国宝

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国宝の評価:

4.61/5点 レビュー 683件。 S ランク

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平均点4.61pt

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全795件 741〜760 38/40ページ
No.55
(5pt)

波乱万丈の歌舞伎役者の生涯を描いた2018年国内ベスト小説

2007年の「悪人」の後、吉田修一は長期低迷に入ったように私には思えた。「路」「怒り」を除けば平凡な作品で、この2作さえ「悪人」の感動には及ばなかった。しかし、考えてみれば「悪人」のような高い完成度の作品を次々に発表するのは無理というものだ。だが、10年たってようやく「悪人」を凌駕する作品が現われた。「国宝」は、歌舞伎界という設定もユニークなら、そのストーリー、構成、文体にも凝った作者渾身の作品である。何より、上下巻700頁を一気読みの面白さなのだ。これは吉田修一の新たな代表作であり、現代日本の小説のなかでひときわ光彩を放つ傑作である。

任侠一家に生まれた少年・喜久雄が歌舞伎界に入り、稀代の女形として芸に生き抜き、歌舞伎の頂点を極め人間国宝になるまでを描いた小説である。喜久雄は長崎を出て、大阪を経て東京へと移り、歌舞伎俳優の息子の俊介と切磋琢磨しながら、次々に襲い掛かる苦難を乗り越えてひたすら芸の道を極めようとする。悪魔と取引してでも、世俗の欲や幸せに背を向けてひたすら芸に打ち込み、だれも見たことのない世界へと歩を進める。そして、極めるほどに喜久雄は孤独の境地へ向かう。芸を極めるとは何と業の深いことか。挑戦し続ける狂気のような役者心理が見事に描かれている。ラストの花吹雪舞い散る中に閃光を浴びながら花道を行く喜久雄の姿の妖しいほどの美しさに、私は胸が震えた。

当然ながら舞台の場面が多い。演目ごとに解説が入り、役者の踊りと演技が描写されるが、舞台や衣装、身のこなし、役者の顔つきまでの詳しい説明は臨場感にあふれ、役者の踊りを髣髴とさせる。この作品の取材のために作家は黒子として舞台を務め、全国を廻って200演目を観たという。物語は喜久雄と俊介を中心に進んでいくが、彼らの親、子、友人、師匠、ライバルたちの人生も並行して語られる。どの登場人物にもドラマがあり、各々の人物像がくっきりと描かれていてこの小説を重厚なものにしている。また、東京オリンピック以降の時代の変化もしっかり書き込まれていて、作家の視界の広さと目配りの確かさに感嘆する。

すでに指摘されていることだが、この小説の特徴は「語り」にある。一人称でも三人称でもなく、講談風の語りがこの小説の案内人になって読者を導くのだ。それが時間と空間を超えて、自由自在に物語を運んでいく。演目の解説もこの語りが受け持つことで自然な流れとなっている。「国宝」の成功は講談風語りの発見によるところも大きいはずである。

本作は、身を削るようにして芸道を極めた役者の怒涛の人生を描いた作品である。吉田修一も同様の決意をもってこの小説の執筆に臨んだのではないか。その労苦の末に彼の最高傑作が生まれた。新しい手法を駆使して、自分の限界を打ち破り頂点をめざして孤独な作業を続ける作家の姿を私は読みながら思い浮かべた。この小説に出会えたことを喜ぶとともに、本作が多くの人々に読まれることを私は願っている。
国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)より
4022650087
No.54
(5pt)

波乱万丈の歌舞伎役者の生涯を描いた今年度ベスト小説

2007年の「悪人」の後、吉田修一は長期低迷に入ったように私には思えた。「路」「怒り」を除けば平凡な作品で、この2作さえ「悪人」の感動には及ばなかった。しかし、考えてみれば「悪人」のような高い完成度の作品を次々に発表するのは無理というものだ。だが、10年たってようやく「悪人」を凌駕する作品が現われた。「国宝」は、歌舞伎界という設定もユニークなら、そのストーリー、構成、文体にも凝った作者渾身の作品である。何より、上下巻700頁を一気読みの面白さなのだ。これは吉田修一の新たな代表作であり、現代日本の小説のなかでひときわ光彩を放つ傑作である。

