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天平の甍



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天平の甍の評価: 4.45/5点 レビュー 83件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.45pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全72件 61~72 4/4ページ
No.12:
(5pt)

最近、命、かけてますか。

私たちは「命を大切にしろ」って、教わる。
でも、「命を大切に使え」とは言われない。

昔と違って、交通手段が発達してるし、
知りたいことはネットですぐ調べられるようになった。
「天平の甍」に描かれた時代では違う。
何をするにも命がけでデンジャラス。
途方もない年月努力しても、一瞬で失われる不条理が横行してる。
もしかしたら「その時代の人はお気の毒」って思う人もいるかもしれない。

でも、命を懸けなきゃ何かを得られない分、
極めて精密に自分が求めていることに焦点を合わせられる。
(ある意味、道を究めるにはいい時代だったのかも?)
現代人とは、貪欲の度合いもちがう。

命を粗末にしようとは思わない。
でも、自分の信じていることにどれくらい真剣になれるか。
本当に覚悟はあるか。
…高校時代、この本を読んで心に叩きつけられたのはその問いだった気がする。

自分のやりたいことが揺らぎやすい現代、
自分を叱咤する意味も込めて、ずっと読み返したい本の一冊です。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.11:
(5pt)

平安時代の留学僧たち

平安時代、文化的に先を行っていた唐を訪問する遣唐使と共に、若い留学僧もまた仏教を学びに随行していった。

物語は、仏教の戒律を日本に伝えた唐でも高名な鑑真(がんじん)を招来することになった第九回の遣唐使で中国に渡った2人の留学僧、普照(ふしょう)と栄叡(ようえい)を中心に進んでいく。
彼ら二人と一緒に唐に渡った留学僧の戒融(かいゆう)や、玄朗(げんろう)。
過去に唐に渡っていた日本僧、業行(ぎょうこう)なども登場する。

やはり当時の航海技術では、日本と中国の間でも、航海はいちかばちかのところがあった。
4隻の船で出帆しても、中国へたどり着くのは一隻だけだったり、あるいは一隻もたどりつけなかったり。

留学僧が何年もかけて学んだことや、集めたものが、それこそ命がけの航海で自分の生命と共に海の藻屑となってしまうのが、なんともせつない。
想像するだけでなんとも不安な気持ちになってくる。
急に、自分の人生で何か世の中に爪跡を残せてるんだろうかという気持にもなってくる。

何度も渡日を果たそうとして努力する普照や栄叡や鑑真とその弟子たちもすさまじいが、何十年も背中を丸め写本を続けた業行の姿がやけに印象に残った。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.10:
(5pt)

日本僧の目から見られた鑒真とその時代

鑒真和上(普通に漢字変換すると「鑑真」の字になってしまうが)の来日については、歴史の教科書に載っていたことをうろ覚えしていた程度だったのだが、奈良・唐時代の政治的状況、渡航の困難さ等が迫真のタッチで描かれていて、驚かされもし、感動もさせられた。
 鑒真自身の立場からではなく、遣唐使に随行し、最終的に和上に付き添って帰郷する日本の僧侶普照の視点から描かれているところが、この小説の狙い目だろう。普照だけでなく、彼と共に唐に渡り、鑒真和上招来に最も尽力した栄叡の途中での病死、ひたすら写経に打ち込む業行など、日本人から見られた話であり、そうであるからこそのテーマ性だ。
 玄宗皇帝と楊貴妃、東大寺大仏の開眼など、そうか、それも同時代だったのかという興味もあった。
 ところで、最後に出てくるタイトルの「甍」の送り主が誰なのかは謎のまま残されるが、ちょっと気になるところではある。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.9:
(5pt)

伝教、心

1 飛鳥の地から平城京(奈良市)へ、710年に、遷都されました。
2 次は、鑑真(688年 江蘇省 生)と 妙楽(711年 江蘇省 生)との関係
 について、勉強してみたい(報恩抄)。雪山。

  「依法不依人」 憲法。
   
   白毫相、灯台? ファロス、フィロン。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.8:
(5pt)

まさに名著

文学史に残る傑作。解説にもあるが、海難さえなければ空海以前に密教体系が日本にもたらされたかもしれないという設定は、渋い。司馬の『空海の風景』を読んでいるとなおいい。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.7:
(5pt)

無常感

中学を卒業し 高校に入学する前の春休みに本書を読んだ。当時とにかく気に入って一時は全部 筆写しようかとさえ思ったことを覚えている。

 今となってみると なんでそんなに耽読したのか不思議だ。

 おそらく これから高校という新しい環境に入っていく自分が 遣唐使として中国に向かった主人公たちと どこか自分の中で重なるものがあったからではないかと思う。今から考えてみると 高校は そんなに緊張して入学するところでもなかったわけだが 12歳程度の子供にとっては そんな風に緊張していたのかもしれない。

 希望を持って中国へ渡った若者たちは それぞれの目標を達成し それぞれの挫折を味わっていく。
 鑑真という人がわざわざ日本という 異国にして蛮国に来て そうして没していく。
 そうした描写には どこか無常感も漂う。

