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流れる砂
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流れる砂の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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良かった | ||||
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表面上はまあまあでしたが、鉛筆による書き込みが10カ所近くあり驚きました。 | ||||
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父親による実の息子の殺害現場という、衝撃的なシーンから始まり、その回想の形をとって畝原シリーズの定番ともいえる日常の何でもないありふれた調査の話に移っていきます。 毎回そうだけど日常を丹念に普通に描きながら、それが一気に崩壊していく過程を描くのが本当に上手く感じます。それは読むものに自身の身近な風景、日常が実は薄氷の上にある事をイメージさせ、思わず足元に広がる底の見えない暗い世界を想像し背筋が冷たくなります。今回の話も相当にヤバい話でそれに対する畝原はあまりに小さくて、当たり前だけど一介の探偵に過ぎない畝原が出来る事など知れています、しかし、その小さな存在がそれでも自分自身の矜持と、そして大切な家族、友人を守ろうと奔走するからこそ、読み手はその姿に共感し惚れ込むのだと思います。 今回は畝原にとって立ち直れかねない程の悲劇があり、その悲しみに翻弄される畝原の姿が衝撃的。失うべからざるを失う時、人はこれほど心が壊れてしまうであろう表現とそこから立ち直り、戦おうとする畝原の姿はあまりに秀逸で素晴らしかった。 この作者の作品はどれもそうだけど、サスペンスドラマのような全ての謎解きや解決など存在しない。物語を読み終えても分からない事は分からないままだ。しかし、それ故に一層畝原という一人のキャラクターが光かがやき存在感を増し、作品としてのリアリティとか無常観も際立っている。シリーズの中で一番好きな作品です。 | ||||
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1999年発表の本作品は、私立探偵畝原浩一を主人公としたハードボイルドシリーズの長編第2作にあたります。 このシリーズは、第1作が短編「待っていた女」であるので、短編を含めると、第3作目。 文庫本で、640頁程度と、少し長めの作品となっています。 このシリーズでは現実の世界と同じように時が流れているようで、長編第1作「渇き」(1996年)で45歳であった畝原は、47歳という設定になっています。 男手一つで育てている一人娘、冴香も、小学生のままですが、料理の腕も上がってきており、少しずつ成長している模様。 オープニングは、畝原の調査で、息子が悪事に手を染めていたことを知った父親が、息子に暴力を振るうシーンから始まります。 それは、思いもかけぬ重大事件に発展してしまうのだが…。 そして、畝原がその暴力事件へ発展した調査を請け負った時点へ場面は遡り、その調査をきっかけに、関係者を洗っていくと、徐々に明らかになってく「社会に潜む闇」。 それは、題名の「流れる砂」のごとく、全貌がよく掴めない、得体の知れないもの。 このシリーズの主人公、畝原浩一は、著者のもうひとつのシリーズ、ススキノ探偵<俺>ほどの強烈なキャラクターはなく、どちらかと言えば「普通のおじさん」です。 扱われる題材も、保険金殺人や、新興宗教法人など、ミステリ小説でこれまでにも再三取り上げられてきたものばかりで、新鮮さというものはありません。 しかしながら、600頁を超える長編を飽きさせることなく読ませる小説であるのは、「目に見えないとろで本当に起きているかもしれないという、現実感」が作品を支えているからでしょう。 はっきりした結末が好きな自分にとっては、「事件の全貌」をもっと明確に、描写してほしかったという印象はあるものの、ススキノ探偵<俺>と同様、サブのキャラクターが活写されており、「シリーズもの」として十分に楽しむことのできた作品でした。 | ||||
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衝撃的な殺人シーンから始まる。おもしろそう。 自分は本格読みである。登場人物表が無かったので、自分で作りながら読んだ。 ひとりひとり登場人物の記述を吟味していく。 ところが事件を調べるうちに次から次からへと新たな人物が登場する。 そして登場人物が50人を超えたあたりでそろそろいやになる。 ひょっとしてハードボイルドってこういう読み方しちゃいけないのかな??? 作者が文中で、これで巨大組織vs探偵一名だったら小説だよな、というようなことを述べた。 そりゃそうだよ、小説なんだよ、読者はそうあってほしいんだ、と僕は思った。 だけどきっとそれは反語で、リアリティが身上、ということだったのだろう。 その結果、巨悪は意外な小物で、その他の真相は闇に包まれたまま終わる。 登場人物表が無駄に思えてきた。 ハードボイルドファンってこういうのが好きなのか。 | ||||
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冒頭の父親が子どもを殺して自殺するという衝撃的な場面から始まり、 少女行方不明事件の家族への疑問に端を発した事件は、 生活保護等の不透明な福祉行政、生命保険詐欺、宗教ビジネス、そして警察腐敗の構造 それらがうまく絡んで物語が展開します 見え隠れする怪しい女の正体は何なのか誰なのか? 読ませてくれます 畝原と姉川のいい歳をした男と女の関係には、子どもじゃあるまいしと笑っちゃいますが・・ | ||||
