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(短編集)
おれの眼を撃った男は死んだ
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おれの眼を撃った男は死んだの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.71pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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10篇の不思議に惹きつける短編集。 人間が描かれている。 | ||||
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文学によくある、暴力が描かれるときにくっついてくる知的?なユーモアが好きな方にオススメ。かなり緻密に書かれているので短編一つ読んだらすぐに最初に戻ってもう一度読むのが良いと思います。色んなことに気づけます。この作者すごいです。 | ||||
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小説家としての筋は良いと思うし、テーマ設定の着眼点も悪くない。 ただ読んで面白かったかと言われると、素直にyesと言えぬ自分がいる・・・なかなかの文章家だとは思いますが。 評価が難しいので判断留保。 | ||||
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文学に限らず優れた芸術作品は鑑賞する側に沈黙を強いる物だと実感した。読後暫く仮死状態のような数分があって、自分の体験した事(この作品を読んだこと)について考えようとするのだが上手い言葉が見付からないまま数日が過ぎ、また最初から本のページを捲っている。おそらく、こんな事を数回繰り返す内に、自分の中でこの物語が熟れていくのだろうと思う。誰にでも受け入れやすい作品ではないが、自分にとってはかけがえのない文学の贈り物であった。 | ||||
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短篇集『おれの眼を撃った男は死んだ』(シャネル・ベンツ著、高山真由美訳、東京創元社)に収められている『よくある西部の物語』は、はっきり言って、何とも救いのない物語です。 「兄はあたしを迎えにきた最初の男だった。酒をしこたま飲んで、ニューメキシコの売春宿の外で、素っ裸の姿をあたしの目のまえにさらした最初の男でもあった。約束をしたら、それを守るだろうとあてにできる最初の男でもあった」と、幕が開きます。 15歳の「あたし」、ラヴィーニアの父は南北戦争で戦死し、インディアンの母も死んでしまいます。預けられた父の妹一家に虐待されているラヴィーニアを救い出してくれたのが、兄ジャクソンです。 ところが、ラヴィ―ニアは兄とその仲間の銀行強盗を手伝わされ、兄に命じられて、出納係の目を撃ち抜いて、命を奪ってしまいます。 保安官と保安官助手の静止も聞かず、留置場に押し入ってきた怒り狂った40人ほどの町の男たちに、兄も妹も首を吊られてしまいます。 極力、感情を排した乾いた文章で綴られていく物語を読み終えて、暫く、ぼーっとしていました。 | ||||
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久々に衝撃的、かつ唯一無二の短編小説集に出くわした。本書は作者のデビュー作でありながら、独自の才気を匂わせつつ、危険と謎の香気に満ちた10種の濃厚熟成作品集である。時代や趣向をそれぞれ異としつつ、多種多様な味わいを作品毎に見せてくれる。切断面はどれも個性的で、凡百の分析を退ける独自性を持ち、誇らかに屹立しているかに見える。 最初の短編『よくある西部の物語』は、文字通り西部劇題材。そしてO・ヘンリー賞受賞作品。「冒頭の一編はあなたの息の根を止める」と帯に込められた出版社の狙い通り、衝撃のスタートとなるこの作品。実は、この後も次から次へと異なる横顔を見せる本作品集では、何度も息の根を止められることになるので、これですべてとは思わないで頂きたい。 