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血と骨
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血と骨の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.12pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全74件 61~74 4/4ページ
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騒乱の時代、昭和初期から中期にかけて、ある一人の、鬼をも凌駕する男、金俊平の血塗られた行き様を主体に、その時代に生きた朝鮮人社会の人間像絵巻。 凄まじいまでの暴力と、騒乱の時代にとても言葉では言い表せないような衝撃を受けるのは間違い無いでしょう。淡々と描かれる修羅のごとく進む物語りに、現代の社会がいかに腑抜けて平和かがわかります。 著者の父がモデルという事もあり、限り無いリアリティを感じ、ページを捲る手はとまる事の無い吸引力があり、読み終わった後の疲労感は、その時代に生きたかのような錯覚感を覚えます。 表現的に少々惨い描写(乱闘シーンは圧巻。英姫逃避行のシーンは只々呆然)が多いのですが、そこを我慢して、沢山の人々に読んでもらいたい小説です。その時代は確かにあったのだから。現代に欠けている何かを感じ取れる小説だと思います。 | ||||
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映画「月はどっちにでている」の原作者、梁 石日が満を持して、書き下ろした悪漢大衆小説。 読者のストーリー展開を次から次へと突き放す暴力と破壊を繰り返す主人公。 著者の父がモデルとされているが、これまで聖域だった在日文学がこの悪漢小説で解き放たれた感がある。 戦後の在日の人々の無法地帯での苦渋とそこを行きぬくための生=欲望。 | ||||
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破壊的、破滅的、当方もなく暴力的、利己的・・・ いくら憎くても、決して抗うことのできない運命、 そして“血”という絆。 愛情や憎しみ、哀しみといった形のない感情ではなく、 “血”という物質的なしがらみが死ぬまでつきまとい、 我々人間という生き物の無力さを強烈に感じさせる。 でも本書は決して絶望では終わらない。 生きることは、その絶望の果てにある希望を見つめ続ける ことによって、その価値を見出せるのだ。 | ||||
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と、個人的には名づけていますが愛憎だけでは済まされない、のっぴきならない親子関係を見せられてただただ「自分の親じゃなくてよかった」と胸を撫で下ろすばかりです。 暴力、性欲、吝嗇と人間の業の塊のような男・金俊平は反面教師のようにろくでもない男ですが神をも恐れぬ風貌で屹立する姿は、まさに神、もしくは鬼神の化身のごとく時には崇め、畏れの対象として貫禄十分でそれゆえにあくまで人間である彼の悲劇を読むにつけ完全でない人間のままならなさを痛いほどに伝えているような気がする。 | ||||
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この本を読みながら思ったのは、こんな人が自分の周りにいなくてよかったということ。今の時代から見ると、この本に出てくる主人公は道理も何も合ったものではない。こういう人間を生み出してしまう世の中が一昔の日本だったのかとおもうと、今のわたしたちの暮らしは完全ではないけれど、まともになってきたと思う。主人公もそうなのだが、どうしても好きになれないのが、周りにいる女性。暴力や、陵辱、強いられる労働など、明らかに理不尽な仕打ちを受けて、疑問に思いながら、黙っていることしかできない。人間に植え付けられる暴力による恐怖の深さが推し量られる。正妻さんもさることながら、清子さんなど、最期ははひどいものだ。ここまで、好き勝手やっていて、どうして、家族を思いやれなかったのか不思議でならない。最初の子が不注意で死んだのを奥さんに暴力によって、責めるくせに、娘が自分の暴力に苦しみ、自殺未遂したり、放置によって、餓死したのを悔いるそぶりも見せないのは、理解に苦しむ。主人公の最期はあっけなく、ただ一人日本に残った息子が、父への北朝鮮の扱いに憤りを感じたり、母違いの兄弟を思ったりするのはやはり”血と骨”のつながりには、どんなしがらみも超える強さがあるのかと、絶望さえ感じる。そして、少し本筋から外れるかもしれないが、ここまでひどくなくても、戦前、戦後には、似たような境遇の人々がいたのだろうと思うと、少なくとも日本の歴史のなかで、人間として、女性として一番いい時代に普通の家庭に生まれた自分がなんと幸運なのであろうかとつくづく感じてしまった。 | ||||
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金俊平、すごい人です。 私が妻だったらどうしただろう。 夫のために、逃げる母子の姿を思うと、恐ろしさと悔しさで涙が止まりませんでした。 暴力のシーンがリアルで怖い。 | ||||
