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スギハラ・ダラー



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【この小説が収録されている参考書籍】
スギハラ・ダラー
スギハラ・サバイバル (新潮文庫)

スギハラ・ダラーの評価: 3.84/5点 レビュー 44件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.84pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全44件 21~40 2/3ページ
No.24:
(2pt)

物語としての面白さは皆無〜ジャーナリストとしての予言は如何に ?

杉原千畝の"命のビザ"によって生き延びた一人のユダヤ系ポーランド女性が全世界の市場を縦横に操っているという荒唐無稽なお話。「ユダヤ人が世界の経済を牛耳っている」との俗説の類と言って良い。これを歴史的史実を交えて綴っているのだから尚更始末が悪い。作者は情報通のジャーナリストを自認している様だが、情報を知っている事と、それを物語として構成する手腕との間には天と地の落差がある事は認識していないらしい。最初の頁を操っただけで、作者に作家としての才能がない事が良く分かる。

視点も相変わらずのアメリカナイズされ過ぎたもので、これをカバーするためか、金沢を主要舞台の1つに持って来ているが、何とも据わりが悪い。また、全体分量の割には、その骨子は極めて薄っぺらなのである。無駄な情報を垂れ流しているからであろう。本作で作者が予言している事が2つある。

(1) オバマ大統領暗殺
(2) 中国市場の開放(外国への自由化)

物語としての面白さは皆無なのだから、せめてこの予言の幾分かは正鵠を射ていなければ(決して暗殺を願っている訳ではありません)作者としては大恥だろう。作品として発表したからには、それがジャーナリストとしての最低限の意地ではないだろうか。
スギハラ・ダラーAmazon書評・レビュー:スギハラ・ダラーより
4103823046
No.23:
(3pt)

激賞のレビューにけちをつけるようで申し訳ありませんが

正直、うーん、な、内容だった。面白いので読むのだけれど、それにしても、物足りない。

ウルトラ・ダラーの著者と同一人物とは、とても思えない。とにかく、

無駄な文章が多い、いや、そればっか

町の美しさを言葉を尽くして描写する、のは、いいんだが、この小説に必要か?

色々な場所に行くのだが、どうでも良いことに文字数を使うばかりで、冗長になってしまう。しまいにゃあ、そこで何があったのか忘れて、戻って読み返した回数、多々。

不安になってアマゾンのレビュー(スギハラ・ダラーの方)を観たが、大体、同じようなことを言ってる人が多くて安心した、というのが本音。まさか、自分だけが判らないおもしろさがあったりして、と冷や汗をかく前に、確認しておいて良かった。

彼の作品が好きな人は、恐らく読まない方が良い。これが、初めての人にも、あんまりお勧めできない手島作品

ウルトラ・ダラーが大好きで、その続きが読みたい、って人にだけ、お勧めします

ただし、暇な人向け。基本的に面白くない部分が多くて、進まない、進まない。そのくせ、文庫で465ページの大部。時間が無い人には、全く不向きだと思います。
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4101381178
No.22:
(4pt)

杉原ビザで生き延びたユダヤ系の人々と日本の関係を考える

杉原千畝領事の「命のビザ」で生き延びることのできたユダヤ系の人々に、日本人との交流を絡ませて小説にしたもの。このビザでシベリア鉄道経由脱出し、シカゴ金融先物の父といわれるLeo Melamed氏にも題材を求めている。ニクソンショック以降の金融ショックで、ユダヤ系の人々を助けた日本人がユダヤ系の人達から極秘情報の提供を受けていたのではないかという筋立て。9.11も関係づけられる他、日本では、神戸の他、金沢の街も登場する。
 いろいろな要素についてよく取材をして書かれていると思う。命のビザ関連でも不明な点が多いが、その後のユダヤ系の人々と日本の交流を中心に据えた点が興味深い。交流の場所としては、金沢よりも敦賀を据えるという選択肢もあったと思うが、それでは艶っぽい話にするのが難しくなろうか。
 ただ、フィクションで大きく想像を膨らませた部分が、金融関係に詳しくない読者にはややわかりづらくなった嫌いがある。その点を考えて★4つとしたが、よく作り込まれた小説であることは間違いない。
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No.21:
(4pt)

これは面白い!

