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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全177件 161~177 9/9ページ
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誤解を恐れず言うなら、私自身は村上春樹という作家の作品は本来、このように新作が出るたびに大きな話題となって、一度に何十万(百何十万)部という膨大な数の本が売れるようなものではないと思っています。私から見た限りでは、その作品群には全体的に色濃い「孤独」の影が漂っています。そしてたとえ多くの人が潜在的にその「孤独」を背負っており、村上春樹がその「孤独」を描出する手腕が傑出したものであったとしても、その「読者」と「作品」との間に存在する「孤独感」(あるいはその他の感情)の共鳴は、より自然に自発的に(つまり宣伝文句で煽られるのではなく、読者の側の自然な心の求め方によって)なされるべきだと思っています。そして(村上作品ファンの方々だったらおわかりいただける感覚だと期待しているのですが)、読者と作品との間にそのような幸福な「共鳴」が訪れた時に初めて、その作品はその人にとってとても大切なものへと変貌するのだと思います。 この新作についても、作品全体には同じく濃密な「孤独の影」があります。主人公の多崎つくるは過去の出来事により、ある時期強く「自分が死ぬこと」を求めるようになります。それを何とか乗り越え(たと自分では思っている)、社会人として東京で働いている時点を現在基点とし、彼がその過去の出来事と一つ一つ向き合っていくさまが作中で描かれます。 他の村上作品によくあるように、この作品の主人公である多崎つくるも他人との広い交際を持たず基本的には孤独であり、また「人生を生きていく事」に対してあまり情熱的な姿勢を見せません。そして彼自身はそんな自分の薄ぼんやりとした(色彩を欠いた)存在に対して疑念を抱いており、そんな自分が人に何かを与えることができるのかと(ぼんやりと、しかし執拗に)悩み続けます。 そんな彼が、リストのピアノ曲「巡礼の年」に触発されるように、そして過去と向き合うことを通して自分自身の生きる意味を確認するかのように、過去への「巡礼」の旅に出かけます。 その「巡礼」の間に彼が何を見出すのか、それは読書の楽しみとして具体的には書かないでおきますが、ただその「巡礼」は彼にとってほろ苦い切ないものとなっています。そして作品全体はその「苦さ」や「切なさ」を「生きていくうえで避ける事のできない不可分もの」として提示し、それを通してしか人は生きていく事はできないのだ、と言っているかのようです。それは一つの苦い認識ですが、しかしそれだけに、作中で時に語られる「時間が経っても変わらない、昔も今も変わらずある良きもの」の掛け替えのなさも際立つかのようです。そしてこのような苦さや切なさ(時に不気味な薄暗さ)が作品の基調を成しているにもかかわらず、全体として「それでも我々はこの人生を生きていくのだ」という足取りを感じることができるのもまた確かです。 上にも書いたように、私自身は村上作品は自分がそれを自然に欲していると思った時に、自発的に手に取った時にこそ真の共鳴が得られると思っています(そしてこの作品に限って言えば、大変な話題となっている現状には反して、この作品に心底共感できる人の割合はもっと少ないと思っています)。ですからこの作品に関しても、私は積極的には他の読者の方々にはお薦めしません。ただし上に書いたような諸点に何かしら共鳴するものを感じられる場合であれば、もしかしたら手に取ってみる価値はある(そしてこの作品がその方にとってとても大切なものになる可能性がある)かもしれません。 最後にこの作品全体に関する私自身の印象を。既にレビューで指摘されている方もいらっしゃいますが、熱心な村上ファンならすぐにわかるような、過去作品で登場したモチーフがこの作品には頻出しているように見えます。あまり村上作品に接したことのない読者なら新鮮に見える点も、そういった昔からのファンにとっては「焼き直し」に見えてしまう恐れもあります。ただしそれらは考えようによっては、それだけ作者にとって重要なモチーフであるとも言えるのかもしれませんが。 ただしその文体に関しては、近年の村上春樹が持っていた「三人称の語り」への強いこだわりが、この作品では完成形に近づいたかのように見えます。作品に存在する切なさや寂寥感とも呼応して、その語りは全体的に静謐な美しさに満ちています。文章自体がこのようにある種の魅力を備えてもいますので、(上に書いたことと矛盾するかもしれませんが)「試しに読んでみる」つもりで読んでみても恐らくスイスイと読むことができると思います。そして読み終えてすぐには印象に残らなかったとしても、後々自分自身の境遇や心境が変わるにつれて、再度この作品を手に取ってみたくなる瞬間もあるかもしれません。もし気が向いた方がいらっしゃれば、そんな瞬間を期待してこの作品をとりあえず手に取ってみるのも良いかと、個人的には思います。 | ||||
