ソロモンの偽証

評判

ソロモンの偽証の評価:

3.91/5点 レビュー 509件。 S ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点3.91pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全519件 461〜480 24/26ページ
No.59
(3pt)

遺族が…

少年の死によって始まる物語。 2部までの少年像は繊細で優秀すぎて生きにくさを感じる…という描かれかたでした。3部でいきなり底意地の悪い身勝手な人物像に。 それを大勢の前で暴かれ、家庭不和も晒され、少年の遺族一家には救いようのない結末。 少年の友人で弁護人の他校の生徒。非の打ち所のない完璧な人物。彼の証言で少年の死の真実が明らかにされるわけですが、彼が実はとんでもないサイコパスで、証言は全て嘘、ってことはないの?!と思ってしまいました。 電話の内容も現場での様子も証拠はないわけで。 あと松子は樹里に突き飛ばされて道路に飛び出したのかと思っていましたが、違ったんですかね。 こんな風に読んでしまうのは、私の心の汚れ具合を反映しているのでしょうか?皆さんのレビューでは絶賛されていますが、そうか〜?と。 これだけのページ数で一気読みさせる筆力はさすがです。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.58
(2pt)

この世の不条理に少年・少女たちはどう向き合ったか。

中学校の屋上から墜落した男子生徒の遺体が発見され、警察は事故死と断定しました。ところが………とこの物語は始ります。それぞれが700ページを越える全三巻。とにかくミステリーとしては破格の長さで、重量級では圧倒させられる大長編小説でした。装丁帯の宣伝文を見る限り、特に「第'V部 法廷」はかなり劇的な展開が期待され、謎も深く、大仕掛けのドンデンガエシが十二分に楽しめそうでした。ところがストーリーには起伏がなく、謎も当初提示された平板なままで、退屈さからぼんやりしていたら、いつの間にか終了していました。

「宮部みゆき、5年ぶりの現代ミステリー」がうたい文句のようですが、謎解きを魅力的な形で帰着させていないのですから、この作品をミステリーの傑作と絶賛はできません。法廷ミステリー風ですが、所詮中学生の裁判ゴッコですから、迫真力は端から持ち合わせておりませんし、彼らが真剣に本物らしく演ずれば演ずるほど、失笑を禁じえないことになります。

今、生きている世間から理不尽な仕打ちを受けたとき君はどういう選択をするだろうか?と、宮部は問いかけているのです。そしていくつも具体的な人間模様の詳細なエピソードを物語っているのです。
生きていくに値しない社会だとして自殺をする人がいる。
怒りを暴力にかえて既成の枠組みを破壊する犯罪行為に踏み切る人がいる。暴力だって肉体を直接攻撃する粗暴もあれば、心を切りさいなむ嗜虐の行動もあった。
犯罪に至らずとも自分の受けた屈辱をしっぺ返しする、あるいは八つ当たり的に他人に転嫁する人もいる。
じっと我慢をしてその秩序の中に埋没してしまう人もいる。あるいは秩序の外へと社会的地位を失う大人がいる。
外の世界から逃避し、心を閉ざし、社会に適応できなくなる人がいる。

ある少年の死から始まる物語はこの最初の事件が原因となって次から次へ連鎖的に事故事件が拡散していくように見えるのですが、実際には必ずしも密接な因果にはない諸相を積み重ねているのです。ここで描かれる人間関係の諸相ですが、不条理への向き合い方としては人間性の「負のベクトル」が働いています。不義、悪、むさぼり、悪意、ねたみ、殺意、不和、欺き、邪念、陰口、誹謗、憎み、侮蔑、高慢、大言壮語、謀略、親不孝、無知、不誠実、無情、無慈悲などなどが描かれるのです。ですから悲惨であります。

