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すみれ荘ファミリア



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【この小説が収録されている参考書籍】
すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)

すみれ荘ファミリアの評価: 4.13/5点 レビュー 24件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.12pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全24件 21~24 2/2ページ
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No.4:
(5pt)

すごく共感した…。

恋愛についての愛は、「ああ、こういう愛し方もあるのか」という、TVで最近のニュースを見ている感じだが、親子の愛は、今、まさに私が感じている通り…。やはり、親子といえど相性があり、兄弟といえど優劣があり、相方が一方の子をだけに愛情をかけると、愛情の対象になれなかった子を不憫に思って、私がその分愛情を注いでやらなければと思う…。愛情とは、本当に綺麗な優しいものだけではないのだと痛感する。
この本を読んで、私が子供達に向ける愛情。私が親から受けた愛情。一般的な理想とする愛情…を考えさせられ、胸が苦しい。
やはり同じように感じ苦しむ人がいるのだと、とても考えさせられる本でした。
すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)Amazon書評・レビュー:すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)より
4040727886
No.3:
(5pt)

一軒の下宿屋を舞台に「どうしても手に入らない物」を抱えた人間の身勝手さを赤裸々に描いた苦みと渋みの塊みたいな凪良ゆう版「テレパ椎」。

昨年講談社タイガで刊行された「神さまのビオトープ」を読んだ時は「他人からの理解を求めない愛の形」を真正面から描いた衝撃的内容と
実は作者の凪良ゆうが本来BL作家という事で二重に驚かされたのだけど、今回富士見L文庫で再び一般向け作品を発表すると聞いて
今度はどんな作品を見せてくれるのかと期待値高めで拝読。

物語の主人公・和久井一悟は母がオーナーである下宿屋「すみれ荘」の管理人を務める33歳。
妻を事故で亡くし、まともな会社勤めが務まらない極端な虚弱体質から娘も義父母に連れていかれたという寂しい境遇。
せめてもと娘に送る誕生日プレゼントを買った帰り道に漕いでいた自転車の前に歩道からよろけて倒れた男・芥を轢いた事で状況は一変。
骨折した右手が治るまでという事ですみれ荘に住む事になった芥だったが、和久井も同席した和久井の母親もある事実に気付く。
芥は両親の離婚で生き別れになった和久井の弟・央二だったのだ。
ライトノベル作家として食っているという芥の口述筆記を務めながら、
和久井は二十年以上音信不通だった弟が突然自分の前に姿を現した理由を何とか知ろうとするが……

……おお、これはまた強烈な苦みと渋みの塊みたいな作品を仕上げてきたなあ。
読んでいる最中に何度となくえずきそうになるぐらいにエグい。
舞台が下宿屋で、ファミリアなんていう穏やかそうな感じのタイトルだっただけに落差がキツい。
表紙絵が主人公とその弟以外何故かお面を被っているのだけど、その意味に気付かないまま読むと色々痛い目に遭う。

構成の方は四章からなる短編連作形式に近い(後半の二章は一つの話の前後編っぽい部分があるけど)
各章で新しく加わった住人である芥を含めたすみれ荘の住人をメインキャラクターに据えてストーリーを展開させるという形式。

すみれ荘の住人は以下の通り、
玉城美寿々:26歳、重度のPMS(月経前症候群)に悩まされ一ヶ月の半分は肉体的・精神的苦痛で死んだように過ごすOL
平光隼人:27歳、かつては映研の部長を務めた番組制作会社のディレクター。軽薄な性格で美寿々といつも喧々諤々とやりあっている青年
上郷青子:36歳、すみれ荘一の古株であり、和久井を含めた三人にとってのお姉さん的存在。フラワーショップの店員
芥一二三:29歳、ライトノベル作家で作風はエロとグロがたっぷり目。感情がほぼ死んでおり他人とのやりとりで全く遠慮が無い男

……と、ここまでは各登場人物の「表の顔」。
本作はそんなすみれ荘の住人および関係者の「裏の顔」を描く事に終始していると言っても良い。
裏が無いのは主人公である和久井だけだが、読者はその和久井の目を通じてそれまで各住人が互いに適度な距離を置いて過ごしてきた
すみれ荘の平和で穏やかな風景が壊れていく様を延々と見せ付けられていく事になる。

第一章のPMSに悩まされながら付き合う男が次々と変わる「可愛い年下系」が好きという美寿々の話だけど、
一ヶ月の半分を痛みと鬱で食い尽くされて死んだ様に過ごさなければならず、一生に一度の恋にも破れた結果
彼女の辿り着いた「残りの半月は楽しい事しかしたくない。あたしに優しくない世界では本気の恋愛なんか楽しくない、
本気で付き合ったら嫌なあたしをいっぱい見せる事になる」という「恋愛観」というか「人生観」からして顔をしかめたくなる。

その上で気を寄せる美寿々が今付き合っているフリーターに近いバンドマンに金を貢いでいると知った近所の居酒屋店主が……
健康に過ごせる身体という「みんな」が普通に持っている物をどうしても手に入れられない美寿々に対して
100%「みんな」の側からの視点で「俺は美寿々ちゃんの事を大切にするつもりだよ」と大セクハラ発言しまくる場面ときたらどうだ。
どうしても「みんなの側」に立てない人間に自分の「ふつう」を疑いも無しに「お前の為を思って言ってやってる」という傲慢。
前作「神さまのビオトープ」にも通じる「みんなの側の人間」の無理解・無遠慮・無思慮を嫌というほど感じさせてくれる。