ウルトラダラーの登場人物・世界観をベースにして描かれた作品。

杉原千畝氏のビザ発給によって救われた多くのユダヤ人である
「スギハラサバイバル」によって生じた3人の友情を軸にしながら、
そこから現代に至るまでの様々な事象(9.11など)や金融商品の
発展との関連性を絡めストーリーが紡がれていく。

舞台も時代時代のポーランド、リトアニア、神戸、金沢、千歳、
ワシントン、シカゴ、パリと目まぐるしく変わり本作の魅力と
なっている。

ただ、少々話が飛びすぎる傾向があり、本作の本筋がどこにある
のかわかりにくいのが玉に瑕か。ストーリーの本筋とはさほど
関係ないが紙幅をとっている部分も冗長性を感じさせるところかも。

とはいえ、近年の経済や国際政治情勢の背景がちらちらと見え隠れ
するのが本作の魅力。

ぜひ、このシリーズで続編を期待したい。
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No.20:
(5pt)

詳細な調査

毎度のことだけどすごく調べ上げて書いてると思うのね、小説なんだけど報道ドキュメントみたいで、そういう所がいつもワクワクしてとても面白いと思う。美女とのからみの所はロマンティックでもあり品が良くて、それも手嶋さんらしさかしら。
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No.19:
(5pt)

アインシュタインやフォンノイマンに、核開発の責任を負わせられないのと同様、

「悪の資金源になっているからといって、金融商品の開発者自身が悪いわけではない。その証拠に彼は何の恩恵も受けていないではないか」と主張することが、この小説の一つのテーマかもしれません。
当時の神戸の様子は、手塚治虫「アドルフに告ぐ」が脳裏に浮かびました。
プロパガンダのみならず、教養小説としても成功している思います。
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No.18:
(5pt)

主人公とともに世界を駆け回る快感

手嶋龍一氏のベスト・セラー、『ウルトラ・ダラー』に続く、ステーブン・ブラッドレーを主人公としたインテリジェンス小説。単行本の段階では前作を意識してか『スギハラ・ダラー』だったが、文庫版の『スギハラ・サバイバル』の方がしっくりくる感じだ。有名な杉原千畝本人よりも、彼に救われた人々のその後の人生が、ステーブン・ブラッドレーとかかわってくるのだが、謎を追って世界中を駆け回るステーブンについて行くには世界地図を傍らにおいて読まれることをお薦めします。世界を駆け巡るスリルも楽しいけれど、余韻溢れるラストは(ここで詳しく書くことができないのが残念ですが)何ともたまらなく魅力的です。
インテリジェンスの世界に興味をお持ちの方、スリルに溢れる小説が読みたい方、絶対満足がいくとおもいます。
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No.17:
(5pt)

何回、読んでも新しい発見がある色あせない一冊だ。

スリリングであるが、知的な小説だ。
とてもフィクションとは、思えない。

筆者の体験や人脈から探り当てた、本当にあった話をベースにしているに違いない。リアリティがある。

この本は、手嶋氏の『スギハラ・ダラー』が文庫化されたもの。
文庫化に伴い、もう一度読み直した、色あせない面白さがある。
何回、読んでも新しい発見がある一冊だ。
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No.16:
(4pt)

表があれば裏もある、ということを知る

ストーリー的には、登場人物がいずれも超人的で、危機があっても何とかくぐり抜けるということが見えてしまい、ドキドキ感はなく、妙に安心して読めてしまう。

しかし、表があれば裏もある、そのことを知ることができる。インテリジェンスの重要性を喚起する書として評価できる。
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No.15:
(3pt)

好みの文体

手嶋さんは、好みの文体。

日本人とは思えない重厚な文体で、外国小説を読んでいる感じ。

しかし、ストーリーの落ちにはキレがなかった。
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No.14:
(2pt)

次回作で失地地挽回を

「ウルトラ・ダラー」が大変面白かったので、本作も期待して読んだ。しかし、残念ながら、前作が傑作すぎたのか、筆者の個性が悪い方に伸びてしまったような感じで、失望した。即ち、筆者の博学が無駄に浪費され、時間軸や世界を駆け巡る展開に無理があり過ぎ、全体に関係ないことを無理やりこじ付けて関係させたような印象を受ける。私の専門分野である87年のブラック・マンデイといった金融関係の問題で、著者の調査不足が目に付き、他の分野もアヤシク思われてきたことは大変残念である。事実とフィクションのギリギリの部分を説得力を持って記述できるバックグランドの著者であるだけに、次回作で、失地地挽回を図って欲しい。
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No.13:
(3pt)

