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怒り
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怒りの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全130件 101~120 6/7ページ
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一気に読み終わりました。 田中が無人島の壁に書いた「怒り」の血文字・・・その文字に鳥肌が立ち、ドキドキしながら残りのページをめくって読み進めました。 その後当然怒りの真相を期待するわけですが、結局犯人殺害で分からず仕舞い。直後は不完全燃焼でした。 暫くモンモンと田中の怒りの根源について考えてみたのですが、振り返り思い当たるのは田中が以前働いていた派遣会社のミスで既に終わっていた作業現場へ行くように指示され、暑い最中探し回り結局見つからず、派遣会社へ確認したところ、それは先週終わってますよと笑われた所ではないかと。項垂れ、たまたま腰掛けた家の婦人が親切に麦茶を差し出した。彼女にその怒りが転換され惨殺してしまう。同様に島で出会った女性のレイプ事件を見ても助けずあざ笑う・・ なんの罪もない自分より弱い女性に、自分がバカにされた怒りをぶつけるしかなかった犯人は愚かでしかないが、今の社会を写したような複雑な思いが湧いてきました。 そしていくつかのストーリーから人を信じる難しさ、また、信じるが上の(裏切り=怒り)もこの本は教えてくれました。 | ||||
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凶悪事件の真相や犯人の本心、核心なんて新聞記事や報道でははかり知ることは難しいいことです。 猫を惨殺したり、人を殺してみたいなんて感情は理解できるはずもないしサイコパスだとか精神疾患によるものとか 家庭環境とかあげればきりがないけど被害者にとっては加害者側の都合なんて関係ないのです。 ただ、ただ、残忍な事件が起こらないことを祈るばかりです。 この小説を読んで私が感じた怒りは、田中という禄でもない奴は、泉がレイプされる現場に居合わせたにもかかわらず 一部始終終わるのを見物してからレイプ犯を声で追い払ったと語るシーンです。 それはおかしいんじゃないの?なんで助けてくれないの?やめろ!っていえばいいのに?男らしくない! むしろ変態か?異常な精神の持ち主だ。なんて感じの悪い記述なのだろう? 結末はこの田中が怒りの血文字を残した犯人で、怒りによって殺害されて終焉を迎えた。 レイプを見物していた田中は、犯罪者が犯罪者を傍観していたということになる。 世の中には正義があるから悪を攻撃できる。私の周りに正義がたくさんあって悪が滅ぼされますように。 もやもやした読み終わりは正義感を奮い立たせることで追い払うしかありません。 「悪人」を読んだ時もそうだけど誰が悪人だったのか?としばらく余韻を残してくれたように この「怒り」も読み手に余韻を残す作品ですね。 | ||||
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吉田作品は本当にひきこまれる! 自分の近くにいる人が凶悪事件の犯人ではないか?と疑ってしまった人たちと疑われた人たちのお話。 若干社会問題をあれもこれも詰め込みすぎな感じもしつつ、でも引き込まれました。 ゲイカップルのエピソードは切な過ぎて号泣きました。 | ||||
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冒頭の残忍な犯行内容から始まり、3つの軸で物語が進んでいく。 派手な出来事が次々と起こるわけではないのに、どんどん引き込まれる上に、人物/心理描写がとてつもなく上手い。 犯人は誰か、みたいなことよりも、個々の人物や心情に気持ちを奪われ、最終的には「信じることのむずかしさ」を叩きつけられる。 根底から心をえぐられるような、実に生々しい小説だった。しばらく、引きずりました。 | ||||
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沖縄の基地問題も絡んでいる。 ごく普通の人々の暮らしという静かな水面に石を投げ込んだかのように、波紋がゆっくりとひろがってゆく。 その様が実にリアルに描かれている。 余りの吸引力に、上下揃えて購入して良かったと思った。 | ||||
