カラマーゾフの妹

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カラマーゾフの妹の評価:

2.83/5点 レビュー 58件。 B ランク

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平均点2.83pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全41件 1〜20 1/3ページ
No.41
(4pt)

二次創作として楽しみました

『カラマーゾフの兄弟』は魂と信仰の物語ですが、本作はエンターテイメントミステリーです。登場人物を借りながら、完全に作者独自の世界が展開されています。
登場人物の会話の端々にドストエフスキーの他の作品の登場人物がチラッと出出てきたり、一部SF的なところもあったり、主人公のイワンは有名な海外ドラマの某変人捜査官を彷彿させる描写があったり。思わずニヤニヤしながら読みました。
よく書けた二次創作だなあと思います。面白かったです。
ドストエフスキーの高尚さは全くないです、念のため。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.40
(4pt)

二次創作として楽しみました

『カラマーゾフの兄弟』は魂と信仰の物語ですが、本作はエンターテイメントミステリーです。登場人物を借りながら、完全に作者独自の世界が展開されています。
登場人物の会話の端々にドストエフスキーの他の作品の登場人物がチラッと出出てきたり、一部SF的なところもあったり、主人公のイワンは有名な海外ドラマの某変人捜査官を彷彿させる描写があったり。思わずニヤニヤしながら読みました。
よく書けた二次創作だなあと思います。面白かったです。
ドストエフスキーの高尚さは全くないです、念のため。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.39
(4pt)

テーマは興味深いけど

これをドストエフスキー氏が読んだら、いったいどんな評価を下すことだろう。
この作品は単なる推理探偵物に過ぎない気がする。
以前、ハードカバー本で読んだ時にそう感じた。
最近、カラマーゾフの兄弟を読み直してみるとやはりドストエフスキー氏が単なる推理モノを第二部のメインテーマなどにはしていないと確信出来る。
テーマがテーマだけに、非常に「惜しい」作品である。
作者はもっとキリスト教、ひいてはロシア正教やロシアの風土、ロシア人気質の研究を充分に考証した上で、この作品を書くべきだったと思う。
アリョーシャ・カラマーゾフの13年後は「皇帝暗殺団」の組織のリーダーとみるのは正しいかも知れない。
つまりはテロリストの首魁になるわけだ。
しかし、第二部については、やはりドストエフスキー氏がどのような構想を持っていたかは依然として謎である。
いずれにせよ、この作品の登場人物たちはロシア人ではなく、日本人のそれである。日本人がロシア人のマネをしているだけだ。
追記。
俺はもうすでにこの作品を数ページ読んだだけでオチが判っていた。
当然のことながら「あの天使」がこの一連の殺人事件の黒星だ。
「神がいるからこそ、すべてにおいて許されている」
つまりは、どんな理不尽も不条理も、戦争も犯罪もすべてにおいて犯人の正体が「黒」なのは「神」だったのである。
以前から、このテーマはある種の直感めいた閃きで脳裏をよぎることがしばしばあった。
しかしながら、わたしはそれを何度も否定してきた。しかし、この作品を読んで疑惑は確信に変わってしまった。神は悪魔であり、両者は一卵性双生児だったのである。
アリョーシャはさまざまな人間を殺害して、なんら良心の呵責を感じない「快楽殺人者」であるが(彼はあのゾシマ長老さえ、殺害していた!)
これらすべての殺人の遂行及び皇帝暗殺のテロリストになることが、
「より人類の進化の為の崇高なる使命」を帯びた必要不可欠な通過点としてのイニシエーションだとするならば、
アリョーシャを殺人者にしても、なんらかの意味はあったかも知れない。
(はたして正義の殺人などあり得るか?という問題は別にして)
しかしながら、アリョーシャを単なる無邪気な変態的リビドーの持ち主、無邪気な快楽殺人者にしたまま、この作品のオチを片付けてしまう執筆態度はエンターテイメント作品としては、
面白いけど、
カラマーゾフの本格的な「第2部」などにはまったく成り得ない。
むしろ作者は、時間的な余裕が無かったのか?それとも、ロクにカラマーゾフの兄弟・第二部を執筆する構想など持っておらず、
行き当たりバッタリ式に勢いのちからだけでこの作品を書いたキライがある。
もちろん、面白ければそれで良いという意見には、わたしもやはり同意せざるを得ないが・・・
ただしかし、この作品の筆者は少なくとも「カラマーゾフ第二部」への足がかりのひとつ、
いわば、お手本のひとつを提供してくれた(良い意味でも悪い意味でも)
その事自体は称賛に値するし、敬意を払って然るべきゆえに、あえて星の数を増やして4つにした次第である。
いずれにせよ、誰かがいつかはわからないが、
本格的な「カラマーゾフの兄弟・第二部」を書いて欲しいし、
それは日本人によって達成されることを望んでやまないのはわたしだけではないだろう・・・

