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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年



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【この小説が収録されている参考書籍】
色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価: 3.41/5点 レビュー 1023件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.41pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全563件 181~200 10/29ページ
No.383:
(5pt)

さすが、

流石 村上春樹の作品
ハードカバーなのに さくっと読むことができました。
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No.382:
(4pt)

「ノルウェイの森」の別冊版?

「ノルウェイの森」以来のリアルな青春小説。しかし、つくるが仲間外れにされる理由は今一つ不可解だ。ヒロインが死んでしまうのは同じだが、舞台となった前回のギリシアより今回のフィンランドの方がずっと馴染めた。
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No.381:
(4pt)

洗練された自己啓発長編

三十七度の熱があり、自宅で暇を持て余していた。外にも出ないので身内に話題の小説、本書を買ってきてもらった。自分は文庫派でハードカバーのは読みづらいという理由だけで積読するのが常であったが、別格というのがあるものだ。シロ、クロ、アカ、アオなど色のある人物、個性的な人なんだろう。それら友人たちは時と別離とともに音沙汰もなくなるが、主人公が恋焦がれていたであろうシロとクロ(色、あるいはイデア)を合わせた色、灰田が現れつくるに慰安を与え、同時に不安のもやを心にかける。以前からの不安と合わせて払拭させるため、旅へでる。そこで合わせたものはすべて杞憂。会ってくれないだろうか、会っても嫌味を言われるのではないかという一般的な不安は現実としてない。であるのに人は気にする、いやになる。そうでないのが一般的であるのに。これを書けるのは尋常でない。「あなたはきちんと働いて納税の義務を果たしているのよ」「ハンサムボーイよ」難しいのは哲学があり、通俗性の必要性がない純文学なのだから当然だ。私は光を見る。色褪せないまま頂上へと駆け抜ける作家に。理解もいらないのだろう。自らに何も訴えかけず、哲学性のない文学が最上というのなら、この場でこれ以上は言うまい。
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No.380:
(4pt)

一種の中毒性

独特の言い回しと偏った描写。
自分はこれを強く欲してしまう時があり、村上春樹の作品が出る度に早く読みたいと言う衝動に駆られてしまう。
多崎つくる。とても興味を惹かれる主人公です。
評判悪いですが、とても楽しく読めたし、心にも残りました。
個人的に渇望してる事は、世界の終わりとハードボイルドワンダーランドの続きが見たいです。
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No.379:
(4pt)

痛みとともに

何かの問題をうまく解決しないまま生きてしまっている自覚がある人は、深い共感・共苦とともに読める本だと思う(必然的に、ある程度年齢が進んでいる人のほうが理解しやすいのだろう)。自分と重ねあわせてしまい、苦く思い出したり、傷がうずくような場面も多かった。

この本へのネガティブなレビュー、及びそれへの票の集積をみるにつけ、自分とはみているものがまるで異なる人々が膨大にいるという事実に息苦しさを感じた。とりわけ悪趣味なレビューに喝采があがっている様子を見るとなんだか哀しい気持ちがする。自分の無理解を、作品を貶めることにより解消しようとしている感じがたまらない。

完全に読む(べき)人を選り分ける本だ。
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No.378:
(5pt)

さくっと読めて余韻もほどよかった

人間は、仲間だった人に外されてしまうとものすごく傷つくということ そして時間の経過とともにその理由を
探るべく、皆に会って実際話をして、少しずつ理解していくこと。

思っていたより読みやすかった。

気になっていた本でしたので読めてよかったというのもあります。 気になった方は一読してみてもよいかと
思います。
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No.377:
(5pt)

よい

1Q84みたいに長くも無くすぐ読めるのが良い。村上は本当にいい
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No.376:
(5pt)

巡礼によって取り戻したもの

レビューに酷評が多かったので期待しないで読んだが、とても面白く読んだ。そして心に沁み入るものがあった。高校生から大学生になる頃のグループのつきあいとは、そのまま続くわけはなく、静かに終わって行く場合もあれば、誰かの軽率な、あるいは意を決した行動で崩れ去って行く場合もあるだろう。多くの人が経験したことがあるに違いない。多崎つくるくんは自分だけがグループから放り出されたと感じ、それを16年間抱え込んでいたが、巡礼の年を経て、すべてが虚しく消えてしまったわけではないことを知る。まだ分かっていないこともあり、明日のこともどうなるか分からないが、とにかく前を向くことができた。そんな物語を作者は、頻出する比喩表現と独特の言葉遣い、(現実にはまれかもしれない)乾いた会話の積み重ねで綴って行く。登場人物の心情はよく分かったし(分かったと思えたし)、周りの風景も鮮やかに目に浮かんでくる。小説を読む楽しみを十分味わえた。自分は作者と同じ年代であり、我々にとって多崎つくるくんの巡礼の年は人生の中でまだかなり過去にあたる。我々の今の人生を作者が書くとしたら、どんな小説になるのだろう。
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No.375:
(5pt)

