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模倣犯
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模倣犯の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.04pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全287件 141~160 8/15ページ
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| 今更ですが先入観なしに読みました。文庫本5冊の長編ですが、やはりどなたかの指摘通り第2章の2,3巻あたりが長く、陰鬱過ぎる感じがします。でも5巻まで一気に読ませる力があり、ベストセラーになる作品と頷けました。第2章の長さとやや強引すぎる展開を感じる点で星1つ減です。もう1回はじめから読みたいとは思いませんが、読んで良かったと思える作品です。マスコミ報道ではスポットのあたらない犯罪被害者の視点を丁寧に表現されていると思います。 | ||||
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| 優れた宮部作品の中では人によって優劣の差がつくにしても(私自身もどれがベストかと聞かれれば『火車』と答える)、この『模倣犯』が格段に劣っているとは思われない。読み応えのあるすばらしい作品だと思う。既に多くのレビューがあるので今更細かいことは書かないが、内容を読んだ上で文庫版のカバーイラストを見ると、本当に怖い!特に1〜3巻。入院中の病室で深夜に気づいてしまい、ちょっとぞっとした。いくつか伏線のように書かれながら、結末までに処理されずに終わったように見える事柄(携帯電話、相談センター…)も、真犯人が”あのような”形でなくともいずれは露見していたはずだということの筆法であろう。心憎いやり方と思う。 | ||||
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| 時世を10年単位でセグメントしていくとするなら、 '00年代は宮部さんの「模倣犯」に始まり、村上さんの「1Q84」で締め括られる。 「1Q84」を読みながら、そんな想いにかられた。 ホコリをかぶった本書を棚の奥から引っ張り出し、再読する。 '90年代という世代を考えると、 奇しくも'89年という同じ年に起きた女子高生コンクリート詰め事件と宮崎勉事件から、 '94年のオーム、'96年の酒鬼薔薇、'99年のライフスペースと、 ワイドショーに求める刺激は強くなっていく一方だった。 それを逆手に「お前らを楽しませてやろう」と出現したのが網川浩一だった。 ドストエフスキーの「悪霊」で、ピョートルがスタヴローギンに心酔したように、 栗橋浩美はピースに心酔し、高井和明はシャートフと同じ運命を辿る。 浦沢直樹さんの「MONSTER」ヨハンもそうだけど、知的な犯罪者はスマートに見える。 容姿もスマートなら、語りもスマートだし、生き方もスマートだ。 それは悪魔でありながら天使であり「神の子」のようですらある。 ハンニバル・レクターのように。 でも、現実の事件はどうだろう? テレビの画面に映し出された誰がスマートだっただろうか? 作品の中で描かれるのは加害者はどこかの被害者で、被害者はどこかの加害者。 宮部さん独特の人間への慈愛が作品の節々にあふれている。 それでも読後感は哀しい。 確かに現実の事件でも加害者はどこかの被害者だったかもしれない。 だけど、それを知ったところで、被害者が納得するわけがない。 それを知っていたからスタヴローギンは自ら首を吊るした。 ピースは最期まで己が神だと誇示し続けた。 読後感の哀しさは、この人間の愚かさへの哀しさなのかもしれない。 | ||||
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| …なぜならば。 自分だけは、我が家だけはひととは違う。そう思って皆生きている。殺される瞬間まで。 被害者側もなにか普通とは違うところがあったのだ、だから私達とは別世界の問題、私達は安心、と思いたいのだ。 …そう言われたように感じたから。 「火車」の本間刑事的人物は登場せず、淡々と歩みを緩めずに非情な凶行が続いていく。 本間刑事は犯人の背景を描き出しつつ本人に迫っていく軌跡を描きましたが、ここで犯人に迫る役割を得たライターは自らも物語の波に押し流され、浮き沈みしつつ終幕へ向けて動いていきます。 神の救いの手は存在せず、もがき苦しみ、それでも営々と生活を続けなければならない人々がいる。そして、それは特別なことではない。そんな読後感でした。 それでも星5つをつけたのは、エンタテイメントを超えて、宮部さんが犯罪小説をかく意味を聞いた気がするから。 自らの役目を全うしようと仕事に取り組む気迫のようなものを感じる作品でした。 | ||||
