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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全284件 261~280 14/15ページ
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まず、本作が内容などの情報を規制して人の気持ちを煽ったり、既に50万部刷られる事が決定したというニュースを耳にしたり、 というような事にうんざりさせられたりしたが、発売日の夕方に本屋さんを覗くと存外たくさん積まれていたので ”思い切って” 手に取ってみた。 思えば、新人文学賞受賞のニュースとともに「風の歌を聴け」を読んで以来、村上春樹は僕を成すもののひとつになった。 本を開けばいつでもどこでも、その世界に入り込めた。 この間「村上春樹」で飯を食ってるようなものには一切触れなかったし、好んで村上さんの生活を思わせるようなニュースも遠ざけ、 (高倉健さんが私生活をいっさい見せないように気を使われている事に敬意を表します)ただひたすらに、その世界の中で想いに耽っていました。 発売とともに買い込んで、永らく本棚に積んであった「1Q84」を、ついこの間何とかやっつけて、それでも、 「そんなに毎回毎回、良いのができるっていうのもなあ」とか「自分の中の何かが変わってしまったのかなあ」 などと思ったりしながらの今回の新作でした。 この喪失感もいずれ忘れて行くのだろうか。 | ||||
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本作品において言えることは、全ての物語が中途半端であるということ。 灰田の存在、緑川の存在、シロに起こった出来事、過去の話、全てにおいて中途半端。 また、ガールフレンドの発言内容もいまいち理解できない上、つくるとの会話は、単に オウム返しをしているだけである。 そして、抽象的な表現があまりにも多い。抽象的な内容を理解しようと想像してみるが、 そこに芸術性は感じられない。 村上春樹さんの言いたいことを、そのまま表現したのかな?と感じる作品である。 個人的に理解しかねるのは、友達4人が、過去につくるに対して行った行動について。 16年後の現在、つくるに対してアカ、アオ、クロが、当時の説明を行ったが、何故 そうなるの?という内容だった。クロに関しては何となく理解できたが、アカ、アオの 考えは良くわからない。 結局、本作品を読んで得たものは何もない。少なくとも私には合わない作品だった。 本作品において、リアリティが無いと書く方が多いが全くその通りである。たが、内容 にファンタジーといった要素も無い。 ここまでハズレの作品を読んだのは、数年ぶりである。 | ||||
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まず「1Q84」の話をしよう。 今の時点で「1Q84」は未完の大作となってしまっている。4部構成となるはずだった「1Q84」は、3部までしか発表されておらず、この新しい小説が出てきたことから考えて、おそらく最終巻は発売されないだろう。 「1Q84」は明らかに駄作だった。まずなにより不必要に長い。つまりは不必要な文章がやたらと多かった。村上もそのことに自分で気づいたのだろう。それで最終巻の執筆をしなかったのではないか。 そして「1Q84」の最終巻の代わりに出てきたのが、ブランニュー作品としての本書ということになる。 さて、この本を読んでみた感想だが「1Q84」を上回る駄作だとしか言いようがない。 なんなのだろうこの文章は。まるで躍動感がない。あのはるか先までジャンプするかのような比喩表現がもたらす、村上春樹の躍動感あふれる文章は、この本からは全く感じられない。ひょっとしてゴーストライターでも使ったのかと思うほどだ。 もっとも★一つはいささか辛すぎる。期待の大きい村上だからこそこの辛い評価なのであって、他の無名の作家なら★を4つくらいつけてもいい小説ではあるのだが。 村上は「カラマーゾフの兄弟」のような全体小説を書きたいと、かねがね言っていた。ともかくこの小説はその全体小説ではない。 永い村上春樹のファンとして、彼が燃え尽きていないこと。村上春樹の集大成となる筈の全体小説が、いずれ読めることを願うのみだ。 | ||||