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素晴らしかった。 ぐいぐいと作品の中に呑み込まれ、そして投げ出される。 答えは自分の中だ。 不信、疑惑、病んだ怒り、ただただひとを守りたいが故の怒り。 物語の中で、登場人物と共に苦しみ、悲しむ。 吉田修一は、安っぽい量販型ベストセラー作家ではなく、着実に、質の高い作家へと成長を遂げた。 | ||||
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とにかく読んでほしい。 タイトルの「怒り」とは、犯人への怒りでもあり、 主人公3人の境遇に対する、やり場のない怒りでもある。 社会の軸から、どこか外れた3人が、 社会の軸から、さほど外れていない読者にとって、 理解不能な回答を出してしまい、終始歯がゆい思いをさせられます。 弱い人間は、変に疑り深く、判断が裏目裏目へと出てしまうのですが この点は、読者の多くが共感できると思います。 犯人の動機は? などとミステリー好きの方は追及しますが この小説に動機など必要ですか? ミステリーと恋愛小説って相反する気がしますが 普段恋愛小説など読む気もない、ミステリー好きな方にお勧めです。 | ||||
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一気に読了したから、面白かったことは間違いないのだが、何がどう面白かったのか、人に説明するのがとても難しい小説である。下敷きにしているのは、市橋某の殺人事件および逃亡劇。あるインタビューで著者の吉田修一氏は、「事件そのものより、目撃情報の通報者に興味があった」と述べている。身近な人間に対して疑念が生まれていく、事件の遠景にこそ関心があったと。 複数(今回は3つ)の人間模様が交互に描かれる手法は、同じ著者の作品で台湾を舞台にした『路(ルウ)』を思わせるが、本書はミステリ仕立て。テイストとしては『悪人』に近いのだけれど、『悪人』では本流となる人間模様にいくつもの小さな傍流が絡んでくるのに対して、こちらは3つの人間模様が同程度の質量をもって描かれる。その熱に煽られるように、読者はただただページを繰っていくことになる。ということはつまり、作者の筆力によって生み出される圧倒的なディテールこそが、「面白さ」の源泉なのだろう。 3つの人間模様に通奏低音として流れるのは、「人を信じることの難しさ」。このテーマは、恋愛小説の傑作『東京湾景』にも顕著だが、今回おやっと思ったのは、傍流として描かれる刑事のエピソードだ。ここには、じゃあ何もかも不問にして受け入れることですべてがオッケーになるのか、という自己反論が感じられる。その意味では、作者は「信じることの大切さ」を手放しで叫んでいるわけではない。そんなややこしさをもそっとしのばせて、人の世の綾を織り成す手腕は、吉田修一という作家の稀有な才能だろう。ただ「ああ面白かった!」ではなく、私たちは少し不安な気持ちを抱えたまま、ページを閉じることになる。 | ||||
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推理小説として読むと物足りない作品だと思うが、人の心の機微や人間関係の難しさが書かれた小説として読むと、 良い作品、というか胸に残る作品だと思う。犯人の動機、犯行手口、これまでの逃走経緯を、ラストに崖の上でとうとうと 涙ながらに犯人に語ってもらって探偵役の人達と分かち合う姿を見てスッキリしたい、という人は読むとイライラが募って たまらなくなるだろう。 ちょっとニュアンスが違うかもしれないが「異邦人」を読んだ時のモヤモヤと似ている気がする。 これまでの人生で自分が言ってしまった言葉、取ってしまった態度の理由の全てを、一から十まで理路整然と語れる人は いるだろうか。自分が起こしてしまった出来事にどのような理屈や感情が働いたのかを全て、他人にキッチリと説明しきって、 納得してもらえる自信のある人はいるのだろうか? こうすれば上手くいったかもしれない、ああ言えばうまく運べたかもしれないと、後から思っても、取り返しのつかないことがある。 そういったことをまざまざと見せつけてくる小説だと思う。星5つにしたいところだけど、苦しすぎて読み返すのが辛いからマイナス1。 | ||||
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殺人事件の犯人の可能性がある人物が、作中に3名出てくる。 3名の近くにいる人物たちは、信じたいがもしものことがあったら・・、 という考えにとらわれる。 他の方も書いておられるようにミステリーではないが、 他者を信ずることの難しさを突きつけられる。 途中、間延びがする感じがあったが、後半は一気に読めた。 ラストは、かなり切ない・・。 | ||||
