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キャパの十字架
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キャパの十字架の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.36pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全74件 41~60 3/4ページ
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沢木作品を読むのは、「ポーカー・フェース」以来だが、 あれはライトな感覚で楽しむたぐいの読み物だったとすれば、 彼のルポライターとしての醍醐味を満喫したのは、「凍」以来、と言えるかもしれない。 彼が対象に立ち向かうときの姿勢というのは、凄いものがある。 執拗なまでの粘り強さで、納得がいくまで、対象を追究し、一分の隙も許さない。 最初にそれを感じたのは、 「深夜特急」でのマカオでの賭博の下り。 あの研究熱心さこそ、彼の身上であろう! 今回の対象は、キャパの伝説的傑作と言われる写真「崩れ落ちる兵士」である。 今まで、謎が多いとされてきたこの写真にまつわるミステリーを解き明かしていくのに、 彼は、実務的な段階を飽きもせずに積んでいく。 場所の特定をするのも、自分で何度も足を運び、写真に写っている風景を何度も確認し、 草や茎ひとつにもこだわって、結論を導く。 実際に当時のライカとローライフレックスで写真を撮影し、 それで発見したことを記していく。 そんな風に、事実、あるいは限りなく事実に近い推測 (撮影した本人がこの世にいないのだから、完全なる証言は望めない、という意味で) をジグゾーパズルをはめていくかのごとく、完成へと導いていく。 この本書のほとんどが、その事実を解明するまでの調査、実験などで占められてはいるのだが、 しかし、彼のルポライターとしての視線はその先にある。 キャパが後半生をどう生きたか、そこに彼が本当に訴えたかったものがある。 間違った写真によって天才と祭り上げられた一人の男が、 それによって十字架を背負い、生き急ぎ、地雷を踏んで死んで行った、 その逆説的な英雄の人生が、浮き彫りにされていく。 実は、私の興味もそこにあった。 ただ、思ったよりも、そこに費やされた文章量が、前半の写真検証に比べて非常に少ない。 もう少し、その後のキャパの、十字架を背負った人生を解説してほしかった気もしたが、 これはこれで、1冊の読み物として、十分な完成度であった。 沢木さんの事象の捉え方は、 いつも愛があって、優しさがあって、 他の人がまねできない、血の通ったルポルタージュといった感じがして、 それが私を捉えて離さない。 だから、読み終わっても、 フェイク写真で有名になったキャパ、ではなく、 運命のイタズラで高名を得てしまった男の悲しい宿命に思いを馳せてしまう。 沢木ファンならずとも、ぜひ、読んでいただきたい本です! | ||||
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NHKのドキュメンタリーで、この本の存在を知り手に取った。 なので、どうしてもTVでの内容を頭の片隅に置きながらの読書となってしまったが、それでも“読ませる”筆力は流石だな、と思わせる。 と言うのは、この有名な写真の“真実”について疑義を出し、(恐らくは)やらせに近い写真(少なくとも狙撃されている写真では無い)なのだろうと想像が付いてしまうのに、その丹念な調査報告により、読者側に飽きさせる事無く筆が進んでいく。 しかし、一つの読み物としては非常に完成されたクオリティの高い作品とは思うが、一方とんびに油揚げと言うか、沢木氏の発見はほとんど無いじゃん、と言う読後感がついてまわる。 文中の言葉を借りれば、最後の1ピースを沢木氏が嵌めただけで、大部分は本書内で書かれている様に、他の研究者達の発見や調査結果に基づいている。 その点のみが、若干のすっきりしない読後感として残ってしまう。 | ||||