いろいろな意見

私も何作か村上さんの本を読んできましたが、今回の作品は私にとってとても思い入れの強い作品でした。主人公のつくると私との重なる点や異なる点、いろいろな角度からこの本を読み自分を振り返ることが私はできました。また村上さんらしい表現方法がとても好きで、今回の作品でも噛みしめて読むことができました。いろいろな意見の人がいるようですが、私は村上さんの特に熱狂的なファンというわけではありませんが、自分の人生について振りかえることができ、僭越なふぁら20才になる前にこの作品と出合うことができて良かったと思います。
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No.374:
(5pt)

失われた友情について。

失われた青春時代の友情とその後の長い孤独、そしてその孤独を旧友達と再会しながらゆっくりと脱していく物語。

得難い友人達との幸せな記憶を青春時代に得ることができた人。そして、その友情を失って久しい人。そういう方には染みる小説だと思う。逆に、この小説をコキ下ろしてるレビュアーの方々は、幸運にもそういう経験を未だしていない方々なのかもしれない。

「人の心と人の心は調和だけで結びついているのではない。それはむしろ傷と傷によって深く結びついているのだ。痛みと痛みによって、脆さと脆さによって繋がっているのだ。悲痛な叫びを含まない静けさはなく、血を地面に流さない赦しはなく、痛切な喪失を通り抜けない受容はない。それが真の調和の根底にあるものなのだ。」(307p)

これは、主人公がかつての親友達の理不尽なふるまいの理由を理解した後の、終盤の一節である。孤独な魂達の再会と赦しを表現したこの素敵な一節に、僕は心が洗われるような気がした。
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No.373:
(5pt)

ありがとうございました。

ベストセラーとして村上春樹作品を読まして戴きました。
ありがとうございました。
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No.372:
(5pt)

これは殺人鬼の心象風景か

高校の同級生をレイプし孕ませ、あげくの果て絞殺してまんまと逃げおおせた田崎つくるは、両刀使いでなんと次の標的はプールで知り合った大学後輩の若い男だった。毎週末男ふたりで料理をして、なにをしてから、幻想的な感じの連続殺人の描写に私は心底ガクブルしたのであった。読み進むにつれ、つくるの犯罪に気づいた娑羅が中年の刑事と手をつないでいるのをつくるに見せるシーンはこの小説のなかで最も緊迫したシーンのひとつで美しい。連続殺人鬼の更なるターゲットはフィンランドへ逃げたクロであり、殺人鬼つくるとの再会シーンも緊迫感が漂う。ふたりの娘をかばうクロ、夫と子供、犬を車で逃走させ、自分ひとりでつくると対峙するクロの姿は感動的だ。最後の標的は中年刑事と手をつないだいた娑羅だ、ギネスにのるぐらい人が多い新宿駅で決着をつけるぜ。
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No.371:
(5pt)

すごい小説です。

何やら村上春樹の『色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年』はすごいことになっている。要するに村上春樹が村上春樹中毒に陥っていて、ノーベル文学賞候補にその名があげられるほどの大御所になってしまうと、それを諫言する編集者が不在だということか。そして小説に出てくるすべての登場人物と語り手までが、会話や語りにおいて訳知り顔的で、これ見よがしに浅はかな知識をひけらかしまくってしまい、そのことごとくがスベッているように感じられ、これはまさに有吉弘行の言うところの、おしゃべりクソ野郎とクソスベリ芸人の物語だ。見てはいないが、もしかして松本人志の『R100』もこれと同じ状態なのだろうか。それとも村上春樹はわざとそうやっていて、今や日本人のすべてがそういう状態になっているということを主張したかったのか。そういう意味では衝撃的な小説だ。