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大体の春樹作品(短編・エッセイ含)を読んでいる者です。 物語の構造自体は真新しいものではなく、 「主人公或いは主人公にとって大切な人物が別の世界へ行き、 無事に戻って来られるか」という『羊をめぐる冒険』辺りからある 多くの村上作品に見られる構造だと思います。 内容は今までの作品に見られるテーマや人物を幾つか拾い集めて、 時代設定や作中に登場するアイテムを現代に合わせてアップデートしたような印象を受けました。 物語の結末や謎解きを肝要にするのではなく、文体や比喩に唸りつつ、 上記に書いた構造を抜け出す(或いは踏襲する)作品となるのかを念頭に置きつつ読み進めるのが、 春樹作品の楽しみ方なのかも知れません。 | ||||
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まず、この作品は午後の昼寝をするような気楽な感じですんなり読めました。 つまり逆に言うと、中身が薄い。あるいは灰田や緑川のくだりは大胆に 削って短編でもいいような内容ですね。ポスト311作品ということで 発売前からその謎めいたタイトルからいろいろな妄想をしていましたが なんかゴレンジャー的な陳腐な色彩に関しての設定があったり、「巡礼」 という言葉を使うにはちょっと大げさな感じがしました。 私自身も40なのでつくる氏よりちょっと年上ですがそれはそれなりに 過去の心の傷にとらわれながらもなんとか生きています。 しかし正直言ってつくる氏には感情移入できなかった。 つくる氏が36歳という設定に違和感があった。いろいろ トラウマをかかえているにしても現実感がなさすぎ。 逆に一番リアルに親近感を抱いたのはレくサス売りの彼。 読み込んでいけばいろいろな仕掛けや謎解きがあるのかもしれないけど 今後何年後かに発表されるであろう渾身の超長編のまえのいわば アフターザダークのようなローテーションの谷間的な作品と 考えればいいのではないでしょうか | ||||
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アラフォー主人公が、学生時代のトラウマを解き明かすストーリー。なかなか分かりやすい作品だと思います。 が、相変わらずセックス、射精に死まで絡めてのお得意の流れは、やれやれを通り越して無ければ村上作品じゃない!とニヤニヤしながら読みました。 最後尻窄みですが、さっぱり読めて、明るい気持ちにもなります。駄作ではないですが、名作とも思えません。 タイトルの巡礼は曲のタイトルみたいですね。 | ||||
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このレビューを書いているのは発売日翌日の朝ですが、この時点で★は5個から1個まで5,4,0,1,3です。予想通りの賛否両論になりました。 賛否両論になることまでも作者は狙ってますな。思う壺ですわ。だからあえて★は3。 他のレビュアの意見にもある通り、特別扱いし過ぎだと思います。良くも悪くも21世紀の現代日本文学ですよ。内容は違うんですが、国境の南、太陽の西を読み終えた時を思い出しました。 5年くらい経ってから読み返したら、どんな感想を持つかな、とつくづく思いました。ある種のライブ感を味わいたい人は、今すぐどうぞ。 | ||||
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ニュートラルな文体に、村上春樹の長編には珍しくリアルにありそうな(あるいはなくもなさそうな)プロ ットで、読んでいるうちはなんというか随分とオーソドックスな探偵小説のような印象を受けました。 章の末尾の引きも強いですし。 作中には色んな謎が出てきますが、多くは解明されません。あるいは「え?そんなもん?」と拍子抜けする ような答えであったり、解明のされ方をすることも多いです。 むしろこの小説は、1人のなんでもない男が、なんだかよくわからないもの、自分のあずかり知らないもの たちに翻弄され、それでもなんとか強く生きようと決心し、行動し、その結果以前居た場所とは違うところ にたどり着く、という「流れ」が大事なのであって、そこでは謎がなんなのか、答えがなんなのかは、副次 的で交換可能なものでしかないという気もしました。 | ||||