一部要約

1987年のブラック・マンデーはニューヨークから始まったと言われるが、事実ではない。前の週に東京と香港の株式市場でパニック売りが始まっていた。そして翌週はニューヨーク市場で、S&P500の先物取引は売り注文が殺到して値が付かなかったが、シカゴのまー間タイル取引所では、S&P500の取引が平然と行われた。そこで事前に暴落の情報を得ていた日本人が大儲けしたのである。

2000年、アメリカの駆逐艦コールは、イエメン沖でアルカイダの小型ボートに積んだ爆弾によって爆破され、乗務員17名が死亡した。しかし、このテロの実行犯のうちの2人は、その後、実名でアメリカに入国していた。

差金決済を行う先物取引というのは、1730年に大阪の堂島米会所が世界で初めて行った。証拠金を積むだけで将来のコメの所有権を売買できた。現物を持たずに、帳簿の上だけで将来のコメ売買の権利を取引できた。価格変動のリスクをヘッジして、投機目的にも使えた。

イギリスのGCHQ(政府通信本部)は、日本の通信衛星に異常な兆候が見られることを発見した。何者かが外部から衛星システムに侵入して、特に競馬中継の時間帯に異常が多発している。これらの異常は、競馬のノミ行為を行う主催者が、競馬中継の時間をわずかに遅らし、その間に当たり馬券を買って儲けるために行っている。

イスラエル情報当局によれば、シリア政府は5年間に渡って、毎年10万トンずつ、120億円相当の小麦を北朝鮮に供与することを約束した。その見返りに、北朝鮮はシリアに核開発施設を建設することになった。しかし、この施設は2007年9月に、イスラエル空軍によって爆破された。

カウボーイ・ハットと派手な格好で有名な馬主は、リーマン・ショック後に事実上の破産に追い込まれた。特にFXの売買で莫大な負債を負い、外資系の大手証券会社から追証を求められたが、100億円を超える額だったので銀行は融資してくれなかった。この借金の形として数十億円が1日でなくなり、さらにリーマン・ブラザーズの口座にあった47億円の金融商品も、大半が失われた。そして、自分が所有する馬も生産牧場に引き取られた。
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No.12:
(1pt)

面白いのだろう(たぶん)

おそらく小説に出てくるインテリジェンス、風景描写、そして登場人物すべてにモデルと事実が存在
しているのだろう(実存のモデルがストレートに出て来る場所・人物も多いが)。
それをどこまでが本当でどこからが小説の虚構かを推理しながら読む、
というのが著者の小説の楽しみの一つである。この手法ではおそらく日本での第一人者でああろう。

 それにしても文章のまどろっこしさといったらない。この人、こんなに文章下手だったけ、と読みながら何回も思ってしまった。
テレビマン特有の冗長さや過剰なまでの人物・背景・風景描写がある(これは分野、種類はまったく違うが田原総一朗氏の文章もその傾向がある)。
著者に言わせれば、その全てに意味があり、ストーリーの後段への伏線になっているのだろうが、それを割り引いても読み進めるのがつらかった。
本書は書下ろし作品のため、雑誌の連載等から単行本化する際の推敲・改稿段階がなかったため、こんなことになってしまったのだろうか?
いまやこの分野では人気者だろうから、出版・編集サイドも甘くなってしまったか? とにかく、題材は超一級なのだから惜しい。

 昔読んだ著者の「たそがれゆく日米同盟」「外交敗戦」には身震いするほど感動しながら読んだ記憶がある。それこそ一気に読んだ。
やはりフリーになるとお金のかかる取材や重要情報源にアクセスする機会は、著者のような実力派でも難しくなってしまうのか。

 著者に望むのは2点。まずは今回の素材をもとに書けるところまでで構わないのでノンフィクションを書いて欲しいこと、
第2はとにかく何でもよいので骨太のドキュメントを書いて欲しい。売れなくて出版社が嫌な顔をするかもしれないが、
是非たのしみに待っております。

