猫を抱いて象と泳ぐ

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猫を抱いて象と泳ぐの評価:

4.37/5点 レビュー 141件。 A ランク

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平均点4.37pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全284件 241〜260 13/15ページ
No.44
(4pt)

棋譜に描かれる人生。

小川洋子氏の作品は大きく2つのジャンルに
分けられるような気がする。

この作品は、「博士の愛した数式」の方にあてはまる物語。
彼女の持つグロテスクな表現は影を潜め、
ただ美しい調べだけが描かれていて、読者はその繊細な世界に酔うのだ。
そして両作とも主人公は少年。その意味で、児童文学の様相を見せている。

この作品では「リトル・アリョーヒン」と
後に呼ばれるようになるチェスの棋士の少年が主人公。

彼は象のインディラやチェスのマスター、ミイラの少女と出会う。
彼らは皆、身体が大きくなりすぎて不運に遭遇した者たち。
少年の彼らに対する想像は膨らんで、
やがて「大きくなることは悲劇」という墓標を打ち立てる。

彼は11歳で身体の成長を止めた。
そして、生涯をチェスに捧げる。

全般に及んでチェス、チェス、チェスの話だけど、
でもこれが、単なるチェスじゃない。
リトル・アリョーヒンは駒の音だけで、チェス盤の上の
旋律を読み取る。そして、自分も、最も相手にふさわしく、
美しいカタチでキングを攻めていくのだ。

チェス盤は人生。ゲームの進行を書き留めた棋譜は、まさに、
その人物が歩んできた道を表す。
リトル・アリョーヒンは単にチェスが強いんじゃない。
美しい棋譜を描くことを最も大切にしている棋士なのだ。

なんとも、幻想的な世界。現実とはかけ離れているのに、
どうしてだろう、実際にリトル・アリョーヒンが存在しているような、
そんな錯覚さえ覚えてしまう。

小川氏は“静寂”という音さえも表現できてしまうから、スゴイと思う。
静かに、優しく語られていく物語。

でもね、そう、人生は夢じゃない。
一歩踏み間違えば、危険であり、取り返しがつかなくなったり、
相手を損ねてしまうことさえ、あるのだ。
それでも、進んでいかなくちゃならない。
決して後ろに下がることができない、ポーンと同じように。
前へ。前へと。

さるきちの棋譜はどんな模様を描いているのだろう。
読者をそんな想像に駆り立てる素敵な一冊です。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.43
(4pt)

棋譜に描かれる人生。

小川洋子氏の作品は大きく2つのジャンルに
分けられるような気がする。

この作品は、「博士の愛した数式」の方にあてはまる物語。
彼女の持つグロテスクな表現は影を潜め、
ただ美しい調べだけが描かれていて、読者はその繊細な世界に酔うのだ。
そして両作とも主人公は少年。その意味で、児童文学の様相を見せている。

この作品では「リトル・アリョーヒン」と
後に呼ばれるようになるチェスの棋士の少年が主人公。

彼は象のインディラやチェスのマスター、ミイラの少女と出会う。
彼らは皆、身体が大きくなりすぎて不運に遭遇した者たち。
少年の彼らに対する想像は膨らんで、
やがて「大きくなることは悲劇」という墓標を打ち立てる。

彼は11歳で身体の成長を止めた。
そして、生涯をチェスに捧げる。

全般に及んでチェス、チェス、チェスの話だけど、
でもこれが、単なるチェスじゃない。
リトル・アリョーヒンは駒の音だけで、チェス盤の上の
旋律を読み取る。そして、自分も、最も相手にふさわしく、
美しいカタチでキングを攻めていくのだ。

チェス盤は人生。ゲームの進行を書き留めた棋譜は、まさに、
その人物が歩んできた道を表す。
リトル・アリョーヒンは単にチェスが強いんじゃない。
美しい棋譜を描くことを最も大切にしている棋士なのだ。

なんとも、幻想的な世界。現実とはかけ離れているのに、
どうしてだろう、実際にリトル・アリョーヒンが存在しているような、
そんな錯覚さえ覚えてしまう。

小川氏は“静寂”という音さえも表現できてしまうから、スゴイと思う。
静かに、優しく語られていく物語。

でもね、そう、人生は夢じゃない。
一歩踏み間違えば、危険であり、取り返しがつかなくなったり、
相手を損ねてしまうことさえ、あるのだ。
それでも、進んでいかなくちゃならない。
決して後ろに下がることができない、ポーンと同じように。
前へ。前へと。