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| この名作を今頃読んでいて申し訳ないです。 遠い昔に映画で観てショボかったけど、原作は映画よりも格段に良いですね。 『蛇にピアス』、『告白』などは、なぜか原作よりも映画のほうが良かったのだけど、 やはりこの長さになると、とうてい映画では表現し切れません。 そして『ピース』の特異さを、Smapの中居さんでは到底……。 (ただ、『ヒロミ』の役をやっていた人はかなり合ってます。あのイメージで読みました) それから宮部みゆきの上手さは、普通に生活している人の描写にあると思います。 『理由』を読んだときも思ったのですが、いわゆる一般的な人たち一人ひとりの毎日の生活、趣味、思い、悩みが非常に丁寧に描かれていて、それが読んでいる側としてはとても心地良いのです。 作品が地に足についている感じ、決して荒唐無稽な話ではないという身近感。これが宮部みゆきの魅力であり、これは到底、映画で表現できるものではないと思います。 視覚障害のエピソードもかなりリアルだったので、あれに希望を見出した読者もかなりいたようだけど、実はそれもフィクションだったとは、結構驚きました。『識字障害』の一種で実在しているのかと思いましたから。 | ||||
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| 昔立ち読みした本。良く読んだな、この厚みを立ちっぱなしで。 「楽園」を読むにあたり、ちゃんと読み直そうと思って文庫本で再読。 大作だった。 宮部みゆきの人物描写が好き。 心情表現など本当に細やかで、いろんな登場人物の悲喜交々が伝わってくる。 でも、終盤犯人のスケールがどんどんちっさくなっていったのは微妙に感じた。 「不幸なめぐり合わせ」と取るか「たまたまうまくいった」と取るかで この事件に感じる恐怖や被害者、犯人それぞれへの印象が随分変わってしまう。 狙って犯人像をスケールダウンさせていっているとは思うんだけど、 それと「たまたまうまくいった」要素が相まり、 読んでいて被害者へのやりきれない気持ちが強くなり過ぎてしまった。 結果として、読後感は悪かった。 悪いだけで終わらせないのが、この作家さんの凄さでもあるのだけれど。 最後の彼の慟哭が、今思い出しても切ない。 これだけの長編を見事纏め上げたのは素晴らしい。 ただ若干中だるみもあったため★はマイナス1で。 | ||||
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| 久し振りに再読した。あらためて感じたのは、著者の丁寧さと読者に対する誠実さだ。その場面にしか登場しないような人物にもストーリーを持たせ、本筋のストーリーに厚みを持たせるという手法を、「ムダに長い」と感じる人もいるはずだが、私はこれが作者の作品の魅力であるととともに、丁寧さと読者に対する誠実さだと思っている。 そして、長篇であってもリーダビリティが高いのは、ストーリーテラーとしての実力もあるが、もうひとつ忘れていけないのは作者の文章だ。難しい単語が使われることはなく、すっと文意が理解できる。だが、無機質な文章ではない。登場人物のセリフもふくめて体温を感じる文章だ。 著者の作品を全て読んでいるわけではないので断言はできないのだが、彼女の作品ではどんなに残酷な世界が描かれていても、何かしら救いの部分がある。これが、宮部作品の魅力なのだが、同時に物足りなさを感じる部分でもあると思う。 この作品でもそうだ。確かにピースは救いのない人物ではあるが、著者は他の人物に救いを与えている。 ただ、自分自身はそこに、なんとなく物足りなさを感じてしまうので、ここ数年は著者の作品から離れていた。今回、久し振りに再読してもこの印象は変らなかったのだが、これは読み手の好みの問題であり、著者の実力に起因するものではない。 10年以上前の作品なので、設定などの部分で今の時代にそぐわない面もあるが、小説としての輝きは失われていなかった。やはり、日本を代表する小説家の一人だと思う。 | ||||
