猫を抱いて象と泳ぐ

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猫を抱いて象と泳ぐの評価:

4.37/5点 レビュー 141件。 A ランク

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平均点4.37pt

Amazonレビュー一覧

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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
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全284件 181〜200 10/15ページ
No.104
(5pt)

あるチェス・プレイヤーの物語

デパートの屋上に上がったまま大きくなりすぎて下りられなくなった象、インディラ。
家の壁と壁の間に挟まれて抜けられなくなってしまったミイラ。
バスの中に住み、太りすぎて出られなくなったマスター。

狭いところに閉じ込められて身動きが出来なくなったその状況を「仕方がない」と不満一つ言わずに引き受け、そこから逃げ出すことも抗うこともせず、黙々と自分に出来ることを一つ一つ行い、できる限り誠実に日々を過ごしていく人たち。

そういう名もなき存在に心惹かれる主人公は、最後まで名前を持たなかった。
彼の名は、ただ「リトル・アリョーヒン」と名指されるだけだ。

アリョーヒンは伝説的なチェスの名手だった。
そのアリョーヒンの姿を模して作られたチェスを打つ人形。人形がチェスをさすテーブルは、かつてマスターが彼にチェスを教えてくれたチェステーブルだった。その人形のテーブルの下に隠れ、彼は人形として様々な人々とチェスをさし、美しい棋譜を刻み続けた。

「リトル・アリョーヒン」とは、その人形の名前でもあり、中でチェスを打つ彼のことでもある。

たぐいまれなるチェスの腕前を持ちながら、マスターの形見であるチェス・テーブルの下を自分の居場所として引き受け、有名になるためでもなく、お金を稼ぐためでもなく、勝つためでさえもなく、ただただ美しい詩を紡ぎ出すためにチェスを指し続けた彼の、はかなくも濃密な人生。
彼の一生をたどるとき、人が生きるということはこういうことなのだと静かに納得させられてしまう。

かつてチェス盤の上で自分と美しい詩をともに奏でた老嬢が、もはやチェスの存在そのものも忘れてしまうほど衰えていることを知ったとき、それでもリトル・アリョーヒンは決して落胆することはなかった。
もう一度、その老嬢にチェスを教えることに喜びを見いだしていくのだ。
恐らくその老嬢は二度とチェスを打てるようにはならないだろう。どれほどチェスについてわかりやすく教えたところで、もはや彼女が新しく何かを身につける可能性はゼロに近いはずだ。

それでも、リトル・リョーヒンは老嬢にチェスを教えようとした。
なぜなら、たとえすぐに忘れてしまうとしても、チェスに触れ、その世界に少しでも足を浸すことができれば、その一瞬一瞬が生きる時間となることを知っていたからだ。

人生の半ばを過ぎて、自分自身の小ささを突きつけられ、「おまえはどこにもたどり着けない、ちっぽけな存在だ」という事実を引き受けざるを得なくなった人に、それでも精一杯生きることは無意味ではない、と小さな声でささやき心を支えてくれる。

この作品は、そんな力を持っている。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.103
(5pt)

あるチェス・プレイヤーの物語

デパートの屋上に上がったまま大きくなりすぎて下りられなくなった象、インディラ。
家の壁と壁の間に挟まれて抜けられなくなってしまったミイラ。
バスの中に住み、太りすぎて出られなくなったマスター。

狭いところに閉じ込められて身動きが出来なくなったその状況を「仕方がない」と不満一つ言わずに引き受け、そこから逃げ出すことも抗うこともせず、黙々と自分に出来ることを一つ一つ行い、できる限り誠実に日々を過ごしていく人たち。

そういう名もなき存在に心惹かれる主人公は、最後まで名前を持たなかった。
彼の名は、ただ「リトル・アリョーヒン」と名指されるだけだ。

アリョーヒンは伝説的なチェスの名手だった。
そのアリョーヒンの姿を模して作られたチェスを打つ人形。人形がチェスをさすテーブルは、かつてマスターが彼にチェスを教えてくれたチェステーブルだった。その人形のテーブルの下に隠れ、彼は人形として様々な人々とチェスをさし、美しい棋譜を刻み続けた。

「リトル・アリョーヒン」とは、その人形の名前でもあり、中でチェスを打つ彼のことでもある。

たぐいまれなるチェスの腕前を持ちながら、マスターの形見であるチェス・テーブルの下を自分の居場所として引き受け、有名になるためでもなく、お金を稼ぐためでもなく、勝つためでさえもなく、ただただ美しい詩を紡ぎ出すためにチェスを指し続けた彼の、はかなくも濃密な人生。
彼の一生をたどるとき、人が生きるということはこういうことなのだと静かに納得させられてしまう。