任侠一家に生まれた少年・喜久雄が歌舞伎界に入り、稀代の女形として芸に生き抜き、歌舞伎の頂点を極め人間国宝になるまでを描いた小説である。喜久雄は長崎を出て、大阪を経て東京へと移り、歌舞伎俳優の息子の俊介と切磋琢磨しながら、次々に襲い掛かる苦難を乗り越えてひたすら芸の道を極めようとする。悪魔と取引してでも、世俗の欲や幸せに背を向けてひたすら芸に打ち込み、だれも見たことのない世界へと歩を進める。そして、極めるほどに喜久雄は孤独の境地へ向かう。芸を極めるとは何と業の深いことか。挑戦し続ける狂気のような役者心理が見事に描かれている。ラストの花吹雪舞い散る中に閃光を浴びながら花道を行く喜久雄の姿の妖しいほどの美しさに、私は胸が震えた。

当然ながら舞台の場面が多い。演目ごとに解説が入り、役者の踊りと演技が描写されるが、舞台や衣装、身のこなし、役者の顔つきまでの詳しい説明は臨場感にあふれ、役者の踊りを髣髴とさせる。この作品の取材のために作家は黒子として舞台を務め、全国を廻って200演目を観たという。物語は喜久雄と俊介を中心に進んでいくが、彼らの親、子、友人、師匠、ライバルたちの人生も並行して語られる。どの登場人物にもドラマがあり、各々の人物像がくっきりと描かれていてこの小説を重厚なものにしている。また、東京オリンピック以降の時代の変化もしっかり書き込まれていて、作家の視界の広さと目配りの確かさに感嘆する。

すでに指摘されていることだが、この小説の特徴は「語り」にある。一人称でも三人称でもなく、講談風の語りがこの小説の案内人になって読者を導くのだ。それが時間と空間を超えて、自由自在に物語を運んでいく。演目の解説もこの語りが受け持つことで自然な流れとなっている。「国宝」の成功は講談風語りの発見によるところも大きいはずである。

本作は、身を削るようにして芸道を極めた役者の怒涛の人生を描いた作品である。吉田修一も同様の決意をもってこの小説の執筆に臨んだのではないか。その労苦の末に彼の最高傑作が生まれた。新しい手法を駆使して、自分の限界を打ち破り頂点をめざして孤独な作業を続ける作家の姿を私は読みながら思い浮かべた。この小説に出会えたことを喜ぶとともに、本作が多くの人々に読まれることを私は願っている。
国宝 (上) 青春篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇より
4022515651
No.53
(5pt)

完璧な芸を超えた姿は神か狂か?

言葉は「力」であるという。がこの作品にはその力を超えた何かがある。敢えて抑制された筆致が読者に
その何かを伝えているように感じる。芝居だけに生きてきた男の、完璧を超え「神の域」に達した姿をどの
様な切り口でレビューしようと言葉を用いている限り虚しさを覚えてしまう。ただ「凄い!・・・」としか
言いようがない。
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.52
(5pt)

美 才能と努力

生まれつきの美しさが周りの世界や自分自身の経験によって磨かれていくのがよくわかります。どの時間断面をとっても、その時の美しさが見える生き方。
波瀾万丈という言葉が相応しい。一気に読みきりました。
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.51
(5pt)

美 才能と努力

生まれつきの美しさが周りの世界や自分自身の経験によって磨かれていくのがよくわかります。どの時間断面をとっても、その時の美しさが見える生き方。
波瀾万丈という言葉が相応しい。一気に読みきりました。
国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)より
4022650095
No.50
(3pt)