そして宮部みゆきは語ります。こういう選択ばかりではないよ。正しいと思ったことを堂々と告げよう。正義を貫く勇気を持とう。言葉を持たない友情を確信しよう。いやな世の中かもしれないが、そうすることで君は道を切り開くことができるのです。宮部は彼らに「正のベクトル」に舵を切り替えろと強いメッセージを込めて語りかけているのです。
彼らは子どもも大人も、この裁判ごっこを経て明日への展望を確信したのでした。

健全なメッセージであり、優れて教科書的です。子どもを持つお父さん、お母さんの期待の波長に合った内容です。お父さんお母さんが昨日のように当時を振り返ると感興がわいてくるかもしれません。だからこの作品は新しい感覚のジュブナイルなのだと思うのです。
ただ、今の中学生がこの作品をどう受け止めるかは全くわかりません。
そして、わたし自身はどうかといえば、宮部の問いかけ、メッセージはまるで他人事としか思われないのです。通俗に過ぎると思うから、感動とか興奮とかとはおよそかけ離れたところにある無関心でした。それは著者の力不足によるものではありません。自分の人生にはすでに生彩さがなくなってしまった年代のわたしです。来し方を時間の流れだけを追った歴史のように受け止め始めている歳のせいだろうと思います。

君にとってこの不正義は到底耐え難いってわけね!
でもね、特別なもんじゃぁないよ。その程度は世の常でしょっ。
「無自覚な悪が跋扈する世界に善であろう、正しくあろうとするものが生きていく意味はあるのか?生きる意義はあるのか?」
!!!!!
ナマ言ってんじゃないよ。
わたしは擦れっ枯らしなんですねぇ。
登場する人物や彼らに共感する読者。
その萌えたつ瑞々しい感受性をワシら老人は失ってしまったのだよ。

最近のいわゆる宮部ワールドについて今回その一面が判ったような気がしている。
「行間を読む」という言葉がある。行間があれば「行間を読む」必要がある。行間があれば「行間を読む」だけではなく、いろんな雑念を入込ませて楽しく読むことができるものだ。たとえば、登場人物に自分を重ね合わせてみるということで感慨が深まることがしばしばあります。作者の真意を推し量り、自分の価値基準と比較するのもいい。だから行間はあったほうがいいと思うのです。
ところがこの作品を読みながら気づいたことだが、「行間がない」のだ。文字、あるいは語りによって全ページが埋め尽くされているようだ。しかも易しい言葉づかいであるから、スピーディに一直線に吸い込まれるように、著者の意図するところに向かって読みすすむことになる。そして人情の機微という誰も否定できない感動の世界が待ち受けるのだ。宮部は感動し「この難しい裁判をよくやったね」と心から彼らを誉めています。そして読者もまた、この感動を共有します。これぞ宮部ワールド。

安易に感動をしなくなった、世間ずれしたものにとって、宮部ワールドの境界線バリアはかなり高いのである。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.57
(5pt)

重量も内容も重い…

登場人物が、とにかく多いです。
表紙裏についてる「人物相関図」、何度もみて確認しながら読みました。

しかし、宮部みゆきの人物造形は、いつもぶれない。
ストーリーの面白さはもちろんだけど、
彼女の作品の良さは、
登場人物のキャラクター設定がしっかりしてるとこ。

これだけ多くの登場人物がいながら、
一人ひとりの内面から描かれていて、説得力がある。
ああ、こんな人いるよなぁ、って思ってしまう。

人物にリアリティがあるから、
事件そのものも、あり得ないとは思いながらも、
いや、そんなこともあるかもしれない、と思わされる。

この小説の中心となっているのは、
そこに起こる事件よりも、人々の悪意そのものだと思うけど、
その悪意が、決して特殊なものと思えない。
自分の中にも存在する悪意。
それを、宮部みゆきが書いて見せてくれている感じ。

普段は隠された存在の悪意を、
これでもか、と見せつけられて、恐ろしくなる半面、
解放感のようなものも感じたりして。

なぜ?
人間なんて、みんな悪意の塊だ、
私だけじゃない…
なんて、安心できるから?

