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(短編集)
江戸川乱歩名作選
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江戸川乱歩名作選の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.64pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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面白かったです | ||||
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新潮文庫には『江戸川乱歩傑作選』というロングセラーがあって、編集部から「乱歩ベストの二冊目を編んでくれ」と依頼を受け、ミステリ研究家の日下三蔵氏が7編を厳選。2016年に上梓されたのが本書である。わたしはこのうち4編はすでに読んだことがあり、初読は『石榴』『目羅博士』『人でなしの恋』の3編だった。 いずれも大正末期から昭和初期に発表された作品ばかりである。この時代はいわゆる大正ロマンと呼ばれる、退廃的な文化・風俗の爛熟期だったろう。今読むとなかなかどうして不道徳な作品ばかりで、いかにも乱歩らしさにあふれている。 とはいいながら、まあこんなもんかという気がしないでもない。読むべき名作は、傑作選のほうに網羅されているからだ。本書は、それで足りない場合はどうぞ、というボーナストラックみたいなもの。なんで今ごろ? という気もするが、解説によると2016年は乱歩の著作権が切れたタイミングで、各出版社が自由に乱歩作品を出版できるようになったのだとか。なるほど。 乱歩の美質は、何をおいても文章の読みやすさにあると思う。声に出して読んでみるとよくわかるが、どことなく講談っぽくて、すこぶる調子がよい。これも今日なお読み継がれている大きな理由になっていると思う。 | ||||
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中篇「陰獣」を始め、江戸川乱歩の作品七篇を収めた日下三蔵・編の選集。収録作品ならびに作品初出年は、以下のとおりです。 | ||||
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何年か前に傑作集を読んだことがあり、これも購入してみました。身になるタイトルは『押絵と旅する男』『陰獣』ですかね。乱歩の代表作ならほかの本でも読めますが、この文庫なら昔ながらの編集で安心感があります。これから楽しんで読みたいと思います。 | ||||
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怪奇ミステリーとしてはもちろん、大正・昭和初期の時代を読むのも面白い。昭和時代からかつての凌雲閣を振り返る「押し絵と旅する男」、当時の夜の暗さが絶妙なトリックとなる「目羅博士」等々。今よりも夜が暗く曖昧で輪郭も定かではなかったからこそ起こる怪奇な現象の数々は、現代でこそより際立つのではないだろうか。 | ||||
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ミステリーとして楽しめる話もありつつ、単にエログロをおどろおどろしく書き垂れているような趣味の悪い怪奇話もある。くだらないし今読めばとんでもない差別意識満載のヘイト小説じゃないかと噴飯物の誹りを免れないと思いつつ、つい読んでしまう魔力を持つ作品群だ。 | ||||
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かなり昔、夢中になって彼の作品を読んでいた時期がある。 最近NHKのBSで満島ひかりの乱歩ドラマを見てその面白さを再認識した。 パソコンやスマホなど無くても人は想像力を駆使して感性豊かに生きれるのだと再認識した。 この時代に比べて現代社会の何とパサパサで味気なく不毛であることか・・・ 江戸川乱歩の妖しい輝きは永遠不滅だ。 | ||||
