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赤き馬の使者 探偵物語2
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赤き馬の使者 探偵物語2の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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小鷹信光著の「探偵物語」シリーズの第二弾である。 前作から約四ヶ月後。舞台は北海道。一仕事を終えた私立探偵 工藤俊作が、札幌のホテルの部屋へ戻った途端、3人の暴漢に容赦無く痛めつけられ意識を失くすところから物語は始まる。一日半後、病院のベッドの上で目覚めた工藤は、終えたばかりの調査の記憶を遡る。依頼の理由も、さらには依頼人自体の身元も不明なまま引き受けた謎多き仕事の内容は、東京から北海道の片田舎、鹿討町へ赴き、そこで暮らす在る人物の調査をすることだった。 「鹿討に、二度と顔を出すんじゃないぞ」という襲撃者が言い残した警告は、却って手負いのハンター犬に次の目的地を教えてくれた。退院した工藤は鹿討町へ舞い戻る。それはカタをつけねばならない。貸し借りにはケリをつけなければ前には進めないというハードボイルドのルールに従うものだ。そして、釧路、帯広など北海道の各地を舞台に拡げながら、幾度も死に目に遭い続けるスリルとアクションに満ちた物語が流暢な語り口で展開していく。さらに、やがて事件は工藤自身の過去にまで関わってくる・・・。 恐らく著者は、第一作目の執筆時点で既にこの作品の着想を得ていたに違いない。益々テレビドラマ版とはかけ離れていってしまうが、一人の頑迷な男の物語としてこの連作は実に愉しめる。 前作よりもタフに、スリリングに、テンポ良く、切れ味鋭い筆力で一気に読ませてしまうのは、著者が乗りに乗って書き上げた証左だ。結末を1920年代のハメットやチャンドラーの時代から引き継いだ様な伝統的ともいえる探偵小説のそれに沿わせているのも誇らしい。 断っておくが、本書は単なる暴力小説ではない。優れたプロット、構成を下地とした古典的なハードボイルドの作風を漂わせた、貴重にして純粋な日本製の探偵小説の名作の一つだ。 この二連作の後、時を経て工藤俊作の物語は復活する。だが、それには20年程の時間を要するのだ。それは小説家 としての小鷹信光の活動とイコールとなる。著者が生涯を通じて工藤俊作を主人公とする小説しか書かなかった理由は知る由もないが、兎にも角にもミステリーファンは優れた探偵小説作家の次なる創作を長年待たねばならなかったのだ。 | ||||
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言いたいことはすべて後書きの解説にある。ここでは補足をするだけだ。テレビドラマが有名な作品であり、本作品は探偵物語シリーズの2番目の作品である。著者の小鷹信光氏はテレビドラマの原案者だ。私はテレビドラマを見たことがないが、本作品はミステリとして優れているし、工藤俊作のハードボイルドさを楽しむのも良い。作中で提示される多くの謎が最後にどのように解決するのか、ミステリ視点での楽しみが一級品である。いくつもの謎をばらまきながら最後にきちんと収斂していく様は読んでいて楽しい。工藤という男の生きざまも痺れる。エンターテイメント作品の手本のようなものである。 | ||||
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TV版『探偵物語』の大ファンだったのでストーリーはもちろんのこと、鹿追町出身の自分としては「ガキの頃に走り回っていた道を工藤ちゃんが疾走してる!」と大興奮!それにしても工藤ちゃんの過去に我が町が関係していたとは驚きでした。小さな田舎町を「舞台」として取り上げていただいてありがとうございます。(作中では鹿討町ですが・・) | ||||
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前作をTV版の原作だと思い購入。勘違いから読み始めた作品ですが、楽しめました。今回の話は、工藤探偵の家族の話も絡み非常にタフな内容になっていました。この工藤ちゃんもありですかね。 | ||||
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松田優作主演の人気TVドラマ「探偵物語」の原案作、第2弾。 前作同様に依頼人の家庭問題を軸としたロス・マクドナルド風の展開が繰り広げられる。 北海道の大自然を舞台にしたカーチェイスなど、前作と比較して躍動的な描写が多くてテンポの良さに磨きがかかっている。 難を言えば、前作で脇を固めたナンシーやかほりなどのサブキャラの影が薄くなってしまったところか。 それでも、工藤探偵のキャラが光っているので十分楽しめる。 | ||||