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ノンフィクションの領域で独自の世界を展開する沢木耕太郎の、最新の長編作品である。本書は、いつもの沢木作品とは趣を異にして、同時代人ではなく、1枚の写真をその対象としている。 戦争写真家として歴史に名を残すロバート・キャパを、戦争写真家として決定づけた<崩れ落ちる兵士>の写真。スペイン内戦を象徴するかのような、銃弾を受けた共和国軍兵士が、今まさに背後に崩れ落ちようとする、その瞬間を捉えた、あまりにも有名なこの写真はしかし、多くの謎が付きまとう。その謎は突き詰めれば、この歴史的な1枚は、はたしてキャパ本人が撮影したものかという1点に尽きる。 この謎を緻密に検証し、新事実に至った記録が本書である(ネタバレを起こさぬため、詳細は本書にゆずる)。検証の過程で事態が大きく展開するが故に、検証すべきことは多岐にわたり、検証の精度も厳密さが求められる。 ともすれば、膨大で煩雑なデータの集積となる可能性を孕んだ本書を、沢木は構成に最大限の配慮を行うことで、乾いた詩情をたたえた魅力的な一冊にまとめ上げた。その力量は、今更ながら深く敬服に値する。世界に通用する、キャパに関する第一級の評伝が、新たに生まれたことを、心から祝いたい。 以下は全くの蛇足ではあるが、本書の斬新な構成ついて、具体的に言及しておこう。 本書は、A5版、335ページ。かなり大部な一冊である。10章立ての本書はさらに、213の断章からなる。 断章のそれぞれは、あるいは<ここに一枚の写真がある。>という一文だけであったり、写真だけであったり。最大でも3ページ程度のものである。その中で、すでにネガが失われ、多くの謎を秘めた写真、<崩れ落ちる兵士>についての、これまでの諸説とその問題点を明解に整理する。 それとともに、真相を明らかにすべく、多岐にわたる緻密な検証作業を展開する。この極めて重層的で錯綜した内容を、読者に明解にスッキリと伝える上で、この断章を積み重ねる手法は、極めて有効なものとなっている。読者には常に、今‐ここにある問題をひとつひとつクリアして行く、明解さと達成感があるのだ。 そこでの検証作業において、沢木は実際にスペインへ3回赴き、ついに件の写真の撮影現場をピンポイントで特定することに成功した。その手には、キャパが手にしたものと同種の、ライカとローライフレックスの2台のカメラが携えられていた。 他方その過程で沢木は、既にネガが失われた件の写真の、できる限りオリジナルプリントに近い写真を目にするために奔走し、キャパに関する写真集など多くの記録的な文献をも精査して行く。 多くの出会いと僥倖にも助けられて、沢木はその膨大な作業を、執拗とさえ言える緻密さでこなして行く。凄味すら感じさせるその取組に、期せずして作家、沢木耕太郎本人の実像が浮き出して来る。 ひとりの無名の写真家が、ロバート・キャパという名の世界的な戦争写真家へと這い登って行く過程とその中で生まれた影。その負い目を払拭すべく生きたそれから…。1枚の写真の真実と、それを介して語られる一人の生、そしてそれを書いた作家。それらへの深い感銘を覚える、これは余韻深い名著である。 | ||||
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沢木氏は駆け出しの頃にキャパの自伝を読み、「視るだけの者」としての哀しみを感じ、同類としての共感を覚える様になったという。 私も高校生時代にキャパの「ちょっとピンぼけ」を読んだが、どこか作りものめいた読後感があり、なじめんなあと思ったっけと、本書を読んでから思い出した。 「崩れ落ちる兵士」の写真に対する獏とした違和感は、当時確かにあった。 戦場カメラマンという職業の胡散臭さとその悲しみの裏返しであろうくだけた語り口に、また当時自分は受験戦争で押しつぶされそうだったので、一発屋に対する妬みめいた感情も混ざっていた様な気もする。 しかし沢木氏の共感の深さたるや、職として近いこともあるのであろうが、そのままキャパのことをすっかり忘れていた私なぞとは粘着度が違う。 著者は数度のスペイン行や先行する老学者や関係者との出会いを通じて、この写真がどの様な過程で撮影されたものかについて、執拗に推論を重ねていく。本書のページの9割は、しつこいまでのその検証過程を、丁寧に書いたものだ。 彼の結論が果たして正しいかどうか、生きている者にはわからない。 しかし、彼のキャパの写真へのこだわりは、職業人としてまた違った「視る者」の立場で日々を送っている私自身にも共感できるものであった。 久々に、「ちょっとピンぼけ」を読みたくなった。写真集も図書館で借りてみることにしよう。 自分用のメモ: ・さっと読みで2時間かからなかった ・キャパの恋人、ゲルダ・タローのタロー名義がパリで奮闘していた岡本太郎から来ていたとは。同じ日本人として嬉しい ・スペイン戦争当時のスペインの田舎では外国人は宇宙人の様に珍しかった ・キャパはイングリッド・バーグマンと付き合っていた ・キャパもゲルダもユダヤ人だった ・フランスの図書館司書の働きぶりに怒ったフランス人が沢木氏を助けてくれる場面があった。いかにもフランス人らしく懐かしい | ||||