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とても完璧な調和関係にあった友人4人から大学時代に絶交を告げられ、心に傷を負って臆病になった主人公。その主人公が、36歳になった今、彼女の勧めで過去の友人たちと再会し、なぜ自分が拒絶されたのか、理由を探っていく物語。 『1Q84』ほどの大仕掛けのミステリーや計算されたプロットはない。したがって、『1Q84』と比較すると、壮大さや迫力には欠ける。ストーリー性(物語性)については、『1Q84』の方が遥かに上である。 『1Q84』がグランドデザインのある、非常にマクロ的な作品だとするなら、本作は過去の友人たちと自分の彼女という、非常に小さな半径の円の中の物語、小さなミクロ的な作品である。 性夢の中での3Pなど、また評論家から「村上春樹はセックスばかり描いている」と批判されそうなシーンがあるけれど、ぼくは批判に値するとは思わない。注意深く読めば、描かれているセックスが、セックスであるだけでなく、それ以外のものを象徴していることが見えてくるはずだ。 読み解くためのキーワードは、「限定的」「完璧な調和」「五角形」「五本指」「六本指」「枠」「記憶」「歴史」「性的関心」「性夢」「シロとクロ」「グレー」「悪霊」「選択と本物の人生」。 4人の友人に名字には、色がついている。 ・赤松慶……男性。高校時代の友人。通称、アカ。 ・青海悦夫……男性。高校時代の友人。通称、アオ。 ・白根柚木……女性。美人。高校時代の友人。通称、シロ。 ・黒埜恵理・黒埜恵理……女性。巨乳。高校時代の友人。通称、クロ。 4人はみな、個性のある、いわば色のある存在たち。対して主人公の名前「多崎つくる」には、色がない。タイトルの「色彩を持たない多崎つくる」とは、そういう意味。 多崎つくるは、自分には色彩がない、自分は空っぽの容器だと感じている。そのせいか、全的に異性に対面するということがなく、第三者的なポジションにいて恋愛やセックスをするという形をつづけてしまっている。 その多崎つくるが、彼女の助言によって過去と対峙し、そのことで自分の3つの問題をクリアーしていく――そういう物語だ。 多崎つくるは、20歳の時に自分が拒絶された記憶に蓋をして、思い出さないように、あるいは人に話さないようにしている。ある意味、枠の中にとどまろうとしている。それに対して、今の彼女は言う。 「記憶を隠せても、それがもたらした歴史を消すことはできない」 カバーをめくると、英語のタイトルが書いてある。 Coloress Tsukuru Tazaki and His Years of Pilgrimage。「巡礼の年」は「Years of Pilgrimage」と複数形になっている。 巡礼とは、完璧な調和関係だった5人の一体感から抜けて、再び友人たちと対面し、自分を見つめなおしていくまでの16年を意味しているのだろう。 | ||||
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冒頭から、村上春樹ワールド炸裂で、ああ、やっぱり 村上春樹だ(意味不明)と納得する一冊。 考えや思いが、時間を前後して登場したり 短いフレーズの比喩が複雑な気持ちを鮮明に 表現していたり、洋書のような単語を使ったり、 クラッシック曲の蘊蓄があったり。 だが、ファンタジックな、というかミステリアスな 部分が陰を潜め、リアルな空間を作っているところが、 良くもあり、悪くもあると思った。 あまり、冒険をしなかった作品ではないか。 | ||||
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私は、殆ど村上春樹の小説を読んだことがない。所謂、ハルキストではない。ふだんから、そんなに小説を読む方ではない。 しかし、根がミーハーなので、つい、購入して、一気に読んでしまった。 この小説は、決してよみにくくはない。次から次へと読み進めることができる。小説の世界に感情移入しにくい私も 読めてしまったくらいである。 この小説を読んだ後、これが期待通りの秀作かと聞かれると、色々と疑問点が数多くある。 はたして、現代の36歳の男性は、このような話し方、考え方をするのだろうか。 会話の内容が極めて洗練されており、知的であるが、果たして? 登場人物の会話も知的で、所謂、「おしゃれ」である。かっこいい、のである。 果たして、リアリズムは? 等々。 他に、この小説の物語についても、不満が残る。ラストは、あれで良いの? 期待をしていたのに。そのラストは、読者のそうぞうりょくにまかせる、というものなのか? ただ、村上春樹の小説の特徴だと言われているのかもしれませんが、「言葉の力」のようなものは よんでいて、ひしひしと感じていた。読んで、数時間たったいまでも、何か頭に残っているような気分である。 とにかく、良い意味でも悪い意味でも「大人の小説」であろう。 このレビューのように、評価は二分されるだろう。 | ||||