しかし、この本は、全3部作のまだ第1部に過ぎない。
残り、2冊で、宮部みゆきはどのような答えを私たちに与えてくれるのか?
救いはあるのか、ないのか?

早く、次が読みたい〜!!
ソロモンの偽証 第I部 事件 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第I部 事件より
4103750103
No.56
(5pt)

どうやって収拾をつけるのかと・・・

様々な思惑がありすぎて、誰の味方もできなくなったような状況で
どうやってこの物語を終わらせるのだろうと
なんだか裁判の行方を見守っているようにして読みました。

現実の世界でも
本当のことを調べも確認もせずに
「こうだろう」という先入観だけで
すますことは危険だということを
教えてくれる作品です
ソロモンの偽証 第II部 決意 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第II部 決意より
4103750111
No.55
(3pt)

最後にがっかり

2巻の後半からどういう展開になるのかわくわくしながら読んだが、最後に明らかになる真相がしっくりこなかった。
途中から出てきた他校の生徒が話の中心になるというのはどうなんだろう。
それを抜きにして、思春期特有の心の葛藤とかスクールカーストみたいなところはリアルに描けていたので及第点。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.54
(5pt)

決してリアルではないけれど

現実味、ということでいえば皆無といっていいでしょう。

学園ファンタジーというのが、一番しっくりくるかな。なので読み手は選ぶと思います。

自分には、ピッタリはまった。

宮部さんの作品は全部読んでますが、この作品が一番泣けました。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.53
(4pt)

うまくハメられています。

長いですね!741ページは本当に長いです。

 でも第'T部なんです。

 ラストで方向性が決まりました。

 それにしても、ストーリー・人物描写・展開・・・手が込んでいます。

 収束しそうだな?と思っていると、別の伏線が動き出します。

 意地悪なエゴの塊たちがどんどん話をややこしくしていきます。欲望が絡まなければ、シンプルなものなのですが…どうしてそこまでやるのかな?と思わずにいられません。

 読んでいる方はイライラします。けれど、これ、著者の術中にハマっているということですね!

 少し疲れますが…第'U部に進んでいきたいと思います。
ソロモンの偽証 第II部 決意 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第II部 決意より
4103750111
No.52
(3pt)

茶番

※本編の内容に一部触れています。

法廷モノになるというのはあらすじから分かりきってましたし、だからこそ期待していたのですが。
第一部を読了した時点で、てっきり柏木卓也の自殺の真相が明かされていくものかと思ったのですが、
論点が大出俊次のシロクロになるとは、最終的に行き着く先に変わりはないとはいえ、予想外というか期待外れでした。

第一部では、「あいつはやってない」「柏木は自殺」と、警察サイドや柏木卓也の身内など複数の視点から語られ、別に真相があるのだなという雰囲気のストーリー進行ですし、告発状は(少なくとも現段階では)捏造だと、その告発者まで読者に明かされてますし、そこまで見せておいてなぜ大出を被告にして裁判?という感じです。

目的は罰することではないというものの、ここまで大掛かりなことしてもし有罪になれば、なかば公にクロと判定されるようなものです。
所詮ウワサレベルの疑惑だったものが、既成事実となってしまい、それこそ冤罪になるおそれがありますよね。
いじめだとか万引きだとか、そんなレベルの話ではないはずです。
殺人者の汚名を着せられるおそれがあるんですよ。
いくら潔白だとしても、ここまでのリスクを負ってこの裁判にのぞむメリットは大出側にはあるのでしょうか。

そもそもその大出自身からも、身の潔白を証明したいという思いがあまり感じられませんし。
まあ描写がないだけ、ともいえますが。

ただそれでは物語が進まないのでこれで裁判を始めるとして、ここでもひとつ疑問が。
最終的に検事側となる涼子は当初「告発状には触れない」という方針を取ろうとしました。
告発の主のことをいたわっての考えなのでしょうが、そもそもこの告発状が大出俊次が疑われはじめた大きなきっかけだったはずです。
学校外にまで影響を与えることとなった大きなきっかけなのに、これに触れないというのはいくらなんでも無理があるでしょう。