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2000年代に入ってからの村上春樹氏の長編は『海辺のカフカ』『1Q84』と大長編・問題作が続いた。 本作は量的に前2作の半分か半分以下の上、内容的にも難解・未知の問題が少なく、 読者にとっては読みやすいと思う。 しかし、高校生の男女5人の親密で完璧なグループという、現実には存在しえないものが登場する点に 違和感を感じた。 また主人公はじめ登場人物の造形に新味がない上、 生と死、意識と無意識、現実の人生と表面下に存在するもう1つの人生、といったテーマは、 村上春樹氏にとってお馴染みのものである。 本作はクリエイティビティに欠けるのではないだろうか。 しかし村上春樹ならではの比喩に満ちた文体が読ませるものではあることは確かで、星1つでは酷なので、 星2つとします。 | ||||
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設定はなかなか新鮮で、これは面白いかも?と序盤は思ったけど非現実的なことがばっかりで段々冷めてくる。 しかも最後まで謎を残したまま終わってしまうからタチが悪い。もちろん、謎を残したまま終わること自体は悪いことではなくて、想像するのが馬鹿らしくなる類の謎だから悪いのである。 まあ作者の言いたい事は何となくわかるんだけど、いかんせん話が薄っぺらいからリアリティゼロ。こんなんだったら世の中に出さないで自分で楽しめばいいのにって思ってしまう。 この人は海外でもネームバリューがあるからこの本は売れると思うけど、最近の日本の文学はショボいねと言われても仕方がないレベルの出来だと思う。 | ||||
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他のレヴュワーの方も記しているが、村上氏はドストエフスキーの作品のような小説を書きたいと述べていたことがあった。そして出版された作品が、この作品である。370ページと言う長さからして、晩年に“罪と罰”から“カラマゾフの兄弟”まで長編を次々に書き上げて行ったロシアの巨匠から見ると、ちょっと違うんじゃないの、と思わず首を捻ってしまった。もちろん長ければ、大作であると言う訳ではないが………。 他の作家に比べれば、それはそれは楽しめる小説だ。けれども期待していたレヴェルには、とてもではないが遠く及ばない。ノーベル賞の万年候補になってしまい、もっと冒険できる小説を書けなくなってしまったのだろうか。フィンランドは、“遠い太鼓”で数ページ出てきたけれども、情景描写が比較的容易にできるので選んだだけではないか、と勘ぐってしまう。また登場人物のうち幾人かが死ぬ設定になっているのだが、前もって“この人物は死ぬのだろうな”と言うことが分かってしまう。それに主人公から仲間が離れてゆく理由が、唐突であり、とってつけたような印象を受けたが、それは私一人の印象だろうか。 ドストエフスキーは59歳で亡くなったが、氏の前年に“カラマゾフの兄弟”を書いている。村上氏はもう64歳になっているはずだ。きっとこれは次回の長編のための跳躍台なのだろう。次回作に期待しよう。 | ||||
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読まず嫌いだった村上春樹作品。 本屋さんに積んであったので、話の種に読んで見ました。 うーん、、、この世界観は、彼の作品を読めば何か開けてくるのでしょうか? 一冊ではわからないのが普通? そう…読んでも謎が謎に覆いかぶさり、本当に些細な違和感が、 読み終わったあと、塊となって心に残る。 だから感情に揺さぶられないし、感想も具体的に思い浮かばない。 それが私の初村上春樹作品の感想です。 うーん… | ||||
