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拷問者の影: 新しい太陽の書1
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拷問者の影: 新しい太陽の書1の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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新しい太陽の書の魅力は、開示する情報のアジャスメントの巧みさにある。 真実が100だとすると、ジーン・ウルフは60、よくいって、いいとこ、70までしか、物語の全容を明かしてくれない。もちろんこの按配は意図的なものである。 そのうえ油断ならないのは、語り手セヴェリアンは自身を完全記憶の持ち主であると主張しており、常にわれわれ読者に、この手記は100のものであると強要してくることだ。 そのくせ、セヴェリアン自身は60で綴っている自分の文章から立ち現れたはずの世界や物語の意味を40〜50程度にしか理解していない。 よって読者はおおいにはぐらかされる。だが、ここにこそ、この黄金の書を考察する余地、楽しみが生じる。 あとがきなどでネタバレを気にする方はその心配は無用であると断言したい。 むしろ、どんどん、サイトなどで情報を取り入れることこそを推奨したい。 どちらにせよ、ジーン・ウルフは70までしか書いておらず、その物語の100を捉えることはなんぴとにも不可能なのだから。 ジーン・ウルフを読むということは、 ジーン・ウルフの読者になるということは、 100に近づこうとする永遠の運動、 無限のサイクルに参加することなのだといえる。 運動によって開示されようとする世界を、ときに妖しく、ときに鮮やかに隠蔽する、それこそがジーン・ウルフの作品が持つセクシーな魅力なのである。 新しい太陽の書はまさにその最たるものだ。 | ||||
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状態がいいということで購入しましたが、梱包を開いた途端、ものすごいタバコ臭ですぐ触る気にもなりませんでした。どういう基準で状態を判定してるんでしょうか。 | ||||
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以前にケルベロスを挫折していたもので。タイトルから想像するグロさはとくになく、一巻は退屈という噂も思いのほか楽しんで読めました。拷問者の一行とともに、ウールスという世界を旅した感覚でしょうか。理解しにくい比喩や描写はあまり気にせず読み飛ばすのがよいかと。壁の向こうの旅路で何が起こるのか楽しみにしつつ、これは忘れないうちに早めに二巻を読む予定。 | ||||
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巨大都市ネッソスの拷問者組合に徒弟として所属しているセヴィリアンは、若い仲間達と共に郊外の川へと遊びに出かけたのだが、その帰途の共同墓地で民兵と反逆者達が争っている場面に出くわした。 錯綜した戦いの中で耳にした反逆者達のリーダーの名はヴォルダス。 徒弟の身分とは言え、独裁者の側の組織に属するセヴェリアンだったが、ヴォルダスの態度に魅了されて咄嗟に助太刀してしまう。 彼の裏切りは露見することはなかったが、間もなく拷問者組合のある<剣舞の塔>に一人の高貴人の女性セクラの方が送られてきた。 ヴォルダスに通じているとの容疑が掛けられたためだが、拷問は長い間執行されずに軟禁状態が続くうち、彼女の世話をしながら共に時間を過ごして来たセヴェリアンは恋に落ちていた。 もはや刑の執行はないものと思われた頃になって、とうとうセクラの方の拷問命令書が届き、日々の責め苦によって狂気に陥っていく彼女の様子を見かねたセヴェリアンは、今や一人前の職人となった立場を利用してナイフを彼女に与え、その苦痛に終止符を打つ手助けをする。 二度目の裏切りは隠しようもなく、本来であれば死罪に値するところだったが、威信に傷が付くのを恐れた組合は、辺境の町スラックスへ警士として派遣するという名目でセヴェリアンを追放した。 僅かな路銀のほかは、組合の最長上者であるパリーモン師から送られた警士用の剣「テルミヌス・エスト」のみを携えて旅立ったセヴェリアンだったが・・・ 二重の壁に囲まれた都市、幾つもの尖塔、<高貴人>から<退化人>まで複数段階ある住民達のヒエラルキーなど、物語の舞台は重層的であるが、主人公セヴェリアンが巻き込まれていく運命もまた幾つもの層になっているようだ。 