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初レビューです。25年位前からファンで、これまでの春樹さんの小説は多分全部読んでて、本棚は春樹さんの本ばかりで、無条件に春樹さんの文章や表現に感動し、受け入れてきました。春樹さんの本を読むと、翌日学校や会社に行けなくなるくらい、物語に「インヴォルブ」されてきました。 この本も、発売日に買って、とても楽しみにして読みました。 で、読後の感想なんですが、うーん。。 これ、確かに春樹さんらしい表現や文章がいっぱい詰まってるけど、正直、昔読んだことのあるモチーフばかりというか、既視感が半端ないのと、登場人物の描写が(名前に特徴がある以外は)あまりにステレオタイプで薄っぺらいので、正直誰にも感情移入できず、感動できませんでした。ごめんなさい。。(「スプートニクの恋人」も既視感あったけど、登場人物がたまらなく魅力的でした) 本当に、春樹さんが、何も計画せずに、思いつくまま、自分の筆のおもむくままに書かれたのではないかなあという気がします。 これ、もし春樹さんの本だと言わずに世に出ていたら、凡庸な評価しか得られないのでは?? これがベストセラーって、日本の文学のレベルって、どうなの?ノーベル文学賞って何?とまで思ってしまいました。。 文体すら段落ごとにばらばらで、統一されていないような(出版社が変わって、校正の考え方が変わった?)。。 ただ、主人公が自分のことを「おれ」と言ったり(新鮮でした)、今までにない新鮮な表現にも挑戦されています。 そういう意味では、春樹さんの現在地を確認する、という意味で、ファンは読む価値があると思いますので、星は3つです。。 これ、僕が気づいていないだけで、春樹さんのことだから、きっと、考えがあってのことなんだろうな(と思いたい)。。 あまりに肩すかしだったので、もう一回読んでみます。。次回作に期待かな。。 | ||||
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続編があるかもしれないのでそちらに期待すべきかも・・・・・ 沙羅にフラれたつくる君の死への葛藤がみられるかも・・・・・ 「ノルウェイの森」の延長線上にある「射精小説」かも・・・・・・ 36歳にもなったええ男が「なんやねん!」って感じのつくる君だけど、本書を英訳するときにJay Rubinさんのような翻訳者は4人のカラフルメンバーのネーミングをどう訳すのかなって気がした。まず、これが最初の印象。赤松はRedpineか?青海はBluesea!わっ綺麗。白根がWhiterootだとどうもピンとこないし、黒埜はBlacksand-beachならハワイっぽいな。アローハ! 「巡礼の年」から想像するに、当初、宗教的なものだなって思った読者にとっては、サプライズな感じ、みたいだったな。でもこれが今回のメインな音楽。 またまた今回もお食事シーンがいろいろと出てくる(ホーム・ドラマでもないし・・・・)。中央線新宿発松本行きの特急が午後9時ちょうど、時間通りに発車していったのを確認してから近くのレストランに入ったつくる君。ミートローフとポテトサラダを注文するのはいい。半分残すのもいい。で、その半分残した理由が「ただ食欲がなかったのだ。」って、なんでやねん!食欲がなかったなら、レストランに入るなっちゅうの。 無理に文春に義理立てすることもなかったのに・・・・・。もっと時間かけて、いいもの書けばよかったのに・・・・・。 | ||||
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物語自体はシンプルで文章も難解ではなく、すんなりと読み進めることができます。 村上春樹ブランドに恥じない丁寧に磨かれた文体で、印象に残る言い回しもいくつかあります。 基本となる物語は誰もが体験しうる内容で、大なり小なり共感できる部分があると思います。 高校の頃の親密な友人グループからの締め出し、昔とは決定的に変わってしまい元には戻れない関係。 本当の自分を解放するための行動。 作者の過去の作品「国境の南、太陽の西」や、他の作品に出てくる喪失感のようなようなものを今回も感じとる事ができます。 不満な点もいくつかあります。 まず、全てを明瞭に語ることなく読者の想像にゆだねるような結末。(これについては、読む前からある程度覚悟はしていましたが。) 次に、自分は主人公の年齢に近い37歳ですが、出てくるアイテムに少し違和感を覚えました。 