他にも、検事側にもかかわらず涼子がハッキリ
「告発状は捏造」と考えていたり、
殺人の汚名を着せられるかもという危機的状況の大出自身が
「俺がウソついてるかもしれないぞ」と自らの弁護人に語りかけたり、
“真実”を求めているはずの涼子が、いつのまにか
「大出をこらしめる」と発言していたり、

それぞれ前後の文脈や状況もあるので一概には言えない部分もありますが、
こういったトンチンカンな言動がところどころ見受けられます。
これらをひっくるめて、この第二部は『茶番』という印象をうけました。

ただ、中盤から終盤にかけて全く違う真実の存在が匂わされてきたので、どういうロジックでどういう結末を迎えるのか、どんな大ドンデン返しが待っているのか、そこに期待しつつ第三部を読み進めたいと思います。
ソロモンの偽証 第II部 決意 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第II部 決意より
4103750111
No.51
(1pt)

冗長すぎ!

この作家は昨今、当たり外れが大きいように感じます。この作品に関しては、第一部のみ高い本を買ったので最後まで読みました。
ストーリーは1ページぐらいで大方の内容を説明できます。登場人物の心理描写を丹念に描くにしても、100ページもあれば描ける内容と思います。それを薄めるは、薄めるは〜。連載小説だったのかも知れませんが、これほど余分な文章が多いのには呆れます。斬新なところが全く見当たりません。
ソロモンの偽証 第I部 事件 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第I部 事件より
4103750103
No.50
(5pt)

感動したけど複雑な読後感

切望していた第3部が発刊され、発売日の翌日には読了しました。
さすがに宮部作品。最後まで一気に読ませる力には改めて脱帽しました。
物語自体が短期間での進行(第3巻は数日間)なので、こちらものんびりとしていられない気分でしたね。
2100ページを飽きさせずに読ませるのだから、星5つは揺るぎません。

ただし、起承転結に関して論じれば、「結」がやや単純というか、想定内だったのが少し不満。
第2巻であれだけ「転」を転がしたのだから、推理ファンとしては「もっとぶっ壊してくれ」という感じですか?

ですけど宮部ワールドとしては、この結末でいいんですよね。本作では決して推理小説を読まそうとはしていませんから。
私の浅はかな推察では、思春期の無邪気な悪と無垢な善との対比を書きたかったんですかね。
そして、とても現実的ではない早熟な中学生たちの戦いは、若い世代への夢と期待と見ました。

それにしても被告人はどういう人生を歩んだんですかね。
告発人は、どうなったんでしょう。
そして弁護人は・・・? 検察官は・・・?
エピローグの弁護補佐人の今日の姿を読んで、不思議と目頭が熱くなりました。それだけでも傑作です。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.49
(5pt)

場面が頭に浮かびます。

発売日の深夜に買いに行くほど待ち遠しかった本です。
場面の表現が細かく丁寧なので、その場面が容易に頭に浮かび、勝手に脳内で映像化して映画を見ているかのように一気に読みました。

裁判なので検事側と弁護側が証人を出し合っては尋問をしていく訳ですが、その攻防戦も面白いです。
意表を突かれることもしばしば。
登場人物も期待通りの個性を発揮して、応援したくなる人物も出てくるでしょう。

これから読む人には有罪・無罪のような大まかな推理ではなく、「何」が起きてどんな「思惑」だったかを探りながら読むと良いと思います。
過去のエピソードが意外なところが結びついたりします。

※帯に余計な煽り言葉があるので、読み終わるまでは帯を外しておいた方が良いかもしれません。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.48
(5pt)