追記その2。ドストエフスキーの性的嗜癖について。
ドストエフスキー氏が「象徴主義的手法」を持って、その諸作品中に「少女性愛への衝動」をそれとなく表現していた事は事実であり、多くのドストエフスキー研究者の指摘するところである。
しかし、それを持ってしてドストエフスキー氏を「その種の特殊性愛の持ち主」だったと断定するのは非常に危険な行為である。彼の名誉の為にあえて付け足して置きたい。
清直人著「ドストエフスキーとキリスト教・イエス主義・大地信仰・社会主義」を参考にされたい。
ここで思い出すのは「悪霊」に登場するスタヴローギンのペテルブルクでの少女凌辱のシーンであるが、
あれは、実際にドストエフスキー氏が過去においてあからさまに、赤裸々に自分の体験を作中に挿入したとする研究者がいることは事実かも知れない。
だが早急な結論を出して「アリョーシャ・カラマーゾフ」という特異なキャラクターに異常性愛の持ち主としたがる傾向には、やはり歯止めをかけねばなるまい。
アリョーシャが第二部において「シベリア流刑」になるような、犯罪行為ないし活動に巻き込まれることはおそらく事実であろうが、
それは、おそらくドストエフスキー氏の「シベリア流刑体験」とオーバーラップする内容のはずであり、
その場においてアリョーシャは「ロシアの民衆と信仰」を知り「キリスト教主義的社会主義者」の闘志となる(人格的なさらなる昇華)可能性は高い。
この、キリスト教ひいてはイエス信仰に基づくロシア唯一の「真の社会主義」こそが世界を本当に変革して救済する唯一の方法と生前ドストエフスキー氏は主張していた。
上記の事実をもってしても、カラマーゾフ第二部の構想にイエス信仰に基づく革命及び「皇帝暗殺」がテーマとなる予定であったらしい事は、
90%の確率で非常に高いと思わざるを得ない。
長々と、カラマーゾフ第二部についての予測レビューしてしまったが、これにて愚筆を置くこととしよう。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.38
(4pt)
※削除申請(1件)

