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さよならバースディ
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さよならバースディの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.56pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全32件 1~20 1/2ページ
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田中真という、珍しいくらい狭量な研究者の視点で描かれる。真は、研究と研究生活のことしか考えていない。学会の発表さえも、普段の研究に影響を及ぼすという理由で断るくらいである。これは初学者としては讃えられても、研究センターの助手としては失格である。途中、1年間、どこにも発表していないという件が出てくる。途中経過でも、仮説でも、方法論でもいいから、発表して、批判を受けるべきである。研究は発表して、なんぼである。なぜなら、他の専門家の目をくぐり抜けてない研究結果はゴミだからだ。発表は、偏見に基づいた研究の進め方を矯正するために、他者の目を借りるにすぎない。専門家の意地悪な意見に晒されても生き残ったものだけが研究結果として、世に残る価値がある。田中真には、そのことだけはきっちり言っておきたいが、研究がある財団の資金でなされていることと相まって、物語の大事な要素になっている。荻原さんは、そのことを承知で書いているんだろうと思う。 物語は切ない。田中真という、研究バカの視野の狭さが生んだ悲劇と言っていい。 | ||||
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この物語にはよいところがたくさんありますが、特に終わりのほうがよいと思います。最後に、研究プロジェクトの二人の関係者のミステリアスな死が理解でき、読み終えると感動します。なお、主人公はとても同情しやすい人なので、推薦する本であります。 | ||||
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愛は霧のかなたに っていう映画があって 僕はこの映画が好きだったんだけれど どうしても重なってしまって こちらはミステリー要素が濃いし 良く書けているけれども 映画と比べてしまって★三つ | ||||
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ほぼ新品、は偽りあり。中古と書いてくれてれば納得したのに。某チェーン店の値札が重ね貼りされてるは…さすがに。 | ||||
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安く買えるし、家まで配達してもらえるのでとても気に入っています。 | ||||
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事件の目撃者が知能の高い言語学習中の猿というちょっと変わった作品で、 主人公は真相を知る為に彼との勉強にのめりこむ 猿とのやりとりはコミカルで面白いのだが話は中々進まず、ややもどかしい ただラストの展開は悪くないのだが、その程度で自殺するだろうかと思ってしまった まあそれなりに楽しめる作品だろう | ||||
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なんとなくタイトルから結末は予想できていた。 せつないお話だったけど、特に何も残らない。 | ||||
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率直に言って、展開、設定は強引だと思います。 恐らく作者はラストシーンに全てをかけていたのでは ないでしょうか。 ここに響く人は○。響かない人は×、の評価なのでしょう。 でも、単行本の時は酷評多数でした。(荻原さんの作品は 好きなので擁護に回ったくらい) なのに、文庫になると随分評価が高いですね。 不思議です。 | ||||