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TVを先に見た方に是非本書をお薦めしたい。TVとは微妙なニュアンスの違いがある。 | ||||
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キャパの明るく、奔放な性格が、幸運な写真を創造する。偶然が幸運な結果を」生む。 | ||||
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沢木耕太郎氏のルポは以前からファンでしたが、NHKスペシャルを見て、久しぶりに是非読みたいと思った本です。 「崩れ落ちる兵士」の撮影場所は何処でどんな位置から撮影されたものなのか、この写真はライカ・ローライフレックスのどちらで撮影されたのもなのか、そして撮影されたカメラを特定することは、その写真の撮影者が誰であることを意味しているのか...現地への訪問、関係者への取材、当時の掲載誌の確認、そして使われたであろうカメラを使っての実地検証などなど、緻密な検証を積み重ねて真実に迫っていく過程は鳥肌モノでした。 大切なのは、沢木さんが以前からキャパに対して『「視るだけのもの」としての哀しみを見出し、「同類」としての共感を覚えるようになった』という姿勢だったこと、「崩れ落ちる兵士」についての謎を解くことが、『私のしようとしたこと、したかったことは、キャパの虚像を剥ぐというようなことではなかった。ただ、本当のことを知りたかっただけなのだ』ということでしょう。 写真(特に報道写真)というものが、時に切り刻まれたり、違った受け止め方をされたり、或いは発表媒体の手によって撮影者の思いもよらない方向に一人歩きしたりするものである、ということも改めて知らされました。 非常に残念だったのは、既に述べられている88ページの写真のキャプション誤りの件。 そしてもうひとつ、294ページに「ラ・クラカッチャ」とあるのはどう考えても「ラ・クカラッチャ」の誤りでしょう。(『ちょっとぴんボケ』の「後記」でも確認済) 緻密な検証を重ねて書き上げられた作品だけに、このつまらない校正ミスはあまりにも残念です。 | ||||
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また感動的読み物。 昨日の夜 読み終えた「キャパの十字架」沢木耕太郎著(文藝春秋 新年特別号 )。20世紀の伝説的な戦争写真家ロバート・キャパの有名な写真 「崩れ落ちる兵士」は本当に彼の作品か。沢木は1986年にキャパの伝記を翻訳以来、仕事の合間にスペイン、フランス、アメリカで取材を続けた。 疑いは当たっていた。 作品は いわゆるやらせで、撮ったのは同行した恋人ゲルダで、カメラはライカではなくローライフレックスで・・。 沢木は何十年もかけ、疑問を証明する。その過程がミステリーのようで、文春103ページ分もの長編を毎晩読むことになった。この記事は後日文芸春秋から単行本になるので買いたいと思う。紙質のせいで写真がはっきりしないので、もっと見たい。 本日販売中を知り、注文しました。 | ||||
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一気に読んでしまった。読み終えるのがもったいないと思えた久しぶりの一冊。 読後思わず唸ってしまい、口をついて出たのが表題のことば。 沢木耕太郎さんの最高傑作だと思います。 | ||||