さるきちの棋譜はどんな模様を描いているのだろう。
読者をそんな想像に駆り立てる素敵な一冊です。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.42
(5pt)

美しく繊細、崇高な味わい

美しく、繊細。崇高な作品でした。
読んでいる間、素晴らしい時間を味わわせてもらったような気がします。

チェスのやり方なんてまったくわからないんだけど、そんなことは気にならない。
むしろ、黒と白の8×8の世界で描かれる鮮やかな駒の動きに引き込まれてしまう・・・。
これは「博士の愛した数式」で数学の美しさに魅せられたあの感動に似ています。

何かとてつもなく愛せるものを見つけた時、
リトル・アリョーヒンのように自分を激しく主張せずに、つつましやかに愛することがはたして私にはできるのか。
彼のように世界を壊さずに汚さずに、影となって謙虚に愛することこそが本当に愛し方であり、美である。
こういう人こそ尊いといえるのだと思う。

老婆令嬢の言葉・・・・。
「自分のスタイルを築く、自分の人生観を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好良く見せる。
そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。自分より、チェスの宇宙の方がずっと広大なのです。
自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスは指せません。」
これはチェスに限らず、人生にも言えること。
「最強の手が最善とは限らない」というのも奥が深い。

大きくなりすぎてデパートの屋上から降りることができなくなった象・インディラ。
“大きくなりすぎる恐怖”がこの作品の大きなテーマになっているのだけれど、
それは体の大きさだけでなく、心の問題でもあるのでしょう。

最後は頬に一筋の涙がこぼれていました。静かに泣けて、大きな余韻の残る作品
小川洋子の最高傑作」といわれてますが、それも言い過ぎではないと思います。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.41
(5pt)

美しく繊細、崇高な味わい

美しく、繊細。崇高な作品でした。
読んでいる間、素晴らしい時間を味わわせてもらったような気がします。

チェスのやり方なんてまったくわからないんだけど、そんなことは気にならない。
むしろ、黒と白の8×8の世界で描かれる鮮やかな駒の動きに引き込まれてしまう・・・。
これは「博士の愛した数式」で数学の美しさに魅せられたあの感動に似ています。

何かとてつもなく愛せるものを見つけた時、
リトル・アリョーヒンのように自分を激しく主張せずに、つつましやかに愛することがはたして私にはできるのか。
彼のように世界を壊さずに汚さずに、影となって謙虚に愛することこそが本当に愛し方であり、美である。
こういう人こそ尊いといえるのだと思う。

老婆令嬢の言葉・・・・。
「自分のスタイルを築く、自分の人生観を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好良く見せる。
そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。自分より、チェスの宇宙の方がずっと広大なのです。
自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスは指せません。」
これはチェスに限らず、人生にも言えること。
「最強の手が最善とは限らない」というのも奥が深い。

大きくなりすぎてデパートの屋上から降りることができなくなった象・インディラ。
“大きくなりすぎる恐怖”がこの作品の大きなテーマになっているのだけれど、
それは体の大きさだけでなく、心の問題でもあるのでしょう。

最後は頬に一筋の涙がこぼれていました。静かに泣けて、大きな余韻の残る作品
小川洋子の最高傑作」といわれてますが、それも言い過ぎではないと思います。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.40
(5pt)

私が無尽蔵にお金を持っていたら・・・。

今日のこの日、何万人の人がこの本を手にし、この世界に身をまかせたのだろう。
きっと、何万通りのリトル・アリョーヒン、ミイラ、マスター、トルコ人形などの
イメージが存在することだろう。
映像化してほしいような、ほしくないような・・・。
私が無尽蔵にお金を持っていたら、ヨーロッパの女性監督と毎日毎日、ワイン片手に
お話をして、配給も興行も関係なく映像化し、この本を手にした全てのみなさんに
「いかがでしょうか?」とお届けしたい。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.39
(5pt)