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「悪人」もそうですが、常に今の日本の「普通の人々の生活」が 丁寧に描かれているからこその、この読後感。 物語は夫婦の殺害現場から始まります。 そして、逃亡しているその殺人犯らしき青年が3人描かれます。 3人とも過去の何かから逃げている様子。 一人は千葉の漁村で、徐々に地域にうけいれられつつある。 もう一人は波照間島から、さらには慣れた孤島でくらすバックパッカー。 最後の一人はゲイの男性の部屋に、ひょんなことから居ついた男性。 それぞれの生活が周りの人々の生活に加えて 殺人犯を追う刑事の様子とともに、描かれていきます。 この3人のうち、誰が殺人犯??と思いながら読み進めると 3人の周りの人々もTV報道などで 「ひょっとして・・あの殺人犯では?」と疑い始めます。 人と人とのつながりとは? 「NO!」と言い続けることの難しさ。 そして「人を信じるとは、どういうことか」を 考えさせられる小説でした。 満足、満足。 | ||||
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様々な登場人物の日常に犯人が潜んでいる雰囲気を出しながら進んでいくストーリー。 流れ者を信じていいのか疑心暗鬼になりながらも信じようとする人たちの葛藤。 自分も同じ立場にたったらと、想像出来ることが妙にリアリティがあり、 先が気になって一気に読める内容です。 | ||||
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上巻で描かれていた物語が徐々にまとまり最後のゴールへと向かう流れは非常に面白かったが、 最後の結末は少し残念。 「怒り」の真相を解かないところと、今回登場する人物たちの葛藤がリンクする感じがしたが、 他人を理解するのは難しいというメッセージなのかな。 | ||||
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上巻を読み終えた時点で、なにか鋭い爪でつかまれているような思いに駆られ 一挙に下巻を読み終えました。 エンターテーメントと呼ぶにはあまりにも混沌とした重たい読後感が残りました。 とてもスッキリとはいえない終わり方で、読んだ直後はそのあっけなさにあ然としましたが 時間が経つにつれ共にもがいている作者の姿がみえてくるようになりました。 吉田修一はこの作品を習作としてなにかとてつもないものを描こうとしているのではないか。 恐ろしいような期待です。 人のこころの深淵を分析的にではなく、あくまで小説としてそのどろどろとした膿のにおいまでも感じさせる そんなものが世に出る日もそう遠くはないと感じさせる秀作です。 | ||||
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後半に犯人像が明らかにされ、思いがけない結末が用意されています。犯人かと思われる人物達とその人物を取り巻く人間関係を描くことがとても巧く、犯人を捕らえ、犯罪を究明するのがミステリーだとすれば、本書は明らかにミステリーではなく、ミステリー形式をとった文学作品だと言えましょう。犯人が誰かよりも、犯人もしくは犯人と疑われる人物と親しく交わってきた人間達の動揺や、その人物が失踪したことによる喪失感が見事に描かれています。読者が犯人が誰かということよりも、周囲の人間達の苦しみや悩みの方に気が向いていくように書かれています。人間がどういう状況であれ、他者と関わり、かけがえのない人間関係を結ぶことの重みや大切さを読者に伝える小説です。めまぐるしい場面転換のために、ストーリーの流れをともすれば失いがちになりやすい書き方をとっていますが、本書は間違いなく傑作です。文学ファンにお薦めの一冊です。 | ||||
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『愛に乱暴』を読んで数日後に読みました。前作と同じく構成の巧みさに圧倒されます。 上巻は若干読み進むのが遅かったけれど、下巻ではひとりの謎の男の正体がわかってからは、読み進まずにはいられませんでした。 それぞれの謎の男たちの正体がわかった後も、その後の顛末も書き込んであり納得して読み終えました。 それぞれの登場人物の言動や心の動きも多くの人が「そうするかもしれない」と共感するだろう。心と言葉と行動の微妙なズレによって大きく変わっていく他人との関わり、それぞれの心象をすとんと腑に落ちる言葉で表現されている。 3つ(正確には刑事自身の話もあるので4つ)の話からは、今の実際に起きたいろいろな事件や現代社会の要素を散りばめてそれぞれの話を構成してあり、この上下巻の2冊でこれだけのトピックが入っているのは「もったいない」と思えるくらいだった。