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自画像
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自画像の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.18pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全11件 1~11 1/1ページ
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朝比奈さんの作品を遡って読んでいます。この作品もなんだかんだ一夜で読み切ってしまいました。なるほどこういった作品を経て、あの「君たちは今が世界」があるんですね。 「自画像」については、ここまであえて悪趣味に「容姿のカースト」について描かなくてもいいのでは、と思わなくもないです。もちろん、若いときはそれが世界(すべて)だったりする時期もあるけれど、でもなんだかんだ、大多数の女性はそこを生き抜いておばさんになってるわけで、私としてはその過程を次に朝比奈さんに描いてほしいなと思いました。 ついでにいうと、琴美がコンピュータに強いという設定はちょっと無理やりすぎたw | ||||
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善人も出てこなければ善意もない。後味が悪くて救いもない読後感。「被害者」から見たら世の中はこれほどに救いがないのかもしれないが、救いがないものを救いがないようにしか描いていないものは、読みたくない。ネタバレ禁止だから仕方がないが、あらかじめある程度内容のテイストがわかっていたら読まなかっただろう。これからこの本を読もうと思っている方に少しでも参考になれば、と。 | ||||
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約5日ほどで読了したが、その間にもネットのニュースサイトには、この作品同様な陰湿な事件がいくつも報道されていた。この作品のような事案は、もはやありきたりなのかもしれないと思い知らされる。 私も聖人でもなんでもない普通の男なので、少なからず艶かしい欲情や美醜差別意識は持っているが、それを口にしたり行動してしまうことはない。それでも女性に過去「気持ち悪い」「最低」と思われた瞬間はなかったか、反芻せずにいられなかった。 表紙や帯の説明文では内容がよくわからないと思うが、端的に言えば「教師による暴力的セクハラ」「容姿による差別と自意識」を女性の視点から扱った作品です。 青春ものかと思って読み出したが意外な方向に進み、そして思いのほか重かった。 作者は小説の中でならばと、その思いを晴らすために「裁き」を表現した。それがなんなのか、読んでみてみてほしい。 | ||||
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これは、怖い。清子が中学生時代を中心に自分を振り返る前半の語りも怖いが、後半の裁きの場面は、前半とはまるで異質の怖さが滲み出ている。 最近、スクールカーストという言葉をよく耳にするが、程度の差こそあれ、クラスの中で序列をつけたがる心理は、一昔前の少年少女も持ち合わせていただろう。本書の前半の怖さは、未熟で、小狡くて、醜くて、残酷、そのような思春期の心理を細部に至るまで暴き出し、読者に容赦なく突き付けてくる点にある。 後半は意外な展開だったが、義務的に進められる裁きの無機質な描写に、背筋がぞくりとした。 はっきり言って読後感は良くないのだが、最後まで読まなければならないという思いに駆られ、一気に読み上げた。少々残念なのは、大きく変調する後半につながる布石が少なかったこと。前半を読み返してみても、「見落としていた!やられた!」という感は、さほどなかった。 | ||||
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三十台前半のおっさんが読んでも、結構、心に響きます。 特に前半の中学生時代。私もニキビに悩まされました。特に額。前髪で隠していたのですが、それが原因で余計にひどくなりました。 大人になると、順番はあやふやになります。逃げ道が沢山あります。選択があります。 ですが、学生時代はありません。この本に書かれてあるように、ほとんどは顔かスポーツで、順番が決まります。 後半も衝撃的な展開へ。関係の薄い三人がどう巡りあい、結託していくのか。見物です。 | ||||
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冒頭から80%位までは、最高に面白いと思いました。確かに、この作家さんらしい締め括り方だと思いますが、残念ながら好みには、合いません。そもそも、スクールカーストが有する残酷さとこの締め括り方に必然性はあるのでしょうか?この点が明確ではないので中途半端な印象になってしまいました。残念。 | ||||
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30代後半で、読んでる最中は苦しくなり、読後は取り乱してしまいました。(記載されているほどの性暴力ではないですが。) でもその後は少しすっきり。今まではいつも自分のなかに閉じ込めている感覚があったのですが、 それが少しずつ吐き出せた感覚です。心に少しでも余裕がなければ、おこったことを受け止められず、 また怒りを覚えたり、自分を大事にすることができないのかもしれません。それが他人には誤解されてしまうのかも。 最後の方に解放という言葉がよく出ましたが、この本のおかげで、私も少しずつ解放され、前へすすめそうです。 | ||||