テーマは興味深いけど

これをドストエフスキー氏が読んだら、いったいどんな評価を下すことだろう。
この作品は単なる推理探偵物に過ぎない気がする。
以前、ハードカバー本で読んだ時にそう感じた。
最近、カラマーゾフの兄弟を読み直してみるとやはりドストエフスキー氏が単なる推理モノを第二部のメインテーマなどにはしていないと確信出来る。
テーマがテーマだけに、非常に「惜しい」作品である。
作者はもっとキリスト教、ひいてはロシア正教やロシアの風土、ロシア人気質の研究を充分に考証した上で、この作品を書くべきだったと思う。
アリョーシャ・カラマーゾフの13年後は「皇帝暗殺団」の組織のリーダーとみるのは正しいかも知れない。
つまりはテロリストの首魁になるわけだ。
しかし、第二部については、やはりドストエフスキー氏がどのような構想を持っていたかは依然として謎である。
いずれにせよ、この作品の登場人物たちはロシア人ではなく、日本人のそれである。日本人がロシア人のマネをしているだけだ。
追記。
俺はもうすでにこの作品を数ページ読んだだけでオチが判っていた。
当然のことながら「あの天使」がこの一連の殺人事件の黒星だ。
「神がいるからこそ、すべてにおいて許されている」
つまりは、どんな理不尽も不条理も、戦争も犯罪もすべてにおいて犯人の正体が「黒」なのは「神」だったのである。
以前から、このテーマはある種の直感めいた閃きで脳裏をよぎることがしばしばあった。
しかしながら、わたしはそれを何度も否定してきた。しかし、この作品を読んで疑惑は確信に変わってしまった。神は悪魔であり、両者は一卵性双生児だったのである。
アリョーシャはさまざまな人間を殺害して、なんら良心の呵責を感じない「快楽殺人者」であるが(彼はあのゾシマ長老さえ、殺害していた!)
これらすべての殺人の遂行及び皇帝暗殺のテロリストになることが、
「より人類の進化の為の崇高なる使命」を帯びた必要不可欠な通過点としてのイニシエーションだとするならば、
アリョーシャを殺人者にしても、なんらかの意味はあったかも知れない。
(はたして正義の殺人などあり得るか?という問題は別にして)
しかしながら、アリョーシャを単なる無邪気な変態的リビドーの持ち主、無邪気な快楽殺人者にしたまま、この作品のオチを片付けてしまう執筆態度はエンターテイメント作品としては、
面白いけど、
カラマーゾフの本格的な「第2部」などにはまったく成り得ない。
むしろ作者は、時間的な余裕が無かったのか?それとも、ロクにカラマーゾフの兄弟・第二部を執筆する構想など持っておらず、
行き当たりバッタリ式に勢いのちからだけでこの作品を書いたキライがある。
もちろん、面白ければそれで良いという意見には、わたしもやはり同意せざるを得ないが・・・
ただしかし、この作品の筆者は少なくとも「カラマーゾフ第二部」への足がかりのひとつ、
いわば、お手本のひとつを提供してくれた(良い意味でも悪い意味でも)
その事自体は称賛に値するし、敬意を払って然るべきゆえに、あえて星の数を増やして4つにした次第である。
いずれにせよ、誰かがいつかはわからないが、
本格的な「カラマーゾフの兄弟・第二部」を書いて欲しいし、
それは日本人によって達成されることを望んでやまないのはわたしだけではないだろう・・・

追記その2。ドストエフスキーの性的嗜癖について。
ドストエフスキー氏が「象徴主義的手法」を持って、その諸作品中に「少女性愛への衝動」をそれとなく表現していた事は事実であり、多くのドストエフスキー研究者の指摘するところである。
しかし、それを持ってしてドストエフスキー氏を「その種の特殊性愛の持ち主」だったと断定するのは非常に危険な行為である。彼の名誉の為にあえて付け足して置きたい。
清直人著「ドストエフスキーとキリスト教・イエス主義・大地信仰・社会主義」を参考にされたい。
ここで思い出すのは「悪霊」に登場するスタヴローギンのペテルブルクでの少女凌辱のシーンであるが、
あれは、実際にドストエフスキー氏が過去においてあからさまに、赤裸々に自分の体験を作中に挿入したとする研究者がいることは事実かも知れない。
だが早急な結論を出して「アリョーシャ・カラマーゾフ」という特異なキャラクターに異常性愛の持ち主としたがる傾向には、やはり歯止めをかけねばなるまい。
アリョーシャが第二部において「シベリア流刑」になるような、犯罪行為ないし活動に巻き込まれることはおそらく事実であろうが、
それは、おそらくドストエフスキー氏の「シベリア流刑体験」とオーバーラップする内容のはずであり、
その場においてアリョーシャは「ロシアの民衆と信仰」を知り「キリスト教主義的社会主義者」の闘志となる(人格的なさらなる昇華)可能性は高い。
この、キリスト教ひいてはイエス信仰に基づくロシア唯一の「真の社会主義」こそが世界を本当に変革して救済する唯一の方法と生前ドストエフスキー氏は主張していた。
上記の事実をもってしても、カラマーゾフ第二部の構想にイエス信仰に基づく革命及び「皇帝暗殺」がテーマとなる予定であったらしい事は、
90%の確率で非常に高いと思わざるを得ない。
長々と、カラマーゾフ第二部についての予測レビューしてしまったが、これにて愚筆を置くこととしよう。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.37
(4pt)