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| 映画がイマイチだったり、登場人物が多すぎて敬遠されたりでマイナスイメージも付いてしまってる気がして心配なのですが、コレ、相当面白いです。 ミステリーでもありますが、群像劇でもあります。 人間の「気持ち」が描かれている。 「宮部作品は、時代小説のほうがいい。だって人情味があるから。」という意見を昔聞いたことがありますが、宮部現代ミステリーにも、ちゃんと人情味があります。ミステリーテイストに包まれて見えにくくなってるだけで。 一度目はミステリー要素に引きずられて早く真相がしりたくて人間の気持ちにあまり目を向けずに読んでしまいましたが、しばらくしてもう一度読んでみたら、ヒューマンドラマ的な印象になりました。 二度読み、オススメです。 | ||||
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| 読後の感想は「長い。けれど、読み応えある丁寧なサスペンス」 時間をかけただけはある。著者の主張がいたる所に散りばめられている。 義男とピースのやり取り、編集長と滋子の対峙。と読むべき個所は随所に。 丁寧という印象はおそらくそこから来ている。 登場人物の過去、心理描写にページを割くあまり、「長い」小説となっているのは 仕方ないのかもしれない。 「火車」ほどのスリリングさ、テンポのよさはないかも知れないが、この小説には 随所に盛り上がる個所があるため長くても読めてしまう。 | ||||
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| 上下巻の上巻です。 どちらともとても分厚い。 その中には登場人物ひとりひとりの気持ちが深く記されています。 一番印象的なのが孫が行方不明になった老人の気持ち。 色々な情報が詰まっているので老人の出来事がよく知る人のことのように感情移入できます。 なんでこんな酷い事ができるの?、自分を正当化するイっちゃってる犯人、 小説の中だけにしてほしい。。。が、実際こんな事件はたくさん起こっているし 巻き込まれた被害者もたくさんいる。 被害者の気持ち、犯人の気持ちがいろんな意味で痛いほど伝わる悲しいお話です。 長いですが苦労して読んだ分、この物語の一登場人物になったように 一緒に怒り、一緒に泣けることのできる作品です。 | ||||
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| 『(登場人物)は現在〜な状態である。そもそも(登場人物)は〜(人となり、生い立ち、環境などの説明)である。だから、今、〜なのだ。(短いエピソード)。と、いうことは、どういうことなのだろう?』この繰り返し。個々のエピソードはそれなりに面白いのでどんどん読めますが、あまりにも数が多いため、三分の二程度まで読み進むとほとんどの章がこのような同じ構成であることに気づいてしまいます。そして丁度その頃合で、お話自体も何か別の世界の物語のように変わってしまいます。前半の細かく繊細な思考や行動をする人々がいなくなり、大雑把で場当たり的な人々だけしか登場しなくなる、または同じ人物であってもまるで別人のように思考力を失って迷走してしまう。後半の物語をまとめ、終わらせるためには仕方ないことなのはとても理解できるのですが、要するに作者のご都合主義が「果物皿の中のモナリザのように、面白いほどよく見え」てしまいます。最後のどんでん返しもとってつけたように感じました、なぜならラストに至るまで「その人物がそのポイントにそんなにも」拘泥しているという描写が無かったから。そして最後のまとめ方。終わりよければ全て良しですか?「世の中を甘く見て」いるのはいったい誰ですか?……とこう批判的な意見を述べましたが、全体の感想としてはとても面白かったです、タイトルにも書きましたが通勤しながらちょっとずつ読むには最適です。私がこうも穿った批判的な感想を持ってしまったのは、ついおもしろくて、後半部分を休日に家でじっくり読んでしまったのがなによりの失敗ではないかと思う次第です。 | ||||
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| 時間をつぶすには最適な本ですお勧めな一冊です。宮部みゆきは、面白いですね。登場人物がいっぱい出てきます。事件に関係ある人ですが、誰がどう関係するか、あとになって絶妙につながって、関心します。それにしても、700ページの半分くらいで、犯人が誰だかわかり、動機や犯行の手口が明らかになってくるわけですが、下巻には何が書いてあるのでしょうか・・・。早く下巻が読みたいでーす。 | ||||
