拷問者の影: 新しい太陽の書1
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新しい太陽の書の魅力は、開示する情報のアジャスメントの巧みさにある。 真実が100だとすると、ジーン・ウルフは60、よくいって、いいとこ、70までしか、物語の全容を明かしてくれない。もちろんこの按配は意図的なものである。 そのうえ油断ならないのは、語り手セヴェリアンは自身を完全記憶の持ち主であると主張しており、常にわれわれ読者に、この手記は100のものであると強要してくることだ。 そのくせ、セヴェリアン自身は60で綴っている自分の文章から立ち現れたはずの世界や物語の意味を40〜50程度にしか理解していない。 よって読者はおおいにはぐらかされる。だが、ここにこそ、この黄金の書を考察する余地、楽しみが生じる。 あとがきなどでネタバレを気にする方はその心配は無用であると断言したい。 むしろ、どんどん、サイトなどで情報を取り入れることこそを推奨したい。 どちらにせよ、ジーン・ウルフは70までしか書いておらず、その物語の100を捉えることはなんぴとにも不可能なのだから。 ジーン・ウルフを読むということは、 ジーン・ウルフの読者になるということは、 100に近づこうとする永遠の運動、 無限のサイクルに参加することなのだといえる。 運動によって開示されようとする世界を、ときに妖しく、ときに鮮やかに隠蔽する、それこそがジーン・ウルフの作品が持つセクシーな魅力なのである。 新しい太陽の書はまさにその最たるものだ。 | ||||
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状態がいいということで購入しましたが、梱包を開いた途端、ものすごいタバコ臭ですぐ触る気にもなりませんでした。どういう基準で状態を判定してるんでしょうか。 | ||||
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以前にケルベロスを挫折していたもので。タイトルから想像するグロさはとくになく、一巻は退屈という噂も思いのほか楽しんで読めました。拷問者の一行とともに、ウールスという世界を旅した感覚でしょうか。理解しにくい比喩や描写はあまり気にせず読み飛ばすのがよいかと。壁の向こうの旅路で何が起こるのか楽しみにしつつ、これは忘れないうちに早めに二巻を読む予定。 | ||||
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巨大都市ネッソスの拷問者組合に徒弟として所属しているセヴィリアンは、若い仲間達と共に郊外の川へと遊びに出かけたのだが、その帰途の共同墓地で民兵と反逆者達が争っている場面に出くわした。 錯綜した戦いの中で耳にした反逆者達のリーダーの名はヴォルダス。 徒弟の身分とは言え、独裁者の側の組織に属するセヴェリアンだったが、ヴォルダスの態度に魅了されて咄嗟に助太刀してしまう。 彼の裏切りは露見することはなかったが、間もなく拷問者組合のある<剣舞の塔>に一人の高貴人の女性セクラの方が送られてきた。 ヴォルダスに通じているとの容疑が掛けられたためだが、拷問は長い間執行されずに軟禁状態が続くうち、彼女の世話をしながら共に時間を過ごして来たセヴェリアンは恋に落ちていた。 もはや刑の執行はないものと思われた頃になって、とうとうセクラの方の拷問命令書が届き、日々の責め苦によって狂気に陥っていく彼女の様子を見かねたセヴェリアンは、今や一人前の職人となった立場を利用してナイフを彼女に与え、その苦痛に終止符を打つ手助けをする。 二度目の裏切りは隠しようもなく、本来であれば死罪に値するところだったが、威信に傷が付くのを恐れた組合は、辺境の町スラックスへ警士として派遣するという名目でセヴェリアンを追放した。 僅かな路銀のほかは、組合の最長上者であるパリーモン師から送られた警士用の剣「テルミヌス・エスト」のみを携えて旅立ったセヴェリアンだったが・・・ 二重の壁に囲まれた都市、幾つもの尖塔、<高貴人>から<退化人>まで複数段階ある住民達のヒエラルキーなど、物語の舞台は重層的であるが、主人公セヴェリアンが巻き込まれていく運命もまた幾つもの層になっているようだ。 