そして誰もいなくなった
評判
そして誰もいなくなったの評価:
4.32/5点 レビュー 439件。 S ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全401件 261〜280 14/21ページ
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4.32/5点 レビュー 439件。 S ランク
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童謡マザーグースの「10人のインディアン」は、まるで女の子が母親に語りかけるようにはじまる。まだ、大人のような道徳心が備わっていないが故の、ある種の残酷性と差別感。それに驚愕する大人達、我々読者。童謡の語り手は、イギリスの女の子アガサクリスティ。彼女は第一級のミステリーテイラーでもあった。新訳には旧訳にあった、重々しさが欠けている、という。たしかに、本作は重厚なミステリーとして読める。しかし、本作は童謡マザーグースの「10人のインディアン」をベースにしている(だからIndianの訳語はインディアンでなければならないのだが)。頭をひねって読むようなものではない。童謡になぞらえて、童謡殺人が展開されるので、読者はなんとなく展開を予測できる。次はあの人‥‥サスペンスと恐怖は読者の脳内で勝手に自己増殖しはじめる。『そしてだれもいなくなった』は、夜、母親と子供が気軽に読めるような童謡小説でもある。旧訳はミステリーファン向け、新訳は致命的な欠点はあるが一般向け。
新訳の致命的な欠点(用語の変更)
旧訳「インディアン」→新訳「兵隊さん」
旧訳「インディアン島」→新訳「兵隊島」
この時点で旧訳のほうが優れているといえる。なぜなら本作は童謡マザーグースの「10人のインディアン」をベースにしているからである。「10人のインディアン」はもともとはTen Little Nigger Boysと言われていたが、Nigger(黒んぼ)にかなり差別的なニュアンスがあるので、Indianに歌詞をかえたという経緯がある。現代ではIndianに差別的なニュアンスがあるため、ある種の配慮から日本語では「兵隊さん」「兵隊島」に変更したのだろう。これは「改悪」といえる。原著の記述はIndianであるのだから、原著の記述に従うべきである。作品の時代背景、古典としての歴史的・文学的な意味を尊重するなら、「インディアン」を使用すべきであった。現代の風潮に迎合したことで、本作が積み上げて来た古典としての価値が凋落した(少なくとも日本で)。何より作者アガサクリスティの意図を完全に無視したハヤカワ文庫の功罪は大きい。今や天国にいるアガサクリスティが変更を要求しているのなら、話は別だろう。和訳にも彼女の意志を反映させるべきだろう。いったい早川書房はどのようにして彼女の意志を知ったのだろうか。ただ単に時代に迎合し、作品の価値を凋落させたのだろうか。出版社として時代に迎合することは致命的な過失である。これに関しては訳者に責任はない。これは個人的な改悪を超えている。近い将来、JapanやAmericanが差別語になったとしたら、なんと訳するのだろう。兵隊さん? 馬鹿馬鹿しい。本作のIndianはインディアンだ。アガサクリスティの作品を愛する読者なら、即急に変更を求めるべきだ。作品を冒涜しているのだから。