様々な小説表現手法を、思いもよらぬ領域にまで駆使し、実に根気よく練り上げられた趣向や方法に満ちている。一行とて手抜きの見当たらない、実に内圧の高い作品ばかりなのだ。 カリブの血を引く作者とあって、米国や世界が内包する、歴史、宗教、人種などの問題に楔を打ち込む。熱して冷めやらぬ鉄の迸りの鋭さで、人間の情念や、人生の無常、歴史の冷徹を作品に練り込む。それでいて登場人物の生命力や、情念などは活き活きと熱く、ダイナミックなまでに語られる。 人知を超える運命を描き、人の原罪を描き、命の儚さ、運命、自然の猛威をも描き、愛や魂を描き込む。そして読者に極めつけの謎を残し、それぞれの解釈を求めてゆく。これほど密度が濃く深い短編集をぼくはかつて読んだことがないかもしれない。 作品によっては、文章に込められた仕掛けや伏線が多過ぎるゆえ、最初に戻って再読したくなるものも少なくなかった。ページ数の割に重量感を感じてしまうのも、作品世界の深み、人間描写の厚み、時や場所を変えての仕掛け、そして作品世界の豊饒さ等々、唸らせられるものに事欠かない。じっくりと読みこなしたい味のあるすべての作品に、文字通り魅せられる一冊なのである。 ちなみにタイトルの『おれの眼を撃った男は死んだ』は、『死を悼む人々』という作品中、ある人物によって放たれる言葉である。なぜこの一句がタイトルになったのかを含めて全体がとてもミステリアスな書物なのである。悪夢的なまでに日常生活から遠いところへ、様々な極限の地平へとこの作品集が旅立たせてくれることだけは、最後に確約しておこう。未知の読書体験へようこそ、と付け加えて。 | ||||
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「おれの眼を撃った男は死んだ "The Man Shot Out My Eye Is Dead"」(シャネル・ベンツ 東京創元社)を読みました。10の短編が収められたディープな短編集だと思います。シャネル・ベンツ!何とアイコニックな名前だ(笑) 「よくある西部の物語」・・・ 西部、ニューメキシコ。ラヴィーニアとジャクソンの凝縮された人生。コーエン兄弟が撮った「バスターのバラード」のワン・エピソードのように美しい。 「アデラ」・・・ ケルビムの視点?「から騒ぎ」のような結末だったらよかったのに。虚構を信じさせるその原注がうっとおしく、いとおしい。これは一筋縄ではいかない物語。再読します(笑) 「思いがけない出来事」・・・ 米国、南部。去りぎわには芸術的なスタイルがある。あるか、そんなもの(笑)あたしたちの混乱した人生。混乱した家族。できるはずの埋め合わせですら手に余る人生。鎮痛剤、抗不安薬、酒。でも、ひとつの「達成」は素敵だ。 「外交官の娘」・・・ ナターリアは、もう一人のリトル・ドラマー・ガール。 「オリンダ・トマスの人生における非凡な出来事の奇妙な記録」・・・ 黒人奴隷の手記。消滅したためしがない、人種、性、出自、持つものと持たざるものによる差別。 「ジェイムズ三世」・・・家族。 「蜻蛉(スネーク・ドクターズ)」・・・ 再読することになりました(笑) 「死を悼む人々」・・・ ミシシッピ。1889年。悪魔と契約している。「おれの眼を撃った男は死んだ」。P.T. バーナムの時代。生まれながらにして道を外れる。名作だと思います。 「認識」・・・ 水道設備の残骸。遺跡。恐怖を思い出す。世界の終わり。図式的なようでいて、理解しがたい結末を持っています。 「われらはみなおなじ囲いのなかの羊あるいは、何世紀ものうち最も腐敗した世界」・・・ 修道院。「セント・ポール大聖堂の火事のあと、私は書店をこちらへ移した」クロムウェル。英国国教会:カトリック教会。 「出自」、「家族」、「運命」についての物語が続きます。そして、「われらはみな・・・」のラストにおいて、こらえきれなくなるような感慨を抱くことになりました。この腐敗した世界の中で、神は祈りを聞き届けてくれるのだろうか? 「どちらでもないことによってどちらも永遠に理解できないままさまよう呪われた運命の存在」(Kindle の位置No.3225-3226)を描いた短編集を堪能しました。 そして、ミシシッピ、バイユー、「ブルーバード、ブルーバード」の高山真由美さんによる翻訳がとても心に残る。 | ||||
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