 主人公の多崎つくるが色彩を持たないのは、高校時代の仲良しグループの4人の仲間が、すべて『黒子のバスケ』の「キセキの世代」風に名前に色が含まれていて、そいつらから絶交された後に大学時代にお友達になった灰田くんも、灰田くんのお父さんの昔話に出てくる緑川さんも、同じく名前に色が含まれているのに対して、つくるくんには色がついていなくてさびしいなあ、高校時代は学業もぱっとしないし、性格もおとなしいし、これといって特徴がないんだよなあ、みんながうらやましいなあ、ボクもみんなみたいに色彩を帯びた人になりたいなあ、と思っているんだが、でも名前に色のついた人たちは、みんな思いっきりおしゃべりクソ野郎でクソスベリ芸人ではないか。つくるくんもお助けおねーさんの沙羅ちゃんも、似たような感じといえばそうなりがちだが、普段は無口な会社の部下の坂本くんまでが、いきなり「若輩の身で差し出がましいようですが、少し口をはさませていただいでいいでしょうか?」と断ってから、知ったかぶりの知識ひけらかし競争に割って入ってくるのには、読んでいて思わず笑ってしまった。まあ多崎つくるの「タザキ」の「キ」は黄色の黄だし、木元沙羅の「キモト」の「キ」も黄色の黄と考えれば、どちらも最初からちょっとだけ色彩を帯びていたのかもしれない。

 物語の中で最大の知ったかぶりの知識ひけらかし野郎を演じている灰田くんは、その知識のひけらかしすぎ具合があまりにもうざすぎるらしく、どうやら作者の村上春樹から直々に天誅を加えられたようで、つくるくんが高校時代の仲良しグループ内の女の子二人を、おかずにしながら夢精しかけた時に、灰田くんが割って入ってきてつくるくんの勃起したちんぽをくわえこみ、灰田くんの口の中につくるくんが射精してしまう、という嫌な役回りをあてがわれてしまう。お前えらそーにしゃべり過ぎだよ!ちんぽでもくわえて黙っていろっ!ということか。そして実際それからしばらくして灰田くんは行方知れずになってしまうわけだが、語り手も語り手で、村上本人の下品でグロい性格を反映した箇所もなくはない。「シロは普段は無口だが、生き物が好きで、犬や猫の話となると顔つきががらりと変わり、夢中になって話し込んだ。獣医になるのが夢だと本人は言ったが、彼女が鋭いメスを手にラブラドルの腹を切り裂いたり、馬の肛門に手を突っ込んだりしている情景が、つくるにはどうしても想像できなかった。」ここで「どうしても想像できなかった」情景を想像しているのは誰なのか。語り手なのだろうか。それともどうしても想像できなかった情景をつくるくんが想像しているわけか。あるいはそれを読みつつある読者なのか。村上春樹は彼の本を読んでいるプチブルジョア的な小市民の読者に、ちんぽをくわえた灰田くんの口の中に精液が溢れ出す光景や、清楚な美人のシロちゃんが「ラブラドルの腹を切り裂いたり、馬の肛門に手を突っ込んだりしている情景」を想像させて喜んでいるわけか。

 村上春樹はその手のプチブルジョア的な小市民を嫌悪しているのだろうか。こんな箇所もある。「レクサスの受付にいたのと同じ、名古屋でしばしば見かけるタイプの女性だ。整った顔立ちで身だしなみがいい。好感も持てる。髪はいつもきれいにカールしている。彼女たちは何かと金のかかる私立女子大学で仏文学を専攻し、卒業すると地元の会社に就職し、レセプションか秘書の仕事をする。そこに数年勤め、年に一度女友だちとパリに旅行し買い物をする。やがて前途有望な男性社員を見つけ、あるいは見合いをして結婚し、めでたく退社する。その後は子供を有名私立学校に入学させることに専念する。」とお得意の浅はかな知識のひけらかしつつ、皮肉っているつもりなのだろうか。そういえば物語の中で、唯一ほとんどおしゃべりクソ野郎役を演じなかった清楚な美人のシロちゃんは、強姦され妊娠して流産して、大好きなピアノ演奏にも、その才能の限界を感じさせられ、美人でなくなり、そんなふうにしてどんどん不幸になっていき、しまいには殺されてしまう。うんちくのひとつもしゃべれねーやつは死んでしまえ!ということなのか。その殺人事件も未解決のまま放置され、そのままその存在自体もフェードアウトしてしまうわけだ。