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「探偵物語」シリーズ第2作。 第1作と同じく、過去の清算が主題となっている。 中心は、主人公の過去ではなく、かつて関わった家族の謎。 作者は、第1作を書いた時から、この話まで頭の中にできていたのだろう。この話までで、工藤俊作の過去の清算は終わる。 最初に出版されたのは1980年。 読んで、あの頃は、電話をかけるには、10円玉が必要だったのだなあと、当時は当たり前だったことを新鮮に感じてしまった。 解説では、テレビの『探偵物語』とは切り離してとらえた方がいい、と主張している。 それはそれで正しいのだが、切り離すのは難しい。 表紙は紛れもなく松田優作の似顔絵だ。 文庫に収められたのも、テレビでの再放送がきっかけだったのではないかと思う。 解説よりもあとに〈付記〉があって、主要舞台である「鹿射」は架空の町だと断っている。〈付記〉では、「人物、場所、施設などもすべて虚構である」とまで断っている。 これを読んで何か誤解した人でもいるのだろうか。 | ||||
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「探偵物語」シリーズ第2作。 第1作と同じく、過去の清算が主題となっている。 中心は、主人公の過去ではなく、かつて関わった家族の謎。 作者は、第1作を書いた時から、この話まで頭の中にできていたのだろう。この話までで、工藤俊作の過去の清算は終わる。 最初に出版されたのは1980年。 読んで、あの頃は、電話をかけるには、10円玉が必要だったのだなあと、当時は当たり前だったことを新鮮に感じてしまった。 解説では、テレビの『探偵物語』とは切り離してとらえた方がいい、と主張している。 それはそれで正しいのだが、切り離すのは難しい。 表紙は紛れもなく松田優作の似顔絵だ。 文庫に収められたのも、テレビでの再放送がきっかけだったのではないかと思う。 解説よりもあとに〈付記〉があって、主要舞台である「鹿射」は架空の町だと断っている。 〈付記〉では、「人物、場所、施設などもすべて虚構である」とまで断っている。 これを読んで何か誤解した人でもいるのだろうか。 | ||||
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埋もれていた傑作! これは日本ハードボイルドの金字塔と言っていいのではないか? 真保裕一があとがきで書いているけれど、ブームに一年早かったゆえに埋もれていた作品なのだと感じた。 おまけに札幌在住の私としては嬉しいことに、この物語は北海道に始まり北海道に終わる。札幌に始まるストーリーが、鹿討という架空の町(どう見ても鹿追町がモデル)で展開されて、網走の能取岬の対決に向かってゆく。前作では設定されたTVでお馴染みのキャラクターたちは電話線の向こう以外、ほとんど登場しない。荒野を走る工藤探偵というのはTVにはなかった独特の味わいである。 テンポの良いストーリー運びと、癖のある人物たち。リアリティのある舞台設定。そして何よりもハードボイルドの鉄則に基!づいた決意と行動。ハメットの『赤い収穫』を髣髴とさせられるかもしれない。スタークのバイオレンス・アクションを思い出させられるかもしれない。 プロットの確かさが生んだ、日本小説らしくない乾いた展開が、何とも小気味の良い一冊! | ||||
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埋もれていた傑作! これは日本ハードボイルドの金字塔と言っていいのではないか? 真保裕一があとがきで書いているけれど、ブームに一年早かったゆえに埋もれていた作品なのだと感じた。 おまけに札幌在住の私としては嬉しいことに、この物語は北海道に始まり北海道に終わる。札幌に始まるストーリーが、鹿討という架空の町(どう見ても鹿追町がモデル)で展開されて、網走の能取岬の対決に向かってゆく。前作では設定されたTVでお馴染みのキャラクターたちは電話線の向こう以外、ほとんど登場しない。荒野を走る工藤探偵というのはTVにはなかった独特の味わいである。 テンポの良いストーリー運びと、癖のある人物たち。リアリティのある舞台設定。そして何よりもハードボイルドの鉄則に基!づいた決意と行動。ハメットの『赤い収穫』を髣髴とさせられるかもしれない。スタークのバイオレンス・アクションを思い出させられるかもしれない。 プロットの確かさが生んだ、日本小説らしくない乾いた展開が、何とも小気味の良い一冊! | ||||
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