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この人の作品を読んでいて毎回、思うのですが、謎が謎のまま終わってしまう。もしくは、あいまいなまま終わってしまう。 何かあるように見せて読者を引っ張る、その力はすごいです。でも、いつもたいしたものがない。 途中までは面白いが、最後まで読むと、何もこころに残らない。 エヴァンゲリオンや浦安直樹の漫画と同じ系統の作品のように思います。 今回の作品は読みやすかったですが、こんなにページ数を使ってまでやる内容ではないと思いました。 たぶん、西原理恵子が書いたら、三ページで終わるでしょう。 登場人物がみんな理屈っぽい。ぐだぐだ言いすぎ。モブキャラですら、小難しい理屈を語る語る。 しかも、生まれも育ちも名古屋なのに、みんな標準語。 今回、半分までは夢中になって読みました。三分の二を過ぎた辺りから、またいつものパターンじゃないだろうか、 何かあるように見せて、実は何もないパターンじゃないだろうかと危惧しはじめ、 五分の四あたりで、がっかりして読む気が失せました。 いちおうは最後まで読みましたが、残念感がたっぷりです。 | ||||
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相変わらず性描写が詳細過ぎて全面にお薦めは出来ません。 次回作があるなら是非性描写なしで19章のような表現で文字数の多い作品を期待したいです。 それくらい最終章が良かった! | ||||
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ネタバレ注意 六本指の人物や灰田の父親が出会ったという悪霊憑きの緑川、 彼らは一体何者なの? そしてシロのおかしくなった原因は? 「永久に謎のままだと思う」とか「ギリギリの状況だったの」とかの言葉だけで片付くか?多崎つくるがレイプ犯?にされ共同体から切り捨てられたことの問題が。 これじゃシロはただの狂った女でしかなくなる 共同体の色彩を持つ仲間たちにおいても掘り下げて描いてないから人物像が薄すぎて愛着がわかない 共感も応援も出来ない 色を含む名前の登場人物の発想はいいのに背景が薄っぺら過ぎてアイデアを生かしきれてない 勿体ない もっと内容を濃くしないと読後「?」の状態になる そうならない為にはこの倍の量を描くべきだったでしょうね とにかく主人公にしても「主人公の優等生」的な人物で何ひとつ感情移入しなかった クールでどこか影があり何不自由ないのに自分自身に自信がもてずあるのは不満だけ そして自分の魅力に気付いてないちょっと浮世離れした存在… どの小説見ても大体ミステリアスでクールな典型的な「主人公の優等生」ばかり まぁここまで辻褄合わせをしない丸投げの小説も珍しい 人のオーラ(色)が見える特殊な人間がいて緑川のような男が他にも存在し灰田やシロのような犠牲者を次から次へと選んで悪霊のバトンタッチが行われるという内容なのかもしれないけどそれにしてもラストの失速はちょっと考えられない 伏線の回収どころか終盤で訪れたフィンランドの情景と共にあやふやにまとめたという感じ 多崎つくるは水曜の夜に沙羅に会うことなく自殺してしまうと思ったけどそれも起こらずハッキリしない とにかく作者が描きたいことだけをかいつまんで描いたという印象 六本指の人とか新宿駅の有名な写真に対しての反論とか 沙羅との会話も一見知的でおしゃれに見えるけど幼稚なオウム返しには一体なんの意図があったんだろう そして文中の説明では運命共同体とも言えるあの5人の絆の薄さ、物語の空っぽさには寒気すら感じた ノーベル文学賞?とんでもない! そんな作品 | ||||
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こんなくだらない本買って損しました。何を伝えたいのか理解不能。村上春樹って本当に才能あるのですか。 なぜ、世間が評価し続けるのか全くわからない。 | ||||
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本作は、よくも悪くも「村上春樹ワールド」炸裂!、といった印象を受けました。熱烈なハルキストの人にはたまらない一冊になるのではないでしょうか? 個人的にはあまり心にぐっとくるものはなかったのですが、この人は、ストーリーテラー・流行作家として本当に上手い人だな、というのは感じます。 今回の作品もマスコミの報道などが過熱することに比例して、驚くほど売れるのでしょうが、これがノーベル文学賞か?と言われると、正直それはないだろうなと思います。 | ||||