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著者らしいパロディは一切抜きの、非常に切ないミステリー。 バースディと名付けられたチンパンジーと、会話が出来るかを研究するのだが、二人の研究者が死に、その事に関して謎が多い。 研究者間の繊細な恋心が全体を貫いているのだが、その恋人が、飛び降り自殺をしてしまう。 その真相を突き止めるべく、調べられるのだが、段々と気が重くなってくる。 しかし、このどんよりとした真相の中に、本当の真実がある。 その真実が、最終場面で、バースデーと会話をする形で明らかになる。 作品は、知りたくも無い現実を語りかけてくる。 それにしても、こんな結末も、それに至る過程も、悲し過ぎる。 緻密なミステリーではあるが、どんよりと気が重い。 決して清々しくはないが、読後感に、特別な重みを感じる。 あいしてる、そして、さよなら。 バースディにお疲れ様という言葉に代えて、レーズンバターをあげたい。 | ||||
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「霊長類」という言葉は「primates(第一のもの)」という英語の和訳であり、キリスト教的な、ヒトが他の生物に比べて特別なものである、という考えが表れていてあまり好きではない。 かつてヒトのみが行いうる行為(ヒトと他の類人猿との違い)として数十の項目が挙げられていたが、そのうちのいくつかは否定されている。 たとえば現在では、野生において道具を作成するチンパンジーや、ある種の植物を薬として使用するもの、自然火災で生じた火を使用するもの、高度な心理機能といわれる虚偽表示を行うものも確認されているという。 言語の使用もヒトを特徴づけるもののひとつであるが、類人猿も訓練を施すことで手話や文字による言語習得が可能であることは広く知られている。 この本は霊長類研究センターを舞台とし、ボノボのバースディに言語習得プログラムを行う研究者が主人公である。 ひとりの大学院生の自殺を期に、一年前の助教授の自殺、研究所の暗部などを絡めストーリーが進行していく。 彼女はなぜ死んだのか―バースディが見た真相を解き明かしていくミステリーといえる。 理科系の研究が話の重要なポイントになっているが、理系くさい小説ではなく(筆者は理系じゃないし主人公も文学部出身)読みやすい。 ミステリーとしてはやや深みにかけ、先も読めてしまうところがあるが、ラストはなかなか感動的だ。 私は筆者の他の作品も知らないし、そもそもミステリーだと思って読まなかったので面白かった。 解説に、現在の世の中では「愛している」という言葉のリアリティーは失われている、とある。 確かに巷ではやたら「愛してる」と連呼する歌が多いが、本来高尚な「愛している」という言葉がひどく薄っぺらな安っぽい言葉になってしまっていると思う。 だが解説者と同じく私にとっても、この本における「あいしてる」という言葉は真の感動をともなうものであった。 | ||||
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ミステリーとして考えなければ個人的に文句のない作品でした。 現在荻原作品が本棚に8冊並んでいますが、個人的にはこれが一番です。 「言葉がわかるボノボが中心」という設定にまず驚かされ、 バースディの愛くるしさ、真の熱情、教授陣との確執、岡崎との友情、など、 細かな見所で溢れていて、それだけでも物語として非常に楽しめるのですが、 特に最後の「対話」は圧巻でした。 陳腐な恋愛小説やラブソングが幅を利かせている昨今、 これほど一語一語に重みのある愛情表現はあまり見られないと思います。 久しぶりの一気読みでした。ただただ感動です。 でも、好き嫌いは分かれるでしょう。 荻原さんらしいユーモアを求めてもしっくりこないし、 本格的なトリックを用いたミステリーを求めてもしっくりこないとは思います。 この作品の評価があまり芳しくないのはそのへんのせいではないかなと。 先入観なしに触れてほしい物語です。 | ||||
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荻原浩の小説は外さない、と個人的にも強く思ってますし、荻原浩の本を読むときは 「今回はどのように楽しませてくれるのか」期待に胸を膨らませながら読むのですが、 これまで読んだ荻原作品の中では個人的には一番つまらなかったです。 正直なところ、結婚まで考えていた彼女の事を、そこまで知らないのか?と正直呆れ ましたし、それより何より、最後まで彼女は死ぬほどの理由があったのか、と納得が 行きませんでした。 言葉の分かる類人猿を重要登場人物として起用する、という手法は面白いと思いました がそれ以上でもそれ以下でもないかな…。個人的に荻原作品のファンなので、どうしても 点数が辛くなってしまう。こんなもんじゃないでしょ!という感じかなあ。 | ||||
