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(短編集)

黒猫/モルグ街の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
黒猫/モルグ街の殺人 (光文社古典新訳文庫)

黒猫/モルグ街の殺人の評価: 3.87/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.87pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全15件 1~15 1/1ページ
No.15:
(1pt)

ホームズの原型ともなった”推理小説の土台”を作った。その点しか評価対象がない

『モルグ街の殺人』が短編として収録されているので読んでみましたが、推理小説としては余りにお粗末な出来。

なぜこんなに有名なのか。それは、1841年に発表された史上初の本格的な推理小説だから。コナン・ドイルのホームズ作品は、『緋色の研究』が1887年発表。ドイル自身も、『モルグ街の殺人』で登場するオーギュスト・デュパン(探偵役)に触発されたと述べているので、余計に本作の評価を高めたのだろう。

確かに、『モルグ』で登場する名探偵・デュパンはホームズに似ている。というか、ホームズがデュパンに似ているのか(笑)。

また日本の探偵小説の先駆けとなった江戸川乱歩も、エドガー・アラン・ポーに影響を受けているし、日本の読者が『モルグ』を”評価せざるを得ない”点はおそらくここにある。

申し訳ないが、作品自体はどうしようもない。文庫本の裏表紙の内容紹介には大仰にも、”推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」”と銘打ってある。やれやれだ。

簡単にあらすじを述べると、ワトソン役の男性が、パリの貸本屋でオーギュスト・デュパンと知り合う。デュパンは若い紳士で名家の出でありながらも、生活は厳しい。特に自分で事業を立ち上げるわけでもなく、わずかばかりの遺産で自分一人が食うにたるだけの収入を手にし、倹約しながら細々と暮していた。そんなデュパンと意気投合し、パリに滞在する間は一緒に生活することになった。デュパンは人嫌いらしく、幻想癖と言えるほど夜を愛していた。昼間は窓を閉め切り、蠟燭を2,3本。夜の世界を作り出し、読書に耽る。日光を浴びない生活だ。相手の思っていることを、表情や仕草からズバリと言い当てる。ホームズばりだ。

そうやって退屈していたであろう二人の前に、奇々怪々の殺人事件を載せた夕刊の記事が。モルグ街の惨劇ともいえる、陰惨な事件。4階建ての自室で母娘二人ともが残忍な殺され方をしていた。続報の朝刊には、事件前から付き合いのあるタバコ屋、洗濯屋、現場に踏み込んだ警官、銀細工師、目撃者の料理店経営者、事件の三日前に居宅を訪れた銀行員、他にも、警官となぜか一緒に現場に踏み込んだ仕立て屋だの葬儀屋だのの、10名近くの証言を縷々と書き並べている。彼らの証言は共通している部分もあるが、食い違っている箇所も多い。デュパンは非常に興味を持ったようで、子細な検討を加えていく。

最後は、警察署長と知り合いであるデュパンが直々に、現場検証にいって真相を解き明かすという筋立て。

しかし、1841年当時の警察のやり方が分からないので何とも言えないが、あまりに手抜かりが多い。現場保存と言う概念すらないらしい。警官が、町の住人ら数十名と一緒に現場に突入している点も現実離れしている。極めつけは、母親が握りしめていた犯人と思われる髪の毛を無視し、絞殺された娘のクビに残る、生々しい絞殺箇所さえろくな分析もせず、犯人の逃走箇所に対しても調査せずに、ただただ怪奇事件だと騒ぐ。警察の捜査に科学主義が持ち込まれたのは19世紀後半くらいか。1880年代のベルティヨン法(身体的特徴に依る個人識別)、指紋鑑定は1890年代、死因・毒物・血液などの法医学的アプローチは20世紀初め。1841年が舞台だからこそ、許される設定か。

しかし、デュパンは警察は無能であるとこき下ろす。やはり上記に挙げた点など、あまりに手抜かりが多いからである。やはり探偵小説そのものとしては、☆1つの評価で間違いない。

デュパンの常人離れした観察力と推理力、奇人変人ぶり、警察をあざける皮肉屋な面、証言や手がかりを分析し、有りえぬものを除外していって最後に残ったものが、いくら空想話のように思えても真実であるとロジックを貫く姿勢。ワトソン役という聞き手と、名探偵デュパンが二人で真相解明に奔走する。こういうホームズの原型なるものを最初に作り上げた。この点は評価されるべきだと私も思います。

とはいえ、推理小説としての評価は別にすべき。トリックがあるわけでもなく、アリバイ偽造や証言の嘘を見破るというわけでもなく、フェアプレイ精神もあまり顧慮されていない。☆1つが妥当な評価だ。
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No.14:
(5pt)