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2004年秋ロードショー予定と言われる「血と骨」を是非とも読んでみたいと、探したがなかなか見つからず、ようやく探して、一気に読んでしまいました。暴力に対して、最初はちょっと抵抗もありましたが、そこを少し通り抜けると、不思議と次に読み進まないと気が済まなくなってしまいます。主人公の金俊平の、暴力で何事も解決してしまう、と言う生き様にはとてもついてはいけません。けれども、その暴力にはそれなりの理由があり、また酒の力を借りての仕業はどうしても畜生ではなく人間であることを感じずにはおれません。この小説の中の、金俊平と周囲の人々の生き様が、現実の在日朝鮮人の日本での戦前戦後の歴史なのかと考えると、戦争を知らない世代にとって、かなり勉強になります。 血のつながり、家族とは何か、民族とは何か、ひとりひとりが心の中に思い浮かべること間違いなしです。映画がとても楽しみです。 | ||||
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こんなにひとでなしな主人公に出会ったのは生まれて初めて、度肝を抜かれました。(実在の方がモデルなのかしら?だとしたら恐ろしい)腕っ節の強さでのし歩き、なんでも力でねじ伏せて駆け抜けた人生・・周囲の人々の善意がなければそこらのドブ川でのたれ死んでいてもおかしくないのに。英姫さん、奴に優しすぎた。花子ちゃんも含めてあまりにも悲しい最期には涙がでました。私が奴の家族だったら・・例え臭い飯を何年かくらってでも寝首をかいて殺したでしょうね。奴の晩年は哀れで滑稽ささえも感じました。結局自らがしでかしてきたことが全部はね返ってきたんですもの。「因果応報」この言葉がこれほどしっくりくる物語ってそうそうないかもしれません。重量感はありますが読んで損はないと思います。しかしこの本を映画にするらしいですが、どこまで描ききれるんでしょう、興味津々です。 | ||||
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ここにあるのは圧倒的な人生とそして強烈な主人公の姿。 なんて自分勝手な野郎なんだ、と憤りだけで上下刊を一息に読み終えてしまった。 ただし、読後感はけして幸せなものでは無い。 著者自身が新潮社のサイトで書いていたけど、この本はきっと著者の人生の懺悔なのだ。 ずしりと来るけれど大人の男なら一度は読まなければいけない。 | ||||
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最初から最後まで、淡白な文調で進みます。 戦争を抱えた日本での在日朝鮮人の生活。 主人公の金俊平は荒くれ者の節操なしで、なぜだかそこかしこに女を囲いますが、力でねじ伏せれば、女という女が全部、その肉体の虜になるくだりは首を傾げてしまいました。 感情移入するにはかなり高度な精神鍛錬が必要だと思ったのは自分だけでしょうか? | ||||
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こんな人間が存在していいのか! そんな思いを絶叫したくなるほど、主人公は強烈な存在だ。 暴力をほしいままにし、家庭でも外でも独裁者でいた。 しかし、そんな主人公の姿を読むにつれ、嫌悪感よりもドキドキするような奇妙な高揚感が心に満ちてくる。 そんな不思議な作品だ。 並みのパワーではくたびれてしまう。 立ち向かうパワーがある方にお勧めします。 | ||||
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つらい物語で主人公の俊平もとてもひどい信じられない位ひどい人間像なのだが、読んでいくうち、その人間像がどんどん魅力的に感じてしまう。 不思議。 ヤンソギルの本はこれが初めてだったのだが、もうその独特の世界にひきこまれて、眠れず一気に読んでしまった!嫌いな人もいるだろうけれど、はまる人はとことんはまる本だと思います。 価格的に損はなし! | ||||
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餓死寸前になり汚い身なりをして浮浪する母娘を,自分は助けるだろうか。 おにぎりのひとつも手渡しはしても,それ以上のことは私にはできないだろう。 身勝手で暴力をふるう夫,耐える女,当然のように行われる朝鮮人に対する差別(小説の舞台は1920年代頃から),そして戦争。 すべてが理不尽で胸が痛い! | ||||
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主人公・金俊平はひどい人間である。酒を飲んで暴力をふるう。大金持ちになってもケチ。誰も信じようとしない。女は性の対象としては必要、子供も必要だが、絶対信用しない。気をゆるせる人はほとんどいない。型破りな行動と体力があり、極道さえも恐れる。 ただ、常識的な見方をした場合、少しだけいいところもある。比較的きれい好き、自分で手と時間をかけて料理を作る・・・ゲテモノ料理だが食べてみるととてもおいしいものもある。ケチな反面、節約もする。服を着飾ったりして見栄をはることは一切しない。そして、徹底した個人主義を守るためならば極道とでも戦う意志と体力がある。 多くの日本人たちは、金俊平とは逆の性格だろう。人と協調(するふりを)しているが実は迎合している。ちょっとお金があれば外見を整えて見栄を張りたがる。料理はインスタント化、料理に限らず自分ではなるべく手をかけずサボろうとする。 金俊平という化け物は、そんな周囲のふつうの人たちのエゴが生み出した化身ではないか。そして、俊平が借金を取り立てる相手や見栄っ張りな極道に対して破天荒な暴力を容赦なくふるう時、一瞬だが快感を覚えた。体裁で改まったフリをしている世の中をぶっこわす快感だった。 通読すると、いろいろな人の一生を短時間で見せらた気になる。苦労し耐えながら生きた俊平の本妻も病気が見つかった後はすぐに鬼籍の人に。超人俊平も時間の流れには逆らえない。人は何のために苦労して生きるのか、はかない気持ちになる。 | ||||
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