 高校前の幾分ナーバスな僕にとって そんな無常感が 心地よかったのかもしれない。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.6:
(5pt)

文豪が描き出す壮大な歴史ロマン

情報がネットワークを通じて自在に行き来する現代からは想像も出来ないことだが、1300年の遥かなる昔に生きた人びとにとって、何かを学び、或いは伝えることは、人生の全てを費やし、命がけで成し遂げる価値のある、文字通り“一代の事業”だったのだ。

 東の果ての島国に仏法を伝えるため、不帰の覚悟で海を渡った「鑑真」。

 そして、鑑真招来のための命を賭けた「栄叡」。

 人生の全てを日本に送るための経典の書写に捧げた「業行」。

 そんな彼らの意思を、運命のように受け継がざるを得なかった(主人公)「普照」。

 彼らの姿を、簡潔に、されど情感豊かな描き出す作者の文章は、相変わらず見事の一言。浅田次郎氏が「歴史に敬意を払いつつ、見てきたような大嘘をつく」というように評していたが、言いえて妙である。そんな文豪の筆致を存分に味わえる傑作である。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.5:
(4pt)

念願かなって

20年以上読もう読もうと思って何度も挫折し遂に読み終えた記念にレビューします。挫折ってことはあんまり面白くないのかというと、井上さんの他作品よりも難解で、日本を出発するまでがノレなかったけど、その後は問題無かったです。(注釈が付いてる本って何度も読まないと飲み込めない時があってこの話もそう)

でも内容はとても興味深い話で、人生を賭けて唐に渡り運命に翻弄され、流転の末に高僧鑑真を日本に招いた留学僧のお話です。何としても鑑真を日本へ、と使命に燃える普照。幾度も死線を超え、それでも彼を動かすものは何なのか。そして高僧鑑真の不屈の精神にも感動します。すでに高い地位にあり高齢な彼が、海に沈む危険をおかして日本へ来てくれた事、遠い昔話とはいえ感慨深いものを感じます。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.4:
(4pt)

人間の偉大さをうかがえる

天平時代、中国から系統化されている仏教を導入するため、
遣唐使とともに中国入りした優秀な僧達の人生を描いたストーリー。
多くの日本の優秀な僧達は、文化の中心・唐で、それぞれ手探りで、
仏教伝道の方法を探り、ある者は労せず成功して社会的にも
保証され、またある者は積年の辛酸を水泡に帰している。
そこには仏教伝来の歴史の流れのなかで、それぞれに「小石」
としてその役割を果たしている様子がわかる。
そこには人間の人生で行なえる事業のちっぽけさなどを感じると
共に、それを蟻のように絶え間なく営々と積み上げてしまう
人間の偉大さもうかがえる。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.3:
(5pt)

歴史の広さ、無常さを感じる名作

今、奈良平城京の跡を訪ねるとそこにはただ荒涼とした草原があるばか
りである。遣唐使船で唐に渡った4人の留学僧、戒律を日本にもたらし
た鑑真の壮烈な生涯の出発と終着点がここにあったかと思うと万感満ち
てくる。「城破れて山河あり」の境地である。
歴史小説(伝奇小説は含まない)というものは「史的事実」を出発点にし
ながら「史的事実を伝える」ということには留まらず、作者の幻想のフ
ィルターを通して描かれる。この作品は登場人物に作者の余計な感情・
分析(失礼)を交えず、淡々とまるで老人が昔話をするかのように枯れた
文体で記されている。
井上靖氏の歴史小説は全てそうだが、夢中になって読み続けるうち想像
は遥かな歴史の世界に飛んでいる。井上氏の歴史小説の魅力はま''!にそ
こにあるのかもしれない。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.2:
(5pt)

歴史の広さ、無常さを感じる名作

今、奈良平城京の跡を訪ねるとそこにはただ荒涼とした草原があるばか
りである。遣唐使船で唐に渡った4人の留学僧、戒律を日本にもたらし
た鑑真の壮烈な生涯の出発と終着点がここにあったかと思うと万感満ち
てくる。「城破れて山河あり」の境地である。
歴史小説(伝奇小説は含まない)というものは「史的事実」を出発点にし
ながら「史的事実を伝える」ということには留まらず、作者の幻想のフ
ィルターを通して描かれる。この作品は登場人物に作者の余計な感情・
分析(失礼)を交えず、淡々とまるで老人が昔話をするかのように枯れた
文体で記されている。
井上靖氏の歴史小説は全てそうだが、夢中になって読み続けるうち想像
は遥かな歴史の世界に飛んでいる。井上氏の歴史小説の魅力はまさにそ
こにあるのかもしれない。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117
No.1:
(5pt)

<静かな執念>

阻まれても阻まれても信念に従って思いを果たそうとする主人公一行の<静かな執念>に魅せられました。
 日本文化へ大きな影響を残した人々のその姿に胸打たれるものがあります。
天平の甍 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:天平の甍 (新潮文庫)より
4101063117

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