火星に住むつもりかい?

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火星に住むつもりかい?の評価:

3.63/5点 レビュー 105件。 A ランク

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平均点3.63pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全160件 81〜100 5/8ページ
No.80
(4pt)

ぼくのりりっくのぼうよみ氏のあとがき

わかりやすいディストピアが舞台。
最後にディストピアの方向が変わりそうな終わり方をして、あーよかったねと読み終わった。
終わり方・伏線の回収もそこそこよかった。(自分の好きな他の伊坂幸太郎作品には劣るかなという印象)

でも、ぼくのりりっくのぼうよみ氏のあとがきを読んで、この小説への見方が変わった。
正義や各個々の見方が違うことを考えさせられた。
この小説の世界観ほどではなくても、自分の正義を職場で押し付けていないかなど考えさせられた。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.79
(4pt)

ぼくのりりっくのぼうよみ氏のあとがき

わかりやすいディストピアが舞台。
最後にディストピアの方向が変わりそうな終わり方をして、あーよかったねと読み終わった。
終わり方・伏線の回収もそこそこよかった。(自分の好きな他の伊坂幸太郎作品には劣るかなという印象)

でも、ぼくのりりっくのぼうよみ氏のあとがきを読んで、この小説への見方が変わった。
正義や各個々の見方が違うことを考えさせられた。
この小説の世界観ほどではなくても、自分の正義を職場で押し付けていないかなど考えさせられた。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.78
(4pt)

「天網恢恢疎にして漏らさず 」 の主語が、この小説のように、変りつつあるのでは、ということ?

「天網恢恢疎にして漏らさず 」 って言うのは、本来的には 【天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕らえる。お天道様は厳正で、悪いことをした人には必ずその報いがある】 要するに、お天道様は、あなたのことを天の上からみています。あまり悪いことはしないほうがよいですよ・・・・・でしょう。この警句・訓示の、あきらかに間違っているところは、「お天道様」なんて、100%存在しない、ということです。
 ただ、「お天道様」を「国家権力」にかえると、がぜん真実味をもちだす。著者は、そんな現代社会の道筋に、小説という、さり気無い様式で警句を発したのでしょう。

この作品では、仙台という限定された地域で、網の目も極めて粗い状態のお話ですが、データーを積み増せば良いだけの話ですので、良くも悪くもその気になれば、特定された人物の性向・行動様式くらいは調べられる時代になることだけは、確かなのでしょう。法的な問題は不明ですが・・・・・・
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.77
(4pt)

「天網恢恢疎にして漏らさず 」 の主語が、この小説のように、変りつつあるのでは、ということ?

「天網恢恢疎にして漏らさず 」 って言うのは、本来的には 【天網は目があらいようだが、悪人を漏らさず捕らえる。お天道様は厳正で、悪いことをした人には必ずその報いがある】 要するに、お天道様は、あなたのことを天の上からみています。あまり悪いことはしないほうがよいですよ・・・・・でしょう。この警句・訓示の、あきらかに間違っているところは、「お天道様」なんて、100%存在しない、ということです。
 ただ、「お天道様」を「国家権力」にかえると、がぜん真実味をもちだす。著者は、そんな現代社会の道筋に、小説という、さり気無い様式で警句を発したのでしょう。

この作品では、仙台という限定された地域で、網の目も極めて粗い状態のお話ですが、データーを積み増せば良いだけの話ですので、良くも悪くもその気になれば、特定された人物の性向・行動様式くらいは調べられる時代になることだけは、確かなのでしょう。法的な問題は不明ですが・・・・・・
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.76
(4pt)

あなたは火星に住むつもりかい?