ラップトップパソコン?ブルックス・ブラザーズ?エルヴィス・プレスリー? 作者が自分たちの年代に擦り合わせきれていないのか、意図的に配置しているのかはわかりませんが、 そのようなアイテムが出てくるたびに自分達の年代の話ではなく、もう少し上の世代の話を聞いている気分になりました。 さらに、これは「1Q84」を読んだ時にも感じたのですが、終わり方が少しくどい印象を受けました。 個人的には後半の数ページは省いても良かったと思います。 (素人が一度読んだだけでの感想ですので、全くの見当外れであったらお許しください) 最近の村上春樹氏の作品には、昔の作品にあったような強烈な中毒性が薄らいでいるように感じられるのが少し残念です。 でもこれは作品のせいじゃなく、自分が変わったからかもしれせん。 村上春樹氏の作品を読んだことのない若い人には響く可能性もあります。 | ||||
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主人公・多崎つくるくんとは同い年、 村上春樹さんの作品は二十歳のころに読んだ 「ノルウェイの森」以来。 つまりファンではない一般読者です。 学生時代、親友たちから突如絶縁されたつくるが 新しい恋人の助言で旧友たちと再会し、 真相を突き止めながら再生へと向かう話でした。 友人たちとの会話は大変読みやすく、 喪失と再生のニュアンスも文章からじんわり伝わります。 ただ、生と死に関する文章は哲学的で よくわからず、モヤモヤします。 村上さんのファンの方はいままでで 一番読みやすいとおっしゃいましたが、 軽く読めるところと難解なパートが交互にあり、 ちょっと戸惑いました。 著者名を伏せて純粋に物語に触れたとしたら、 普通というか。絶賛でも酷評でもない、中間。 自分がストーリーテリングの劇的なものに 慣れすぎてしまったからかもしれません。 もしくは、作者や作品の話題性が大きすぎて 純粋には作品に入り込めていないかも。 | ||||
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うーん、どこかで読んだことあるぞこんな話、という気持ちになった。 大きな流れも細かいディテールも違うのに、出来上がった全体は何か、見たことあるなにかに見える。 主人公が代わり映えしないのはいつものことだからいいとして、そのほかの登場人物にいまひとつ奥行きを感じない。4人の元親友も新しい恋人も消えた年下の友人も。 死に囚われるほどに苦しんだ絶縁も、あっさりと「ごめん」「許す」で乗り越えたし。 最後の最後でつくるが時間の経過について意見を述べるけど、それがこの話のいいたいことだとしたらこの本はあまりに薄い。 もっと大長編にすればいいのに。ロシア文学みたいに。 (年齢がほぼ同じで、20歳前後にきつい時期があって、とか個人的にシンクロする部分があったので面白かったけど) 1Q84のBOOK4は、どうなってるんですかねぇ。出るんですか、村上さん? | ||||
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いっきに読み終えました、現実的な内容の小説です(でも、村上春樹らしい作品です)。 なんとなく、大好きな「国境の南、太陽の西」に似た印象を持ちました。 村上作品は音楽で彩られていますが、今回はフランツ・リストの「ル・マル・デュ・ペイ/巡礼の年」が象徴的に使用されています。 この曲が醸し出す雰囲気は、この小説の読み方を示唆しているような気もします。 ちなみに、読後感は「国境の南〜」のほうが好きです(「色彩を持たない〜」は、なんか悲しすぎる…)。 ・ ・ ・ 自分は「つくる」から狂気を感じました。 ・ ・ ・ 追伸)村上さんはもう自らすすんで小説を書く気がないのかな・・・。 | ||||
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読みやすい。 一気に読めた。 でも、何も残らない。。。 だけかな。 | ||||
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魅力的なキャラクターがいません。 どの謎についても真相は解明されない、 全体的にすっきりせず残念。 雰囲気は暗く、笑える描写もありません。 アフターダークとか、ああいう雰囲気が好きな方はいいかもしれないですが いずれにしてもファン向けの作品かなという感じ。 灰田や沙羅は、もっと魅力的に描けたのではないかと思います。 食べ物の描写はすごく少ないですが相変わらず美味しそうです。 | ||||
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