雰囲気も明るいですね。
ブラフマンって誰でしょう。私は、ハイドパークやセントラルパークにいる大きなリスたちと、カナダや北欧のビーバーを思い浮かべました。可愛いよね。ブラフマンの最後で示されるように、生と死って本当に隣り合わせ。何だか、絶対的な障壁があるのではなくて、ごく自然に行き来しているような。「僕」を見つめる写真の家族も、そんな感じですよね。8.の最初、「秋を運ぶ最初の季節風が吹いた。」からの季節の変化の描写は好きでした。「季節風が止んだあとに、素晴らしい朝が訪れるのもまた、毎年のことだった。」の後の季節描写も素晴らしいですね。この本を読む機会を得ることができて、とても幸せです。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.106
(4pt)

創造され、去って行った者は記憶に残る。

この著者の作品は好きで、何作か読んでいる。
いつものことだが、タイトルに魅了される。「ブラフマン」という、なんとも壮大な名前と、「埋葬」という印象的な言葉。
小川洋子作品には、非常に綿密に人物や生物を創造され、感情移入したそのものと別れるという事が多く見られる。
この後に著作された「猫を抱いて~」も、同様、実際に生きているかの様に存在を確定されたものが、「死」を持って別れ、形の見えない心の象形として昇華し、記憶に刻みつけられる。
この「埋葬」をタイトルにあえて入れたのは、そういう事なのだろう。
物語的には、奇抜なものは一かけも存在しない。抽象的で分かりにい部分があるが、意味を持っている。その物語を、優しい、選び抜かれた言葉によって綴られている。
しかし、最後まで読んで、強烈に訴えてくる物がある。静かな激動がある。
非常に読みやすく、短い話なので気構えせずに読んで見てもどうだろう、著者の独特な世界観に少し触れられる。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.105
(4pt)

創造され、去って行った者は記憶に残る。

この著者の作品は好きで、何作か読んでいる。
いつものことだが、タイトルに魅了される。「ブラフマン」という、なんとも壮大な名前と、「埋葬」という印象的な言葉。
小川洋子作品には、非常に綿密に人物や生物を創造され、感情移入したそのものと別れるという事が多く見られる。
この後に著作された「猫を抱いて~」も、同様、実際に生きているかの様に存在を確定されたものが、「死」を持って別れ、形の見えない心の象形として昇華し、記憶に刻みつけられる。
この「埋葬」をタイトルにあえて入れたのは、そういう事なのだろう。
物語的には、奇抜なものは一かけも存在しない。抽象的で分かりにい部分があるが、意味を持っている。その物語を、優しい、選び抜かれた言葉によって綴られている。
しかし、最後まで読んで、強烈に訴えてくる物がある。静かな激動がある。
非常に読みやすく、短い話なので気構えせずに読んで見てもどうだろう、著者の独特な世界観に少し触れられる。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.104
(2pt)

退屈

期待したのですが途中で投げ出した。今では全然頭に残っていない。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.103
(2pt)

退屈

期待したのですが途中で投げ出した。今では全然頭に残っていない。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.102
(4pt)

不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせた作者の本領発揮の秀作

カフカ「カフカ寓話集」中には"奇妙な動物"を扱った掌編が数多く収録されているが、本作はブラフマン(普通はインド密教における宇宙の根本原理の意だが、本作では単に"謎"の意)という名前の"奇妙な動物"をモチーフにして、<創作の自由>、はかなく残酷な恋物語と絡めて"生と死"の問題を追及した秀作。想像だが、上述した「カフカ寓話集」中の"奇妙な動物"を、正体不明のまま、より深く描画する事に主眼を置いているのではないか。不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせる作者の本領発揮の作品である。

物語の舞台の村には、古代墓地があり、その中の石棺で、ブラフマンを飼う主人公が恋する少女とその愛人が逢瀬を重ねている。この通り、実は生々しい"性"の物語でもあるのだが、読者は作者が描く泉や森林(ブラフマンがこよなく愛する対象)を初めとする村の長閑で美しい描写、石碑を彫る寡黙な彫刻師、レース編みの作家、ホルン奏者といった表象的事柄によって、"死"と密着した非常に静謐な物語を読んでいる印象を抱く事になる。作者の力量の証左であろう。

それでいて、作品全体のテーマはやはり良く分からないのである。私は作者の短編「巨人の接待」を読んで、その不条理性に瞠目したものだが、上述した通り、本作はその本領を十二分に発揮した秀作だと思う。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.101
(4pt)