結構楽しめた。

カラマーゾフの兄弟を読み終わったところだったので予備知識なく手にとったのですが 当然ドストエフスキーより読みやすく楽しく読了しました。三兄弟の中ではどちらかといえばイワンが気に入っていたので 彼が探偵役という設定も個人的には受け入れやすく読後感もまずまず。けちをつける所は色々あるでしょうが カラマーゾフの兄弟の ドストエフスキーが書けなかった続編などと大層なことは思わず 気軽に楽しんでしまいましょう。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.36
(4pt)

結構楽しめた。

カラマーゾフの兄弟を読み終わったところだったので予備知識なく手にとったのですが 当然ドストエフスキーより読みやすく楽しく読了しました。三兄弟の中ではどちらかといえばイワンが気に入っていたので 彼が探偵役という設定も個人的には受け入れやすく読後感もまずまず。けちをつける所は色々あるでしょうが カラマーゾフの兄弟の ドストエフスキーが書けなかった続編などと大層なことは思わず 気軽に楽しんでしまいましょう。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.35
(5pt)

ミステリーとして読めばおもしろい

『カラマーゾフの兄弟』を読んだことのある人なら、手に取りたくなる小説だと思う。私は三度読んでいる。さて、ハードルを超えられたか。私は超えていると思う。あざとい面もあるが、おもしろかった。確かに、「あの犯人」には異常性を感じていた。ただ『カラマーゾフの兄弟』は総合小説だが、この本はあくまでもそれをモチーフにしたミステリーだ。そこを勘違いしないほうがいいと思う。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.34
(5pt)

ミステリーとして読めばおもしろい

『カラマーゾフの兄弟』を読んだことのある人なら、手に取りたくなる小説だと思う。私は三度読んでいる。さて、ハードルを超えられたか。私は超えていると思う。あざとい面もあるが、おもしろかった。確かに、「あの犯人」には異常性を感じていた。ただ『カラマーゾフの兄弟』は総合小説だが、この本はあくまでもそれをモチーフにしたミステリーだ。そこを勘違いしないほうがいいと思う。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.33
(4pt)

