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首都感染
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首都感染の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.31pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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あるとき、世界は恐ろしい他者の攻撃にさらされ、存続の危機に陥る。しかし、人類は一致団結し、科学技術を駆使して、この危機を乗り越え、世界は平和を取り戻す。映画『インデペンデンス・デイ』や『アルマゲドン』などにも見られた、おなじみのハッピーエンド。 しかし、いま2022年1月現在の、約2年間続いたコロナ騒動のあとでは、とてもじゃないが読んで楽しめるものではない。たちの悪い、冗談を聞かされてるようだ。 作者の高島哲夫氏には、ぜひとも『続・首都感染』という小説を書いてもらいたい。 あらすじ: 202X年、世界に新種の伝染病が蔓延した。それは2年以上続いたが、最終的に全世界では死者数は600万人ほど。脅威度としては、20世紀半ばに流行した「アジアかぜ」と「香港かぜ」の中間くらい。日本国内に限って言えば、死者数は2年間で1万8千人ほど。季節性インフルエンザの毎年1万人の死者数を下回る。 この疫病が出現するや、主人公の医者は「このままでは数十万、数百万の死者が出る! どんな強引な手段を用いても、どんな損害が出ようとも、社会を完全に封鎖すべきだ!」と煽りに煽り、マスコミも視聴率稼ぎのセンセーショナルな報道を行い、すっかり怯えてしまった大衆の声に押されて政治家たちは、東京の完全封鎖を、自衛隊や警察などの武力組織を用いて断行する。 さて、東京は、日本は、救われるのか? 物語のカギとなる、効果抜群・副作用皆無の夢のワ***の行方は? 最後に笑った者は誰だ? 最後に泣いた者は誰だ? ブラック・ユーモアにあふれる、話題沸騰のエンターテイメント小説! | ||||
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新型インフルエンザのパンデミックを題材とした、高嶋哲夫のクライシス小説。 現在世界を席巻している新型コロナウイルスとの違いは、こちらはH5N1型、鳥インフルエンザに由来する強毒性インフルエンザウイルスであること。世界がパンデミックに陥るまでの展開も、現実の新型コロナと比べて大分早い。 何よりの違いは、政府には元WHOのメディカル・オフィサーという感染症対策のエキスパート(主人公)がついており、総理や厚労大臣のリーダーシップもかなり強いことだ。 主人公の瀬戸崎勇司から見て完璧ではなかったものの、日本は早くから入国規制と入国者全員の一時隔離を例外なく徹底し、また水際対策が破られて都内で感染者が発生してからは、総理は閣僚の反対に遭いながらもいち早く東京の都市封鎖(ロックダウン)の決断を下した。 結果として、作中では世界人口の22パーセントが死亡するという大惨事になりながらも、日本は封じ込めに成功し、感染者数・死亡者数共に桁違いに少ないという快挙を達成した。主人公の周囲の研究者も優秀で、新型パンデミック・ワクチンも新型抗インフルエンザ薬も日本発であるという、華々しい偉業を残している。 あくまで作中のウイルスは強毒性なので対応については一概に比較できないものの、現実の日本の政治のリーダーシップの欠如を見ると、今回の新型コロナが弱毒性なのが不幸中の幸いだったと、つくづく思う次第である。 綿密な事前調査を経て執筆された力作だと思うが、描写は基本的に政府目線・防疫専門家目線であり、特に民間部門や経済面の描写は物足りなく感じた。政府が実行した施策については、ほぼ防疫関連しか描かれていない。買い占めや転売、デマなど、災害時に起こりがちな社会現象も一通り描かれているが、たとえば医療従事者への偏見・差別までは筆者も予見できなかったようだ。現実の日本人の民度の低さは筆者の想像を上回っていたということか。市井の人々の反応やパニック、市民生活の状態なども、所々で説明的な記述があるだけで、文学的に叙述されてはいない。 主人公も、都市封鎖中に不要不急なのにバーに立ち寄るなど、防疫専門家としてそれはマズいだろ、という行動もしている。あと、些細なことだが女性キャラのセリフなどがリアリティに欠けるというか…いかにも「作られた」キャラな感じがして、個人的には蛇足に感じた。 全体的に、物語として楽しみつつ防疫対策の基本原則を知ることができる良書だが、複雑な現実を描くには少々力不足だった感が否めない。視点を1つに絞ることで「わかりやすい」話にはなったと思うが、政府目線の散文的な記述が多くなり、初期致死率60%超というまさに死の権化のようなウイルスのパンデミックという終末論的恐怖の雰囲気や凄みがそこまで迫真的に伝わってこない(その意味では、アルベール・カミュの『ペスト』は流石、歴史的文豪の凄みを感じる)。もとより、巨大な社会現象を一人の手で描ききるなど、人の力の及ぶところではないのかもしれないが。 文学作品としての評価も含めると★3といったところ。 | ||||