不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせた作者の本領発揮の秀作

カフカ「カフカ寓話集」中には"奇妙な動物"を扱った掌編が数多く収録されているが、本作はブラフマン(普通はインド密教における宇宙の根本原理の意だが、本作では単に"謎"の意)という名前の"奇妙な動物"をモチーフにして、<創作の自由>、はかなく残酷な恋物語と絡めて"生と死"の問題を追及した秀作。想像だが、上述した「カフカ寓話集」中の"奇妙な動物"を、正体不明のまま、より深く描画する事に主眼を置いているのではないか。不条理小説と静謐で美しい物語を組み合わせる作者の本領発揮の作品である。

物語の舞台の村には、古代墓地があり、その中の石棺で、ブラフマンを飼う主人公が恋する少女とその愛人が逢瀬を重ねている。この通り、実は生々しい"性"の物語でもあるのだが、読者は作者が描く泉や森林(ブラフマンがこよなく愛する対象)を初めとする村の長閑で美しい描写、石碑を彫る寡黙な彫刻師、レース編みの作家、ホルン奏者といった表象的事柄によって、"死"と密着した非常に静謐な物語を読んでいる印象を抱く事になる。作者の力量の証左であろう。

それでいて、作品全体のテーマはやはり良く分からないのである。私は作者の短編「巨人の接待」を読んで、その不条理性に瞠目したものだが、上述した通り、本作はその本領を十二分に発揮した秀作だと思う。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.100
(5pt)

愛おしく愛くるしい不思議な生き物との、一夏の物語。

作家/小川 洋子 :: ネタバレ注意 :: 舞台は、つい五十年ほど前までは船で川を下ってくる以外に交通手段がなかったような、辺鄙な村。そこにひっそりと佇む施設〈創作者の家〉の管理人の「僕」と、「ブラフマン」という名前をつけられた不思議な生き物との一夏の物語。 この作品で登場する人物はみな固有名詞を持たない。「ブラフマン」に至っては姿形こそ作中で明かされるが、それが何の生き物かは謎である。 緑色の泉、オリーブ畑、スズカケの並木、季節風… 誰が何を言わなくても、淡く美しい情景を思い浮かべられる。 タイトルに「埋葬」とあるように、ブラフマンがそうなることは初めから予知出来る。そしてその時が来た時「僕」は悲しいという表現や涙を流す描写などないが、様々な場面でブラフマンへの愛情を確かめることが出来る。誰も悲しいとは言っていないのに、どうしてこんなに涙が流れ悲しく切ない気持ちにはるのだろう。それは「僕」が「ブラフマン」のことを本当に愛してることをはっきりと認識出来るからだと思う。「ブラフマン」がいたずらしても「僕」は一度も怒らない懐の大きな男。「ブラフマン」もきっと彼を愛していただろう。 ブラフマンはサンスクリット語で謎という意味。〈創作者の家〉は南仏のFuveauという小さな町がモデルになっている。小川洋子さんが旅行に訪れインスピレーションを受けたという。私もそこに訪れ美しい風景に囲まれながら「ブラフマンの埋葬」を読むのが夢だ。この本に出会えて本当に良かった。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.99
(5pt)

愛おしく愛くるしい不思議な生き物との、一夏の物語。

作家/小川 洋子 :: ネタバレ注意 :: 舞台は、つい五十年ほど前までは船で川を下ってくる以外に交通手段がなかったような、辺鄙な村。そこにひっそりと佇む施設〈創作者の家〉の管理人の「僕」と、「ブラフマン」という名前をつけられた不思議な生き物との一夏の物語。 この作品で登場する人物はみな固有名詞を持たない。「ブラフマン」に至っては姿形こそ作中で明かされるが、それが何の生き物かは謎である。 緑色の泉、オリーブ畑、スズカケの並木、季節風… 誰が何を言わなくても、淡く美しい情景を思い浮かべられる。 タイトルに「埋葬」とあるように、ブラフマンがそうなることは初めから予知出来る。そしてその時が来た時「僕」は悲しいという表現や涙を流す描写などないが、様々な場面でブラフマンへの愛情を確かめることが出来る。誰も悲しいとは言っていないのに、どうしてこんなに涙が流れ悲しく切ない気持ちにはるのだろう。それは「僕」が「ブラフマン」のことを本当に愛してることをはっきりと認識出来るからだと思う。「ブラフマン」がいたずらしても「僕」は一度も怒らない懐の大きな男。「ブラフマン」もきっと彼を愛していただろう。 ブラフマンはサンスクリット語で謎という意味。〈創作者の家〉は南仏のFuveauという小さな町がモデルになっている。小川洋子さんが旅行に訪れインスピレーションを受けたという。私もそこに訪れ美しい風景に囲まれながら「ブラフマンの埋葬」を読むのが夢だ。この本に出会えて本当に良かった。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.98
(4pt)