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『1Q84』以外の小説は一通り(中には複数回読み返した作品も)読んでいる、なんちゃってハルキストです。 ※『1Q84』は手に取らなかったのではなくて、私には全く合わなくてかなり前半部分で挫折してしまいました。 『1Q84』で自分の中の春樹さんは「終焉」でしたが、今回も「挑戦」し、敗北。題名からかなり不安でしたが。 読後感はよろしくありません。謎解き、という程でもなくて、何となくモヤモヤした感じでずるずるいく感じかな。 舞台が名古屋である必要はありませんでした。素直に東京近郊でよかったのでは。「名古屋感」出てないし。 あと「友人になりたいな」「好きになりそうだな」という登場人物も特にいませんでした。魅力がないのですね。 全体的に「くどいヤツ」ばかり出て来ます。善だとか悪だとか以前に、皆が皆、鬱陶しい感じで「う〜む」と唸り。 月影の如き喪失感を描きたかったのか。紅蓮の如き情熱や欲望を描きたかったのか。鼠や羊もいないしな。 「若い日は秒殺で過ぎてゆくのだな」と感じました。春樹さんは勿論、読者の己も年を重ねているわけで(当然)。 老獪、熟練の「技」はあるのだろうけれども、贅肉が付き過ぎか。もうヒリヒリする様な「若さ」は描けないのでは。 『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(1985年)』が個人的に一番好みの作品でした。本作はストレス。 もう私も「卒業」の時期なのかも。あとは音楽だとか旅だとか走ることだとかのエッセイ系を期待して読みます。 | ||||
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1Q84もアホらしく、読み続けるのが辛くて、3巻の途中で何年も過ごしている。再度アタックをかけるんだけど、やっぱりダメ。その間に他の小説は何冊も何冊も読破。そんな状況下で、馬鹿な奴だと思いながら、新作に手をだしてしまった。本当に馬鹿。やめればよかった。今回もひどい。作家名がわからなかったら、誰も買わないし、見向きもしない。商売が上手やね。次は本の売り方の指南書を書いたらどうでしょうか。とにかく、後悔の嵐。ほんと、私は馬鹿です。誰かが言ってたよね。それぞれの作品はピースの一部分であるとね。そして、それぞれに意味があるとね。すべて埋まったとき、わかるんだよね。そうだったよね。詭弁家さん。もう、力がないんだ。やっと、理解した。おわり。 | ||||
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ノルウェイの森に、その後の長編のエッセンスを盛り込んだような感じ。(一部アンダーグラウンドのエキスも1滴くらい入っている) 具体的に自分にわかったのは、「想像したことは現実に起こってなくても起こったのと同じ」みたいなあれ。あれをノルウェイの森の中に持ち込んだらこうなった、という感じ。あと、夢で性行為をするところはリトルピープルの出てくる作品の中で出てきた夢か現実かわからないみたいな、女子高生と交わるシーンと似てる。 この子は直子、この人はレイコさん、この人ははつみさんの彼氏の人、もちろん主人公はワタナベ、みたいに過去の人物が容易に浮かび上がります。 「裏の顔」、「自分がシロを殺したのかもしれない」、灰田くんとのこと、これらは全部多崎氏の激悪なダークサイドにつながる扉だったと思うのですが、結局その扉の向こうを掘り下げることがなかったので、多崎氏のダークサイドは全く解明されず。(解明するのは本筋とは関係ないかもしれないけど、うやむやにされたように感じた) シロが本当にかわいそうで、(灰田君も結構かわいそう)なぜこのような生け贄を毎度毎度登場させるのか、もし多崎氏が沙羅と無事セックスできて彼女を手に入れてめでたしめでたしで終わったら本当にもう今後は踊らされて本を買うのはやめようと思って読み進めました。 これは単なるひがみかもしれないですが、女性をあまりにも自分の人生に都合よく利用し過ぎなきがします。(自分は女性ですが) どんな人との関係も受け身で、シロのことも取り返しのつかないことをしたなどと神妙になるけど、いざ東京に戻ってきて、自分は夜中の4時に沙羅に電話するくせに(ここで沙羅が叩き起こされてもいいのよいいのよと受け入れるのも腹が立つ)、逆に沙羅が心配して電話してきたときはそれが沙羅からの電話だとわかってて12回もベルを鳴らさせといて出ず、さらに15分後にかかってきても無視するとか、そういうことを昔からしているから積もりに積もってシロは死んだのではないでしょうか。