相変わらず、伊坂幸太郎の作品に対して「伏線回収」だの「正義への相対性」などの感想を書いているレビューが多い。「平和警察というリアル感のない設定」に文句をいう感想もある。一方、私は物語が始まって直ぐに奥付を見た。単行本発刊が2015年2月。秘密保護法は執筆構想時に法案通過したはずだ(2013年末)。共謀罪法はまだ与党幹部の机の中に眠っている時だった。私は改めて伊坂幸太郎の時代に対する感度の良さに舌を巻いた。

レビュアーは他人事のように読んでいる人が多いが、「平和警察」の魔女狩りの仕組みは、間違いなく(2017年に成立した)現代の共謀罪法でも多くの部分は「理論的には可能」である。あの法律で刑法の原則は大きく変わった。犯罪を犯す前から逮捕することが可能になったのである。そして、密告をすれば共謀から逃れることができる仕組みまである(この作品はそこ迄酷くはなっていない笑)。この作品でも、「平和警察」の「本格始動」を防ごうとする人々が出現しては潰されていくが、その時に自分は公開処刑を愉しむ立場にいるのか?防ぐ立場にいるのか?を、今現在の日本を観て、考えこまないといけない作品である。

ーあなたは火星に住むつもりかい?
物語の登場人物に突きつけられたのではない。あなたに、突きつけられた言葉である。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.75
(4pt)

あなたは火星に住むつもりかい?

相変わらず、伊坂幸太郎の作品に対して「伏線回収」だの「正義への相対性」などの感想を書いているレビューが多い。「平和警察というリアル感のない設定」に文句をいう感想もある。一方、私は物語が始まって直ぐに奥付を見た。単行本発刊が2015年2月。秘密保護法は執筆構想時に法案通過したはずだ(2013年末)。共謀罪法はまだ与党幹部の机の中に眠っている時だった。私は改めて伊坂幸太郎の時代に対する感度の良さに舌を巻いた。

レビュアーは他人事のように読んでいる人が多いが、「平和警察」の魔女狩りの仕組みは、間違いなく(2017年に成立した)現代の共謀罪法でも多くの部分は「理論的には可能」である。あの法律で刑法の原則は大きく変わった。犯罪を犯す前から逮捕することが可能になったのである。そして、密告をすれば共謀から逃れることができる仕組みまである(この作品はそこ迄酷くはなっていない笑)。この作品でも、「平和警察」の「本格始動」を防ごうとする人々が出現しては潰されていくが、その時に自分は公開処刑を愉しむ立場にいるのか?防ぐ立場にいるのか?を、今現在の日本を観て、考えこまないといけない作品である。

ーあなたは火星に住むつもりかい?
物語の登場人物に突きつけられたのではない。あなたに、突きつけられた言葉である。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.74
(4pt)

ネタバレあり

文庫で読みました。
最初は『平和警察』が処刑をおこなうという世界観にダサい感じも覚えましたが
大枠は大枠に過ぎず、
読み終わる頃には伊坂氏お得意の展開にワクワクしながら読みました。
解説でぼくのりりっくのぼうよみさんも書かれておりましたが、
読んでいる途中、正義の味方を応援してしまいます。
ネタばらしがあったとしても、そしてその正義の味方が道中で罪を犯したとしても“許されること”として認識してしまう
最後まで読み切って
この物語は悪いことをしたら罰せられるんですよという物語ではなく
正義について、群衆について、人間について考えさせられる物語でした。
それもちょっと違うか。
虫と磁石について勉強になった物語でした。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.73
(4pt)

その「正義」は正しいのかい?

今作のテーマは「正義」。

SNSの出現により、誰しもが、自分の思う「正義」を
発信することが容易な時代になった。

その、顔も知らない誰かの発言は、
いまではネットを見ていなくても、
テレビのワイドショーなどを通して
嫌でも目に入ってくる。

政治問題から芸能人のゴシップ、
そして近所の飲食店で不快に感じたことまで。
まるで国民全員が常に、ネタ探しという名の「粗探し」をしているようだ。
(もちろん、良いニュースもたくさんある)

そのような現代社会を、
伊坂幸太郎フィルターを通して描いた
ディストピアが本作の舞台である。

その正義は正しいのか。
誰かの正義は、みんなの正義なのか。
賛同が集まれば、正義になるのか。
果たして正義の正体はなのか。

人類が直面するその社会構造のある側面を、
伊坂幸太郎ならではの、多くの登場人物たちの
多重に絡み合う物語によって描いている。

この問題にきっと答えは無いと思う。
それでもこのテーマに触れているかどうかで、
今の世の中を見る目が少し変わるのではないだろうか。

作中ではこんな風にいっている。
「悪なんて存在しません。全部が、正義と言ってもいいくらいで。」
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.72
(4pt)