でも、この第一章はまだ甘口、せいぜい「ちょい苦」くらい。
第二章の映画の夢を捨てたつもりで捨てられていなかった隼人のエピソードは更に強烈。
隼人が諦めた映画の道を諦めなかった旧友に対して隼人がぶつける嫉妬、悪意、そして虚栄に透けて見える
夢を諦めた人間の夢を追い続けて夢に手が届きそうになった仲間への「余裕の無さ」に目を白黒させられる。
……が、一見して隼人の悪意に晒され続けていた好青年風味の旧友の裏の顔で完全に目がでんぐり返りを起こす事に。

……そろそろ分かってきたと思うけど、この作品いわゆる「善人」は主人公の和久井を除けばただの一人も出てきません。
メインキャラからサブキャラまで全員「やな奴」で構成されてます。
それが最初から「ヤな奴」オーラ全開だと読む側も構えが取れるけど、必ず「困った所はあるけど普通に付き合えるレベルの人」という
「表の顔」を描いてから吐き気がするレベルの「裏の顔」を見せてくるので読んでいて何度となく「うわあ……」となる。
フィクションの世界ではハッピーな気分しか味わいたくないという方は回れ右をした方が賢明かと。

この「上げて落とす」という作者のイヤな性格が透けて見える趣向がクライマックスに達するのが三章から四章に掛けての展開。
これはもうサイコの世界。
すみれ荘に縛り付けられた和久井が長年悩まされ続けた体調不良の裏側も含めた人間の暗黒部分がこれでもかと描かれている。
「欲しても決して手に入らない物」を抱え続けた人間はかくも身勝手になるのかと唖然とさせられた。
美寿々の「楽しいだけの恋愛」や隼人の「映画人として生きる人生」という叶わぬ夢からくる身勝手さ、人間的醜さも見ていて辛かったが
三章以降で舞台の中央に立つ登場人物はケタが違う。ある意味底が抜けてしまっている。

そして二重の意味で和久井と読者を絶望に追いやるのが、この「身勝手」を振りまく人々はその悉くが「愛ゆえに」と
自分の動機を全面肯定してしまっているのだから救いがどこにも無い。
美寿々や隼人はまだ自分の行動がある種の「悪意」だと理解しているから救われるが、
一見して善人の様に描かれてきた人物の「愛」という善意の顔をした何かがグロテスクな独善へと結びつく様が
和久井と読者を絶望のどん底へとズリズリと蹴落とす展開へと繋がっている。
まさか二連発になっているエピローグですらもが暗黒展開になっていたとは……

読んでいて思い出したのが藤子不二雄の短編SF「テレパ椎」である。
冴えないイラストレーターが拾った、手に持っているだけで他人の心を、それも当人が自覚していない深層心理まで暴く形で
テレパシーで読み取らせてくれる話なのだけれども、
それまで周りに迷惑をかけながらも「みんな良い奴らばかりだなあ」と他人の善意を信じていた主人公が
本気で迷惑に思っていた周りの声や身勝手な身内の胸のうちを知る事でかつての善意に満ちていた世界を失うという苦い話だった。

思う様に生きられない虚弱な体に縛られながらも平和で穏やかなすみれ荘という小さい幸福な世界の住人だった和久井が
その住人たちの裏の顔を突き付けられて楽園を追放される話だった本作はまさに凪良ゆう版の「テレパ椎」かと。
そんな和久井が何かしらの救いを得られたのかどうかは読んだ上で確認いただきたい。

「神さまのビオトープ」とは別の形で「他人には理解し得ない愛の形」というものを描いた一冊だったな、というのが読み終えての印象。
主人公である和久井と弟である芥の関係の変化にはBL作家らしさを感じないでも無かったが、割と普通に読めたかと。
なんとも苦々しい作品ではあるが、少なくとも高めに設定した読書前の期待値は遥かに超えた出来であった事は保証する。
すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)Amazon書評・レビュー:すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)より
4040727886
No.2:
(5pt)

央二が切ない!

他の本を買うつもりで本屋さんに行ったのに立ち読みしたら目的の本を買わずにこちらを買っていました・・・
すごく面白かったです!特に青子の章からどうなるのかハラハラしました。「青子さん、さまかさまか・・・!」と思いながら次が気になって読むのを止められませんでした。央二の章では泣けました。
最後は悩みがなくなってハッピーエンドというわけではないけど、皆悩みを抱えながらもその悩みとなんとか上手く折り合いをつけて生きていこうとするところがすごく良かったです。央二は本当に幸せになってほしいです。
この話が良かったのでこの作者さんのを読みたいと思ったのに他の作品はBLばかりだったのが残念です。また、今回のようは話を書いて頂きたいです。ただ、BLも評判が良さそうので時間があったら読んでみたいです!
すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)Amazon書評・レビュー:すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)より
4040727886
No.1:
(3pt)

BLじゃなかった!

大好きな凪良ゆう先生の新作が出るということで予約注文してたんですが、それが今日届きました。
当たり前にBLと思い込んでいたら、違うようです。
衝撃です 汗
それだけでちょっとガッカリしてしまいました…
読むのはもう少し先送りします…

読んだ感想じゃなくてごめんなさい。
でも同じ様にガッカリされる方が無いように参考にしていただければと思います。
すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)Amazon書評・レビュー:すみれ荘ファミリア (富士見L文庫)より
4040727886

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