読者を選ぶミステリー

ロシアの文豪ドストエフスキーの遺作となった『カラマーゾフの兄弟』が実は未完であることはあまり知られていない。書かれたのは第一部のみであり、肝心なのは第二部であると冒頭で宣言しておきながら、著者のドフトエフスキーは第一部を書き上げた直後に死んでしまった。長い長い前置きである第一部はそれだけで独立した名作として読み継がれているが、志半ばで力尽きた文豪の悔しさは計り知れない。本書はそんなドストエフスキーの遺志を継ぎ、『カラマーゾフの兄弟』の続篇として書き上げられた江戸川乱歩賞受賞のミステリーである。
 舞台はカラマーゾフ事件から13年後のロシアであり、登場人物も『カラマーゾフの兄弟』で活躍した面々である。この設定からしてすでに、本作がかなりの異色作であることが分かる。ミステリーである以上フィクションであることは当然としても、既存のフィクションをそのまま継承した舞台設定というのは、乱歩賞の長い歴史の中でもほとんどないのではないか。しかも本作の著者は作中でドストエフスキーのことを「我が前任者」などと呼んでいる。ということは彼はドストエフスキーの後継者なのか。空前絶後の文豪に対する冒涜とも受け取られかねないこの大胆さは、ミステリーの世界でなければ到底許容されえないものだったろう。ドストエフスキーの信奉者であれば、著者のこの態度でもう拒絶反応を起こしてしまうかも知れない。しかしこの本は『カラマーゾフの兄弟』を読んだ読者にこそ読んでほしい。というより『カラマーゾフの兄弟』を読んでいなければ、面白さは半減するだろう(読んでいない読者にも配慮した構成にはなっているが)。そういった意味では読者を選ぶ作品ではある。
 なぜこのようなマニアックな作品が、江戸川乱歩賞などという一般大衆を読者とするミステリー賞を受賞したのか。少なくとも受賞作を毎年読んでいる一般読者は、少なからぬ違和感を持って本作を読んだはずである。特に新規なトリックが使われているわけではないし、有体に言えば『カラマーゾフの兄弟』を読んでいなければその面白さはほとんど分からない。しかし『カラマーゾフの兄弟』の読者にとっては、かなり衝撃的な内容を含んでいることは確かである。専門家ではないので分からないが、著者が綿密に調査した末の作品であることはよく分かる。その迫力に、熱意に、圧倒されての授賞だったのではないか。この作品を受賞させずに闇に葬ることに対する抵抗が票を集めたのだろう。
 それにしてもドストエフスキーが本当にこのような続篇を――細部はともかくあのような真犯人を――予定していたのだとしたら、と思うと興味は尽きない。世界中の読者はドストエフスキーのミスディレクションにまんまと引っかかり、しかもドストエフスキーの死によって真相が隠されたまま、百年以上ものあいだだまされ続けていたことになる。このような大どんでん返しを用意していながら、それを書く前に逝ってしまったドストエフスキーの無念さはいかばかりであったろう――等々、この作品のミステリーそのものよりも、本作によって炙り出される過去の名作のミステリーの方が興味深い、そんな一冊である。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.32
(4pt)

読者を選ぶミステリー

ロシアの文豪ドストエフスキーの遺作となった『カラマーゾフの兄弟』が実は未完であることはあまり知られていない。書かれたのは第一部のみであり、肝心なのは第二部であると冒頭で宣言しておきながら、著者のドフトエフスキーは第一部を書き上げた直後に死んでしまった。長い長い前置きである第一部はそれだけで独立した名作として読み継がれているが、志半ばで力尽きた文豪の悔しさは計り知れない。本書はそんなドストエフスキーの遺志を継ぎ、『カラマーゾフの兄弟』の続篇として書き上げられた江戸川乱歩賞受賞のミステリーである。
 舞台はカラマーゾフ事件から13年後のロシアであり、登場人物も『カラマーゾフの兄弟』で活躍した面々である。この設定からしてすでに、本作がかなりの異色作であることが分かる。ミステリーである以上フィクションであることは当然としても、既存のフィクションをそのまま継承した舞台設定というのは、乱歩賞の長い歴史の中でもほとんどないのではないか。しかも本作の著者は作中でドストエフスキーのことを「我が前任者」などと呼んでいる。ということは彼はドストエフスキーの後継者なのか。空前絶後の文豪に対する冒涜とも受け取られかねないこの大胆さは、ミステリーの世界でなければ到底許容されえないものだったろう。ドストエフスキーの信奉者であれば、著者のこの態度でもう拒絶反応を起こしてしまうかも知れない。しかしこの本は『カラマーゾフの兄弟』を読んだ読者にこそ読んでほしい。というより『カラマーゾフの兄弟』を読んでいなければ、面白さは半減するだろう(読んでいない読者にも配慮した構成にはなっているが)。そういった意味では読者を選ぶ作品ではある。
 なぜこのようなマニアックな作品が、江戸川乱歩賞などという一般大衆を読者とするミステリー賞を受賞したのか。少なくとも受賞作を毎年読んでいる一般読者は、少なからぬ違和感を持って本作を読んだはずである。特に新規なトリックが使われているわけではないし、有体に言えば『カラマーゾフの兄弟』を読んでいなければその面白さはほとんど分からない。しかし『カラマーゾフの兄弟』の読者にとっては、かなり衝撃的な内容を含んでいることは確かである。専門家ではないので分からないが、著者が綿密に調査した末の作品であることはよく分かる。その迫力に、熱意に、圧倒されての授賞だったのではないか。この作品を受賞させずに闇に葬ることに対する抵抗が票を集めたのだろう。
 それにしてもドストエフスキーが本当にこのような続篇を――細部はともかくあのような真犯人を――予定していたのだとしたら、と思うと興味は尽きない。世界中の読者はドストエフスキーのミスディレクションにまんまと引っかかり、しかもドストエフスキーの死によって真相が隠されたまま、百年以上ものあいだだまされ続けていたことになる。このような大どんでん返しを用意していながら、それを書く前に逝ってしまったドストエフスキーの無念さはいかばかりであったろう――等々、この作品のミステリーそのものよりも、本作によって炙り出される過去の名作のミステリーの方が興味深い、そんな一冊である。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.31
(4pt)

