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励み場の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.88pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全8件 1~8 1/1ページ
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年を取ってくると、妻のことが依り一層いとおしくなってきます。そんな年寄りの感想として。せっかくめぐり逢い一緒になったのだから、別れることを前提に人生の選択をしては駄目だ。知恵が飛び降りようとしたときに、お姉さんが現れる場面。その不思議さより良かったの安どの気持が溢れました。青山文平さんお話は面白く、江戸時代の在り様を知ることができ、時代を超えて人が生きるってことを考えさせてくれます。ありがとうございます。 | ||||
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本作品の印象をまとめると表題になる。「歴史的道具立にリアリティーがあって、物語=事件と心情は二転三転して、綺麗な落ち。」と。紹介と冒頭を読みだした時はここまで期待しなかったのだが、読み終えて感心。やはり作者は純文学の志を保ちつつ、娯楽小説としての気持ち良さも忘れない。その点で実は小道具の使い回し・本作品では化学肥料などは、宮沢賢治がやっていた肥料設計の話などを思い出すと時代を200年ぐらい先取りしたSF設定といっても良いぐらいだ。そう考えだすと主人公男女の心情がとても近代的だ。そういう全体が綺麗にまとまって気持ちよく落ちている。途中から予想通りの結末であるがそれもまた小気味よかった。 | ||||
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自分の好きな作家、人によっては理屈っぽいと嫌われるか、しかし時代考証がしっかりしているし骨っぽい感じが自分には楽しい。 | ||||
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私は青山文平氏の著作を好んで読むものである。どこに惹かれるかというと、正しく綺麗な日本文に裏打ちされた文章と、他の作家が取り上げたことのない題材を自らのものとして仕上げていく小説の面白さに、である。 この作品も、今までに聞いたことのない、「名子」という、領主であった者が帰農した時にその家来であった者がそのままに仕えて一生を過ごす、という一般の農民より低い身分の者を登場させている。私は「名子」という言葉を初めて知ったが、あとがきを書いている、池内紀氏によると、「日本語大辞典」には概ねそのように記載されているのだそうだ。 このような意表を突く登場人物と、池内氏は更に、「〜小説というものは、骨組みがしっかりしてないと、たあいなく崩れてしまうことを(著者は)よく承知している。だからしっかりした歴史的事実のもとに物語を考えた。あまり時代小説のやりたがらないことだろう。ふつう時代小説家は小説だけでなく時代もこしらえてしまうからだ。」と評している。そういう著者の書きぶりを、読者は池内氏のように表現はできないまでも察知し、それ故に根強い支持者がいるのだと思う。 ただ一ヶ所、女主人公が思い余った行動をとろうとした時には手に汗を握ったが、それ以外は起伏のない舞台を背景にして、主人公と相方の会話を淡々と続けても読む者を飽きさせない、という著者の大胆な挑戦にも思えた作品だった。私は著者の作品の中でも秀作に入ると思う。 | ||||
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先に短編集「春山入り」(「約定」改題)を読んでしまっていたのが、少し残念でした。どちらも楽しめるのですが、片方が他方の種明かしをする関係にあります。どちらかといえば、長編であるこちらを先に読んだ方が良い気がします。 さて、著者の作品を何作か続けて読みましたが、全体を通して想起したのは、O・ヘンリー「賢者の贈り物」でした。著者の場合はそれが実に古式日本風にアレンジされ、命や名誉を捨ててまでの片面的なものになることが多いようです。相手に真意が伝われなければ物語として救われないし、伝わればその重さにへしゃげそうな恩義を背負わせることになる。そんな難儀な世界をいつも練達の文章で上手に描いていることに感心します。 | ||||
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小説において、セリフとセリフの間の描写が多すぎると、リズム感が失われますが、その描写が巧みであるほど、次のセリフの深みが増すという効果が存分に感じられる文体と思いました。 青山文平の二冊目でしたが、ボクは青山文平にハマりつつあることに気づきました。 ボクのような現代人にも、すっと物語に入っていけるのは、時代背景が想像しやすい描写ということもありますが、登場人物の心理が砕いて描かれているからではないかと感じました。 激烈な感動はありませんが、終盤心が揺り動かされる感触がありました。 夫婦であっても、互いの心の奥深くを理解しあうことは難しいのだと思いましたが、互いの向く方向が同じであれば、次第に理解は深まるのだとも思いました。 間違って認識していても、向かうべき方向がブレなければ、いずれ真実に当たるのだと思わされました。 青山文平を引き続いて読んでいこうと思いました。 | ||||
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商品の説明に「週刊文春」の書評がそのまま掲載されていますが、それをコピペするならば、「本書を貫くテーマは名子(なご)である」です。恥ずかしながら「名子」という存在を知らず、聞いたこともありませんでした。 江戸時代が始まり、有力な戦国大名は大名となりましたが、そこまでではない領主は、大名の家臣となるか、自身の領地の名主となり武士を捨てて百姓となりました。その名主となった元領主の直属の家臣が「名子」です。なら農民より立場が上なんじゃないの?と思うのですが、自分の才覚で農業を営める農民からは、名主の命令でしか動けないただの使用人、小作よりも格下、と蔑まれていたそうです。(正直、その辺の感覚が実感できていないのですが) 本書の主人公は、名子の生まれながら主の計らいで他家で働くこととなり、その才覚で幕府御領地の代官所の元締め手代にまで出世した信郎という青年です。しかし、彼の望みは武士になることでした。そのため、さらに江戸に出て、勘定書の普請役となり、真の武士へと出世を目指します。 (だからといって、野心ぎらぎらの腹黒男ではなく、あくまで清廉潔白なご仁です) その妻の智恵は、表向きは故郷の豪農・成宮理兵衛の次女ですが、実は養子で、幼い頃漏れ聞いた両親の会話から、どうも出自が名子であるらしいのです。 ある日、信郎は上司の命で、上本条村という村を検分してくるよう言い付かります。徳川幕府開闢以来150年ともなると、米の年貢だけでは経済を回していくのが難しくなっていて、米以外の農作物の栽培、貨幣経済の必要性などが、建前重視の武士を圧迫している時代です。それでも自分が仕事に励む場は武士にあると思っていた信郎が、出向いた地で目にしたものは‥‥。 そして江戸で留守番をしている智恵にも、新たに知る事実が‥‥。 ミステリではないのに、次々と新たな事実が判明していき、ドキドキさせられます。最初、本の帯に「事件は人間の内にある」と書いてあるのを見て、「『踊る大捜査線』じゃあるまいし」と思ったのですが、読後は改めて「なるほど!」と思った次第です。 | ||||
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青山文平の本は、読み終わると心が洗われる気がする。 長く、一見平和な江戸時代の「痛み」がそこかしこに顕れる。 誰もが、己の居場所、仕事を摸索する。 この小説の登場人物で悪人はいない。 今の時代の仕事の在り方に通じる気がする。 この人の小説は、本当に深い。 思わず、夜中まで読んでしまいました。 | ||||
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