私が無尽蔵にお金を持っていたら・・・。

今日のこの日、何万人の人がこの本を手にし、この世界に身をまかせたのだろう。
きっと、何万通りのリトル・アリョーヒン、ミイラ、マスター、トルコ人形などの
イメージが存在することだろう。
映像化してほしいような、ほしくないような・・・。
私が無尽蔵にお金を持っていたら、ヨーロッパの女性監督と毎日毎日、ワイン片手に
お話をして、配給も興行も関係なく映像化し、この本を手にした全てのみなさんに
「いかがでしょうか?」とお届けしたい。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.38
(4pt)

美しきもの

小川洋子さんの作品を読んで感じることはいつも「美しさ」。文体の美しさももちろんだが、今回のテーマである「チェス」にも確かに美しさを感じる。駒やチェス盤の美しさは静謐な美しさ、そしてその駒たちが紡ぎ出すゲームの美しさ。
筆者は『博士の愛した数式』では「数学」の美しさを、本書では「チェス」の美しさを描き出した。一見どちらも整然とクールな印象だが、それを愛する者にとっては詩のように美しい。
ただし『博士〜』では読者の誰もが驚きと共に数式の美しさを感じることができたが、本作品ではリトルアリョーヒンの美しい一手に驚いているのは登場人物だけで、読者は置いてけぼりを食ったようなもどかしさを感じてしまうかもしれない。
ビショップはいったいどのような軌跡で奇跡を起こしたのだろうか。想像できない自分がもどかしい。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.37
(4pt)

美しきもの

小川洋子さんの作品を読んで感じることはいつも「美しさ」。文体の美しさももちろんだが、今回のテーマである「チェス」にも確かに美しさを感じる。駒やチェス盤の美しさは静謐な美しさ、そしてその駒たちが紡ぎ出すゲームの美しさ。
筆者は『博士の愛した数式』では「数学」の美しさを、本書では「チェス」の美しさを描き出した。一見どちらも整然とクールな印象だが、それを愛する者にとっては詩のように美しい。
ただし『博士〜』では読者の誰もが驚きと共に数式の美しさを感じることができたが、本作品ではリトルアリョーヒンの美しい一手に驚いているのは登場人物だけで、読者は置いてけぼりを食ったようなもどかしさを感じてしまうかもしれない。
ビショップはいったいどのような軌跡で奇跡を起こしたのだろうか。想像できない自分がもどかしい。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.36
(5pt)

じっくりと楽しみたい

とても静謐で、しっとりとした物語です。
主人公を取り巻く世界。チェスを通じて世界を見る。

チェスの棋譜に人が現れるという言葉に、ドキドキさせられました。

そして、この本を読んでいる時間はとても幸福でした。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.35
(5pt)

じっくりと楽しみたい

とても静謐で、しっとりとした物語です。
主人公を取り巻く世界。チェスを通じて世界を見る。

チェスの棋譜に人が現れるという言葉に、ドキドキさせられました。

そして、この本を読んでいる時間はとても幸福でした。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.34
(4pt)

感想

作者を良く見てみたら小川洋子だった。
ああ「博士の愛した数式」の……。どうりで文章に既視感を覚えたわけだ。
相変わらず詩美に溢れた繊細な話を書く人だと思った。

こういう話はわかりやすいハッピーエンドを好む人や、エネルギッシュな作品を好む人とは相容れないだろうが、こういう「閉じた世界」ではない「自分のいるべき世界」をテーマにした本を読んで欲しいと思った。きっと視界が広がるはずだ。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.33
(4pt)

感想

作者を良く見てみたら小川洋子だった。
ああ「博士の愛した数式」の……。どうりで文章に既視感を覚えたわけだ。
相変わらず詩美に溢れた繊細な話を書く人だと思った。

こういう話はわかりやすいハッピーエンドを好む人や、エネルギッシュな作品を好む人とは相容れないだろうが、こういう「閉じた世界」ではない「自分のいるべき世界」をテーマにした本を読んで欲しいと思った。きっと視界が広がるはずだ。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.32
(4pt)

美しい作品です。

静かに流れる時間、美しい人々…。
小川さん、文章が美しい。
構成も、話の展開も素晴らしく、全てに無駄が無い。
小川洋子さん、恐るべき作家さんです。
小川ワールドにすっかり翻弄されました。