ミステリ+歴史改変SF

カラマーゾフの兄弟は「ミステリとしても読める」と長らく言われてきたが、それを真面目にやった人はいなかった。何しろ長大な作品だし、ドストエフスキーの文章はいい加減なところも多いので、細部の瑕疵は見過ごされてきたのだ。
しかし、実際に「そういう目」で読んでみると、確かに怪しいところはある。

・後ろから殴られたはずなのに仰向けに倒れていたフョードル
・スメルジャコフの発言中にしか存在しない「フョードルの3千ルーブル」
・いつの間にか開いていた扉

いずれも現代のミステリであれば決定的な描写だ。それを踏まえて本当にミステリ仕立てで続編を書いてしまったのが本作。
もうそれだけでも面白いのだが、階差機関やロケットが登場してカオスな歴史改変SFの趣があったり、亀山郁夫の「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」が反映されていたりと、マニアックな仕掛けで楽しませてくれる。
もちろん不満点もある。本作では精神分析や犯罪心理学の用語が多用されるのだが、これによってキャラクターが類型化されてしまい、薄っぺらい印象を受ける。また、ドストエフスキー作品の最大の魅力である哲学的・宗教的なあれこれが捨象されており、続編と銘打ちながら文体も全く似ていないので、パスティーシュ作品としては未熟である。
とはいえそのキッチュさを楽しむことができれば、非常に良くできた作品である。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.30
(4pt)

ミステリ+歴史改変SF

カラマーゾフの兄弟は「ミステリとしても読める」と長らく言われてきたが、それを真面目にやった人はいなかった。何しろ長大な作品だし、ドストエフスキーの文章はいい加減なところも多いので、細部の瑕疵は見過ごされてきたのだ。
しかし、実際に「そういう目」で読んでみると、確かに怪しいところはある。

・後ろから殴られたはずなのに仰向けに倒れていたフョードル
・スメルジャコフの発言中にしか存在しない「フョードルの3千ルーブル」
・いつの間にか開いていた扉

いずれも現代のミステリであれば決定的な描写だ。それを踏まえて本当にミステリ仕立てで続編を書いてしまったのが本作。
もうそれだけでも面白いのだが、階差機関やロケットが登場してカオスな歴史改変SFの趣があったり、亀山郁夫の「『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する」が反映されていたりと、マニアックな仕掛けで楽しませてくれる。
もちろん不満点もある。本作では精神分析や犯罪心理学の用語が多用されるのだが、これによってキャラクターが類型化されてしまい、薄っぺらい印象を受ける。また、ドストエフスキー作品の最大の魅力である哲学的・宗教的なあれこれが捨象されており、続編と銘打ちながら文体も全く似ていないので、パスティーシュ作品としては未熟である。
とはいえそのキッチュさを楽しむことができれば、非常に良くできた作品である。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.29
(5pt)