レビュー者は基本的に「★」「★★」はつけません。単純に楽しみと趣味、必要時の実用として読書しているからです。
つまらないと思った本は、読むだけ時間の無駄と考え途中で放棄するため、その場合はもちろんレビューを書きません。
結果的にレビューを書くのは、面白く最後まで読んでしまう作品か、この人の作品ならつまらなくても最後まで読まなくてはいけない、と考える場合だけです。
今回の場合は後者で、残念ながら★が少なくなってしまいました。
「木に縁りて魚を求む」ところがあったかもしれませが、それならレビュー者の責任になります。
高い評価の方が多いため、あえて書かせていただきました。
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No.11:
(5pt)

善意としか思っていなかった史実の裏側にあるドラマ

第二次大戦前外交官として大勢のユダヤ人を救った英雄という杉原千畝 今まではその面だけを見て尊敬していましたが その裏にあるいろいろなインテリジェンスというドラマがきめ細かく描かれていて大変面白い作品です。
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No.10:
(4pt)

衝撃の1冊

こんなに世界の広い、
こんなに背景の廣い
こんなに造詣の深い
本を見たことがない。
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No.9:
(5pt)

興味を持って知るために面白い本

日々の経済や政治のニュースなどは、
やはり難しくどうもきちんと理解をしようと思えません。
そんな人には、まず「真実」を受け止める前に、
この小説を読んでみると「真実が知りたくなる」かも。
実際の911の現場や世界の動きを見てきた著者だからこそ、
書けるインテリジェンス小説です。
自分の目で見たり体験することのできない世界、
存在することすら知らなかった世界だからこそ、
小説を読む意義があると思いました。
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4103823046
No.8:
(4pt)

面白くて一気読み!

インテリジェンス小説は、佐藤優氏の定義に従えば近未来に起こる出来事を描いているということになりますが、このスギハラダラーは近未来の何を示唆しているのでしょうか。人民元がそのうち変動相場制に組み入れられるということでしょうか。そこまでは行かなくても、元の切上げは近い将来起こってもおかしくないと思います。
それ以外にもいくつか読んでいて思いつくことがありました。たとえば機関投資家が売りを浴びせる事態が再び訪れるということ。もうひとつは、怖くて口に出来ません。
杉原千畝のビザによってアメリカへ逃れたアンドレイは、シカゴ・マーカンタイル取引所を傘下にもつCMEグループの名誉会長レオ・メラメッドがモデルです。金融先物市場の父と称され、フリードマンの流れをくむ、人によっては悪の枢軸のように言う人物なのに、本書では全体主義から命からがら逃れて自由主義を貫く人物として、好意的に描かれています。
911に関しても、主犯はあっさりアルカイダとして話を進めています。アルカイダの背後に、為替操作で巨利を稼ぐ本当の首謀者がいるのかとドキドキしながら読み進みましたが、そうはならなくてちょっとがっかりしました。あくまでもテロの情報を事前に掴んで便乗して儲ける人たちがいるという描き方です。
作中のいくつかの点で、造りすぎてあざとい、といった類の批評を複数の評論家から受けたようですが、手嶋氏の講演を拝聴したところ、そういう箇所に限って、ありのままだそうです。逆に、これは本当にありえるんだろうな、というところが創作を加えていたりして。そういったことを探りながら読み進むのもまた楽しいものです。ちなみに、スティーブンが日本語を習った大谷学校、それに白洲次郎のくだり、そのまんまだそうですよ。
この作品を読んで、第二次大戦中、日本とポーランドの間で諜報をめぐる深い協力関係があったことを知りました。ネットで調べましたが、いろいろな文献がそれを証明しています。でも、どんなにすばらしいインテリジェンスオフィサーがいても、情報をもらって判断する人間が優れていないと、なんにもなりませんよね。
 ところで、本作を映画化したらどうでしょう。日本映画じゃなくて、ハリウッド大作で。そうすると、松雷はもう、北野たけし以外にないですね。涼子は、万人が認める美人じゃないといけないから、個性派は駄目。檀れいさんなんていかがでしょう。ぴったりだと思うのですが。スティーブンとマイケルのキャスティングは、外国のイケメン好きな方にお任せします。
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No.7:
(5pt)