大人のためのライトノベルです

ヤクザの息子が故郷を追われ、都会で新たな人生を歩む・・・という割とシンプルな物語です。内容はというと
粗筋を述べただけで人間の深い内面が描かれておらず、残念ながら心には響いてきません。肝心な場面ではいつ
もスルーして逃げている様に思えます。主人公であるヤクザの息子という精神年齢に合わせて描写しているんで
しょうか?例えば「白虎」と「三代目半二郎」襲名のシーンです。最も集中し力を入れ言葉を尽くして描写すべ
き場面だと思うのですが、なぜかスルー。どんな意図があるのでしょうか?あくまでも上巻だけの評価ですが、
大人のためのライトノベル作品です。
国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)より
4022650087
No.49
(3pt)

大人のためのライトノベルです

ヤクザの息子が故郷を追われ、都会で新たな人生を歩む・・・という割とシンプルな物語です。内容はというと
粗筋を述べただけで人間の深い内面が描かれておらず、残念ながら心には響いてきません。肝心な場面ではいつ
もスルーして逃げている様に思えます。主人公であるヤクザの息子という精神年齢に合わせて描写しているんで
しょうか?例えば「白虎」と「三代目半二郎」襲名のシーンです。最も集中し力を入れ言葉を尽くして描写すべ
き場面だと思うのですが、なぜかスルー。どんな意図があるのでしょうか?あくまでも上巻だけの評価ですが、
大人のためのライトノベル作品です。
国宝 (上) 青春篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇より
4022515651
No.48
(4pt)

芝居に魅せられた魂

語り手の丁寧な言葉遣いが新鮮。まるで生き字引のような、歌舞伎の舞台の精のような、俯瞰した視点からの語り。
歌舞伎を観に行きたくなった。
主人公とその周りの人びとの、性格や姿が目に浮かぶよう。
国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)より
4022650095
No.47
(4pt)

芝居に魅せられた魂

語り手の丁寧な言葉遣いが新鮮。まるで生き字引のような、歌舞伎の舞台の精のような、俯瞰した視点からの語り。
歌舞伎を観に行きたくなった。
主人公とその周りの人びとの、性格や姿が目に浮かぶよう。
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.46
(5pt)

孤高の歌舞伎役者

芸のためには悪魔に心を売ると誓った女形役者の凄まじさ。

決して家庭をないがしろにするわけではないのに、何よりも芸のために生きていることが、周囲の人物との軋轢を生んでしまう面もある。

上巻に比べ、下巻は急いだ展開になってしまうのは仕方ないが、ラストはもうちょっとすっきりしない面も。

それを差し引いても、上下巻通して、一人の人物を描きながらも周囲の人間の魅力も決して色あせることなく、素晴らしい作品だった。
国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)より
4022650095
No.45
(5pt)

芸を極める歌舞伎の世界を満喫

長崎のヤクザの息子が、紆余曲折ありながら歌舞伎を背負っていく役者になる過程を描く。
主人公はもとより、周囲の人物達がいきいきと描かれている。

今までの吉田修一のノスタリジー的な作品や人間の内面を描く作品とは少し毛色は違うが、人間味ある人物描写、自然な会話、対立と共感など、著者らしさは変わらず楽しめる。

まるで実際に存在した歌舞伎役者を描いているような、リアルさがある。

若手時代の活躍と苦悩、また認められるよういなっても起こる周囲との軋轢や嫉妬。
人間の業を丁寧に違和感なく描いている。

主人公を支える人間、また反発する人間、それおれが良くも悪くも魅力的で読ませる。

歌舞伎に興味なくても、十分に楽しめる作品。
国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)より
4022650087
No.44
(5pt)

孤高の歌舞伎役者

芸のためには悪魔に心を売ると誓った女形役者の凄まじさ。

決して家庭をないがしろにするわけではないのに、何よりも芸のために生きていることが、周囲の人物との軋轢を生んでしまう面もある。

上巻に比べ、下巻は急いだ展開になってしまうのは仕方ないが、ラストはもうちょっとすっきりしない面も。

それを差し引いても、上下巻通して、一人の人物を描きながらも周囲の人間の魅力も決して色あせることなく、素晴らしい作品だった。
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.43
(5pt)