自分はからっぽだからとか、色彩がないからとか、いろいろ言っていますが、単に相手に対して何も想像していないだけでは・・・・・ その辺どうお考えか、多崎氏に問いただしたい。一体どこまで本気でやっているのか・書いているのか、私にはまったくわからないです。 よかった点は、私は赤松君の話がおもしろかったので、赤松君のことはもうちょっと読みたかった。社会への復讐の意味ももつ仕事について。 あと、比喩の秀逸さは今作品もすごいです。「つぶてのように硬そうな痰」には笑いました。 自分はもう途中からあまりにもノルウェイの森にそっくりすぎて苦痛だったんですが(あと、やはり性描写がどうしても気持ち悪くてきつい)村上作品を始めて読む人はこれは結構おもしろいかもなあと思います。 | ||||
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3月中に、題名が発表になり、題名を見て、「巡礼の年」という言葉に大変想像力を刺激された。本書の中でも言及されていたが、リストの「巡礼の年」を思い出したし、本書ではなんのほのめかしもなかったが、リルケの詩「巡礼の巻」を連想したからだ。しかも「巡礼」→十字軍という事柄さえ思い浮かべたが、そういう高尚なものとはまったく無縁で、著者には、そのような教養、古典の下地(したじ)もないようだった。 簡単に言えば、本書は、"毎度の"ストーリーでのみできあがっている(400字詰原稿用紙換算、700枚前後)。 主人公、多崎つくるが、大学の2年に、高校時代からの親友4人から、理由を明かされないまま絶交を言い渡され、死を考える。そんななか、後輩の男と知り合い、リストの「巡礼の年」と、それにまつわるエピソードを知る。以上のような経歴を、小説の現在である時間の恋人に語って聞かせ、彼女の勧めと協力で、なぜ多崎が4人の友人に絶交されたかを探っていく。あいだにはさまれる、「行方不明」「殺人」。推理小説のようには、犯人も理由も明かされない。それは、あくまで、物語をミステリアスにするための装飾である。 ちなみに、高校時代の4人の親友の名前が、白、黒、赤、青、という文字が名字に入っているが、これは、中国神話の四神で、司っている東西南北を表す色である。これは、小説(庄司薫とか(笑))やゲームなどに、結構使われている。そして本書では、やはり思わせぶりの装飾の域を出ていない。 小説が文学であるためには、それが事実であるかどうかという意味ではなく、リアリティというものが必要である。また、エンターテインメントであるためには、該博な知識が必要になってくる。本著者のように、ただ感覚的なものだけで押していくと、なにを語っても抽象的になり、数作はそれでもいいかもしれないが、やがて、自己模倣の隘路へと入り込んでいく。日本の文壇からは完全に無視されている著者であるが、ただバカ売れしている書き手に対する嫉妬からだけとも言い得ない。このような「お話」は、文学とは言えない。ただそれだけである。 それにしても、大学生にもなって、高校時代の仲間に絶交されただけで、死を考え、結局それを実行できない人物というのは、昨今、追い詰められて、どんどん死んでしまう小中学生が存在する現実に対して、どうなんでしょう? 著者はニュースすら見ていないのかもしれないと勘ぐってしまう。 綿矢りさは、十代で女子高校生の世界を描き注目されたが、十年経った今も、女子高校生の世界を描いている。このぶんで行けば、十年後も描いているかもしれない。同様に、とうに還暦すぎた村上春樹が、いまだ、高校時代の人間関係で傷つき死を考える青年を描いているのを見ると、これは、70歳になっても、こういう世界を描き続けるのかな、と人ごとながら思う。まあ、行けるところまで行ってください(合掌)。次は、どのような興味深い題名でも、Amazonで予約をしてしまうという愚は犯さないようにしますから。 | ||||