人間チェスに使われた衣装は、ゲームだけなのに一夜にしてボロボロになる。
「それだけチェスの戦いが厳しいものだからジュないかしら」というミイラの言葉。
人間チェスの駒になることを拒んだけれども、駒にならざるを得なかったミイラ。
片時もミイラのそばを離れることが無かった鳩が鳴き、姿を消したミイラ。
ミイラの身に何が起こったのか…。
う〜ん、知りたい…。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.31
(4pt)

美しい作品です。

静かに流れる時間、美しい人々…。
小川さん、文章が美しい。
構成も、話の展開も素晴らしく、全てに無駄が無い。
小川洋子さん、恐るべき作家さんです。
小川ワールドにすっかり翻弄されました。

人間チェスに使われた衣装は、ゲームだけなのに一夜にしてボロボロになる。
「それだけチェスの戦いが厳しいものだからジュないかしら」というミイラの言葉。
人間チェスの駒になることを拒んだけれども、駒にならざるを得なかったミイラ。
片時もミイラのそばを離れることが無かった鳩が鳴き、姿を消したミイラ。
ミイラの身に何が起こったのか…。
う〜ん、知りたい…。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.30
(5pt)

100年に一度の金融危機に直面する今だからこそ、小さくても雄大に

チェスを知らなくても、猫が好きでなくても、象に興味がなくても、心静かに楽しめます。主人公はチェスの詩人アリョーヒンの小さいバージョン。でも、彼の小ささなど忘れてしまうほどの交響詩的な作品です。ゲームから生まれる緊張感から猫を抱き、棋譜が織り成す壮大さから象と泳ぎました。ゆっくりと読み進めたい美しくほのかに悲しい作品です。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.29
(5pt)

100年に一度の金融危機に直面する今だからこそ、小さくても雄大に

チェスを知らなくても、猫が好きでなくても、象に興味がなくても、心静かに楽しめます。主人公はチェスの詩人アリョーヒンの小さいバージョン。でも、彼の小ささなど忘れてしまうほどの交響詩的な作品です。ゲームから生まれる緊張感から猫を抱き、棋譜が織り成す壮大さから象と泳ぎました。ゆっくりと読み進めたい美しくほのかに悲しい作品です。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.28
(4pt)

不思議な話

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの物語なのだが、最初の像の話といい、主人公の口の逸話といい、チェスを始めるきっかけといい、次から次へ、ありそうで、しかも不思議な展開だから面白い。最後まで期待させてくれてワクワクしました。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.27
(4pt)

不思議な話

伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの物語なのだが、最初の像の話といい、主人公の口の逸話といい、チェスを始めるきっかけといい、次から次へ、ありそうで、しかも不思議な展開だから面白い。最後まで期待させてくれてワクワクしました。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.26
(4pt)

独特の世界観と静かでドラマチックな展開がすばらしい

何かものすごく大きな事件が起こるような作品ではなくて、淡々とそれこそ、この作品のモチーフとなる「海」のように進行するけれども全く退屈しない。天才棋士リトル・アリョーヒンの生涯を軸とした物語は、時代や場所を特定させない不思議な雰囲気を帯びているけれど、それでいて世界観がしっかりしているためか、リアリティを失わないし、登場人物は風変わりでいながら、魅力にあふれている。この作品を舞台とする世界を産み出しただけでも、作者の才能がうかがい知れる。常に何か悲劇の予感を孕みながらも静かにストーリーを進め、あっけなく、それでいてドラマチックで心を揺さぶるエンディングもさすが。チェスがまったくわからなくても楽しめる。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.25
(4pt)

独特の世界観と静かでドラマチックな展開がすばらしい

何かものすごく大きな事件が起こるような作品ではなくて、淡々とそれこそ、この作品のモチーフとなる「海」のように進行するけれども全く退屈しない。天才棋士リトル・アリョーヒンの生涯を軸とした物語は、時代や場所を特定させない不思議な雰囲気を帯びているけれど、それでいて世界観がしっかりしているためか、リアリティを失わないし、登場人物は風変わりでいながら、魅力にあふれている。この作品を舞台とする世界を産み出しただけでも、作者の才能がうかがい知れる。常に何か悲劇の予感を孕みながらも静かにストーリーを進め、あっけなく、それでいてドラマチックで心を揺さぶるエンディングもさすが。チェスがまったくわからなくても楽しめる。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501