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朝比奈あすかさんの作品は今まで何冊か読んでいますが、こちらの作品も 期待を裏切らず、女性の心理描写が見事です。 女性の一人称の語り口で綴られる序章から最後の展開まで先が見えず、 一気に引き込まれました。 大なり小なり誰もが一度は自分の意志とは関係なく巻き込まれた経験のある クラス内の残酷なヒエラルキー。 思春期特有の世界での十代の女の子の気持ちが繊細にとてもリアルに容赦なく描かれていて 思わず当時の気持ちを思い出しました。 序章からは想像できない展開と見事な作品の構成、そして登場人物たちの心情表現に ぐいぐい入り込み一気読みでした。 とても力量のある作家さん、そして勢いを感じられる作品になっていると思います。 決して明るい内容の作品ではありませんが、読み応えが十分あります。 | ||||
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少し衝撃的な内容ではありますが、すごくよく構成されている上に、主人公(特に学生時代の)の心の動きがすごくリアルで、夢中で読みました。 すごい! | ||||
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思春期が「ついこの間」で、スクールカースト関係で「後ろめたい出来事」が、まだ生々しい人には、とりあえず本書は「触れるなキケン」。 という感じ。 丁寧に丁寧に未熟な年代の、劣った者醜い者に対する残酷さを描写していると思った。 傷あと乾ききってない人の場合には追体験してしまうかも。 と、危惧するほどだった。 ラスト「これで終わりにしよう」じゃなくて「引き継いでいく」というのが好み的中。 | ||||
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なかが良い仲間うちで、突然に起こり、自然消滅していくイザコザ。しかし、根は深い。 友だちの悪戯を本人に忠告せず、先生に直接告げ口する「正義感」という虚栄心、自己満足。 いわれなき中傷や噂話が聞こえてくる疑心暗鬼。原因がわからず何時の間にか仲間外れにさ れている悲壮感、孤独感。誰しも経験したことであろう。したがって、誰の眼にもはっきり するような上下関係に浸っていることが、淋しさや孤独感を癒す生き方でもある。 作者は「人間界の法則」という。 中高生時代から三十代後半までの、三女性を中心とした物語である。 中高生時代の閉鎖的な空間で生じる友人関係から始まる。その友人関係に伏線があった悲劇を、 自画像を含めた四枚の絵画で表現している。 「わたし」は、婚約者で中学教師の「あなた」と会話している。会話の内容が物語の先行き に暗い影を投げかけている。「わたし」は、中高生時代の友人との喜怒哀楽や大学時代に薬学 を専攻(物語の後半にその用途が明かされる)した話で「あなた」を「追い詰め」ていく。 前半は「わたし」田畠清子の視点、後半は、友人「蓼沼陽子」と「松崎琴美」の各々の視点で 構成されている。 三人とも小学校時代から複雑なコンプレックスがあり、それらが結果的に三人の結束を固め ている。清子、陽子はニキビ面で悩み、ニキビの治療光景にも笑えない。 琴美は母が元女優であり、中学入学前に目を整形する。これらはコミカルではなく、自分たち の人生にかかわるシリアスな問題に進行していく。 美術の時間に、自分を掘り下げた「自画像」を描くテーマがある。 清子は「横顔」を描き、口と鼻だけを出している。学校の鏡をもまともに見れない。正面から 自分の顔と対峙できないでいる。 陽子は、色彩豊かなニキビ面を描くが、瞳を描いていない。彼女は自分の中身を見せなかった のである。私の眼で自分を観察していません。あなたがた周りの皆さん方の眼です、 ということだろう。自分を「最初から弾かれた存在」と認識している。 読み進むと、清子の婚約者で中学教師「あなた」と清子たちの教師「岩永」は「児童性愛者」 であり、生徒たちと問題を起こしていることが解ってくる。 婚約者の教師が、清子から見せられたスケッチブックの画(「R]という犠牲者が描いた) を「爬虫類の眼をした水牛」と云い、琴美は、性的嫌がらせを受けていた「岩永」を「黒い化 け物のような画」に描く。被害者が描いた加害者の醜い「自画像」になっている。 「清子」「陽子」「琴美」「R」の四枚の「絵画」が暗示する世界を読者は読み解いていく。 「男の衝動」とか、「性的被害を知る者」と正義感や思いやりを振り回すだけの「知らない者」 との壁など、女性の視点で、性的嫌がらせについて、別角度から繊細に描写している。 身体や心の傷を「忘れられないことがある人はどうしたらいいの」と琴美が嘆く。 「記憶の中にぼんやり溶かされて」というわけにもいかない。月日の経過で癒される傷もあろ うが、決して消えない、消したくない傷痕を引きずって生きていかざるをえない人もいる。 琴美は、加害者を「断罪」するより、清子と陽子の「協力」で、過去の傷から「解放」され ることを選択する。 友情を噛みしめながら、清子、陽子と別れていくシーンは、深く傷ついた琴美が「光の満ちた 世界」へ踏み出していく感動的なエンディングである。 | ||||
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