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世界史の教科書などで多くの人が目にしたことがあると思われる ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」の写真。 本書は、この一枚の写真をめぐって、 「どこでどのように撮られたのか?」 「これは本当に死の瞬間を捉えたものなのか?」 そして、「この写真を撮ったのは本当にキャパなのか?」 という謎をひたすらに追及していくものです。 沢木氏は、実際に写真が撮られたと推定される場所に赴き、 様々な証言者・研究者に直接インタビューをして、科学的・技術的な検証を経て 彼なりのひとつの「答え」にたどり着きます。 その結論に納得できるかどうかはともかく、そこに至るまでの過程を、 ひとつの旅行記のように滑らかに読ませる手腕はさすがだと思います。 ただ、ロバート・キャパという人物についてよく知らない、彼に関する本を初めて読んだ、 という私のような読者にとっては、もう少しキャパ自身についての逸話やエピソードが 欲しかったかなという気はします。 本書の主役はあくまでも「崩れ落ちる兵士」の写真であるということに注意した方がよいと思います。 | ||||
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世界的に有名な1枚の報道写真、「崩れ落ちる兵士」の真贋を探るノンフィクション作品。 この写真はスペイン内戦中の1937年に、報道写真家ロバート・キャパによって撮られたものである。ただ、この写真には不自然な点が多く、以前から真贋をめぐる議論が起きていたようだ。 そう言われれば確かに、撃たれているのに出血の痕跡が見られない。だいたい撃たれている兵士を正面側から捉えることなど可能なのだろうか、と素人目にも感じた。 著者の沢木氏によって詳細な検証が行われ、ついにはモデルとなった兵士の素性、撮影された場所、撮影に使用したカメラの機種、そして本当は誰が撮ったのか、という真実に肉薄する事となる。 しかし、沢木氏の推理が進展するのとは反比例し、いまさら真相を究明する事に何の意味があるのか、という感情が沸々と湧いてきた。モデルとなった兵士は祖国のために戦死し、キャパの恋人だったゲルダも、このスペイン内戦で悲運の死を遂げている。キャパ自身もすでに1954年、北ベトナムの戦場で亡くなっているのだ。 沢木氏は実際に撮影されたと思われるポイントを見つけているが、かつて激しい戦闘が行われていたその場所と、戦争が終結し70年も経った平和な今、物理的には同一でも同じ場所と言えるのだろうか。 悲惨な戦争は実際に起こり、祖国のために命を捧げた兵士がいて、それを世界中に伝えようとした報道写真家がいた。たとえ一枚の写真に何らかの演出があったとしても、この事実は決して揺るぎようがないのだ。 その点については、おそらく沢木氏も同じ考えのはずである、であればなぜ執拗に真実を晒す必要があるのか。死者の尊厳を冒してまで、掘り起こす価値のある墓など在りえないのでは。真相に迫る沢木氏もまた、同じ十字架を背負ってしまったのではないか。 読了後、そんな違和感を覚えたのは自分だけだろうか。 否定的な意見ばかりを並べてしまったが、この件に対する沢木氏の丁寧な取材活動や、鋭い洞察に対しては敬意を表したいと思う。 | ||||
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いい本です、朝日新聞 に乗っていたので、買いました。断然説得力があります。 結論から云うと「崩れ落ちる兵士」はキャパではなく。 恋人のゲルダで戦場でなくヤラセであること、ライカでなく ローライであり、アメリカのライフに載り世界的に有名になり キャパ自身も死ぬまで語ら無かったそうです。 | ||||
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購入して一気に読みました。 NHKとの検証の部分を増補版で見てみたい。 | ||||
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ロバート・キャパの「崩れ落ちる兵士」については、 以前より疑問が呈されていたことは聞いていた。 本書はその論争に決着をつける可能性がある。 現地に何度も足を運んで写真が取られた場所を特定したり、 オリジナルに近いプリント写真を探してパリやニューヨークに飛ぶ展開は、 さすがは「深夜特急」の沢木耕太郎だと思わせる。 以前から指摘があったように、問題の写真が撃たれた瞬間ではないことや、 キャパのライカで撮られたものではないことを理詰めで解いていく様は、 読者を引きつけるものがある。 そして不思議なことに、種明かしをされてしまったキャパという写真家に対し、 さらなる興味を抱いてしまったのは、本書が決してキャパ批判というスタンスで 書かれたものではないからなのかもしれない。 | ||||