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| 読後の感想としてまず頭に浮かんだのが、「なんて辛い話だ、、、」ということ。 連続殺人というミステリーものには定番の設定で、実際の内容も笑う犯人、追う警察、悲しむ遺族といった 、連続殺人の話には定番に登場するであろう人々がやはり登場し、その人々の視点を代わる代わる描くといった内容。絡み合っている人間関係ではあるが、それもミステリーには欠かせない要素、まぁ「新しい!」 とは言える展開ではないと思います。 しかし、その設定の中で光るのが遺族の悲しみの目を通した視点。遺族がどれだけ悲しいか、どれだけ 辛いか、遺族の周りの人々との会話や心の内の声でその様子を読み手の心にシンクロするように描いている。読み手に心を焦らすような描写といえばよいでしょうか、とにかく遺族の気持ちが伝わってきて、こちらまで辛くなってきます。 そして、ネタばれですが、行方不明の孫を持つ祖父のその孫の遺体が見つかる場面。行方不明の身内を持ち、暗い日常を過ごし、しかしそれでも過ぎていく日常にいきなりその知らせが届きます。 そのシーンの唐突具合、そしてその知らせを聞いた祖父の目も眩むような絶望。読み手も一緒に目が眩み、涙が浮かんでしまうような淡々とした、それでいて深い絶望を感じます。 その場面で、たまたま近くにいた人の「なんてひどい、」というセリフが、この小説の上巻を表し、この場面が全体の山場を表しているかと私は思います。 このような、心深くまでもぐりこむような描写をする作者が怖いです。しかし、今このレビューを書いていて思いましたが、実際の殺人の被害者遺族はこのような心境になっていたのではと思うと、、、やりきれません。 読み手の心に深く入ってくるその描写手腕は明らかに一級品。文句なしの5つ星です。 | ||||
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| ベストセラーになり 図書館では常に順番待ち。 評判は良くなかったが映画化もされ、 ずっと読みたい読みたいと思いながら、 ようやく読むことができました。 文庫版は5巻の長編ですが、 次の展開が気になりグイグイと 力強く引きつけられ1週間で読みきってしまいました。 もう脱帽です。 大拍手を贈ります!! | ||||
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| 相変わらず登場人物のそれぞれの立場での描写には、さすが著者のものであることが伺えます。これがいつも話を分かりやすくする理由の1つ。 そして、犯人を追うにあたり、刑事とそして犯人たちの犯罪心理学での読み合い。 この読みは、凄く深い。今一度この心理描写を読んでみたくなった。 5冊でしたが、展開も早くいつのまにか読み終わる感じです。 登場人物の割には、シンプルに分かりやすく描かれている。実に見事。 | ||||
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| この本、上下をセットで初版を買いました。 随分高かったし随分時間が経ちましたが最近になって引越を機会にやっと読みました。 途中、映画化を含め世間で「模倣犯ブーム」のようなものが流れていきましたが我関せずで本棚で熟成された本書は今まで手に取らなかった理由が腑に落ちました。 まず何よりハードカバーのデザインと内容が乖離しており読後に愛着が沸きません。 ストーリーは流石に宮部みゆきです。 これだけの大作を大した破綻も見せず纏めきる技量は現代日本のトップクラスと言えるでしょう。 しかしこれ程の長編でありながら登場人物への感情移入がこれ程むずかしい小説を私は始めてみました。 登場人物の多さ、置かれた立場の相違、美醜、色々な理由があるのでしょうが登場人物で自分勝手という印象を抱かない人物が殆ど居ないからではないかと感じました。 大量殺人事件、被害者遺族は自分達のこと、喪った家族のことばかりに心奪われ他に心が配れないのは分かる。しかしそういう人物やステロタイプな若者像が多く長編で数の多い登場人物を分かりしやすくしたことが裏目に出たと感じます。 本を多く読む方は大抵ある程度の感情移入を出来る人物の目安を付け、その人物目線で本の世界に入り込む方が老若男女を問わず多いと思います。 しかし私は本作で豆腐屋の爺さんと整理役の上役刑事以外感情移入できる人物は一人もいませんでした。 年齢を重ねたからこそ見えるモノ、自分の尺度をもって他人を計る。無闇に他人任せにしない。確固たる自分をもつ二人目線でこの本を読むと読後には圧倒的な疲労と虚しさしか残りません。 ピースがそば屋の娘に手を出した辺りから話は収束に向かうというより支離滅裂な破壊へ向かっていきます。 筆者はより残酷な展開の一つのピースと考えたのでしょうがこれもそば屋の娘へ感情移入できない大きな理由となりました。 世の中「イチローのファン」はたくさんいても「イチローのファンだからマリナーズのファン」という人は少ない筈です。 昔の「長嶋のファンだから巨人ファン」「野村のファンだから南海ファン」っていう人は少なくなりました。 時代の変化に伴う人々の心の変化を捉えた作品の筈が読者の心も変化していることを置き忘れた気がします。 ホントは星2〜3と思いましたが長編へのご苦労とファンですので甘めにしました。 とはいえ宮辺みゆきさんの大ファンであることに代わりはありません。 彼女のもの悲しい短編が大好きです。 | ||||