 その彼女がかつてピアノで弾いていたのが、リストの『巡礼の年』という曲なのだが、それに関して三流音楽評論家の解説みたいなのが物語の随所にちりばめられて、その手の浅はかな知識を真に受けてしまう人用の箇所なのだろうが、緑川さんが田舎の中学校の音楽室で弾いてみせた『ラウンド・ミッドナイト』の箇所もそうなのだが、かつての仲間の居場所に巡礼していき、そこでうんちく話をして和解し、東京近辺では夜に徘徊して、おしゃれなバーやレストランで飲んだり食ったりしながら、アーバンな気分を味わいつつ、沙羅ちゃんと謎解き探偵もどきの会話を楽しみ、何やらそういう雰囲気に浸かるような話にはなっているわけだが、やはり印象としては薄っぺらい話だろうか。これで村上春樹がノーベル文学賞を取ったらすごいか。
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No.370:
(5pt)

新しい小説

なぜか酷評されているコメントが多いのですが、わたしはとても気に入りました。
確かに、一人称の「僕」で語られ、突如として不思議なキャラクターが登場するファンタジーが魅力の、
村上さんの有名なこれまでの代表作とは違う小説です。
村上春樹の新作、という姿勢で読むと、がっかりされる方が多いかもしれません。
本の真ん中あたりまで、ぐっとこらえて読んでいくと、残りは一気に読み進みます。
ここまで有名な作家が、また新しい世界をひらいていくのは容易なことではないです。
これを読んでまた、村上さんのこれからの活動がとても楽しみになりました。
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No.369:
(5pt)

『涼宮ハルキの欠落』

全部読んだ。真水に近いウイスキーだ。「ケミストリー」ってたぶん「錬金術」のことだよ。察して差し上げろ。「ビックバン」って、意味ないから安心してくれ。
つまり確信犯の詐欺である。罪はまあまあ重い。「犯罪をおこなったものは10年以下の懲役に処され、犯罪によって得たものは没収(19条)または追徴(20条)される(Wikiネタ)」。
525円で、角川スニーカー文庫で出すとよい。もしくは、フリー配布してくれ。

さて、「不思議と」、「なぜか」、「分からない」 という形容が頻繁に出てきます。作者兼主人公がこんなことを乱発するおかげで、読者もそうなります。
最初のページから3ページくらいを、もう、10回くらい読みましたよ。適当に暗記しましたよ。そのまま引用するとアレなんで、わたしなりに暗記したものを括弧付きで書いてみましょう。
「多崎つくるの死への思いが純粋すぎて、具体的に形象化する方策が見つからなかった、なのかも知れないのだろう(たぶん)」
作者は本気で死のうと思ったことはないことがいきなり露見します。自殺なんてインターネットを調べれば、覚悟とロープとドアノブと椅子があれば可能です。8m以上のロープをつけてマンションから飛び降りとかしなくても、楽勝です。後遺症の残ったぼくが言い切ります。つくる君はGoogleで調べることができなかったようですね。未遂もしてないみたいですね。ほっとしました。
このあと学生時代孤独でウツになった旨が告白されます。
しかしウツの人は「朝から起きて歯磨き」なんてしませんし、大学なんて行けるかよっ。
「家に帰ると、壁にもたれて、死について、或は生の欠落について考えた」
一度でもウツになられた方はおわかりのように、そんなお洒落なウツはございません。一ヶ月くらいトイレに行くだけは起き上がる程度の布団蓑虫になりますからね。ウツ十年選手のぼくが言い切ります。まあ、彼にウツとか欠落はないのでしょう。んなこたあ、かいてないからな。
世界のリアルがリアリティを失い、すべてが無に帰し、存在しなくなり、「鯨の胃袋」に飲まれて「ひどく淀んだ日付を持たぬ日々を送った」つくる君。
世界に絶望しているらしいんですが、リアリティのあるリアルさがまったく伝わってこないまま、「鯨に飲まれるように」見事な比喩にすべてが煙に巻かれてしまいます。

