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逆まわりの世界



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逆まわりの世界の評価: 4.00/5点 レビュー 3件。 -ランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全3件 1~3 1/1ページ
No.3:
(5pt)

ページターナー度(!)の高い作品でした

「1986年、突如世界は一変した。ホバート位相と呼ばれる時間逆流現象のために、死者は墓から蘇り、生者は若返っては子宮へと回帰するようになったのだ・・(途中省略)・・鬼才が描く狂気と不条理の超現実世界」
カバー裏の紹介文を読んで飛びつきました。読み始めてみると、これが予想を裏切らないスパイ小説のような面白さ。
ひと言でいえば、市民特殊図書館〈消去局〉という名の言論統制機関 VS ユーディ教というカルト教団 VS ローマ教会、という三つ巴の争い。

ことの発端は、ホバート位相 (時間の逆流) によるユーディ教カリスマ教祖ピークの復活である。死者の再生請負業者セバスチャン・ヘルメスの掘り出した教祖ピークをめぐって、イデオロギーやら利害やらの対立する市民特殊図書館〈消去局〉とユーディ教団とローマ教会が、壮絶きわまる教祖の争奪戦を繰り広げます。

この作品、基本はSFなんだけど、ストーリー展開はどう考えてもスパイ小説風。むろん時間逆流(ホバート位相)などSF的な道具立ても、ストーリーの展開の中に大いに生かされており、そのおかげで、並みのスパイ小説よりもハラハラドキドキするシーンすらあります。
文庫本で300ページに届かない、ディックとしてはやや短い長編ですが、100ページを過ぎたあたりからもう一難去ってまた一難の連続で、教祖ピークの運命の行方が気になって仕方がない。

その一方で、中年の堅物おやじセバスチャン・ヘルメスのうら若い愛妻ロッタと、若い警察官ジョウ・ティンベインとの不倫あり、はたまた堅物おやじセバスチャンが、あろうことか敵対する市民特殊図書館のアン・フィッシャーという若い娘 (魔性の女) の色香に迷う (これも図書館側の策略) という場面ありで、読者に息つく暇を与えてくれません。

ディック一流の現実崩壊SFにスパイ小説を加味したような異色の傑作長編でした。
逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)Amazon書評・レビュー:逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)より
415010526X
No.2:
(4pt)

グロテスク

1986年、突如世界は一変した。ホバート位相と呼ばれる逆転現象が地球規模で始まったのだ。墓から甦る死者。口から吐き戻されて元の形になる食物。吸い殻をくわえるとだんだん長くなっていく煙草。身体がだんだん若返り、ついには子宮に潜り込み、性交で卵子と精子に分離して女と男の身体に吸収されて消滅する。

 W・U・S(西アメリカ合衆国)の再生業者のヘルメスは、ユーディ教の創始者トマス・ピークを墓から掘り出し、再生することに成功した。しかし復活したピークをめぐって、焚書機関<消去局>―市民特殊図書館、ユーディ教=FNM(自由ニグロ共同体)、ローマ教会が三つどもえの暗闘を開始し、ヘルメスはその巨大な陰謀に巻き込まれることになる・・・・・・

 現実の混沌と狂気を悪趣味なまでに誇張し、悪夢の「超」現実世界を作りあげた傑作。

 絶望的に加速するエントロピー増大運動にあなたは耐えられるだろうか?
逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)Amazon書評・レビュー:逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)より
415010526X
No.1:
(3pt)

中ぐらい

ディックの作品中では中ぐらいの出来か。それにしてもちっとも逆まわりじゃない大雑把な世界が、そうであるがゆえに逆にポップだったりする。多くのディック作品同様、物語は破綻している。
逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)Amazon書評・レビュー:逆まわりの世界 (ハヤカワ文庫 SF 526)より
415010526X

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