ぼろぼろになりながら戦った、ひと夏の記憶の物語

これは、自分たちの力で真実を求めた生徒たちの、
ひと夏の戦いの記憶です。

ひとりの生徒の死からはじまった、
どこにでもある公立中学校が巻き込まれた事件。

クラスメイトが死に、同級生が告発され、
友人を失った事件にも関わらず、何も知らされない生徒たちが、
自力で真相を確かめるために奮闘していた前2巻。

3巻目はタイトルの通り「法廷」。
夏休みのあいだに調べたこと、頼み込んで出廷してもらった証人の証言から、
今まで明らかにされてなかった事件の真相を抉り出します。

他の方も書いていらっしゃるように、短くしようと思えば
もっと短くできる内容なのかも知れません。

ですが、登場人物たちを大切に描くためには、
700ページ×3冊分の分量が必要だったと思います。

登場人物ひとりひとりの友人のように、
家族のように、また教師や地域の大人のように、
この事件の行く末を見守っていた時間は、とても幸せでした。

「この小説に出会えてよかった」と間違いなく思える、大傑作です。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.47
(5pt)

登場人物たちのその後をもっと知りたいと思いました。

待ち切れない思いで、出張先の地方小書店にて第三巻目を購入。ホテルの室内で、喫茶店で、夕食時のレストランで、そして移動中の飛行機内などで読み継ぎ、一気に読了しました。素晴らしい魂の救済のドラマでした。

本作の内容そのものはもっと頁数の少ない形で描くことができたのかも知れませんが、丁寧にしかも細密に描写された登場人物たち(特に城東第三中学校の生徒たち)の内面や行動は、イメージ性が高く、あたかも一幕の映画を観ているかのように(脳裡ではなく)眼前に迫ってくるものでした。今はただ、充実した読了感に満足しているところです。

一点だけ、エピローグのところは、主な登場人物たちのその後も描き込んでほしかったなと思いました。(人生の一大経験をした藤野涼子や神原和彦は、将来やはりそれぞれ検事と弁護士になったんじゃないかなとか、倉田まり子と向坂行夫は結婚したのかとか、大出勝氏はどうなったのかなあとか、気になってなりません。それとも、宮部さんは彼らたちのその後を描いた新著を構想中なのかしらん。)

最近面白い本がないなあとお嘆きの方は、本書を是非。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.46
(5pt)

一気読み

分厚い本ですが一気読みでした。長かった〜
中学生の時って誰でもヤンキーに憧れたり、自分が特別な存在だと思う時期がありますよね。
読者に「自分もこんな時期あったわ〜」とか、「こいつ、中学生の時の俺と似てる」と思わせてくれる登場人物が必ず一人はいるはずです。
自分の場合、大出と竹田が自分が中学の時と重なりました(笑)。

印象的だったのは、裁判が終わった後、涼子視点で見る子供に対する大人の対応。 二人をわが子のように抱きしめる弁護士、中学生にありがとうと深々頭を下げる不良の子供を持つ母親・・・・。子に対する親の愛を感じます。  かと思うといまだに兄と向き合わず、死んだ弟ばかりを愛す両親(特に母親、こいつ本当嫌!)
それぞれの場面を見てなにを思うかは読者次第だと思います。

この小説は事件の真相よりも、自殺した卓也が何を思ったか、どういう人間だったかということのほうが重要な気がします。ラストもぶっちゃけ衝撃度はあまり高くありません。が、多くの登場人物を誰一人見捨てずに愛した作者の魂が伝わった作品でした。星は文句なしに5です!!!
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.45
(5pt)

読み応えは十分

第一部では、人間の悪意、それも誤解に基づく悪意をいくつも見せつけられ、読み応えはあるけれども、楽しくは読めない作品だな、と感じました。しかし、第3部にいたって、第1部で登場人物に抱いた第一印象をおもによい方向に変えつつ読了することができました。
しかし、いくつか気になったキズがあります。1990年が舞台なのに、「パソコンの文字」、「どん引き」、「ウザい」といった表現が出てきて気になってしまいました。当時の人間はこんな表現を使うかなと首をひねってしまいました。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.44
(4pt)