ネタバレあり

文庫で読みました。
最初は『平和警察』が処刑をおこなうという世界観にダサい感じも覚えましたが
大枠は大枠に過ぎず、
読み終わる頃には伊坂氏お得意の展開にワクワクしながら読みました。
解説でぼくのりりっくのぼうよみさんも書かれておりましたが、
読んでいる途中、正義の味方を応援してしまいます。
ネタばらしがあったとしても、そしてその正義の味方が道中で罪を犯したとしても“許されること”として認識してしまう
最後まで読み切って
この物語は悪いことをしたら罰せられるんですよという物語ではなく
正義について、群衆について、人間について考えさせられる物語でした。
それもちょっと違うか。
虫と磁石について勉強になった物語でした。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.71
(4pt)

その「正義」は正しいのかい?

今作のテーマは「正義」。

SNSの出現により、誰しもが、自分の思う「正義」を
発信することが容易な時代になった。

その、顔も知らない誰かの発言は、
いまではネットを見ていなくても、
テレビのワイドショーなどを通して
嫌でも目に入ってくる。

政治問題から芸能人のゴシップ、
そして近所の飲食店で不快に感じたことまで。
まるで国民全員が常に、ネタ探しという名の「粗探し」をしているようだ。
(もちろん、良いニュースもたくさんある)

そのような現代社会を、
伊坂幸太郎フィルターを通して描いた
ディストピアが本作の舞台である。

その正義は正しいのか。
誰かの正義は、みんなの正義なのか。
賛同が集まれば、正義になるのか。
果たして正義の正体はなのか。

人類が直面するその社会構造のある側面を、
伊坂幸太郎ならではの、多くの登場人物たちの
多重に絡み合う物語によって描いている。

この問題にきっと答えは無いと思う。
それでもこのテーマに触れているかどうかで、
今の世の中を見る目が少し変わるのではないだろうか。

作中ではこんな風にいっている。
「悪なんて存在しません。全部が、正義と言ってもいいくらいで。」
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.70
(5pt)

久々にシビレました。

胸糞な描写がいくつかありますが、複数の視点から語られるシナリオが徐々に関係していき、最後には見事なオチがあるという点で伊坂ワールド全開のストーリー。完成度も高く、とっても面白い。

皆さん言うように、「正義」や「善悪」について非常に考えさせられる一冊です。この本を読んだときの感覚を忘れずに生きていけたらと思いました。今後も何度か読み返すことになりそうな予感がします、、

文庫本で読む方は、あとがきまで読むことをおすすめします。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.69
(5pt)

久々にシビレました。

胸糞な描写がいくつかありますが、複数の視点から語られるシナリオが徐々に関係していき、最後には見事なオチがあるという点で伊坂ワールド全開のストーリー。完成度も高く、とっても面白い。

皆さん言うように、「正義」や「善悪」について非常に考えさせられる一冊です。この本を読んだときの感覚を忘れずに生きていけたらと思いました。今後も何度か読み返すことになりそうな予感がします、、

文庫本で読む方は、あとがきまで読むことをおすすめします。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.68
(2pt)

拷問やその他の暴力描写が耐えられない

物語の人物に自己を投影させたり、感情移入しやすい読者がこの作品に向き合うと、序盤から本を閉じたくなるのではと思います。
自身に愛する両親や配偶者、子供がいるのであれば、その感情はより一層強まります。
終盤へ向かうためのストーリー上の展開、伊坂さんの伝えたいメッセージのために必要な描写だとは思いますが、フィクションだと割り切って読むことは私にはできませんでした。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.67
(2pt)

拷問やその他の暴力描写が耐えられない

物語の人物に自己を投影させたり、感情移入しやすい読者がこの作品に向き合うと、序盤から本を閉じたくなるのではと思います。
自身に愛する両親や配偶者、子供がいるのであれば、その感情はより一層強まります。
終盤へ向かうためのストーリー上の展開、伊坂さんの伝えたいメッセージのために必要な描写だとは思いますが、フィクションだと割り切って読むことは私にはできませんでした。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.66
(5pt)