つくる君の心象と、作者のメタレベルの心象をミックスして意図して書かれているのか、作者天然の「化学変化(錬金術)」なのか分からないところも又、分かりません。
もう少し進むと、模型の駅の描写があります。一見、中学生の書いた作文に見えますが、意図的に叙情的な描写を避けているのかも知れません。模型ですからね。でもまあいらないくらいにつまんない描写です。しかしつくる君は駅をつくらないとつくる君にならないため、キーとなるはずです。しかし「なにかが欠落」していることはなく、とても素っ気なく、まるで不思議となぜだか、「現実と空想がミックスされて、その興奮のあまり痙攣し」て失禁して射精してそれを飲んでしまうくらい、つくる君と作者の距離がありません。
この書き方は、フランツ・カフカを意識しているのでしょうか。しかしカフカは身振り描写や言葉遊びを大切にする技巧派です。カフカっぽい失敗作を意識して、作者が意図的に書いたというのならよく分かります。それ以外の答えは「不思議と分かりません」。こんな感じで、分かっていながら詐欺にはまりますから、みなさんどうぞ。あとは・・・すごく長いなあ。

あといらないつっこみが多いのに、必要なつっこみがありません。括弧付きで(だろう)とか「それ冗談よ」と書かれると、阿呆向けに親切になって書かれているのか、それに突っ込むべきなのか、頭の中に「なぜ」の記号がいちいちつくため読むのに困ります。地の文が全部つっこみどころなので、読み進めるのに苦労します。会話と地の文との差違なんてほぼないな。

文は至って平易です。一、二秒くらいで一行読めますね。流し読みして飛ばすくらいでokでしょう。めんどくさいと三行くらいまとめて読めます。これはセンター試験とかで使った技ですねえ。パラグラフリーディング(シュタイナー)です。もちろん、ゲームの中の主人公のように、へ移行世界を妄想してください。そして読み飛ばしても大丈夫。なぜなら、つくる君は魔法が使えるのです。読まなくても今度だけは読んだことにしてくれるという。セックスもウイスキイも同じさっ☆彡音楽のように聞き流そうぜっ。深読みしようとすると、阿呆のような時間がかかります。理解しようというのが、無為な試み。

テクスト全体の作りが、親切を装った不親切なんだと思います。それもその不親切は、技巧とテクスト表記のレベルでであって、物語と比喩のレベルではありませんよ。後者は作家の自由ですから、しかとします。しかし前者は想定された読み手のためにあるはずのものなので、本が好きなぼくは徹底的に読もうとしてしまいます。比較対象に、カフカを原文で読んでみなさい。翻訳でもいいけどね。ちゃんと読めるように書いてあります。ハルキ先生のは、もうテクストとして読めませんね。ひどく不親切。分かるようで実は意味なんてないという詐欺です。それが『涼宮ハルヒの欠落』です。ああ、「村上ハルキの欠落」だってえ。どうでもいいじゃないか、なぜかはわからないが。ようはケミストリーさっ☆

最後まで読み切りましたけどね。
読ませたいのか、読んで欲しくないのか。チュウニとかオナニーとかラノベとか言うことは当たり前なのでほっといても、これ読み物としてどうなんですか、と不思議になります。

もう一度言います。物語と比喩、これは理解できるものではない。なぜなら『涼宮ハルキ先生の憂鬱』の中にも答えがないから。
文学とは、美とはなにかに近いかな。まあ物語とは伝統的形式ですが、常に進化してますからね。比喩はなにかからの跳躍だとしたら、元の何かを書けないための所産であり、まあ深い意味はない(しりたきゃロラン・バルトでも読むといい)。
しかし読ませるための技術、或はその誠意、これが今回のハルキ先生には感じられない、ということだけ、それこそが感じられる。つまりつくる君=ハルキ先生の欠落です。ハルキが書いた。文句あるか、ということですよ。ジャイアン・リサイタルですよ。まあ娯楽じゃないんだな。でも資本主義的には成功しているんだな。そしてノーベル賞という名誉も作者は欲しいんだな。

単なる平易な、なくてもいいような、国語の教科書的な紋切り型の、青空に突然開いた夜空みたいに無乾燥な風が吹く、そんな説明文が九割、毎晩ゲーテとシラーとが茶漬けを啜るように互いにフェラチオしあったくらいにひどい、そんな巧みな比喩が一割。こんな薄いウイスキーは飲めない(だろう)。比喩が読みたいなら、海外の古典を読む方がいいな。ボードレール、リルケ、ビューヒナー、ツェラン、…。
全部が隠喩なのだ! とか言う方は、きっとなぜか不思議と分からないままに、エックハルトとかヴィトゲンシュタイン晩年とかメヒティルトとかも理解できるんでしょうねえ。うらやましい。

『涼宮ハルキ』シリーズ、餡抜き鯛焼きですけど、太鼓判を押してでも、おすすめします。
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No.368:
(4pt)

