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さよならバースディ



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【この小説が収録されている参考書籍】
さよならバースディ
さよならバースディ (集英社文庫)

さよならバースディの評価: 3.56/5点 レビュー 32件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.56pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

研究者という人種の頑なさと悲しさ

田中真という、珍しいくらい狭量な研究者の視点で描かれる。真は、研究と研究生活のことしか考えていない。学会の発表さえも、普段の研究に影響を及ぼすという理由で断るくらいである。これは初学者としては讃えられても、研究センターの助手としては失格である。途中、1年間、どこにも発表していないという件が出てくる。途中経過でも、仮説でも、方法論でもいいから、発表して、批判を受けるべきである。研究は発表して、なんぼである。なぜなら、他の専門家の目をくぐり抜けてない研究結果はゴミだからだ。発表は、偏見に基づいた研究の進め方を矯正するために、他者の目を借りるにすぎない。専門家の意地悪な意見に晒されても生き残ったものだけが研究結果として、世に残る価値がある。田中真には、そのことだけはきっちり言っておきたいが、研究がある財団の資金でなされていることと相まって、物語の大事な要素になっている。荻原さんは、そのことを承知で書いているんだろうと思う。
 物語は切ない。田中真という、研究バカの視野の狭さが生んだ悲劇と言っていい。
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.15:
(5pt)

終わりのほうがよいミステリー

この物語にはよいところがたくさんありますが、特に終わりのほうがよいと思います。最後に、研究プロジェクトの二人の関係者のミステリアスな死が理解でき、読み終えると感動します。なお、主人公はとても同情しやすい人なので、推薦する本であります。
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.14:
(5pt)

安く買えるし、家まで配達してもらえるのでとても気に入っています。

安く買えるし、家まで配達してもらえるのでとても気に入っています。
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.13:
(4pt)

ミステリという感じではない

事件の目撃者が知能の高い言語学習中の猿というちょっと変わった作品で、
主人公は真相を知る為に彼との勉強にのめりこむ
猿とのやりとりはコミカルで面白いのだが話は中々進まず、ややもどかしい
ただラストの展開は悪くないのだが、その程度で自殺するだろうかと思ってしまった
まあそれなりに楽しめる作品だろう
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4087462951
No.12:
(4pt)

ラストシーンがマル

率直に言って、展開、設定は強引だと思います。
恐らく作者はラストシーンに全てをかけていたのでは
ないでしょうか。
ここに響く人は○。響かない人は×、の評価なのでしょう。
でも、単行本の時は酷評多数でした。(荻原さんの作品は
好きなので擁護に回ったくらい)
なのに、文庫になると随分評価が高いですね。
不思議です。
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4087462951
No.11:
(4pt)

あいしてる

著者らしいパロディは一切抜きの、非常に切ないミステリー。
バースディと名付けられたチンパンジーと、会話が出来るかを研究するのだが、二人の研究者が死に、その事に関して謎が多い。
研究者間の繊細な恋心が全体を貫いているのだが、その恋人が、飛び降り自殺をしてしまう。
その真相を突き止めるべく、調べられるのだが、段々と気が重くなってくる。
しかし、このどんよりとした真相の中に、本当の真実がある。
その真実が、最終場面で、バースデーと会話をする形で明らかになる。
作品は、知りたくも無い現実を語りかけてくる。
それにしても、こんな結末も、それに至る過程も、悲し過ぎる。
緻密なミステリーではあるが、どんよりと気が重い。
決して清々しくはないが、読後感に、特別な重みを感じる。
あいしてる、そして、さよなら。
バースディにお疲れ様という言葉に代えて、レーズンバターをあげたい。
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4087462951
No.10:
(5pt)

霊長類学に最近興味があったので

「霊長類」という言葉は「primates(第一のもの)」という英語の和訳であり、キリスト教的な、ヒトが他の生物に比べて特別なものである、という考えが表れていてあまり好きではない。
かつてヒトのみが行いうる行為(ヒトと他の類人猿との違い)として数十の項目が挙げられていたが、そのうちのいくつかは否定されている。
たとえば現在では、野生において道具を作成するチンパンジーや、ある種の植物を薬として使用するもの、自然火災で生じた火を使用するもの、高度な心理機能といわれる虚偽表示を行うものも確認されているという。
言語の使用もヒトを特徴づけるもののひとつであるが、類人猿も訓練を施すことで手話や文字による言語習得が可能であることは広く知られている。
この本は霊長類研究センターを舞台とし、ボノボのバースディに言語習得プログラムを行う研究者が主人公である。
ひとりの大学院生の自殺を期に、一年前の助教授の自殺、研究所の暗部などを絡めストーリーが進行していく。
彼女はなぜ死んだのか―バースディが見た真相を解き明かしていくミステリーといえる。
理科系の研究が話の重要なポイントになっているが、理系くさい小説ではなく(筆者は理系じゃないし主人公も文学部出身)読みやすい。
ミステリーとしてはやや深みにかけ、先も読めてしまうところがあるが、ラストはなかなか感動的だ。
私は筆者の他の作品も知らないし、そもそもミステリーだと思って読まなかったので面白かった。
解説に、現在の世の中では「愛している」という言葉のリアリティーは失われている、とある。
確かに巷ではやたら「愛してる」と連呼する歌が多いが、本来高尚な「愛している」という言葉がひどく薄っぺらな安っぽい言葉になってしまっていると思う。
だが解説者と同じく私にとっても、この本における「あいしてる」という言葉は真の感動をともなうものであった。
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.9:
(5pt)