粒揃い

”モルグ街の殺人”は圧巻だった その他の作品も秀逸でした
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No.13:
(5pt)

おもしろい

トリックが秀逸。
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No.12:
(1pt)

新品なのに

本の表紙にくっきり折れ線がありました。
がっかり。
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No.11:
(5pt)

何十年ぶりかの邂逅。

自分のようにかなり時間をおいて本書を手に取る人が多いのではないだろうか。
モルグ街の殺人事件は読み進めるうちに犯人がよみがえってきました。
それにしても、ポーの構成力には古さを感じさせないものがあります。
そして、独特の怖さですね。
人物史を拝見するといろいろと苦労され、アルコール依存でもあり、人物像が見えてきました。
そして、解説にもありましたが、前置きが長い! しかし、この独話にまた惹かれるのであります。
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No.10:
(5pt)

神としての罪を死をもって贖う

『黒猫』主人公「私」の陋屋にての独白

   ◇◇◇

私は卑怯な人間である。小説のうえでは、「酒癖という悪鬼」の所為にしてしまったが、その実、私は極めて偽善的で、幼いときから、他人によく思われようと心にもない善行、もしくは善人ぶった振る舞いを行うようにしていた。

そのお陰もあってか、私は人にも善人と思われ、動物にも慕われるようになった。若くして一緒になった妻もその一人だった。彼女は私と違い、芯から動物が好きだったが、私も動物好きな優しい人間だと信じて疑わなかった。善人を演じている自分がときに煩わしく思われたが、酒を飲むと、その煩わしさからくる苛立ちが少しは収まった。

しかし、好きでもない女が自分に親切にしてくれるのと同様の、いわば有難迷惑な煩わしさはいつまでも消えなかったし、善人を装えば装うほどにまつわりついてくる、心のどこかのわだかまりはますます私を苛立たせ、癇癪を起させずにはいなかった。

ひとは自分に懐いてくる人間には寛容だが、ひとたび牙を剥けば、その時点で事態は一変する。すなわち、子飼いの犬も家族の一員ではなく、ただの犬コロと化す。飼い主に爪を立て、牙を剥くことは許されない。

本来は好きでもないのに動物愛に満ち溢れた人物を演じていただけに、一皮剥けばその本性は剥き出しになる。生意気なやつがいれば、そいつの生皮を剥ぎ、目ン玉をくりぬいてやりたくなるのだ。

俺さまという主人に盾突くとは何事だ。妻にしても、そうだ。主の私を差し置いて、単なる獣に過ぎない猫の味方をし、それを庇うなど許されることではない。

私は神なのだ。私に逆らうものは、すべて私の敵であり、死すべき運命にあるのだ。私は私が私であることを証明するために、そして下僕があくまでも下僕でしかないように、私に逆らう者は死をもってそれを償うのだ。私は私が神であり、それを為すことによって自らの正しさを証明したのだ。

ひとびとよ、私を見よ。私は自らの犯した偽善を自らの罪として贖った。私は明日、刑に処せられるが、それは敗北の徴ではなく、神としての贖いの死なのだ。
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No.9:
(5pt)

アメリカ文学の古典

言わずと知れたエドガー・アラン・ポーの短編集です。私は「黒猫」の不気味さが好きです。機会があるならば英語の原文を読むことを薦めます。慣れていない人でも英和辞典が」あれば読めると思います。
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No.8:
(4pt)

飜訳が素晴らしい。明晰で平明なアドガー・アラン・ポー。

黒猫、アモンティリャードの樽、告げ口心臓、邪鬼、ウィリアム・ウィルソン、早すぎた埋葬、モルグ街の殺人を収録。

飜訳が素晴らしく、明晰で平明なポーを読むことができる。
明晰で平明である分、作品の意図が明確に伝わってくる。
「黒猫」のラストシーンがこんなに鮮烈だということははじめて知った。

ポーの作品は、ずっと昔、創元推理文庫の「ポオ小説全集」でいくつか読んだことがあって、ここに収められた作品もその時通過していたはずだ。

その全集は、錚々たる飜訳陣を揃えたものだったが、たぶん重厚すぎたのだろう。こちらは文章についていくのがやっとで、内容を味わう余裕までなかった。結果、怖くも何ともない、ちっとも面白くないという印象しかなかった。

今回の新しい飜訳は、分厚い錆をこそぎ落としたら、下からツヤツヤした鋼板があらわれたという印象。ポーもなかなか面白いことがわかった。
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No.7:
(2pt)

よくやった。

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No.6:
(4pt)