とりわけ、少数派(又は、大嫌いな表現ですが社会的弱者)が登場人物の多くを占めているのも興味深い。著者の視野の広さを再確認できる。 単なる主観ですが、 読み終えて時間がたつにつれて、このタイトルが熟成している。勿論、登場人物のものであるのは間違いないが、ひょっとしたら、著者のものではないかと思う。視野が広いが故に気づくあれこれ。それが納得がいかない結末をむかえるあれこれ。そして、真実っていったい...。 著者が感じていることの全てに共感できるとは思わないけれど、いくつかを共感して『怒り』として実感したい。 願わくば、自らなんらかの行動を起こしたい。 ★4つにしたのは、前作もそうですが、構成が凝っているので、(今のところ)しばらくは再読したいとは思わない。 それぞれの話をつなげたヴァージョンを読んでみたい。それなら、何度でも再読したいと思う。 電子図書ヴァージョンではそれを選べるといいな。 | ||||
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さすが吉田修一、上下巻一気読みさせていただきました。 星を分けるとするなら、上巻4.5、下巻3.5です。 上巻を読み終えた時点では、(あえてストーリーに触れることは避けます)事件の真相は? どうリンクするの?この人はどうなっちゃうの?と、久しぶりに「ページを捲る手が止まらない」状態でした。 私にとっては「読ませる」本っていうのがとても貴重で、こういう本にはなかなか出会えません。 さて、本作ですが、読み終えた時点ではちょっとした残念感が拭えませんでした。 もう少しなんとかならなかったのかなと、読み手の勝手な感想を持ってしまいますね。 結末がどうでも、後味が悪くても、登場人物がみんな不幸に終わってもいいんです。 ただ、小説の入りである事件を、読者はどうしても追ってしまいます。 書き手の思惑が少し別次元にあるのは、本作の後半には見えてきますが、やはり別々の物語は「事件」という共通項はあるものの、 きちんとリンクして欲しかったし、せめて確固たる犯人の動機や背景は描いて欲しかった。 「ホクロ」「左利き」などのキーワードを登場させたのは、当然収束に向けての意思があったと思うのですが。 全部拾えきれなかったのかなあ、と思わざるを得ません。 もう少し分厚い本で構わないので、その部分は描ききって欲しかったですね。 と、吉田修一だからこそ思います。 | ||||
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設定は、実際の事件をいくつか参考にしたうえで書き込まれたもの。 しかし、小説として本当に深みがあり、引き込まれた。 「面白かった」という陳腐な表現では語れませんね。 ここ数年読んだ小説のなかではベストでした。 | ||||
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4つのストーリーが入れ替わりで進んでいく。凶悪殺人犯を追う警官。千葉の漁村にふらっとやってきた男を交えての人間ドラマ。沖縄の島に引っ越してきた少女と浮浪人のように沖合の無人島に住み着いた男に纏わる話。そして、東京に住むIT企業に勤めるゲイの男性と彼の家に住み着いた男。どれが凶悪殺人犯なのか?私は、3人とも同一人物で時代はそれぞれずれており、凶悪犯が殺人に至った経緯を描いているのかな、と思って読んでるけど、どうなんだろう?もし、そうだとしても「だから仕方がなかったんだ」という同情的なオチにはして欲しくない。 | ||||
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小説の読む楽しさ、醍醐味を何処に求めるかで評価は別れるかもしれません。 例えばミステリ小説ならば「華麗なるトリック(落ち)」が評価の分かれ目になるかもしれませんが、この小説にそれを求めることは間違っています。作家の描きたいことは、犯人探しでも、動機解明でもない、そこを明らかにして読者をスッキリさせることが目的ではない。 もっとその先にある「人間の孤独」「人間の心の闇」を炙り出すことにある、と感じました。作者自身も物語を描きながら答えのない問題を必死に探っている、その過程が実にスリリングであり、固唾を飲んで見守るような読書体験。 これがまた堅苦しい純文学ではなく、エンターテインメントとして完成されていることに驚きです。 最後まで一気読みです。 上下巻、合わせて買って損はしません。 | ||||
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