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『傑作選』を先に読んで正解でした。 江戸川乱歩さん自身の解説が巻末にありますが、そこに『楽屋落ち』という言葉がつかわれているように、『傑作選』を先に読むと(収録作を知らないぼくのような人は)より楽しめるかと思います。 ていうか予備知識がいるのは、 『名作選』の最後の『陰獣』だけですが。 ミステリーの苦手なぼくは、 陰獣はけっこうガッツリとミステリーなので、 途中にまあまあ辛い時間もありました。 長いなとは思いましたが、 文章がリズミカルで読みやすいのに助けられ、 嫌になったりはしませんでした。 でもやっぱり、ミステリー苦手マンとしては、 もう少し短いほうが楽は楽ですが。 でもその苦手を感じた陰獣ですら、 ラストまで読むと、 おお、なんだこれ。なんだこの感じ、と、 すごいものを読んだ感覚を味わえました。 他のはもう、すぐにそれが味わえます。 キチガイとヘンタイが大好きなんですね、 乱歩さんは。 名作選はまた違う意味でマニアックで、 悲しい読後感の短編とか、 世にも奇妙な物語風のやつとか、 わかりやすい珍味が多かった傑作選に対し、 こちらは腰を据えて読む感じの、 文学好き向けって印象でした。 なので風景が心に思い出としてのこるのは、 この名作選のほうかもしれません。 『押絵と旅する男』とか、 なんとなく、『千と千尋の神隠し』を思いだしてしまいましたし。 まあ、 ジブリにあんな変態は出てきませんが。 変態は孤独で、 変態は悩んでいて、 変態は愛を欲していて、 変態は自分を呪っていて、 なんとも悲しく滑稽で、いいです。 この先、探偵シリーズみたいのを読みたいか? と問われたら、ちと悩みますが、 『傑作選』と『名作選』は、 ミステリー苦手マンでも楽しめました。 言葉のリズムにのせられて、 ポンポンとすぐに読み終わるので、 ぼくは落語とかよく知らないんですが、 勝手な印象としては、落語ぽいのかなと、 とくに短編だと、そう感じました。 登場人物が昔風の喋り方だからかな? | ||||
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乱歩の中編『石榴』『陰獣』を巻頭と巻末に配し、その間を5つの短編で つなぐ。独特の「おどろおどろしさ」の溢れる作品群である。 乱歩の特徴である「小道具」が出てくるだけで、肌がザワザワして 胸がドキドキして、乱歩ワールドに引きこまれる。例えば、 〇 義眼・・『石榴』『目羅博士』 ・・その白っぽいガラスの目玉が、どんよりと曇った空を見つめて、何かしら 不思議な物語をささやいている・・ 〇 糸切歯・・『石榴』『陰獣』 ・・彼女の糸切歯はまっ白で大きくて、笑うときには、唇の端がその糸切歯に かかって、謎のような曲線を作る。・・ 〇 ミミズ張れ・・『石榴』『陰獣』 ・・彼女の項(うなじ)には、おそらく背中の方まで深く、赤痣のような ミミズ張れができていた。・・ これは『Ⅾ坂の殺人事件』以来の乱歩が好きなイメージ。 ヒロインは必ず貞淑な人妻でなければならない。しかもそのからだは 「しなやかで、細くて、弱弱しくて、といっても、決して痩せているのではなく、 色は青白いけど、決して不健康なのではなく、握りしめたならば、消えてしまい そうに弱弱しいけれど、しかも非常に微妙な弾力をもっている」といった具合で なければならない。つまり、きゃしゃなんだけど同時にむっちりしているという、 絶対矛盾的自己同一がその肉体に具現していなければならない。ふぅー。 ヒロインはそのミミズ張れを指摘されると、必ず決まってなぜか羞恥に顔をぽっと 赤らめるんだけど、だからといって決して嫌がっているふうでもない。 | ||||
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江戸川乱歩がこんなに面白いとは思いませんでした。明智小五郎の少年向け小説しか読んだことがなかったので、奥の深さにはまっています。 | ||||
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同じく新潮社の『江戸川乱歩傑作選』をかなり前に読んでいたのですが、この『名作選』は表紙が似ているため同一商品だと思い、発見が遅れてしまいました。『傑作選』に負けず劣らず素晴らしい出来だと思います。 最後の編者解説を読むと、最初の「石榴」と最後の「陰獣」を中編の本格ミステリして選定、その間に“怪奇幻想系”の短編をいくつかサンドイッチするような構成にしている、とのこと。たしかに乱歩の良さは、テンポよく飽きない推理と、決してグロテスクでない(不愉快にならない)奇妙な世界観の両方であり、それぞれ中編と短編が適しているのも納得。