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| 「楽園」を読んだ後、 7年以上も前に読んだこの「模倣犯」がとてつもなく気になり、 もう一度読み返してみようと上下巻共すべて再読しました。 全体像は覚えているものの、もやっと忘れてしまっていた色々が、 読み進めるごとに蘇り・・・ 先を知っているからこそ、 栗橋浩美の苦悩・有馬義男の心の強さ・高井和明の心の優しさ・網川浩一の無謀さ・・ などをより強く感じました。 「無駄に長い」というレビューが沢山見られますが、 この『模倣犯』においては無駄な部分はひとつもない、と私は思っています。 人物を魅力的に描く宮部みゆきさんらしい手法ですし、 私もまんまと・・・ 一番面白かったのは第二章(「面白い」と表現するのは良くない内容の章ですが)だったし、 一番感情移入してしまったのは、 犯人の片割れである栗橋浩美でした。 彼はとても卑劣でしたし、許せない部分も多かったのに、 それでも感情移入してしまった自分に戸惑いを感じるくらい・・・。 そんなにも細かに人物の背景などを描く中で、 唯一、作者が詳しく表記しなかったのがピース(網川浩一)だったと思うんです。 彼は何故母を殺したのか? などの動機や、心情が、全く表記されていません。 ここに、 真犯人に対する作者の一線を見たような気がしました。 | ||||
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| 非常に長かったが、最後まで飽きずに楽しめた。 第一に、やっぱり上手い。ひとつの事柄を色々な登場人物の側面から違った角度で丁寧に描き切る、そのテクニックは秀逸。 最初は淡々とした群像小説なのかな、という印象を受けるが、それぞれのストーリーが徐々に交わり、そして重なり、 ひとつに終結してゆくラストはとにかく圧巻の一言。 そんなにうまく事が運ぶのか?と思わないでもないが、しかしそのマイナスを差し引いても有り余るお釣りがくる力作。 犯罪者の心理、被害者遺族の心理、取材する者、警察、その他第三者の心理、 決して相容れることのない互いの主張とその苦しみ、心情をこれほどまでリアルに臆することなく突き詰めた作品は初めて読んだ。 それぞれの傷を抱えながら、そして更に傷つけ合いながらも、正しい道を模索してゆこうと必死でもがく登場人物たちの姿に心をえぐられる。 犯罪そのものの惨劇、犯罪者心理の生々しい描写、それらは当然理解なんて域を超えているし、向かっ腹が立つ。 しかし、実際に犯罪はこうやって起きるんだ・・・と、その点は否応なしに納得してしまうほど丁重に描かれていて、 この人はやっぱり社会派ミステリーの秀逸な書き手であり語り手なんだな、と思わずにはいられなかった。 十分なエンターテイメント性で楽しませてくれながらも、心に深いものを訴えてくる素晴らしい作品だと思う。 | ||||
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| かなりの長編なので読むのを遠ざけていましたが、思い切って一巻を読んでみました。 これは面白いです。次の頁がめくりたくて仕方なく、残りの頁数がどんどん少なくなっていくのが惜しいと思った本は久し振りです。 濃厚な人間描写と複雑な人間関係は宮部みゆきの真骨頂ですが、それに加えてのサスペンスとしての要素が見事です。たくさんの謎が散りばめられ、それらがどのように収束して結末へ向かっていくのかものすごく気になります。 あと四冊もあるなんて不思議な感じがするのですが、いったい物語はどう展開していくのでしょう?これから二巻を読んでみようと思います。 | ||||
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| 上下巻の落差が激しい。 特に上巻は丁寧に、丁寧に、人物像や情景が描かれている。 しかし、下巻に入ると突然、別人が書いたのではないか と思うほど、ストーリーが乱暴、セリフも陳腐化しているところが非常に残念でならない。 最後ラストスパートで宮部さん疲れちゃったのかな、とかんぐってしまう。 後半のストーリーにもう少し骨太さがあれば傑作といえる作品なんだと思う。 | ||||
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