原作を損なうことなく、ミステリーとして昇華させた力作

果敢にもドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に挑戦し、独自の答えを描いてみせた第58回江戸川乱歩賞受賞の力作。

原作を損なうことなく、ミステリーとして続編を描くという面白いアイデアと力量には驚かされた。どのような着想からこの作品を描くに至ったのか非常に興味深かったが、巻末の高野史緒と亀山郁夫、沼野充義の鼎談を読み、納得した。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.28
(5pt)

原作を損なうことなく、ミステリーとして昇華させた力作

果敢にもドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』に挑戦し、独自の答えを描いてみせた第58回江戸川乱歩賞受賞の力作。

原作を損なうことなく、ミステリーとして続編を描くという面白いアイデアと力量には驚かされた。どのような着想からこの作品を描くに至ったのか非常に興味深かったが、巻末の高野史緒と亀山郁夫、沼野充義の鼎談を読み、納得した。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.27
(4pt)

筋が通っている。村上春樹ならどんな続編を書くのか?

★大いにネタバレあり★

亀山訳の原作を読んでいたので読みました。
原作に残るいろんな矛盾点や現象をうまく「伏線」として利用している。
自分には全くこういう展開を予想することができなかったが

革命軍のくだりは面白いけど、話が急展開過ぎて、説得力に欠けるように感じた。
(当時、ロシアでは次作は皇帝暗殺の話になるという噂はあったそうだが)
人格交代は筋が通っていると感じた。
こんな解釈を与えられたらもう一度原作を読んで見たくなる、そういう作品。

江戸川乱歩賞の選考委員のコメントも掲載されていて読んだが、オマージュというかパロディであることは問題視されていたが、こういう試みは面白いと感じた。
読み終わってから「ハズレ」だったと思うより、過去の大作の続編と銘打てば、購入者もある程度は安心して読書できるのではないか。

まったく話は異なるが、村上春樹はエッセイなどでスメルジャコフの名前でパロディしたりしているが、彼は「カラ兄」にどういう解釈をしているのだろうか。小説の受け取り方は人それぞれであるから絶対書いてくれないだろうけど。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.26
(4pt)

筋が通っている。村上春樹ならどんな続編を書くのか?

★大いにネタバレあり★

亀山訳の原作を読んでいたので読みました。
原作に残るいろんな矛盾点や現象をうまく「伏線」として利用している。
自分には全くこういう展開を予想することができなかったが

革命軍のくだりは面白いけど、話が急展開過ぎて、説得力に欠けるように感じた。
(当時、ロシアでは次作は皇帝暗殺の話になるという噂はあったそうだが)
人格交代は筋が通っていると感じた。
こんな解釈を与えられたらもう一度原作を読んで見たくなる、そういう作品。

江戸川乱歩賞の選考委員のコメントも掲載されていて読んだが、オマージュというかパロディであることは問題視されていたが、こういう試みは面白いと感じた。
読み終わってから「ハズレ」だったと思うより、過去の大作の続編と銘打てば、購入者もある程度は安心して読書できるのではないか。

まったく話は異なるが、村上春樹はエッセイなどでスメルジャコフの名前でパロディしたりしているが、彼は「カラ兄」にどういう解釈をしているのだろうか。小説の受け取り方は人それぞれであるから絶対書いてくれないだろうけど。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.25
(5pt)

聖人君子はいない。

説得力はあった、と思う。父親殺しの最大の動機は、金目的でも恨みでもいない。
じつは「正義」だったのである。
「罪と罰」でラスコーリニコフが考え出した犯罪哲学とある意味では似ている。
大いなる善行を行おうとしている人間は、たった1つの犠牲など気にも留めない、ということです。
つまり愛する兄弟を救うために何のためらいもなく父親を殺害した。
強すぎる正義感と強固な精神力がそれをさせたのだ。
ラスコーリニコフは殺人後、精神が崩壊した単なる凡人だが
この小説の犯人はナポレオンの素質があった、ということである。

