■スポンサードリンク


スリープ村の殺人者



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
スリープ村の殺人者 (SHINJUSHA MYSTERY)

スリープ村の殺人者の評価: 3.00/5点 レビュー 1件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.00pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

狡猾な犯人のトリックは秀逸ですが、探偵の詰めが甘いので★3つです。

探偵小説の黄金時代に活躍した英国ミステリー作家ケネディが1932年に発表した本格推理の代表作です。著者もまた合作長編の他には近年「救いの死」の一作しか紹介されていない日本では不遇の作家です。本翻訳書の特長ですが、非常に珍しい事に巻末に解説が一切ついていません。解説が無いと、先入観を持たずに最初から読める所は良い面ですが、やはり少し寂しく感じます。さて、本書の内容ですがイギリスの小村スリープ村にのんびりとボートで川下りを楽しんで現われた謎の男ニコルソン氏が、不意に牧師の死体を見つけて幕を開けます。やがて村の近くに住む都会から保養に来た人達と知り合いになり、互いに腹の探り合いをしながら喜劇的場面が続きます。しかし村では盗難事件が相継いで勃発し、やがて第2の浮浪者殺人に続いて、第3の殺人が起きてしまいます。
本書には非常に目立つ存在として半身不随で車椅子に乗り話言葉も不自由で「あい、あい、あい」としか喋れない老人が登場します。彼は当然尋問も証言も不可能なのですが、ある意味事件の大きな鍵を握ります。肝心の推理部分ですが、手掛りを積み上げるというよりは、パズルのように可能性を頭の中で縦横無尽に転がして解決するという形式で、証拠を含めた根拠は十分に提示されませんが、終盤に至り電光石火の如く示されて成る程そうだったのかと恐れ入ります。推理としては優れているのですが、私が気になる点は構成の問題で(トリックの一部とはいえ)中盤まであまりに展開がスローで間延びしている印象があります。それから探偵役と警察の対応が拙く、危険な殺人犯を最後まで野放しにするのが無為無策に感じられます。頭脳明晰な探偵としては立派ですが、詰めが甘く単独行動するのもプロとして相応しくありません。少し厳しい見方だとは思いますが、私は何よりも小説としてのリアリティーと完成度を重視したいと考えますので本書を★3つとします。
スリープ村の殺人者 (SHINJUSHA MYSTERY)Amazon書評・レビュー:スリープ村の殺人者 (SHINJUSHA MYSTERY)より
478758555X

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!