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多彩な作風を持つ作者が、文字盤を介して人間と会話(100単語程度)出来る「バースディ」と言う名前の天才ボノボをモチーフにした切ない愛情物語。主人公は奥多摩にある霊長類研究センターでバースディを研究する真と言う青年。この研究プロジェクトのリーダは安達と言う助教授だったが、一年前に自殺している。真は研究仲間の由紀と恋人関係にある。プロジェクトの表向きのリーダは野坂という教授だが、マスコミ受けと体面だけを気にしている。野坂の存在は、学界・研究室における権力闘争、閉鎖性、徒弟制度を暗示する。 真が勇気を奮って由紀にプロポーズした晩、何故か由紀はバースディの居る実験室(5F)に戻り、そこから飛び降り自殺してしまう。ミステリ的に考えれば、二つの事件は本当に自殺なのか疑念が湧く。更に興味深いのは、バースディは由紀の事件の目撃者で、その能力を持ってすれば、バースディの"証言"が聞ける可能性があると言う点である。北川歩実氏「猿の証言」を思わせる。真も同じ事を考えるが、由紀の死に動揺しているため、バースディと上手くコンタクトが取れない。この辺、謎解きよりも真と由紀の愛情物語に比重が置かれているようである。ボノボの膂力が人間の何倍もあると作中で強調されている事を考えれば、最悪のケースも想定される。プロジェクト中止の予想の中、真はバースディとの会話に飽くまで固執する。そんな中、真は研究センターの数名が寄付金を着服しているとの噂を聞く。そして、研究センターの窓口理事の口から漏れたのは驚愕の真相...。 研究センターを取り巻く黒い霧の中、バースディ・由紀・真の動物と人間の境を越えた愛情物語が読者の心を切なくさせる秀作。 | ||||
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読み終わったばかりですが、胸が苦しくて切ない。 この作者は、どうしてこんなに人の心を動かすのでしょう。 バースデイはサル(性格にはボノボ)の名前。 話はある大学の「類人猿の言語学習」のプロジェクトチームにて始まります。 主人公の真は、尊敬する安達教授の突然の自殺によって、現場責任者となり推敲を重ねる毎日。 密かに付き合う大学院生の由紀との仲も上々。 意を決した真が由紀にプロポーズした夜、彼女は突然の死を遂げる。投身自殺・・・ 真はその現場にいたバースデイから、真相を聞きだそうとするのだが、周囲は真を狂人扱いしていく。 そこに大学という「狭き世界」の不条理なルールと支援金の不正使用が加わって。。。 おそらく読者は途中で犯人が誰か気づいてしまうと思います。 その後「こうならなければいいな」と思いながらページをめくるのでしょう。 このストーリーのポイントは「言葉」と「コミュニケーション」だと思います。 最後に出てくる「あいしてる」が、言語が少ししかわからず、コミュニケーションが非常に困難なボノボから発せられるというところに、このストーリーが凝縮されています。 (人の口から出てきたら軽薄な一言としか思えない現代人の悲しさよ) そのもどかしさが、この話を深く、深くしていると思わずにはいられません。 すばらしい物語りでした! | ||||
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私にとって初めての荻原作品でした。 表紙にもとても惹かれました。 荻原さんがどのような物をかかれる方なのか、全く知らずに手にしたのですが、読了後、しばらくは他の本を読み始められないくらい、胸をうたれました。とても切なくて・・・・バースディの健気な態度や愛らしさに何度も泣いてしまいました。人に薦めたいような、薦めたくないような・・・・・他の荻原作品も最近少しずつ読んでいますが、私にとっては、いまのところこの本が一番! 荻原さんに「この本を書いてくださって有難うございます」って言いたいし、バースディのその後がとても知りたいと思います。純粋で、可愛くて、あたたかいバースディに是非いつか又会わせてください! | ||||
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人間の言葉を理解するサルに着目している点はなかなかユニーク。不夜城といわれる研究機関での生活ぶり,今でも色濃く残る徒弟制度風の人事,不透明な会計処理など,大学特有の問題点にも言及されており,大学生活が長かったワタシにはとっつきやすい作品ではあります。 荻原流のユーモアたっぷりの表現は影をひそめ,シリアスタッチのミステリに特化している印象を受けますが,その割には助教授の自殺理由や由紀の身投げの理由が軽すぎ。前述した大学内の問題提起も,多くは回収されないまま終わります。 ミステリとしての完成度は「噂」の方が上かなあ。そんな中でもこの作品が作品として成立しているのは,ラストシーンでの真とバースデイの「対話」の必死さが伝わってくるからでしょうか。 | ||||