芸を極める歌舞伎の世界を満喫

長崎のヤクザの息子が、紆余曲折ありながら歌舞伎を背負っていく役者になる過程を描く。
主人公はもとより、周囲の人物達がいきいきと描かれている。

今までの吉田修一のノスタリジー的な作品や人間の内面を描く作品とは少し毛色は違うが、人間味ある人物描写、自然な会話、対立と共感など、著者らしさは変わらず楽しめる。

まるで実際に存在した歌舞伎役者を描いているような、リアルさがある。

若手時代の活躍と苦悩、また認められるよういなっても起こる周囲との軋轢や嫉妬。
人間の業を丁寧に違和感なく描いている。

主人公を支える人間、また反発する人間、それおれが良くも悪くも魅力的で読ませる。

歌舞伎に興味なくても、十分に楽しめる作品。
国宝 (上) 青春篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇より
4022515651
No.42
(4pt)

登場人物の一人ひとりすべてがいとおしい。

こんな波乱万丈の人生あるんだろうか。と思いつつもどんどん引き込まれて一気に最後まで。本当に登場した全てのキャストが愛おしい。
国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)より
4022650095
No.41
(3pt)

楽しく読んだ

上巻に引き続き、つい、「元ネタ」連想してしまい、面白いんだけど気を散らしながら読んだ感じだった
「逆引き」要素が沢山あるお話は、逆引いてから再読した方が自分的には「入って行ける」

とりあえず、自分的な思い込みで「澤村田之介」関連本を読んで、それから再読してゆっくり堪能しよう
国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇 (朝日文庫)より
4022650095
No.40
(3pt)

楽しく読んだ

吉田氏初読です
概ね楽しく読みました
次から次へ、「元ネタあれかな?」が出てきて、そっちが気になり、少々気が逸れたトコがなきしにもあらずですが、下巻が楽しみです
国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)より
4022650087
No.39
(3pt)

楽しく読んだ

上巻に引き続き、つい、「元ネタ」連想してしまい、面白いんだけど気を散らしながら読んだ感じだった
「逆引き」要素が沢山あるお話は、逆引いてから再読した方が自分的には「入って行ける」

とりあえず、自分的な思い込みで「澤村田之介」関連本を読んで、それから再読してゆっくり堪能しよう
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.38
(4pt)

登場人物の一人ひとりすべてがいとおしい。

こんな波乱万丈の人生あるんだろうか。と思いつつもどんどん引き込まれて一気に最後まで。本当に登場した全てのキャストが愛おしい。
国宝 (下) 花道篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (下) 花道篇より
402251566X
No.37
(3pt)

楽しく読んだ

吉田氏初読です
概ね楽しく読みました
次から次へ、「元ネタあれかな?」が出てきて、そっちが気になり、少々気が逸れたトコがなきしにもあらずですが、下巻が楽しみです
国宝 (上) 青春篇 Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇より
4022515651
No.36
(2pt)

うーん…

最後まで読み切り思わずうーん…と呟いてしまった。
歌舞伎自体の描写はとても丁寧。主人公とその周りの人間は魅力的。なのに…
ネタバレにならないようにするが、まず父親の事件の真相がどう明かされるか、それがどう影響を及ぼすのかがすごく引っかかっていたが、あまりにあっさり完結。あと、歌舞伎の観客の反応の描き方がつまらない。作者の感じ方を全員に無理矢理あてはめてる感が否めない。エピソードによっては、読み進めていった先にそれ要らなかったでしょと思えるものが多い。そして全般に言えるが、人物の内面の苦しみとか葛藤をもっと丁寧に書いて欲しかった。
新聞連載小説では昔、日経で安倍龍太郎の等伯が面白かったなあ。
国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 国宝 (上) 青春篇 (朝日文庫)より
4022650087