心の隙間

読み終わった後、人としての切なさを感じた作品です。

飼い主が一番愛する『ブラフマン』とはいつも一緒にいるので、泉で1匹で遊んでいても大丈夫だろう。
飼い主の「僕」はそう思い、飼い主が少し気になっている他人の恋人(若い健康的な女性)との束の間を過ごすための時間を選んでしまった。

人間の生活の中ではよくあることで、誰しもが同じ行動を起こすと思う。

但し、この度は『ブラフマン』を泉で一人り遊びさせることの状況が、下に示す様にいつもと違っていた。
●台風の後で、枯葉が沢山浮いている。
●危険なので泉に網を掛けた。
●家の外では、一人遊びをさせたことがない。
●「ブラフマン」は家の外では、いつも飼い主の居場所を確認しながら行動する。

人はいやしいモノで、自分のものにならないとわかっていても、欲望を満たすための行動を起こしてしまう危険性がある動物です。
その点、『ブラフマン』や飼われる側の動物は純粋に飼い主のことを思っています。
そんな身勝手な、人間の心の隙間をさらけ出した作品だと思います。

ペットの飼い方においてモラルなき飼い主が沢山いる日本人に向けたメッセージと受け取りました。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.97
(4pt)

心の隙間

読み終わった後、人としての切なさを感じた作品です。

飼い主が一番愛する『ブラフマン』とはいつも一緒にいるので、泉で1匹で遊んでいても大丈夫だろう。
飼い主の「僕」はそう思い、飼い主が少し気になっている他人の恋人(若い健康的な女性)との束の間を過ごすための時間を選んでしまった。

人間の生活の中ではよくあることで、誰しもが同じ行動を起こすと思う。

但し、この度は『ブラフマン』を泉で一人り遊びさせることの状況が、下に示す様にいつもと違っていた。
●台風の後で、枯葉が沢山浮いている。
●危険なので泉に網を掛けた。
●家の外では、一人遊びをさせたことがない。
●「ブラフマン」は家の外では、いつも飼い主の居場所を確認しながら行動する。

人はいやしいモノで、自分のものにならないとわかっていても、欲望を満たすための行動を起こしてしまう危険性がある動物です。
その点、『ブラフマン』や飼われる側の動物は純粋に飼い主のことを思っています。
そんな身勝手な、人間の心の隙間をさらけ出した作品だと思います。

ペットの飼い方においてモラルなき飼い主が沢山いる日本人に向けたメッセージと受け取りました。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.96
(5pt)

喪失による無常観

さまざまな創作の世界に携わる人々の為の保養所。
そこで住み込みの管理人として働く主人公の青年は、恐らく天涯孤独である。
天災か事故で大切な人・モノのいっさいを喪ったのか、家族のいない環境で最初から育ったのか、深い喪失感を抱えているだろう青年は、もしかしたら喪失の対象を具体的には記憶していないのかもしれない。
青年は骨董屋で見知らぬ家族の古い家族写真を買い求める。その写真に写る人々は、ひとりひとりこの世を去り、今はもういない。そんな無常観は、この青年には生きていく心の安らぎになっている。
 主人公は、ある日傷を負った森の生き物(まだ子供)を偶然救い、ブラフマンと名づけ飼い始める。
(フェレット+プレーリードッグ+かわうそ)÷3×0.35 のようなこの動物に対する描写、主人公がこまめに世話をする様子、ふたり(ひとりと一匹)の日常の交流は、犬猫等を飼って家族同然に愛し育てた経験のある人なら、心を暖かくして読み進むことだろう。小さな動物の愛らしさを描いて余すところが無い。
 小説のタイトルから想像がつくとおり、ブラフマンはひと夏を青年と過ごした後、事故であっけなく死んでしまう。
(美容院で読み終えて、パーマのカラーを髪に巻いたまま泣きました)
描写されていはいないが、青年は恐らく、死の直後はともかくとして激しく慟哭はしない。
家族同然、いや、それ以上だった小さな生き物を、心穏やかに見送るのだ。
喪の仕事(モーニングワーク)は、青年がもともと抱える無常観・喪失感に支えられ、しめやかに執り行われる。
 小説の中で唯一、生な色彩を帯びているのは、青年の、恋人のいる雑貨屋の娘に対する横恋慕(欲望)である。その欲望が、小さな生き物を間接的に殺すことにもなるのだが。

 小説に出てくるおびただしい石棺。主である死者は跡形もなく、みな小さな水溜りをのこすのみである。ブラフマンも最後は、小さな石棺に収められる。いつかその蓋はあき、中には小さな水溜りが残るのだろう。そのときはもう、青年もこの世にはいない。