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最近NHKスペシャルで取り上げられましたが、キヤパのこの代表作の秘密は写真に長けている方ならば、30年以上前にはっきり分かつていた公然の秘密で、作者の沢木氏の発見でも何でもありません。NHKと作者のモラルを疑います。 | ||||
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よほど、ロバート・キャパの写真を見、電気等を呼んでいる人でないと、ついて行けない内容。 これまでの多くの伝記にある、倒れる兵士の写真の真贋解説としては最も納得がいく物で、面白かった。 だが、もうこの写真が報道写真としての役割を終えてしまった、77年後の現時点で、何故またほっくり返さなければならないのか、 この本を書く必然性が分からない。読了後の感想。 | ||||
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ときおり文藝春秋呼んでおりました 沢木耕太郎氏紹介でキャパの写真は見ておりました。 そして今回のレポート、何のことかと読み進んでわくわくドキドキ次の 展開が待ち遠しいくらいで一気に読んでしまいました。 まさか写真の現場まで確定するとは、そしてその位置、二台のカメラの真実など 推理小説より何倍も面白くツイこの本買い、二度も楽しみました。 | ||||
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すばらしい本で一気に読みました。 ただひとつ気がかりなのは、どのような場面の写真を誰が撮ったか、ということのほかに「この写真を取り上げ、世界に発信した人物」がいるということです。 その人物はすべてを承知で事に及んだのではないでしょうか? つまり、その人物こそ、この写真をめぐる物語の真の主人公なのではないか、と私には思えてなりません。 | ||||
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NHKスペシャルを見て、そのセンセーショナルな内容に本当にびっくりしたのですが、 テレビ番組を見ただけでは、なんとなぁくスッキリしないところがありました。 こんなすごいこと、どうやって沢木耕太郎は突き止めたのだろうか? いつから追いかけていたのかしら?NHK番組と沢木さんの関係は? 本が出ていることを昨日知り、さっそく購入し、一気に読みました。 当然ならが、昨日今日の思いつきで、あるいはテレビ局の企画としてこの問題が扱われたのではないことが、まず分かって、本当にスッキリしました。 そして、沢木さんが疑問を一つずつ検証してゆく様を、丸ごと追体験できる、素晴らしい内容のものでした。 全て関係者に誠実であり続けた沢木さんの姿勢にも、また改めて感動しました。 「写真」というものに映しだされた「真実」。 それは、いつ誰が見ても、一つしかないと思っていました。 実は使う人の意図や、受け取る側の解釈で、いかようにでもなりうるのですね。 うまく言葉に言い表せませんが、とにかく余韻が残っています。 買って悔いなし、久しぶりに読み応えのある一冊!!!お勧めします。 | ||||
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神格化された「崩れ落ちる兵士」の写真の謎が、今解き明かされる。スリリングなその道程を描いた沢木耕太郎氏の傑作です。 確かに「崩れ落ちる兵士」の写真だけを見る限り、神話化されたのも宜なるかなと思いましたが、同時に撮られたその他の写真群を初めて見て、その余りの緊張感の無さに驚きました。キャパが実際にアンダルシアのペニャローヤで模擬演習を撮影しているという挿話(175頁)も、沢木氏の見解を裏付けるようです。それにしても、兵士は足を滑らせただけで死んでおらず、撮影者に関する結論は衝撃的でした。2台のカメラで撮影が行なわれたことやその位置関係、雲の動きや使われたカメラの特性などから緻密な推理(推論)を展開する氏の「探偵」ぶりには、天国のキャパもゲルダも今頃讃嘆しているのではないでしょうか。 英訳されれば、世界に衝撃を与えるのではないでしょうか。わが国ノンフィクション界の傑作として、今後多くの賞を受けそうな予感がします。 | ||||
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