面白いけどスーパー中学生

面白かった!
ストーリーも文章力もちょっとした漢字やひらがなの使い分けに至るまで色んなところに感心させられた。

でもやっぱ登場人物たちのスーパー中学生ぶりは現実味が無い気もしました。
特に法廷での弁護側、検事側の弁説には迫力と駆け引きなどの表現が凄かった。
怒られるかもしれないがゲームの逆転裁判を思い出しました。

個人的に私からすると致命的で恐ろしい毒の様な2人の登場人物が居たのだけれど、その人物たちのまとめ方が気になった。
不必要だとは思うけどもう少し踏み込んで欲しかった。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.43
(5pt)

ラスト数頁で号泣したことをお知らせします

実にすばらしいファンタジーでした。

宮部さんの作品は時代物やSFから、本作のように「現代ミステリー」と評されるものまで幅広いですが、
本作は、読み応えのあるすばらしいファンタジーでした。

何を書いてもネタバレにしかならないので、抽象的な書き方になって申し訳ないのですが、登場人物
の誰もが、主人公たちに翻弄される大人たちも含め、みんな、人の心を尊重し大事にしながら、しっかり
現実に立ち向かう立派でやさしく強い人物に描かれていて感動的です。
無責任な教師だと糾弾される原因となった告発状を盗みだした隣室の女性ですら、最後には「私のよ
うな大人にならないでね」という一言を残します。

事件のきっかけになった雪の日に死んでいた同級生も、ウソの告発状を出した女生徒も、粗暴で短絡
的な学校の鼻つまみ者も、その愚かな子分たちも、かれらに暴行されて重傷を負った他校の生徒も・・・
いやらしい功名心に走るジャーナリストすら、みんなに見せ場があり、そして決定的なことは、みんなが
それぞれに救済されています。
誰もがやさしく強く、誰もが理解者を得て、穏やかに日常に戻っていく。

それはリアリティではありません。
決して嫌みや当てこすりで言っているのではありません。実にすばらしい「ファンタジー」でした。
そして、確実にこの「ファンタジー」は、読む者の心を和ませてくれました。

私は長年、宮部さんの読者ですが、『模倣犯』の読後感に、現実に心が折れそうなものを感じて、少し
現代物から遠ざかって時代物に逃げていました。しかし『小暮写眞館』あたりから、明らかに筆致というか
テイストが変わったように思います。
読了後に圧倒的な “多幸感” が襲ってきます。

リアリティでは断じてありません。
宮部さんのこの最新作は、「現代ミステリー」の意匠をまとった最高の「ファンタジー」です。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.42
(4pt)

仮想世界も現実世界も味わえる長編

1巻から3巻全部を読んだ総合感想としては、一言「小説としての仮想世界に入り込むワクワク感も多いけど、同じだけ現実世界を目の当たりにする嫌気も多い」作品でした。
読み応えがあったのは、もちろんです。こんなに分厚い本が3冊ですから。

中学生男子が死んだことに端を発して、直接および間接的に、そして自主的にまたは強制的にかかわることになった多くの人々のストーリーを彼らの動向を通してすごく緻密に描いてある本でした。

一見エンターテイメント性が強い作品にも見えますし、実際そう決めつければそうなのでしょうが、そこかしこに心にぐさっと刺さる身近な現実が埋め込まれていて、嫌でものめり込まずにいられなくなる作品でした。

作風の好き嫌いは別として、一度は読んでおいて損はない長編だと思います。
なにか自分が忘れてしまったもの、過去のことになってしまっていたものを思い出させてくれる懐かしさもあり、大の大人が童心に返れる作品でもありました。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.41
(3pt)

出版社の惹句が気に入らないが宮部みゆきの地力を見た。

これまで、宮部みゆぎさんの小説は数々読んできました。間が空いていた期間はあるものの、ごく初期作から読ませていただいています。

確かな文章力とストーリーテリング。

高くは評価していましたが、しかし、「ぞっこん」というほどではないのは確かです。

自分は、宮部みゆきさんの人間観、人生観、(本来の意味での)世界観にいまひとつ馴染めなかったのです。宮部みゆき作品の底流に(どんなに悪意に満ちた人間を描いても必ず)いつも流れている宮部さんの「性善説」――これだと語弊がありますか――ときに青臭ささえ漂いかねない「母性で世界を包む寛容さ」というべきか、そういうものにいまひとつ得心いかず、没入できなかったのです。

なのに何故読んできたかといえば、上に書いたようにひとえに宮部みゆきさんの職人気質にも似た巧みさ故ですが、そうした確かな構成力・構想力などは本作でも健在でした。

……う、巧いっ!