今って結構ディストピア

正義とは何か。
特にこの数年、正義はふわふわと相対化し、腑に落ちにくい。
替わって、正義よりも大切になってきたのは、多数派だ。
何か事が起こっても、まずすべきなのは「どちらが多数派になるんだろう」という見極め、つまり自分の判断の留保だ。
うっかり、早急に判断した結果、自分が孤立してしまうのはとても怖いから。
ここに描かれる平和警察の面々は、嫌な奴ばかりで好感を持てない。
しかしそういう集団が警察という名を名乗ると、「警察の判断だから正しい」と受け止められ、昨日までの善き隣人に対する評価は「やっぱり悪い人だったんだ」と一転してしまう。
これは一体どういう事なのだろう。
昨日までの自分の判断をいとも簡単に覆しても、別に落ち込んだり悔しかったり腹が立ったりしない。
正義は相対化し、自分自身の判断は情報によっていとも簡単に置き換えられてしまう。
「あの人はそんな事をするような人ではありません!」と叫ぶことは、もうあり得ないのだろうか。
この物語のヒーローも、正義とは呼べない。
それらしい自信はかけらも見当たらない。
でも、奥さんへの愛情とか、自分の手に届く数少ない人たちへの想いは、本物だった。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.65
(5pt)

今って結構ディストピア

正義とは何か。
特にこの数年、正義はふわふわと相対化し、腑に落ちにくい。
替わって、正義よりも大切になってきたのは、多数派だ。
何か事が起こっても、まずすべきなのは「どちらが多数派になるんだろう」という見極め、つまり自分の判断の留保だ。
うっかり、早急に判断した結果、自分が孤立してしまうのはとても怖いから。
ここに描かれる平和警察の面々は、嫌な奴ばかりで好感を持てない。
しかしそういう集団が警察という名を名乗ると、「警察の判断だから正しい」と受け止められ、昨日までの善き隣人に対する評価は「やっぱり悪い人だったんだ」と一転してしまう。
これは一体どういう事なのだろう。
昨日までの自分の判断をいとも簡単に覆しても、別に落ち込んだり悔しかったり腹が立ったりしない。
正義は相対化し、自分自身の判断は情報によっていとも簡単に置き換えられてしまう。
「あの人はそんな事をするような人ではありません!」と叫ぶことは、もうあり得ないのだろうか。
この物語のヒーローも、正義とは呼べない。
それらしい自信はかけらも見当たらない。
でも、奥さんへの愛情とか、自分の手に届く数少ない人たちへの想いは、本物だった。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.64
(5pt)

「正義」について何度も思いを巡らせる。

監視と密告によって疑心暗鬼にまみれた仙台が舞台の物語。
『ゴールデンスランバー』で描かれたモチーフに、別の側面から迫った印象がありました。
序盤で恐ろしい描写が続かれたのちの、中盤からのめくるめく展開の妙には快感と驚きを覚えるばかり。
そして、娯楽として楽しむだけでなく、「正義」について何度も考えさせられるところもまたすごいと思います。
巻末のぼくのりりっくのぼうよみの解説を読むと、物語を読む過程で捏ね上げた私自身の「正義」がさらにひっくり返され、ここでもまた驚かされました。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.63
(5pt)

「正義」について何度も思いを巡らせる。

監視と密告によって疑心暗鬼にまみれた仙台が舞台の物語。
『ゴールデンスランバー』で描かれたモチーフに、別の側面から迫った印象がありました。
序盤で恐ろしい描写が続かれたのちの、中盤からのめくるめく展開の妙には快感と驚きを覚えるばかり。
そして、娯楽として楽しむだけでなく、「正義」について何度も考えさせられるところもまたすごいと思います。
巻末のぼくのりりっくのぼうよみの解説を読むと、物語を読む過程で捏ね上げた私自身の「正義」がさらにひっくり返され、ここでもまた驚かされました。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893
No.62
(4pt)

監視社会への警鐘、個人の"正義感・倫理観"の考察、人間の生存競争の描写などの多様な要素を織り込みながら、飽くまでエンターテインメント小説として前向きに仕上げている快作

本作の冒頭を読んだ時は、「何だ、オーウェル『1984年』の焼き直しかよっ」、と舌打ちしたのだが、読後は"伊坂ワールド"全開の秀作だと思った。実際、「平和警察」(皮肉タップリの呼称)という名の監視・虐殺機関が新設された近未来の日本を舞台にしているのだが、これをディストピア小説とはせずに、飽くまでエンターテインメント小説として前向きに仕上げている点が如何にも作者らしい。