また10年後に読み直したい

村上春樹すきです。
高校生の頃に読んだノルウェイの森は、良くわからずとりあえず読んだ感じだった。29歳くらいで読み直したら全く違った世界だった。
この作品も10年に一回くらい読み直したい作品になった。これを読んだとき、ちょうど友人とうまくいっていなくて悩んでいた。そんな自分と重なる部分もあり、不思議な気持ちになった。そしてなぜか救われた。
読む人の気持ちしだいで物語りは違ったものになる。だからおもしろい。
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4163821104
No.367:
(5pt)

娯楽小説の立場から村上春樹を貶める過ち

この作品が発売時、大変な話題になったとき、何故あんなに酷い悪罵が賛同され市民権を持ったのか、私の周囲の数人(すべて読み巧者だ)に尋ねてみた。人格の問題はさておき、誰もが読解力の問題だと言う。村上春樹氏の文章は平易に見えて実は暗喩に満ちている。平らかな進行の裏にある複雑な心象を読み解くことに、彼の小説の醍醐味はあるのだが、しかしその存在を感じ取ることさえ、ほとんどの人はできないのだと。小論文添削の専門家によると、大部分の人には「行間を読む」能力がないらしい。唯一つの感情(楽しい・悲しい・切ない・恐い等)を予め約束された作品に接し、所期の目的を達したら「感動した」と称揚するだけの連中にとって、村上春樹は荷が重過ぎる。彼が提示するメッセージはより多面的であり、簡単な言葉に帰納させてくれない。それは彼の全存在と同じ重量を持つ世界観の反映であり、お話として面白いか否かは二義的なことなのだ。

彼の小説の登場人物は誰一人自立していない。全員が作者の分身であり、異なるfacetの代表として操り人形のように考え、会話し、行動することで、各々の役割を分担している。だから誰彼の言動への論評は(遊びとして以外には)意味がない。筋書きを楽しむ娯楽作品ではないのだ。問題は作者の意図が有効に提示されたか否か、である。私は終盤の処理に弱さを感じた。しかし概ね作品に寄り添い心を共鳴させ得た、と思う。

以下は批評と無関係な、個人的な感懐である。

「私たちが私たちであったことは決して無駄ではなかったんだよ」(p.320)
「失われてしまったいくつもの可能性と、もう戻ってくることのない時間」(p.343)

ここでも私は心に響く言葉をいくつも見つけた。そして私の高校時代を、あれからの数十年を思った。私はかけがえのないものをいくつも失い、引き換えに、新たなかけがえのないものに出会った。生きていくとは、結局のところ何なのだろう。
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No.366:
(4pt)

"おされ"な人任せ

レビューで星ひとつの酷評を書いてるドリーさんが、何故24000近くも「参考になった」とされているのか、それを確認したくて本書を完読したのは私だけでは無いと思います。(あの書評はすごいですね。)

"己が故郷の何かと繋がっている事"は自己の確立に欠かせない事だと思います。どんな遠くまで行こうとも、生まれ育った土地や人との繋がりというのは、見えない烙印のように切り離せないものです。

歳を重ねて行けば人との縁が切れる事もあり、孤独を感じない人なんていない。だからつくるの孤独と、自身の経験を重ね合わせる読者もいるでしょう。つくるの話を読むことで、今まで気付かなかった、気付かないようにしてきた感情を、掘り起こされてしまう人もいるのではないでしょうか。また自分は何のために生きてるのか、とか、金太郎飴の大量生産型教育を受けてきた日本人なら誰でも感じる「没個性」に対する苦悩も、つくると共鳴するところがあるかもしれません。

段々感じてくる拭いきれない違和感は、つくるさんが自分に酔いすぎてるところでしょうか。突然別れが来る事は、生きていればそう珍しい事でもない。村上春樹が書くとお洒落だなと。あとこのつくるさん、結構こだわりやひとりよがりなところがあるのに、ある面では極端に人任せな面も。それが男(のロマン?)ってやつなのかな。

でもなんだかんだ思っても、結構飽きっぽい私が一日集中して読みきった位、本書は面白かったと思います。
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No.365:
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じわじわ

学生時代から春樹ファンです。じわじわ春樹ワールドにつかりながら読み進めました。
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No.364:
(4pt)

サスペンス風で面白い。

謎めいたことが知りたくて、最後までついつい読んでしまいました。
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