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綿密な準備のもとに執筆された力作だというのはよく分かりました。 現実のコロナ・パニックと同様、マスクや防護服に自粛、そして本国では実施されなかったがロックダウンと、確かに現実味を帯びた予見的な内容だ。 しかし環八圏内の東京封鎖以降、当然とはいえ、主人公の居場所が病院や政府関連部署、あとは行きつけのスナックといった場所が大半で、会話も電話ばかりで封鎖エリア内の実態があまり描かれておらず、どれほど悲惨な状況なのかが今イチ伝わってこなかった(感染者と死者の増加ぶりは数値では伝わってきたが・・・)。 時期的にスリルを求めるのは不謹慎かもしれないが、この手の作品に付き物のクライシス&パニックの要素が、かつて読み耽った類書に比べて圧倒的に希薄だったのは否めない。 登場人物は比較的多いが、ボランティアの医大生とか、物語の緊張感を緩めてしまうような人物は要らないんじゃないの? とも思った。 カミュのペストのような文学臭満載の作品を期待すると肩透かしを食らうでしょう。 逆に博学な文筆家が描いたシミュレーション小説、と割り切れば、読む価値はあると思います。 | ||||
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新型コロナが蔓延し始めている今、この本を興味本位で読んだ。最初は読みにくいなと思ったが、展開を追う毎に深みにはまっていった。ちょっと展開が出来過ぎな感じがしてハリウッドぽい展開だったが、強毒性ウイルスの恐ろしさや政府のリアルな対応など勉強になりました。もう少し細かい描写があれば良かったかなと思います。 とりあえず☆3つです。 | ||||
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講談社文庫 高嶋哲夫著『首都感染』のレビュー。 現実世界の2020年5月3日時点での新型コロナウイルスの累積陽性者数は以下の通り(厚労省)。 日本:14,839人 世界全体:338万人余り 同ウイルスによる累積死亡者数は以下の通り(同)。 日本: 492人 世界全体: 24万人余り この小説世界における強毒性H5N1新型インフルエンザウイルスによる感染者は、世界人口71憶人のうちの80%にあたる56億8千万人、死亡者は感染者の22%にあたる12億5千万人である(日本での死者は58万人)。 まず、この圧倒的な感染力と死亡者数があって、この小説は成り立っている。 この数値と海外の惨状を見せつけられた日本国民は、政府や知事の要請を無視してパチンコ屋に並ぶこともないし、のんきに花見やキャンプやサーフィンに行くこともないし、学校はどうするだの休業補償だので細かい文句を言わない。したがって、感染被害を東京だけにとどめるために突然強行された“都心封鎖”がなされても大きな暴動は起こらない。 次に、主人公が現職の総理大臣の息子であり、かつ元WHO職員の内科医だということ(さらに言えば、その元妻もWHO職員であり現職の厚生労働大臣の娘である)も、いかにも小説的な設定といえる。 パンデミック小説の結末には、“ワクチンや特効薬の開発によってめでたし・めでたし”という型があり、本作もその型に入っていることに文句はない。 けれども、地球上で「奇跡的に」日本だけが感染爆発を東京だけにとどめておいているからといって、主人公の近辺で新型ウイルスのワクチンと抗インフルエンザ薬が相次いで開発されパンデミックが収束に向かう、という設定は都合がよすぎるのではないかとは感じた。 俺は本作を「しょせん小説」と言いたいのではない。 パンデミック(WHOがパンデミック宣言をしたのは2020年3月)の渦中にいる我々は、小説や映画に描きこむには多すぎる様々な“現実”を知ってしまった。 マスクをはじめとした衛生用品の不足やその転売問題、デマにともなう物資の買い占め、渡航制限と外交、オリンピックや高校野球などのイベント中止、教育・休業補償・失業問題、リモートワーク、コロナ離婚、著名人の死、クラスター・PCR検査・実効再生産数といったワード、医療従事者等への差別、WHOや中国への不信感、自粛と経済のバランス、原油価格の暴落、コロナ禍後の自殺者の増加や米中の覇権予想などなどの情報や実体験の真っただ中に我々は置かれている。 その状況で本作を読むと、むしろ政府首脳や、主人公を中心とした医療現場の出来事に絞ってくれた事で、物語としての主張が明快となっていることが分かる。