「平和警察」は無実の人々を拷問・虐殺・公開処刑してしまう(まさに「魔女狩り」)のだが、そうした被害者達の"一部"を助ける文字通り「正義のヒーロー」が登場する。一方、「平和警察」とは微妙な距離感を取る"ヒッピー姿の杉下右京"の様な真壁という名の特別捜査官が警察庁から派遣され、この真壁が「正義のヒーロー」の正体を追求するという一見漫画チックの体裁だが、実は非常に良く練られている。「正義のヒーロー」が強大な権力に何故1人で立ち向かうのかという問題も勿論あるが、一番のテーマは、何故"一部"だけを助けるのかという点である。物理的に全員を助けるのは無理と言ってしまえば身もフタもないが、それなら何らかの選択基準がある筈で、作者は個人の"正義感・倫理観"に焦点を当てているのである。即ち、人は他者の幸不幸に対してどれだけ責任を持つべきかを真摯かつユーモアに包んで問い掛けているのである。同時に、人はあるキッカケで自身の"正義感・倫理観"を脆くも崩してしまうという警鐘を鳴らしている。更に、「平和警察」、「正義のヒーロー」及び真壁間の"正義"が全く異質の様でいて、実は紙一重である事を示唆している点も見逃せない。

本作がミステリ指向とは思わないが、前半のさりげない描写が、後半、突如として有機的な繋がりを有して活きて来るという伏線の回収及びミスディレクションの腕も冴え渡っている。また、真壁が良く口にする<虫>の生態を通じて、人間の生存競争をも描いている点にも感心した。まさに快作と呼ぶに相応しい出来だと思った。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334776280
No.61
(4pt)

監視社会への警鐘、個人の"正義感・倫理観"の考察、人間の生存競争の描写などの多様な要素を織り込みながら、飽くまでエンターテインメント小説として前向きに仕上げている快作

本作の冒頭を読んだ時は、「何だ、オーウェル『1984年』の焼き直しかよっ」、と舌打ちしたのだが、読後は"伊坂ワールド"全開の秀作だと思った。実際、「平和警察」(皮肉タップリの呼称)という名の監視・虐殺機関が新設された近未来の日本を舞台にしているのだが、これをディストピア小説とはせずに、飽くまでエンターテインメント小説として前向きに仕上げている点が如何にも作者らしい。

「平和警察」は無実の人々を拷問・虐殺・公開処刑してしまう(まさに「魔女狩り」)のだが、そうした被害者達の"一部"を助ける文字通り「正義のヒーロー」が登場する。一方、「平和警察」とは微妙な距離感を取る"ヒッピー姿の杉下右京"の様な真壁という名の特別捜査官が警察庁から派遣され、この真壁が「正義のヒーロー」の正体を追求するという一見漫画チックの体裁だが、実は非常に良く練られている。「正義のヒーロー」が強大な権力に何故1人で立ち向かうのかという問題も勿論あるが、一番のテーマは、何故"一部"だけを助けるのかという点である。物理的に全員を助けるのは無理と言ってしまえば身もフタもないが、それなら何らかの選択基準がある筈で、作者は個人の"正義感・倫理観"に焦点を当てているのである。即ち、人は他者の幸不幸に対してどれだけ責任を持つべきかを真摯かつユーモアに包んで問い掛けているのである。同時に、人はあるキッカケで自身の"正義感・倫理観"を脆くも崩してしまうという警鐘を鳴らしている。更に、「平和警察」、「正義のヒーロー」及び真壁間の"正義"が全く異質の様でいて、実は紙一重である事を示唆している点も見逃せない。

本作がミステリ指向とは思わないが、前半のさりげない描写が、後半、突如として有機的な繋がりを有して活きて来るという伏線の回収及びミスディレクションの腕も冴え渡っている。また、真壁が良く口にする<虫>の生態を通じて、人間の生存競争をも描いている点にも感心した。まさに快作と呼ぶに相応しい出来だと思った。
火星に住むつもりかい? Amazon書評・レビュー: 火星に住むつもりかい?より
4334929893