一つ皮を捲る度に意外な展開へと誘われるのだが、セヴェリアン自身が独裁者によって支配されている共和国の全体像どころか、自分が住んでいるネッソスについての知識すら満足ではないため、読者もまた知識不足なまま彼の旅に同道せざるを得ない。 共和国の現在の在り様や、謎めいた独裁者の存在などは続刊の中で次第に明らかになっていくことだろうが、この「小出し」にしていることが読者を慣れない架空世界に順応させる効果を齎すようだ。 逆に、架空世界の物語に慣れた読者にあっては、ザブンと頭から異世界に飛び込む覚悟が出来ているにも関わらず、「まずは準備体操からです」と言われているような欲求不満を感じるかも知れない。 四部作構成ということで、起承転結で言うならば本書は「起」に相当するわけだが、どうやら「床」のための伏線は既に幾つも張り巡らされていそうだ。 先に述べた重層構造についても、玉葱のように単純ではなく、「そこも剥けちゃうの?」というような意外性はミステリーにも通じる面白さがあり、それがシリーズとしてどのような全体像を見せてくれるのか興味深いところだ。 | ||||
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巨大都市ネッソスの拷問者組合に徒弟として所属しているセヴィリアンは、若い仲間達と共に郊外の川へと遊びに出かけたのだが、その帰途の共同墓地で民兵と反逆者達が争っている場面に出くわした。 錯綜した戦いの中で耳にした反逆者達のリーダーの名はヴォルダス。 徒弟の身分とは言え、独裁者の側の組織に属するセヴェリアンだったが、ヴォルダスの態度に魅了されて咄嗟に助太刀してしまう。 彼の裏切りは露見することはなかったが、間もなく拷問者組合のある<剣舞の塔>に一人の高貴人の女性セクラの方が送られてきた。 ヴォルダスに通じているとの容疑が掛けられたためだが、拷問は長い間執行されずに軟禁状態が続くうち、彼女の世話をしながら共に時間を過ごして来たセヴェリアンは恋に落ちていた。 もはや刑の執行はないものと思われた頃になって、とうとうセクラの方の拷問命令書が届き、日々の責め苦によって狂気に陥っていく彼女の様子を見かねたセヴェリアンは、今や一人前の職人となった立場を利用してナイフを彼女に与え、その苦痛に終止符を打つ手助けをする。 二度目の裏切りは隠しようもなく、本来であれば死罪に値するところだったが、威信に傷が付くのを恐れた組合は、辺境の町スラックスへ警士として派遣するという名目でセヴェリアンを追放した。 僅かな路銀のほかは、組合の最長上者であるパリーモン師から送られた警士用の剣「テルミヌス・エスト」のみを携えて旅立ったセヴェリアンだったが・・・ 二重の壁に囲まれた都市、幾つもの尖塔、<高貴人>から<退化人>まで複数段階ある住民達のヒエラルキーなど、物語の舞台は重層的であるが、主人公セヴェリアンが巻き込まれていく運命もまた幾つもの層になっているようだ。 一つ皮を捲る度に意外な展開へと誘われるのだが、セヴェリアン自身が独裁者によって支配されている共和国の全体像どころか、自分が住んでいるネッソスについての知識すら満足ではないため、読者もまた知識不足なまま彼の旅に同道せざるを得ない。 共和国の現在の在り様や、謎めいた独裁者の存在などは続刊の中で次第に明らかになっていくことだろうが、この「小出し」にしていることが読者を慣れない架空世界に順応させる効果を齎すようだ。 逆に、架空世界の物語に慣れた読者にあっては、ザブンと頭から異世界に飛び込む覚悟が出来ているにも関わらず、「まずは準備体操からです」と言われているような欲求不満を感じるかも知れない。 四部作構成ということで、起承転結で言うならば本書は「起」に相当するわけだが、どうやら「承」のための伏線は既に幾つも張り巡らされていそうだ。 先に述べた重層構造についても、玉葱のように単純ではなく、「そこも剥けちゃうの?」というような意外性はミステリーにも通じる面白さがあり、それがシリーズとしてどのような全体像を見せてくれるのか興味深いところだ。 | ||||
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この品質でしたら「在庫なし」とすべき状態です。 これまでアマゾンの中古ブックは信用していたのですが、今後取扱い書店を選別しなければならないことに気付きました。 今回の取り扱いは、Books Chanel | ||||