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ボノボとのコミュニケーションの研究に打ち込む青年田中が、突如味わった研究仲間でもある恋人の死。その死の原因究明をメインにしたミステリーだが、人間関係、恋人の死にまつわる不審な点等簡単に読めてしまう点がミステリーとしては致命的。ボノボと主人公のやり取りは微笑ましいし、動物を人間の都合で保護したり、駆逐したりすることへの問題提起などもなされていてドラマとしてよい部分もあるだけに勿体無いと思う。 | ||||
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ラストの場面、主人公と今は亡き恋人との会話が切なくて、BGMとして流れる"Calling You"が哀しくて、とても心に残る作品でした。 改めて原作に当たると…とても心が痛くなりました。自分自身の経歴とも接点があるようなないような…。閉ざされた研究者の世界での、むしろ一般の世界よりもドロドロした人間関係の嫌な部分には十分納得が行きました。 ほんの些細なところに、昔の自分や自分を取り巻いていた環境など重なる部分が感じられて、妙に感情移入して読んでしまいました。 お蔭で、本当に久しぶりなくらいしっかりと、悲しい気分になりました。 主人公が女性の心の動きや、学内政治に疎いところも、いかにもいそうなタイプだと思わせてくれました。…でも心理学屋さんがそんな無垢な気持ちのまま生きていけるんでしょうかね? ミステリーとしての完成度は…分かりません。でも叙情的な作品としては完成されていると思います。 | ||||
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そうか、今回はミステリーか? しかし、この著者の引き出しは多種多様で毎回びっくりさせられる。 頭が下がるなー さて、内容だが 私は荻原さんにこういうミステリーものを望まないなー。 今の世相から言って、「死」を題材にするのは避けたい。 どちらかと言うと「メリーゴーランド」や「ユニバーサル広告社」のような、本当に心の底から笑わせてくれるものをこの著者に望みます。萩原さんだけですからそういうのを書けるのは。 そうこういいながら、 この本面白いですよ。決して外れではない。荻原さんの本に外れはありませんから。 最後は、 「へー、そうか、そんな仕掛けがあったんだー、凄いなー」 「でも、悲しいなー、辛いなー」 そんな内容です。 ■お薦め度:★★★☆☆ | ||||
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一応ミステリーのカテゴリーに入るだろうと思われる本書は、いままでの著者の諸作品とは異なり、荻原流のユーモアを極力おさえた、シリアスな作品である。 舞台は奥多摩の東京霊長類研究センター。ここで、“バースディ・プロジェクト”と呼ばれる類人猿の言語習得の研究がおこなわれていた。対象は‘バースディ’という名の3才のオスのボノボ(ピグミーチンパンジー)、この物語の主役である。彼は高い知能を持っており、学習と実験により今では特別製のキーボードを使って人間と簡単な会話が出来るほどになっていた。 生真面目で研究熱心、‘バースディ’に対しても肉親の情をもって接する田中は、1年前、前任の助教授が自殺して以来、あとを継いで主任研究員をしていた。彼は4月のある夜、恋人であり、研究スタッフの大学院生、由紀にプロポーズする。しかし、前向きな返事を告げた彼女は、なぜかその夜のうちに研究所の5階から墜落死してしまう。自殺か、事故か、あるいは殺人か・・・。唯一の目撃者は‘バースディ’。田中は、ショックで打ちのめされながらも、彼女の死の真相を突き止めるべく、‘バースディ’から目撃証言を得るために必死の<会話>を試みる。 そうしたなか、ある財団法人からの多額の研究寄付金が教授らによって不正に運用されている疑いが明らかになり、彼女にも何らかの関わりがあって、さらには1年前の助教授の自殺にもその影が見え隠れしてくる。 彼女はなぜ死んだのか? がメインテーマの本書だが、主役をつとめる‘バースディ’も忘れてはならない存在である。実験とはいうものの、田中たちと親子のような交流をする姿。風邪をひきながらも必死に田中との<会話>を試みる姿。教授らによる不正揉み消しの圧力から身を挺して田中を守る姿。そのけなげな姿は重苦しくなりがちなテーマの物語にセンチメンタルなやわらかさを与えている。 | ||||
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