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村上春樹は私にとって、一度深く愛し、その後決別した作家だ。 青春時代に愛した村上さんは、社会に出てからも付き合い続けるにはあまりに脆弱すぎたのだ。 今回、この本を読んでみたのは友達に触発されたからだが、はっきり言うと村上さんはある年齢で成長を止めてしまったんだなぁ、という、決別したときと同じ思いしか感じなかった。 また、この内容なら、もう少し簡潔にできたはずでは、とも思った。心理描写が少ないのにこの量は少し冗長すぎる。 村上さんは、イニシエーション以前〜イニシエーションまでを描くのは恐ろしく巧い(と感じさせる)が、イニシエーション後については、彼は描かない。イニシエーション後が彼にとって未知の世界だから描けない、なのか、自分のイニシエーション後観を不特定多数の他者に見せたくないから描かない、なのか、どちらかわからないけれど。 しかし、今後も、イニシエーション後を描け(か)ない作家で居続けるのであれば、彼はノーベル文学賞を取ることなどできないだろう。 | ||||
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ひどい作品でした。 以下ネタバレを含みます。 結局は1Q84のレビューで書いたことの繰り返しです。 私は世界の終り〜とアフターダークといくつかの短編だけは肯定的に評価します。アフターダークは意図的に未完結にしたという感がありますが、それでも都市の暗黒部分というテーマは大部分象徴的に表現されていると感じるからです。 ですがこの作品においては、色に関した名字の人物もその他の事も、やはり全てにおいて、深い意味はありません。 例えば作中に灰田の父親の話が出てきますが、特にその後展開はなく、ただエピソードを投げ出すだけです。それが作品の中で象徴的に機能していればいいものの、私には深いものは全く読み取れません。 私が(大げさかもしれませんが)絶望を感じるのは、何よりも作者である春樹氏にエピソードを展開して話を膨らませ最終的に解決する気が全くなく、そのような創作上の意識故に、実際その後物語は何の展開も見せない、ということです。 作中に夢の話がいくつか出てきますが、(物語の)作者は無意識に流されるよう漠然と夢のような情景を書くのではなく、意識的にその夢をコントロールして物語を大団円に持っていかなければならない、と思っています。(ただ、上に書いたことは絶対的に全ての作品に当てはまる理念であるとは考えていません)。 そのように通常はたとえ謎のような作品でも物語としては完結させるべきと思っていますが、春樹氏ご本人がこれでいいと思っていらっしゃる以上、どうしようもありません。 とにかく最後まで読んだということで、星二つです。 | ||||
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内容については割愛します。 ただ、読後感は微妙というかリアリティが希薄で、「ふーむ、そうですなー。(棒」程度です。 ただし、物語の感じ方は個人差はあるので、「これは傑作」と思う方の感想を全面否定はしません。 ただ、固定ファン以外の人が読んで、果たして文学小説として楽しめるかどうか。 万人受けするかといえば、よくも悪くもそうではないでしょう。 私が言えることはただひとつ。 メディアの煽動効果にあえて乗って、ブームに乗じて読まれる人もいると思うのですが、 無理して他人にあわせて「絶対。面白い、理解できない人がおかしいんだ」という必要はないと思います。 だから、私自身もハッキリ感想を述べさせて頂きます。 私個人としては、まったく面白いと思えず、読んでお金を損した気がしましたし、すぐ売りました。 | ||||
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まず、文体が物凄く変わってびっくりしました。 個人的には長編だとノルウェイの森、カフカ、ハードボイルドワンダーランドあたりの時が一番好きでした。 ノルウェイの森が心情中心で、ハードボイルドワンダーランドがストーリー中心、といった感じに思えます。 この作品は、ノルウェイの森の作風に近く、文体が1Q84の文体から村上春樹らしさを抜いた感じです。 村上春樹さん自身が、「村上春樹っぽい文章って言われるのがいやだ」とよくおっしゃっていたので、それでこの文体になったのかなと思いました。 ノルウェイの森が嫌いな方は恐らく嫌いだと思います。 ノルウェイの森を悪化させるとこの作品になります。 | ||||
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