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すでにご指摘の方がいらっしゃいますが、旧版の第2巻の「訳者あとがき」がネタバレです(新装版の方は確認していません)。 ご指摘の方のおかげで、このこと自体了解してはいたのですが、問題の「訳者あとがき」、ついうっかり読んでしまいました。 第2巻まで読んでいれば想定可能な範囲の内容ですが、かなり凹みます。それほどネタバレにうるさい方ではないつもりだったのですが、これはちょっとあんまりでは・・・。訳者の文章からではなく、作者の文章から「驚愕の事実」を知りたかった・・・。これから読み始める人は、くれぐれもご注意を。 あと、第3巻の巻頭にあげられている詩の作者名の表記は「オシップ・マンデルスタン」ではなく「オシップ・マンデリシュターム」でお願いします。 星5つは内容自体についてです。 | ||||
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新装版が出たんですね. (旧版は天野喜孝氏のイラストでした.) 文章が絵画的なイメージに溢れる傑作だと思います. 確かに最初は取っ付きにくいのですけれど,読んで損はありません. お勧めです. ただし,二巻か三巻の訳者のあとがきに思いっきりオキテ破りのネタバレがあります. 昔読んだときに怒りにふるえたことを今でも鮮明に覚えています(思い返しても腹が立つ). 新しく読まれる方はご注意を. | ||||
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この本を読む秘訣は、なによりも《忍耐》でしょう。特に前半は、無意味なエピソードの羅列としか思えず、非常に退屈しました。ところが3巻を越える辺りから、バラバラだと思えたエピソードが、緩やかなまとまりを見せてきます。そして4巻に至って、《唖然、呆然》のラストへと辿り着きます。さらに、全てを読み終わった後、初めて、無意味に見えた全てのエピソードが、重要な意味を持っていたことに、改めて気付かされます。後は、再読あるのみです。再読マニアにとってはたまらない、まるで巨大な《宝石箱》のような傑作です。 | ||||
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うそ、カバーが変わってしかも本屋で平積み!?。まさか映画化?(またジブリ?汗)...ではなく(安心つーか)、5巻目の"urth"の翻訳出版にあわせたイベントのようです(まってましたよん)。人類が星々に進出しやがて衰退した終末期の地球の物語。まだ発明されてもいない未来の言語で記述された物語をウルフが英語に翻訳した、という設定だ。例によってウルフは信頼できない作者でここでも読者を欺く。遠未来のテクノロジーをなんと神話やファンタジーの用語(古語っつーか)に翻訳投影してしまったのだ。ファンタジーのつもりで読んでいると次第に見えてくるSFのガジェット、とてつもない世界観。この手のサイエンスファンタジーは途中で作者が舞台裏を見せてそこから先はSFに変身するものだがウルフは最後まで正体を明かしてくれない。もしかして多くの読者はたんにファンタジーとして4巻まで楽しめちゃうのだろうか、平均的読者象にとても興味有り。SF好きなら辛抱して読めば必ず報われる。解説、評論は多数あり、日本語ならultan.netがお勧め。 | ||||
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世界幻想文学大賞受賞作品。 表紙にデスノートの小畑健のイラストをつけての新装版です。良くも悪くもジャケット買いで売り上げが伸びそうな感じで平積みにされています。もともとが古典として有名な作品ながら手をつけていなかったので、これを機に新作も出るということだしと読んでみました。 まず、全体的な構造としては長編叙事詩ということで、異世界を舞台に、主人公があちらこちらに遍歴を重ねるというファンタジーの王道を重ねていく基本ラインをしっかり踏襲しています。ただし、すごく特徴的な点が二つあり、それがこの作品の敷居を高くしています。一つには、幻想の部分が極めて強く主人公の独り語りで進んで行く世界について説明らしい説明は数少ないのにも関わらず、奇妙で風変わりで多層重層な世界を主人公が体験していくので、まさに幻想の世界にいるようでちょっと気を抜いたりぼんやりしていると話の筋においていかれそうになります。そうした異世界への浮遊感それ自体はファンタジーとしては優れている証拠なのかもしれませんが、最近のわりあいと易しいファンタジーになれていると骨が折れます。第二に、主人公が拷問者(文字通り、拷問を生業とし人に苦痛を与える力を習得している)という極めて特殊な職業についているため、人によっては感情移入がしがたい部分があるかと思います。 