その筆力に、宮部みゆきというベストセラー作家の地力を改めて思い知らされました。

ただし、第三部の新聞広告にでかでかと書かれた「あなたはこのラストを絶対に予測できない!」との惹句には「絶対に」納得いきません!(笑)。

公衆電話の件等々も複数回に渡って「背格好が似ている」点など第二部序盤において、すでに作者が目に見える「ヒント」をばらまいていますし、○○のの反応などで、事件との「強い関わり」が、何度も繰り返し示唆されていたのです。

ラストは、正直、想定の範囲内というか、想定のど真ん中でした。

上記、出版社の惹句のせいで、最後の最後に更なるツイストがあるのかと期待してしまったではありませんか(笑)。

一切、本作に関する情報を仕入れず読み始めたため、第一部から第二部への「大転回」に、「うーん、そうくるかあ」と感じましたし、突然ジュヴナイル風になったなあとも思いました。第一部の流れで第三部まで行ってくれれば、「大傑作!」と言ったかもしれません。

しかし、それでも、なかなかに読ませるいい作品でした。快作です。

匠・宮部みゆきここにあり、です。

細やかな筆致と、日常における人間観察力が生きたであろう、ひとりひとりの登場人物に「憑依する」その力量。

そう、自分が「いまひとつ馴染めなかった」作家・宮部みゆきの「慈愛」は、本作でもそのままなのです。そのままでありながら、「腕力(かいなぢから)」に持っていかれたという感じです。

相変わらず「前提」がフィットしないので「ぞっこん」になったわけではありませんが、これからも変わらず宮部みゆきを読むだろう、という気持ちになったことだけは確かです。
ソロモンの偽証 第III部 法廷 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第III部 法廷より
410375012X
No.40
(2pt)

宮部作品でなけりゃ読めるか微妙だ

久々の現代劇ミステリーで「模倣犯」や「理由」のような神作品よ再び!
と息巻いて読んで今この'Uを読み終えるところですが,ここまで読んで
「…よくまぁこんな展開でここまで引っ張ったな〜っ」てのが正直な感想。

700ページ×2っていうと大河小説なら孫の代まで進む位なのが
ここではクリスマスから夏休み数日間まで,っていう超スローペース。
しかもこの2は…実質数日間。が、とにかくみっちり描き込まれてますが,
そこまで必要かといえばそうでもないような…なくてもいいような場面が
凄まじく多い。というか同じようなシーンばかりが延々続く。

宮部作品といえば人情の描写が巧みで名人の域だが,本作においても宮部節は健全で各キャラクターの個性,家族との関わりなどわかり易くて登場人物多くても
混乱したり渋滞したりしない。
だからこそこんなに凡庸な展開でも飽きないでついて行けるのだが
学校の「いじめ」や「引き篭もり」などの今の社会問題を扱っているのに
そこに独自の鋭いメスがある訳でもなく,
苛めの被害者やその家族の描写に心の琴線に触れるような部分がある訳でもなく
とにかく特定の人物の,こと細かい仕草や言葉に頁数が費やされてゆく。

これが宮部作品でなければここまで読むだろうか
「模倣犯」は被害者側も加害者側も強烈な描写で緊張感も感動も半端なかった
あれをもう一度というのは無理な話なのか
ソロモンの偽証 第II部 決意 Amazon書評・レビュー: ソロモンの偽証 第II部 決意より
4103750111