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ススキノの便利屋「俺」のシリーズとは別に、東氏の生み出した探偵畝原。舞台はススキノではなく札幌近郊、一人称も「私」で語られ、文章は抑制が効いています。 本作は文庫で600ページ強のボリュームですが、一気に読ませてくれる改作です。プロットも無理なく、最後のほうで「あ」っとさせてもくれます。 東作品の魅力は、読みやすい文章と親しみやすいキャラクターを登場させながら、人間の奥底に潜む、どす黒い渦みたいなものを逃げずに描写するところだと思います。本作は緻密なプロットと情景描写でそのことに見事に成功しています。 読みやすい文章ですが、そこに激しい推敲の後がしのばれ、非常に質の高いものに触れた満足感が残りました。北海道からこのような小説が出たことを誇らしく思います。アズマさん、がんばれ! | ||||
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作家の名前は知っちゃいたけれど、国産ハードボイルドには原尞以来とんとご無沙汰なのは、チャンドラーかぶれの陳腐な台詞回しにウンザリしていたひねくれ読者の気まぐれってことにしておいて下さいませ。国産もので探偵が主人公なんて、現実では不倫の奥様尾行やら身辺調査が関の山って思い込んでいた我が知識も、ほぼ一般通念と同等って考えてもさほど違和感ないでしょ。その程度の社会的地位の職業の主人公が辿る転落の道標ってのがイメージにこびり付いて、書店の平積みではなかなか手に取れなかった札幌地域限定探偵のハードボイルド系作品という図式なんですな。今から思えば大いなる損失であったなあと反省しきり(^_^;)。某HPの紹介文で読む切っ掛け作ってくれたことに感謝しきりでありますよ。本書を図書館で借りた後、畝原シリーズものを新古書店で漁り、そこに無ければ新刊書店で探しまくる今日この頃。 自然体の主人公が、四十代後半で、たまたま職業が探偵。力みが無いから普通なのである。日常が日常であることを活写出来る作家的成熟度を素直に評価致しましょう。取るに足らない事件の奥底が覗く社会的深度より、畝原の日常の方に比重が高いのがいい。世界貿易センタービルが吹っ飛ばされようが、地元商店街の特売情報の方が大事でいいのである。地に足の着いた日常生活。日常生活にぽっかり空いた陥穽の恐怖を私立探偵・畝原が、肥大化して身動きが取れないままに後手後手で機能不全の警察組織を置き去りにして、身軽で等身大で地味め一本槍(^_^;)の捜査活動で真相に肉薄してゆく妙味。地を這う捜査を警察に先んじて行うアイロニカルな展開も独立独歩な探偵らしくナイスである。フランチャイズが札幌ってのも琴線に触れるんだよなあ。個人的に土地勘があるもので、事件の現場が身近に感じられるのも惹かれる一つの要素なんだろうなあと、例えばスキナーのエディンバラと一緒じゃんと、つらつら思ってしまうのだ。探偵はホームでこそ活躍出来るのである。 | ||||
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日本のハードボイルド探偵シリーズの傑作はで、私のおすすめは、結城昌治の真木シリーズ、原寮の沢崎シリーズ、そしてこの東直己の探偵・畝原シリーズとなる。小学生の娘をこよなく愛し、一人で育てている、元新聞記者の探偵。畝原。普通に仕事をし、生活し、悩み、家族を守っていく。本書は、そんなきわめて普通の人の設定ながら、己の信じるもののもとに妥協をしないで行動する、畝原シリーズの第二弾だ。上下2段組400ページを超える大作だが、そのスピード感と不気味なリアリティは、時間を忘れて読むことに没頭させてくれる。 物語は、元校長の親が、市役所につとめる息子を刺し殺し、自らも首を切って命を絶つ凄惨なシーンから始まる。そこから、現代の闇の多さに比例するかのように、事件は多彩な広がりを見せていく。娘の成長、実兄の不倫、恋人・姉川とのつかの間の逢瀬など、畝原の家族的なものが横糸に紡がれ、物語は、厚みと温もり、苦悩と愛情を交えつつさまざまな連鎖が収束する結末へと向かう。 『流れる砂』のように、自在に形を変え、棲む場所を変え、留まることを知らない“悪の闇”。明瞭な姿をつかむことができない相手に立ち向かうことは、もはや、 現代の“闇”を通奏低音に展開する畝原シリーズの中でしか楽しめないのだろうか。偽善的正義派の私は、読後、畝原の活躍に称賛を贈るとともに、ちょっぴりそんな虚しい気持ちも味わった。 | ||||
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是非、読んで欲しい。この本を読めば貴方も「東氏」のファンになることと思います。キャラ立ちも光る! | ||||
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冒頭からいきなり父親が息子を刺し殺す場面から始まる衝撃のスタートですが、その勢いはラストまで続き、私立探偵・畝原シリーズでも実に印象に残る作品です。物語では、新興宗教、保険金詐欺、誘拐、少女猥褻……など非常に複雑な問題が何重にも張り巡らされ一つの線に結びつく、ミステリー要素も盛り込んだハードボイルドです。畝原も恩人である友人が殺され、唯一の娘が誘拐されるが、持ち前のパワフルさと妥協を許さない精神とで事件を調べ上げる。このシリーズの特徴でもある、現代社会の闇を見事に描き、最初から最後まで息を付かせぬ展開はお見事という他ないでしょう。先にシリーズ最新作の「悲鳴」を読んでいましたが、「悲鳴」と共に心に残る作品でした。 | ||||
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