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ギンイロノウタ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ギンイロノウタ
ギンイロノウタ (新潮文庫)

ギンイロノウタの評価: 3.93/5点 レビュー 15件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.93pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(3pt)

誰が読むのだろう?

文庫化して再読。「新潮」2008年7月号に初出なので5年ぶりくらいになる。村田は、野間新だけでなく三島賞まで取っているのに、芥川賞は候補にすらなっていないのだから、出世したのかしてないのかよくわからない作家だ。この作品については、発表当初から少し古いと感じていたが、最近起こった慶應大生の自殺教唆の事件(2014.02)から、まぁ被害者が読むような作品になれなかったのだろうと、残念に思った。(それでレビューを書いている。)

 まあつまり、インターネットが登場して、内向的で文章能力のある人間はだいたいネットカルチャーに触れるようになって、というのが90年代末からで、南条あや(1980-1999)はかなり先駆者だったとしても、そこに触れないと同時代のフィクションとして説得力を持たないんじゃないか、ということだ。
(補足するなら、佐世保の女児殺害事件(2004.6)の加害者の少女は、小説「バトル・ロワイヤル」を元にした同人小説をネット上に公開していた。)

 説得力、つまり、希求力がないなら、それは読まれない、誰のための作品なのか? 誰が読むのか、ということになる。別に普通の人が娯楽としてフィクションを手に取るのも一つの形だと思うが、切羽詰ってる人が手に取る作品として、この小説のような「純文学」が選ばれててくるのでなければ、その表現は一部の物好きのためのものでしかなくなる。

 現にそうなのだが、1979年生まれの村田も、出てくるのが2000年代後半からでなければ、また違った評価だったかもしれない。もしくは生まれてくるのが遅ければ、か。高校の先輩に誘われてセックスするも、うまくいかず、というだけでなく、ネット経由で不特定多数の相手とつながるのが、90年代後半からの光景(落とし穴)なのだ。そういう経歴を持つ「メンヘラ」ーそれこそ経験人数が数十人、はいくらでもいる。そういったネットカルチャーの暗部に主人公が触れることなく終わるのは、やっぱり一昔前の作品という印象になる。

 作品自体の完成度は高いとは思う。ただ、作者が何を期待して書いたのかは分からないが、この作品はあまり「届かなかった」し、これからもそうだろう。特に若い世代には、と僕は思うのだが、それは結構致命的なものだと思う。(文庫の帯や解説で、それなりの年齢の人が賞賛しているのを見ると、そのあたりの感覚の差がとても残念に思う)
ギンイロノウタ (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ギンイロノウタ (新潮文庫)より
4101257116

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