本作はもしかしたら、傑作といっていいのではないか。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.95
(5pt)

喪失による無常観

さまざまな創作の世界に携わる人々の為の保養所。
そこで住み込みの管理人として働く主人公の青年は、恐らく天涯孤独である。
天災か事故で大切な人・モノのいっさいを喪ったのか、家族のいない環境で最初から育ったのか、深い喪失感を抱えているだろう青年は、もしかしたら喪失の対象を具体的には記憶していないのかもしれない。
青年は骨董屋で見知らぬ家族の古い家族写真を買い求める。その写真に写る人々は、ひとりひとりこの世を去り、今はもういない。そんな無常観は、この青年には生きていく心の安らぎになっている。
 主人公は、ある日傷を負った森の生き物(まだ子供)を偶然救い、ブラフマンと名づけ飼い始める。
(フェレット+プレーリードッグ+かわうそ)÷3×0.35 のようなこの動物に対する描写、主人公がこまめに世話をする様子、ふたり(ひとりと一匹)の日常の交流は、犬猫等を飼って家族同然に愛し育てた経験のある人なら、心を暖かくして読み進むことだろう。小さな動物の愛らしさを描いて余すところが無い。
 小説のタイトルから想像がつくとおり、ブラフマンはひと夏を青年と過ごした後、事故であっけなく死んでしまう。
(美容院で読み終えて、パーマのカラーを髪に巻いたまま泣きました)
描写されていはいないが、青年は恐らく、死の直後はともかくとして激しく慟哭はしない。
家族同然、いや、それ以上だった小さな生き物を、心穏やかに見送るのだ。
喪の仕事(モーニングワーク)は、青年がもともと抱える無常観・喪失感に支えられ、しめやかに執り行われる。
 小説の中で唯一、生な色彩を帯びているのは、青年の、恋人のいる雑貨屋の娘に対する横恋慕(欲望)である。その欲望が、小さな生き物を間接的に殺すことにもなるのだが。

 小説に出てくるおびただしい石棺。主である死者は跡形もなく、みな小さな水溜りをのこすのみである。ブラフマンも最後は、小さな石棺に収められる。いつかその蓋はあき、中には小さな水溜りが残るのだろう。そのときはもう、青年もこの世にはいない。

本作はもしかしたら、傑作といっていいのではないか。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.94
(3pt)

「博士の愛した数式」を好きな人にはちょっと・・・

「博士の愛した数式」を読んで小川洋子さんが好きになりました。
2冊目としてこの本を読んで・・・
全体に淡々とさわやかな感じではあるものの
期待したような感動はありませんでした。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.93
(3pt)

「博士の愛した数式」を好きな人にはちょっと・・・

「博士の愛した数式」を読んで小川洋子さんが好きになりました。
2冊目としてこの本を読んで・・・
全体に淡々とさわやかな感じではあるものの
期待したような感動はありませんでした。
ブラフマンの埋葬 Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬より
4062123428
No.92
(4pt)

たんたん

坦々とした物語。

タイトルにもなっているブラフマンは生物なのですが、具体的になんの生物かは書かれていない。謎の生物。
そしてこの人の特徴なのかもしれないが、名前が出てこない。
主人公の目線で話は進むが、主人公は『僕』。『僕』は創作者の家という芸術家が滞在する施設の管理人。そしてそこに滞在する人々も『碑文彫刻師』や『レース編み作家』など名前がない。
そして、舞台が日本なのか、海外なのかもわからない。
登場人物達の人物背景もわからない。
謎の多い話。
顔が無いからこそ坦々さが際立つのかも。
埋葬ってタイトルがついてるのでブラフマンは最後死んでしまうが、生命の生と死って静かで坦々としてるものなのかなって思う。

最後に奥泉光さんていう方が解説書いてて凄くわかり易いです。
あと静かにエロティックですこの話。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935
No.91
(5pt)

謎の生き物、ブラフマン

ブラフマンは、ある日怪我を負って主人公のところにやってきた。
多分、助けを求めて。
長い尻尾を持って、4本足の肉球の間に水かきをもち、水が大好き。
おそらく、哺乳類。小さなブラフマンと、主人公の
暖かい暮らしが始まる。
どこまでも続くといいなと思う、二人(?)の暮らしが描かれるが、
儚い幸せがいつ壊れるのだろうと考えずにはいられない、
なぜなら「ブラフマンの埋葬」というタイトルだから。

期待を裏切らない、静かな、愛情のこもった、
美しい小川洋子の日本語の文章と、
いつまでも心にしまっておきたくなるような
暖かい小説。
ブラフマンの埋葬 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: ブラフマンの埋葬 (講談社文庫)より
4062756935