皇帝暗殺、という挿話も「大いなる善行」の1つとして描かれており
ロシア国民を救うために、皇帝の命を奪おうとする彼ら革命家の「正義」が
いかに狂信的なのかを読者に訴えかけている。
そして皇帝殺しと父親殺しを対比させており
犯人には正義を実行するために
彼らを殺す動機があったのだと暗示させている。

謎解き重視の映画や推理小説では
ときどき、犯人を捜しているはずの主人公が実は多重人格者で犯人だった
というおきて破りのオチがあるが
それを逆手にとったようなアイデアで最後まで犯人が読めなかった。

リーザの足が治ったり治らなくなったりする不思議な現象も
実はラストに結びつく伏線である。これは面白い。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.24
(5pt)

聖人君子はいない。

説得力はあった、と思う。父親殺しの最大の動機は、金目的でも恨みでもいない。
じつは「正義」だったのである。
「罪と罰」でラスコーリニコフが考え出した犯罪哲学とある意味では似ている。
大いなる善行を行おうとしている人間は、たった1つの犠牲など気にも留めない、ということです。
つまり愛する兄弟を救うために何のためらいもなく父親を殺害した。
強すぎる正義感と強固な精神力がそれをさせたのだ。
ラスコーリニコフは殺人後、精神が崩壊した単なる凡人だが
この小説の犯人はナポレオンの素質があった、ということである。

皇帝暗殺、という挿話も「大いなる善行」の1つとして描かれており
ロシア国民を救うために、皇帝の命を奪おうとする彼ら革命家の「正義」が
いかに狂信的なのかを読者に訴えかけている。
そして皇帝殺しと父親殺しを対比させており
犯人には正義を実行するために
彼らを殺す動機があったのだと暗示させている。

謎解き重視の映画や推理小説では
ときどき、犯人を捜しているはずの主人公が実は多重人格者で犯人だった
というおきて破りのオチがあるが
それを逆手にとったようなアイデアで最後まで犯人が読めなかった。

リーザの足が治ったり治らなくなったりする不思議な現象も
実はラストに結びつく伏線である。これは面白い。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508
No.23
(4pt)

イワンびいき

二次創作として楽しめました。
タイトルにもなっている「妹」は、わりと引っ張ったあげくにあまり重要ではなかったような。

カラマーゾフを知らない人が楽しめるかというと微妙だけど、
筆者による「カラマーゾフ事件とは何か」という章は、原作を読むよりよっぽど分かりやすいです。

『悪霊』で撲殺されたリーザや、『二重人格』の主人公ゴリャートキンなどなどが同一空間上で語られていたりして、ニヤリとしました。

イワンだけ救われてアリョーシャがとんでもない結末を迎えるラストはさすがに悲しい…。
こんなにポコポコ殺されたら、アリョーシャ好きな人が怒る気持ちも分かります(笑)。
カラマーゾフの妹 (講談社文庫) Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹 (講談社文庫)より
4062778858
No.22
(4pt)

イワンびいき

二次創作として楽しめました。
タイトルにもなっている「妹」は、わりと引っ張ったあげくにあまり重要ではなかったような。

カラマーゾフを知らない人が楽しめるかというと微妙だけど、
筆者による「カラマーゾフ事件とは何か」という章は、原作を読むよりよっぽど分かりやすいです。

『悪霊』で撲殺されたリーザや、『二重人格』の主人公ゴリャートキンなどなどが同一空間上で語られていたりして、ニヤリとしました。

イワンだけ救われてアリョーシャがとんでもない結末を迎えるラストはさすがに悲しい…。
こんなにポコポコ殺されたら、アリョーシャ好きな人が怒る気持ちも分かります(笑)。
カラマーゾフの妹 Amazon書評・レビュー: カラマーゾフの妹より
4062178508