そして恐らく、著者も編集者も、下調べの段階で現実に起きるであろう上記のような事を多数並べた上で、あえて焦点を絞って本作を作り上げたのだと思う。絞るためには、有無を言わせぬ敵(強大なウイルス)が必要だったのである。 本作のキモの一つは、「感染防止の最善策はウイルスを封じ込める事=すなわち感染者の移動の禁止」ということである。現実世界も「三密回避」や「緊急事態宣言」などで要請され、実行を促されている。 もうひとつのキモは「責任」という点だろう。 とりわけ、本作の最高責任者としての内閣総理大臣は判断力・決断力・行動力に優れているし、厚生労働大臣も医療従事者も自衛隊員も責任感にあふれている。 終わりが見えない敵との闘いには、各々が根気と責任感を持って対処しなければならないということを、本作は知らしめてくれる。 人類とウイルスは共存するしかない。 今のパンデミックが収束しても、脅威のウイルスは必ずまた発生する。 人類の多くが今、そう確信している。 だから、「今回の新型コロナは、この小説のウイルスほどひどく無くて良かった」とか「こんな政治家やヒーローは現実にはいない」という事で終わってはいけない。 一方で、今起きている事は現実なのか小説の世界なのか? そんなことも考えてしまう、不思議な読書体験だった。 | ||||
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ステイホーム週間でご多分にもれず、しまっていた本を引っ張り出した。まるで予言のように10年前にこれが書かれていたことは、当時は想像できなませんでした。中国を発生源とした致死率60%の強毒性ウィルスが全世界に蔓延していく展開。小説では決断力のある総理大臣やWHOメディカルオフィサーが水際対策を成功させますが、果たして現実は? | ||||
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首都閉鎖が発表もなく突然行われ、無理に通ろうとした人が警官に発砲される様子や、新ワクチン・新抗ウイルス薬が大した治験もせずに採用されていく様は、致死率60%のウイルスで尚且つすでに海外で多数の無数の死者が出ている状況だからこそ英断となり得ます。致死率が低い新型コロナウイルスをこの小説のウイルスに当てはめるのは良くないと思います。 また、何があっても責任を取ると小説中では言ってますが責任をどうとったのかという描写はまったく出てきてませんし、専門家は収束してよかったではいけません。少なくとも政治的な責任をどうとったかまでは読んでみたかったです。 主人公の最後の方の行動も一見ロマンティックですが、自分から感染して感染力の強く強毒性のウイルスを排出しつつ仕事しており、精神的におかしくなってるのかもしれませんが、それまでの行動が台無しだと思いました。 | ||||
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今盛んにコロナウイルスで騒がれている世間、この時、この本はまさに打って付けの小説です。 第一章の「対策」は面白かったのですが、第二章以降のストーリー展開に疑問を持ちながら読んでいて、一番感じたのはこの本に出てくる強毒性インフルエンザウイルスの怖さが伝わっていないことです。 何故なのか? それは数字ばかりが飛躍していて恐怖感がまるでないこと。そして、世界の状況や対策が書かれていないので身にしみた怖さがないことです。 現在流行しているコロナウイルスの方がよっぽど怖く感じます。それが現実と小説の差なのでしょうか? | ||||
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開封してみると書かれてなかった折れが表紙に大きくあり横にも指紋のようなもの?があったので商品としての評価はこれとさせていただきます 小説の内容としてはとても興味深いものなので読むのが楽しみです | ||||
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見えない災厄に翻弄される人類と、それでも果敢に立ち向かう人々。 うまく書けば、タイムトリップ物並みに感動的な展開が約束されるシチューションだけど、 それをうまく活かせられなかった、というのが第一の印象。 現実と見間違うばかりのストーリーテリングには届かず、かと言って、週末をつぶすに 値するほどのエンターテイメントにも徹しきれなかったのは残念。本当に残念。 主人公の造形も、結果からみれば歴史的な英断を下す政治指導者も、その敵役も、 ヒロインも、ただ、素人がコスプレした三文芝居になってしまっている。 もっと良い意味で期待を裏切る複線がいくつもあるのだから、ぜひともこの設定で 物語のバージョン2を出して欲しい。 5年でも10年でも待っている。 | ||||
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