ミステリーとしては☆3くらい

ミステリーとして考えなければ個人的に文句のない作品でした。
現在荻原作品が本棚に8冊並んでいますが、個人的にはこれが一番です。
「言葉がわかるボノボが中心」という設定にまず驚かされ、
バースディの愛くるしさ、真の熱情、教授陣との確執、岡崎との友情、など、
細かな見所で溢れていて、それだけでも物語として非常に楽しめるのですが、
特に最後の「対話」は圧巻でした。
陳腐な恋愛小説やラブソングが幅を利かせている昨今、
これほど一語一語に重みのある愛情表現はあまり見られないと思います。
久しぶりの一気読みでした。ただただ感動です。
でも、好き嫌いは分かれるでしょう。
荻原さんらしいユーモアを求めてもしっくりこないし、
本格的なトリックを用いたミステリーを求めてもしっくりこないとは思います。
この作品の評価があまり芳しくないのはそのへんのせいではないかなと。
先入観なしに触れてほしい物語です。
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.8:
(4pt)

ばー すき ゆき まこ

多彩な作風を持つ作者が、文字盤を介して人間と会話(100単語程度)出来る「バースディ」と言う名前の天才ボノボをモチーフにした切ない愛情物語。主人公は奥多摩にある霊長類研究センターでバースディを研究する真と言う青年。この研究プロジェクトのリーダは安達と言う助教授だったが、一年前に自殺している。真は研究仲間の由紀と恋人関係にある。プロジェクトの表向きのリーダは野坂という教授だが、マスコミ受けと体面だけを気にしている。野坂の存在は、学界・研究室における権力闘争、閉鎖性、徒弟制度を暗示する。
真が勇気を奮って由紀にプロポーズした晩、何故か由紀はバースディの居る実験室(5F)に戻り、そこから飛び降り自殺してしまう。ミステリ的に考えれば、二つの事件は本当に自殺なのか疑念が湧く。更に興味深いのは、バースディは由紀の事件の目撃者で、その能力を持ってすれば、バースディの"証言"が聞ける可能性があると言う点である。北川歩実氏「猿の証言」を思わせる。真も同じ事を考えるが、由紀の死に動揺しているため、バースディと上手くコンタクトが取れない。この辺、謎解きよりも真と由紀の愛情物語に比重が置かれているようである。ボノボの膂力が人間の何倍もあると作中で強調されている事を考えれば、最悪のケースも想定される。プロジェクト中止の予想の中、真はバースディとの会話に飽くまで固執する。そんな中、真は研究センターの数名が寄付金を着服しているとの噂を聞く。そして、研究センターの窓口理事の口から漏れたのは驚愕の真相...。
研究センターを取り巻く黒い霧の中、バースディ・由紀・真の動物と人間の境を越えた愛情物語が読者の心を切なくさせる秀作。
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No.7:
(5pt)

「一言が重たい」 切なすぎる物語りです

読み終わったばかりですが、胸が苦しくて切ない。
この作者は、どうしてこんなに人の心を動かすのでしょう。
バースデイはサル(性格にはボノボ)の名前。
話はある大学の「類人猿の言語学習」のプロジェクトチームにて始まります。
主人公の真は、尊敬する安達教授の突然の自殺によって、現場責任者となり推敲を重ねる毎日。
密かに付き合う大学院生の由紀との仲も上々。
意を決した真が由紀にプロポーズした夜、彼女は突然の死を遂げる。投身自殺・・・
真はその現場にいたバースデイから、真相を聞きだそうとするのだが、周囲は真を狂人扱いしていく。
そこに大学という「狭き世界」の不条理なルールと支援金の不正使用が加わって。。。
おそらく読者は途中で犯人が誰か気づいてしまうと思います。
その後「こうならなければいいな」と思いながらページをめくるのでしょう。
このストーリーのポイントは「言葉」と「コミュニケーション」だと思います。
最後に出てくる「あいしてる」が、言語が少ししかわからず、コミュニケーションが非常に困難なボノボから発せられるというところに、このストーリーが凝縮されています。
(人の口から出てきたら軽薄な一言としか思えない現代人の悲しさよ)
そのもどかしさが、この話を深く、深くしていると思わずにはいられません。
すばらしい物語りでした!
さよならバースディ (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:さよならバースディ (集英社文庫)より
4087462951
No.6:
(5pt)

バースディのその後が知りたくなります!