隠されたインテリジェンスを追え

前作「ウルトラ・ダラー」は某国と偽札等の関係や日本人にも身近である拉致、またそれにまつわる関係各省庁の動きとインテリジェンスを題材に、著者の熱や気持ちが伝わる小説の名を借りた暴露本のような感じでとても興味深く読めた。
前作に登場する人物はなんとなく、ああ、あの人なんだろうなと想像もできた。

本著はユダヤ迫害の直中にあるポーランドで、日本からの大使「杉原千畝」の発行するビザで命からがら逃げおおせたユダヤ人達「スギハラ・サバイバル」の民が、歴史上においてドル・ユーロと密接に関わり、独自のインテリジェンス組織が世界の金融市場を左右しているという説に基づいて物語が進んでいく。

私自身も為替差益取引を遊びがてらやっているため、その世界でまことしやかに語られている金融とユダヤ世界の組織の関係等も本書で触れられており非常に興味をそそられた部分だ。

例えばS&P500はスタンダード&プアーズが算出している株価指数であるが、これは確かに株式指数先物取引の一つでシカゴ・マーカンタイルにて取引されている。
とするとこのS&P社長があの人なのかな〜とか憶測するのもまた楽しいものである。
そしてS&Pはマグロウヒルの子会社、そのマグロウヒルはあのロックフェラー・センターに本社がある!!
なんて深読みしていくとわくわくしてしまう。
やはり世界を支配しているのは「スギハラ・ダラー」=ユダヤマネーなのだろうか・・・・

この先「元」が横行するであろう世界経済、機軸をどこにするのかユダヤの民はどのようにコントロールしていくのか興味深いところでもある。
これにもユダヤのインテリジェンス組織が深くかかわってくるのだろう。

この小説に出てくるキーワードを追っていくと裏のインテリジェンスが見えてくる。

著者はこの小説を通じてもっともっといろんな事が言いたかったのかもしれない。
私としてはユダヤのインテリジェンスの秘密なんかをもっと詳しく知りたいと思った。
本当に言いたかった真のインテリジェンスをこの小説から読み解いていくのも著者が書く小説の醍醐味なのではないだろうか。

読み手にもある程度のインテリジェンスがないと面白みが半減するだろう。
かくいう私もこのインテリジェンスの一端しか見えてないのかもしれない。

読みなおそう・・・・
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No.6:
(4pt)

事実の中に虚構を作り上げるプロットは見事

手嶋龍一氏の小説第2弾だ。

前作の"ウルトラダラー”もそうであったが、物語の基本の背景はすべて外交的な事実からなっている。

フィクションと事実をうまく織り交ぜて物語りは進んでいく。

スギハラダラーのスギハラは、もちろん杉原千畝氏のことだ。

彼からビザを発行されたユダヤ人は、シベリア鉄道を経由して日本に入り、あるものはアメリカ、あるものは、上海に行った。

その中の人物たちが織り成す物語だ。

それに現在のブラックマンデイや、9.11テロ、リーマンショックなどを絡めていく。

主人公は日本人ではなく日本の心をもったイギリス人諜報部員スティーブンだ。

日本人以上に日本を愛して、物事に精通している。ただ情報に対しては人一倍敏感だ。

日本人が主人公だと、成立しない物語だと思う。

前作はアクション中心だったが、今回は静かに謎解きが進む。

細かい描写にちょっとしたインテリジェンスを感じる作品だ。

前作ウルトラダラーに感じられた文章の稚拙さについては本作ではそれほど感じない。

読み出したらとめることのできないよい作品だと思う。
スギハラ・ダラーAmazon書評・レビュー:スギハラ・ダラーより
4103823046
No.5:
(3pt)

ウルトラダラーは読んでないので

手島龍一さんはNHKニュース番組でのアメリカからの中継でしか見たことはありませんが、穏やかな口調で話され説明もわかりやすく好印象を持った記憶があります。新聞・雑誌などへの寄稿・書評を読んでもその印象は変わりません。しかし、小説を読むと何か違和感を感じてしまいました。9/11アメリカ同時多発テロ、リーマンショックなどに関心が無いからではなく、登場する人物に人間味が感じられなかったからかなと思います。取材されたことを小説とは違う形で読んでみたいです
スギハラ・ダラーAmazon書評・レビュー:スギハラ・ダラーより
4103823046

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