ただ、この二つの特徴があり敷居が高くはあるのですかけれど、昨今には珍しい異世界ファンタジーをしっかりと読んでいる充実感(このあたりはたぶんに主観が混じっているかも知れませんが)、奇妙ながらかっことした作品世界を旅しているというような感覚が読んでいる間にあり、本を読むという行為を儀式として違う世界を見ているような感覚を与えてくれます。良い悪いは別としてこれは読書の楽しみの根幹部分で極めて優れているように思います。 そして、はっきりと解説されていないながらもSFでありファンタジーである本書の独特の語彙は、作品世界を優雅に彩っています。ということで、少し敷居が高い作品ではあるものの、このテルミヌス・エストという大剣を携えた拷問者セヴェリアンの物語は順次読んで御紹介していきたいと思います。まずは復刊の四部作。そして新しい太陽の書と続いて行きます。 | ||||
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都合 三回、増刷 出版されているはず。 最後に出たのは2005年だが早くも品切れで入手困難の様子(2006年2月現在)。 入手だけでなく、読み取るのも非常に困難で、中身は難解。ファンタジー小説としても読めるが、実は非常に複雑・高度なSF小説となっている。作者独特の語り手の問題とも合わせて、一度読んだだけではなかなか意味が分からない。そこを面白いと思えるような趣味人向けの本。読む価値はありますが、その境地に至るまでが大変。 そういう行為が好きな人向け。 向かない人には絶対向かないけれども、一生のうちに一度は挑戦してみたい本。ちゃんと努力には報いてくれる本です。 | ||||
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高校生のころ初めて読んで以来、最も好きな本の一つ。10回以上読み返したと思う。優れた文学小説であると同時に、壮大なスケールの冒険小説でもある稀有な作品。 難解な部分はあるものの「ケルベロス...」よりはずっと読みやすいので、ウルフを始めて読む人はこちらから読んでもらう方がいいと思います。 | ||||
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科学が発達し、まるで魔法のようになってしまった超未来ファンタジーというシチュエーションから、山田正紀の宝石泥棒や宮崎駿の風の谷のナウシカに通じる世界を感じる。 その緻密に構築された世界観と、外見からは想像できない奥の深い(裏のある)登場人物たち、繰り返し挿入される劇中劇が、一度では読み切れない重層的な物語を構成する。 近年のファンタジーの流行からもっと注目されてもよいと思うのだが、なぜか知名度が低い不遇の大傑作。 私は、これよりも面白い本を読んだことがない。 | ||||
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最初の数行から引き込まれ、迷路の中をくぐるようなジーン・ウルフ。 その「新しい太陽の書」シリーズの復刊希望の声は以前から高かった。 やっと復刊された。 | ||||
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〈新しい太陽の書〉一作目。この傑作シリーズが日本ではいまひとつ知られていないらしいのが残念だ。間違いなくSF・ファンタジーのオールタイム・ベストの一つ。 もっとも、僕の場合この1巻目だけではそのすごさはわからなかった。割と普通の成長ファンタジーじゃないかと思った。でも2巻目以降、次第に世界の全貌が見えてくるにしたがってその緻密な構成に驚嘆した。ここまで綿密に異世界を作り上げた例は他にないんじゃないだろうか。張り巡らされた伏線が巧みに生かされ、世界の秘密が少しずつ明らかになっていく。良質の推理小説を読むようなスリルを感じた。 魅力的な登場人物、エキゾチックな風俗、謎に満ちたストーリー。どれをとっても一級品だ。 | ||||
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この本は主人公の回想録という形がとられています。彼の目を通して、この変わった世界を一緒に旅する感覚にどっぷりとはまることができるでしょう。 ここでは、女の目から見た主人公の魅力を書きたいと思います。主人公の青年は“拷問”の職人で、特異な倫理観もちらつくのですが、基本的に、彼の感覚や感情はナチュラルで健全な“普通の青年”なのです。淡々としているかと思えば、見得を張り、得意気な少年のようになったり、女性に欲情したりと、“拷問者”という職業と彼の普通さがアンバランスで、そこが「かわいい」とさえ思ってしまうのです。 | ||||
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