一つ皮を捲る度に意外な展開へと誘われるのだが、セヴェリアン自身が独裁者によって支配されている共和国の全体像どころか、自分が住んでいるネッソスについての知識すら満足ではないため、読者もまた知識不足なまま彼の旅に同道せざるを得ない。 共和国の現在の在り様や、謎めいた独裁者の存在などは続刊の中で次第に明らかになっていくことだろうが、この「小出し」にしていることが読者を慣れない架空世界に順応させる効果を齎すようだ。 逆に、架空世界の物語に慣れた読者にあっては、ザブンと頭から異世界に飛び込む覚悟が出来ているにも関わらず、「まずは準備体操からです」と言われているような欲求不満を感じるかも知れない。 四部作構成ということで、起承転結で言うならば本書は「起」に相当するわけだが、どうやら「床」のための伏線は既に幾つも張り巡らされていそうだ。 先に述べた重層構造についても、玉葱のように単純ではなく、「そこも剥けちゃうの?」というような意外性はミステリーにも通じる面白さがあり、それがシリーズとしてどのような全体像を見せてくれるのか興味深いところだ。 | ||||
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巨大都市ネッソスの拷問者組合に徒弟として所属しているセヴィリアンは、若い仲間達と共に郊外の川へと遊びに出かけたのだが、その帰途の共同墓地で民兵と反逆者達が争っている場面に出くわした。 錯綜した戦いの中で耳にした反逆者達のリーダーの名はヴォルダス。 徒弟の身分とは言え、独裁者の側の組織に属するセヴェリアンだったが、ヴォルダスの態度に魅了されて咄嗟に助太刀してしまう。 彼の裏切りは露見することはなかったが、間もなく拷問者組合のある<剣舞の塔>に一人の高貴人の女性セクラの方が送られてきた。 ヴォルダスに通じているとの容疑が掛けられたためだが、拷問は長い間執行されずに軟禁状態が続くうち、彼女の世話をしながら共に時間を過ごして来たセヴェリアンは恋に落ちていた。 もはや刑の執行はないものと思われた頃になって、とうとうセクラの方の拷問命令書が届き、日々の責め苦によって狂気に陥っていく彼女の様子を見かねたセヴェリアンは、今や一人前の職人となった立場を利用してナイフを彼女に与え、その苦痛に終止符を打つ手助けをする。 二度目の裏切りは隠しようもなく、本来であれば死罪に値するところだったが、威信に傷が付くのを恐れた組合は、辺境の町スラックスへ警士として派遣するという名目でセヴェリアンを追放した。 僅かな路銀のほかは、組合の最長上者であるパリーモン師から送られた警士用の剣「テルミヌス・エスト」のみを携えて旅立ったセヴェリアンだったが・・・ 二重の壁に囲まれた都市、幾つもの尖塔、<高貴人>から<退化人>まで複数段階ある住民達のヒエラルキーなど、物語の舞台は重層的であるが、主人公セヴェリアンが巻き込まれていく運命もまた幾つもの層になっているようだ。 一つ皮を捲る度に意外な展開へと誘われるのだが、セヴェリアン自身が独裁者によって支配されている共和国の全体像どころか、自分が住んでいるネッソスについての知識すら満足ではないため、読者もまた知識不足なまま彼の旅に同道せざるを得ない。 共和国の現在の在り様や、謎めいた独裁者の存在などは続刊の中で次第に明らかになっていくことだろうが、この「小出し」にしていることが読者を慣れない架空世界に順応させる効果を齎すようだ。 逆に、架空世界の物語に慣れた読者にあっては、ザブンと頭から異世界に飛び込む覚悟が出来ているにも関わらず、「まずは準備体操からです」と言われているような欲求不満を感じるかも知れない。 四部作構成ということで、起承転結で言うならば本書は「起」に相当するわけだが、どうやら「承」のための伏線は既に幾つも張り巡らされていそうだ。 先に述べた重層構造についても、玉葱のように単純ではなく、「そこも剥けちゃうの?」というような意外性はミステリーにも通じる面白さがあり、それがシリーズとしてどのような全体像を見せてくれるのか興味深いところだ。 | ||||
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