物足りないほど読みやすい

丸谷才一訳の『ポー名作集 』(中公文庫)と比べてみると、さすが新訳、読みやすい!
つらつらした長い1文を短く分割してあるので、意味がとらえやすく、リズミカルに読み進められました。
読みやすい反面、ポー独特の陰鬱とした世界観が薄れてしまった感じも……。
「アッシャー館の崩壊」などが収録されていれば、もっと新訳との対比ができておもしろかったかも!
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No.5:
(3pt)

文章そのものに癖があります。

作品としては、有名なミステリー、よりも
実はホラーのほうが多かったりします。
「黒猫」はまさにそのホラーの最たるもの。
猫が犯罪を「露呈」させるのですから。

もう一つ有名な作品として、
「モルグ街の殺人」があります。
これは実は、あまりメジャーではない作品集で
その作品を読んだことがありまして、
犯人も、真相もすべて知っています。

だけれども、それでも再読したくなるのは、
真相の特殊性もありますが、
デュパンが探偵役、という数少ない
役柄なのもあるからでしょう。

ただし、難点は著者そのものの文章の癖が強く
段落までの文章数が長いために
クドクドとした感じがして読みづらいことです。
それと、前置きが無駄に長いものも多いです。

ただし、光るものがあるのが救いでしょう。
それがなければ読むのはつらいです。
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No.4:
(4pt)

背景の想像

ポーの作品を初めて読みましたが,物語の背景描写が少ないというのが第一印象でした.
推理小説というと,登場する人間の背景まで丁寧に描写し,それがどう事件と絡んでくるのかということに想像力を働かせたりしますが,表題作『モルグ街の殺人』では淡々と事件のみに着目して解決していきます.従って,描写されていない部分は読者の想像で補う必要があり,その部分を楽しめるかがポイントになると思います.私としては,こんな事件はないだろうと思いましたが,推理小説の創始期の作品として興味深く読めました.

他に収録されている作品は,恐怖小説に分類されるような内容ですが,前述の説明不足が逆に想像力を働かせ恐怖感を増加させているといえます.

ホラーとミステリーの初期(古典的)作品ということで,現代作品と比較してどう変化したのか考えると,さらに楽しめる作品だといえます.
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No.3:
(4pt)

「黒猫」の周りの短編

今回こうしてポーの作品を読んでみて、先ず思うのは、こんなに「前置き」が長かったっけと言うことです。
作品によっては、半分くらいに渡っているものもあり、訳者は「落語調」だと「あとがき」で書いているが、明治の訳者でそこをすっぱり切り落として訳した訳者もいたとか。
解る気がします。

この本に集められている短編は、「ひねくれた精神」であり、自分を見つめる第三者と言った内容が多く、「黒猫」と内容的に繋がりの深い作品が多く集められています。
その意味では、ポーの中での「黒猫」の位置づけが理解できる短編集と言えるかも知れません。

「モルグ街の殺人」については、「探偵小説」の先駆けとして余りにも有名な作品なのですが、こうしてちゃんと原文の訳を読んだかどうか自信がありません。それくらい「子供向け」にリトールドされたりしており、どれが本物か解らなくなっています。
しかし、こうして読んでみると、確かにこの後登場する様々なミステリーの多くの要素がここにあるなと思います。

こうした新訳が出なければ、なかなか読む機会もなかったろうし、読みやすくて大いに楽しめました。
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No.2:
(5pt)

優れた訳

『さゆり』『停電の夜』などで名高い、小川高義氏による訳文がとてもいきいきとして読みやすい。
 「アモンティリャードの樽」には訳者の創意が加えられており、それでいて原著を損なっていないことに驚かされる。
 岩波文庫の八木敏雄氏の訳(これも優れたもの)と読み比べてみることをお勧めしたい。
 残念なのは、ボリュームが少ないわりに、同じ傾向の作品(自己破壊衝動もの)が並ぶこと。
 「アッシャー家の崩壊」や「盗まれた手紙」「赤き死の仮面」「リジーア」など、小川氏ならどのように訳すのか、ぜひ続刊を期待したい。
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No.1:
(5pt)

無駄のない文体

黒猫、老人の眼、自身の分身など

――「彼」にとって消したい存在、否定したい存在。

けれどもその否定したい存在こそが

「彼」にとってあるべき姿へと誘う存在。

躍動する否定者・物。

それを押さえ込もうとする「彼」。

「彼」のあるべき存在をめぐって

「彼」と否定者・物が繰り広げる奇怪な

物語が収録されています。

『モルグ街の殺人』などを読んでいて、

ポーの文には無駄なところはなく、

明晰な文体になっていることに

改めて感嘆しました。
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4334751105

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