私にとって初めての荻原作品でした。
表紙にもとても惹かれました。
荻原さんがどのような物をかかれる方なのか、全く知らずに手にしたのですが、読了後、しばらくは他の本を読み始められないくらい、胸をうたれました。とても切なくて・・・・バースディの健気な態度や愛らしさに何度も泣いてしまいました。人に薦めたいような、薦めたくないような・・・・・他の荻原作品も最近少しずつ読んでいますが、私にとっては、いまのところこの本が一番!
荻原さんに「この本を書いてくださって有難うございます」って言いたいし、バースディのその後がとても知りたいと思います。純粋で、可愛くて、あたたかいバースディに是非いつか又会わせてください!
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No.5:
(4pt)

良質なエンターテイメント

「神様からひとこと」「メリーゴーランド」
「明日の記憶」に続いて読みました。
前の3作に比べると、読み応えは劣りますが
作品としてはまずまずだと思います。
確かに、「ミステリー」「ラブストーリー」としては
中途半端かもしれないけれど、
ボノボと主人公の間に交わされる会話のユーモアや
ラストの簡単な言葉のやりとりで、ぐっと心をつかむところは
さすがだなあと思いました。
さよならバースディAmazon書評・レビュー:さよならバースディより
4087747719
No.4:
(4pt)

感動する

着眼点がすごいと思いました。この設定は、中々考えられないと思います。文章も非常に読みやすく、感動できると思います。少し不満だったのは、恋人と教授の死の理由がちょっとあっさりしていた事でしょうか。主人公がようやく辿り着いた恋人の死の真相に、読者が納得するだろうか?と思いました。たぶんミステリーとして読んでいると、「果たして真相は?犯人は?」とドキドキワクワクすると思うのですが、読み終えると「へー、そうだったの。」みたいにちょっと残念な感じになると思います。これはミステリーじゃなくて、ボノボと人間の交流の話として読んでください
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No.3:
(4pt)

永いお別れ

 ミステリの技巧を小説的な効果、カタルシスにまで高めた例としては、近年では乾くるみ『イニシエーション・ラブ』が挙げられるだろう。この作品は、大胆な叙述的操作を以てまさに「最後の一撃」的なサプライズを読者に与え、昨年(2004年)の話題作となったが、その結末の衝撃は同時に恋愛小説におけるある種の残酷さを絶妙に切り取って余りあるものだった。 現代における物語作家として、重松清と並ぶほどの手腕を発揮していると思われる本書の作者は、またミステリに近接する作品もいくつも物しており、ミステリファンとしては気になる存在である。本作はそういう読者には特に魅力的に映るのではないか。――類人猿における言語的コミュニケーションの発達の研究に携わる若き研究者が巻き込まれたふたつの自殺事件。この背後関係は物語後半で明らかにされるが、本作の主眼はそこにはない。本作のメインテーマはコミュニケーションという現象に関するある種の神秘性なのだ。こういってよいのならば、コミュニカティヴであるという事の奇跡。――このテーマを演出するため、作者はミステリ定番の技法であるミスディレクションを実に効果的に、劇的なかたちで導入した。果たして、本作はヒューマニスティックな現代小説か、それとも寓話的な恋愛小説か。だけれども、読了したあとで読者が感じるのは、コミュニカティヴであることとディスコミュニカティヴであることの間にある深淵なのではないか。「誤導」することされること自体が、それを体現している。 「さよなら、バースディ」という台詞にこめられた、苦さと哀しみが胸を打つ。
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No.2:
(4pt)

予想通り悲しい話

題名からも推察される悲しい話。笑いは少ないが、話の展開はしっかりしていた。前半はちょっと退屈な部分もあるが、後半から一気に読ませます。同氏の得意なちょっと悲しい話だが、今回も涙腺が緩くなります。
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No.1:
(4pt)

お猿さんだけが知っている

主人公はボノボというサルに言葉を教える若い学者です。上にいる教授は俗物ながらも充実した日々をボノボのバースディと学生たちとそして特別な存在になった女子学生と過ごしていました。しかし,そこには死の影が濃く漂っていました。急転直下の奈落の底に突き落とされます。闇は晴らされるのでしょうか?お猿さんだけが真相を知っているのかもしれず必死の調査が始まります。という象牙の塔ミステリ恋愛小説です。荻原浩作品としては笑い少なめ切なさ多めでした。山本周五郎賞受賞後第1作。
さよならバースディAmazon書評・レビュー:さよならバースディより
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