良い構成だと思います。 個人的には短編の“怪奇幻想系”が大好きで、特に「押絵と旅する男」「白昼夢」「踊る一寸法師」が気に入りました。中でも「白昼夢」はわずか8ページのショートショートといえる超短編ですが、一瞬で読む人をトリップさせて脳内に絵を残す描写力に感嘆します。また、短編は特に昼と夜の明快な描き分けが心地よく、上述の「白昼夢」は明るすぎるほどの昼間、「押絵と旅する男」は曇り空の昼下がりから夜にかけて、「踊る一寸法師」「目羅博士」などは夜と月明かりが目の前に広がるようでした。 ただ、「陰獣」の終わり方がなんとなくしっくり来ず、それが本全体のラストだったため余韻が今ひとつでした。著者自身が解説で述べているように、この結末にはちょつと葛藤があったみたいですね。 | ||||
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6時間ほどで読めました。 どの短編も面白いです。 読者の読みを先読みする創作力には舌を巻きます。 どんでん返しが2回も3回も起きてあっというラストがあり短編といえど読み応えがありました。 また、グロテスクの中にもユーモアがあったり、空想的ですがロマンチックさがあるなど、 作品に深みがあり、このような文章を書ける人は現代にはとてもいないと思います。 何かの作品の元ネタにでもなりそうな作品で、影響を受ける人も多いでしょう。 また、電車なども出てくるので、どこか現代的な作品風景だったりするので、古臭さが余りありませんでした。 | ||||
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江戸川乱歩の没後51年目を迎えた今年、様々な形で江戸川乱歩作品が文庫化されている。この『江戸川乱歩名作選』は新潮文庫から1960年に刊行された『江戸川乱歩傑作選』に次ぐ第2弾のベスト選集といった位置付けのようだ。収録されている作品は全て既読作であるのだが、何度でも読み返したくなるのが、江戸川乱歩作品の魅力だ。 今なお、江戸川乱歩が多くの人々に読み続けられている理由は類い希なる巧みなプロット、時に幻想的であり、時に耽美的であり、時に秘密めいた淫靡な香りが漂い、読者の冒険心を大いに刺激し、作品全体に時を経ても廃ることのない面白さを秘めているからではなかろうか。 『石榴』『押絵と旅する男』『目羅博士』『人でなしの恋』『白日夢』『踊る一寸法師』『陰獣』の7編を収録。 『石榴』は、傑作『二癈人』と同じような構成の物語であるが、『二癈人』よりもトリックを重視した作品のように思う。 『押絵と旅する男』は、何とも幻想的な物語、例えるならば『鏡地獄』の系統の作品だろう。 『目羅博士』も幻想的な物語であるが、博士が犯した殺人のトリックが語られる。また、物語の中に江戸川乱歩自身が実名で登場するのは非常に珍しい。 『人でなしの恋』は、耽美的で何とも妖しい物語。現代作家では大石圭が同じような系統の作品を書いている。 『白日夢』は、群衆心理を的確に描いた短編であり、短編の中に凝縮されるものが多いせいか、記憶に残る作品になっている。 『踊る一寸法師』は、サーカスの持つ怪しさを背景に猟奇的な光景を描いた作品で、本作の中では一番好きな作品である。 『陰獣』は、短編ばかりの本作の中で、唯一の中編になる。淫靡な要素とミステリーの要素とがバランスを取り、上手く融合されている。作品の中に江戸川乱歩の『屋根裏の散歩者』『D坂の殺人事件』『二銭銅貨』といった作品を彷彿とさせる作品名が登場するのが面白い。 | ||||
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新潮文庫に於いてロングセラーとして親しまれてきた『江戸川乱歩傑作選』と対を成す、乱歩のbest of bestと言うべき一冊。 没後50年の著作権消滅を経て濫造されている乱歩作品の出版には敬意や畏怖の念が欠けているものが大半で辟易するが、本書は全くの別物だ。 執筆された時代を考慮すれば驚異的なメタミステリの嚆矢であり乱歩の本格探偵小説系統の最高峰「陰獣」や日本幻想文学史上屈指の名編「押絵と旅する男」といった傑作に加え、結末も余韻深き奇妙な味わいの「目羅博士」、異形の純愛小説「人でなしの恋」など日下三蔵氏による編集には文句の付けようもない、素晴らしいセレクションだ。 | ||||
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