かつてチェス盤の上で自分と美しい詩をともに奏でた老嬢が、もはやチェスの存在そのものも忘れてしまうほど衰えていることを知ったとき、それでもリトル・アリョーヒンは決して落胆することはなかった。
もう一度、その老嬢にチェスを教えることに喜びを見いだしていくのだ。
恐らくその老嬢は二度とチェスを打てるようにはならないだろう。どれほどチェスについてわかりやすく教えたところで、もはや彼女が新しく何かを身につける可能性はゼロに近いはずだ。

それでも、リトル・リョーヒンは老嬢にチェスを教えようとした。
なぜなら、たとえすぐに忘れてしまうとしても、チェスに触れ、その世界に少しでも足を浸すことができれば、その一瞬一瞬が生きる時間となることを知っていたからだ。

人生の半ばを過ぎて、自分自身の小ささを突きつけられ、「おまえはどこにもたどり着けない、ちっぽけな存在だ」という事実を引き受けざるを得なくなった人に、それでも精一杯生きることは無意味ではない、と小さな声でささやき心を支えてくれる。

この作品は、そんな力を持っている。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.102
(5pt)

盤下の詩人による、チェス盤上の旅

本作は小川洋子氏による2010年本屋大賞ノミネート作。
「リトル・アリョーヒン」と呼ばれる少年の、静かな冒険物語。

「大きくなることは不幸になること」と信じる少年、リトル・アリョーヒン。
ある日彼は「マスター」と出会い、チェスを覚える。
密かに実力を上げ続ける彼のチェスは、一風変わった独特のスタイルに発展する。
それはチェス盤の下の狭い箱に入り、チェス人形を操るというものだった。

本作で最も印象的なシーンは、やはり第11章。
欠員補充のため、ミイラが人間チェスの駒となるシーンである。
人間チェスの真実を知ったリトル・アリョーヒンの叫び声が胸に突き刺さる。
この第11章が、ストーリー上の大きなターニングポイントとなっている。

チェスを知らない人でも、本書の冒頭に収録されたたった1ページの解説があれば本作を充分に楽しめる。
小川洋子氏が描く小さなファンタジー(これはもうファンタジーだと思う)の世界に浸って欲しい。


猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.101
(5pt)

盤下の詩人による、チェス盤上の旅

本作は小川洋子氏による2010年本屋大賞ノミネート作。
「リトル・アリョーヒン」と呼ばれる少年の、静かな冒険物語。

「大きくなることは不幸になること」と信じる少年、リトル・アリョーヒン。
ある日彼は「マスター」と出会い、チェスを覚える。
密かに実力を上げ続ける彼のチェスは、一風変わった独特のスタイルに発展する。
それはチェス盤の下の狭い箱に入り、チェス人形を操るというものだった。

本作で最も印象的なシーンは、やはり第11章。
欠員補充のため、ミイラが人間チェスの駒となるシーンである。
人間チェスの真実を知ったリトル・アリョーヒンの叫び声が胸に突き刺さる。
この第11章が、ストーリー上の大きなターニングポイントとなっている。

チェスを知らない人でも、本書の冒頭に収録されたたった1ページの解説があれば本作を充分に楽しめる。
小川洋子氏が描く小さなファンタジー(これはもうファンタジーだと思う)の世界に浸って欲しい。


猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.100
(4pt)

自己主張をしない人生

これほど何も語らない物語の主人公はまずいない。
彼の唇は生まれたときにはしっかりとくっついていたのに、医者によって無理にひきはがされたのだ。
「自分の唇はもとはひとつの肉塊だった」、その思いが主人公の生き方をつらぬいているので、
彼の口からはあまたの小説の主人公のような饒舌な言葉は何一つもれてくることがない。

主人公は語らないけれど、物語は作者の美しい言葉で読者に多くを語りかけてくれる。
この物語の主人公はその人生において、一切自己主張をしない。
自分という人間を社会という現実に訴えることの意味など、彼の頭の中には一切浮かばない。
彼はただチェス盤という現実世界においてはあまりにも小さな板きれの中に(正確には下にだ)、
無限の宇宙を見いだし、その宇宙の中で人生をまっとうする。

この物語を読み終えると、社会的に見れば無に等しい彼の人生が、豊で、美しく、気高いものに思えてくる。
その昔の日本にはこういう人生をおくった人たちが数多くいたのではないかと思う。
作品にその名を刻まず、高額な対価も求めず、ただ素晴らしい作品をつくることだけに全身全霊を傾ける、市井の職人たちだ。
2011年8月現在の某国の首相や、その周りに集う人たちとはちょうど正反対の生き方になる。
この物語は現代の日本ではやはりファンタジーなのだろうか?










猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.99
(4pt)

自己主張をしない人生

これほど何も語らない物語の主人公はまずいない。
彼の唇は生まれたときにはしっかりとくっついていたのに、医者によって無理にひきはがされたのだ。
「自分の唇はもとはひとつの肉塊だった」、その思いが主人公の生き方をつらぬいているので、
彼の口からはあまたの小説の主人公のような饒舌な言葉は何一つもれてくることがない。

主人公は語らないけれど、物語は作者の美しい言葉で読者に多くを語りかけてくれる。
この物語の主人公はその人生において、一切自己主張をしない。
自分という人間を社会という現実に訴えることの意味など、彼の頭の中には一切浮かばない。
彼はただチェス盤という現実世界においてはあまりにも小さな板きれの中に(正確には下にだ)、
無限の宇宙を見いだし、その宇宙の中で人生をまっとうする。

この物語を読み終えると、社会的に見れば無に等しい彼の人生が、豊で、美しく、気高いものに思えてくる。
その昔の日本にはこういう人生をおくった人たちが数多くいたのではないかと思う。
作品にその名を刻まず、高額な対価も求めず、ただ素晴らしい作品をつくることだけに全身全霊を傾ける、市井の職人たちだ。
2011年8月現在の某国の首相や、その周りに集う人たちとはちょうど正反対の生き方になる。
この物語は現代の日本ではやはりファンタジーなのだろうか?










猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.98
(4pt)

独特の世界観

なかなかこの本の世界観に入り込めませんでした。

ただ、文章がきれいで上手なので、ついつい読んでしまいました。

この作品は、あまり頭で考えて理解するものではなく、心で感じるものかもしれません。

読み終わった後、そこはかとなく、心暖まるような、寂しいような気持ちが残りました。


猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.97
(4pt)

独特の世界観

なかなかこの本の世界観に入り込めませんでした。

ただ、文章がきれいで上手なので、ついつい読んでしまいました。

この作品は、あまり頭で考えて理解するものではなく、心で感じるものかもしれません。

読み終わった後、そこはかとなく、心暖まるような、寂しいような気持ちが残りました。


猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.96
(5pt)

静かな美しい小説

タイトルからして興味深い本ですが、読んで行くうちに、その不思議な世界の中に取り込まれてしまいます。

主人公の少年は、屋上から降りられなくなった象や、家と家との間に閉じ込められてしまった少女や、バスから出られなくなったマスターなどを見て、「大きくなること」=悲劇と言う認識に立ちます。
彼はマスターから教えられたチェスに魅了され、その才能をどんどん開花させてゆくのですが、リトル・アリョーヒンの人形の中に入ってしか指せません。
彼は、「大きくなることの悲劇」から逃れるため、11歳で成長を止め人形の中での棋士になります。
しかし、かれには「閉じ込められた」と言う意識はありません。
むしろ、チェスの広く深い海の中で静かに泳いでいます。

この作品の中で、棋風が「詩」に例えられていますが、この本自体が「詩」と言うか、メルヘンの様な感じを抱かせます。
狭いかもしれませんが、与えられた世界の中で自由に生きることの幸せを感じることは、この少年だけでなく、混沌とした現代社会を生き抜いてゆく一つの方法かも知れません。
それにしても静かな美しい小説でした。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.95
(5pt)

静かな美しい小説

タイトルからして興味深い本ですが、読んで行くうちに、その不思議な世界の中に取り込まれてしまいます。

主人公の少年は、屋上から降りられなくなった象や、家と家との間に閉じ込められてしまった少女や、バスから出られなくなったマスターなどを見て、「大きくなること」=悲劇と言う認識に立ちます。
彼はマスターから教えられたチェスに魅了され、その才能をどんどん開花させてゆくのですが、リトル・アリョーヒンの人形の中に入ってしか指せません。
彼は、「大きくなることの悲劇」から逃れるため、11歳で成長を止め人形の中での棋士になります。
しかし、かれには「閉じ込められた」と言う意識はありません。
むしろ、チェスの広く深い海の中で静かに泳いでいます。

この作品の中で、棋風が「詩」に例えられていますが、この本自体が「詩」と言うか、メルヘンの様な感じを抱かせます。
狭いかもしれませんが、与えられた世界の中で自由に生きることの幸せを感じることは、この少年だけでなく、混沌とした現代社会を生き抜いてゆく一つの方法かも知れません。
それにしても静かな美しい小説でした。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.94
(5pt)

数学的なことを感性を使って書くということ

著者は独自の世界観を作るのが非常に上手い.物語を包み込む空気に何時も引き込まれる.また,文章が非常に優れている.変に感傷的になりすぎず分かりやすさは抜群,それでいて美しさがある.
 博士の愛した数式を読んだときにも思ったが,いわゆる数学的なことを文学的に書くとこうなるのかと非常に驚かされた.論理と感性を対極とするならば,数学やチェスは論理が世界を支配している.誤解を恐れずにいれば,論理的なものというのは得てして造形美的には実につまらないものとなる(その分,機能美的には非常に優れているのだけれど).そんな論理の世界の産物を著者は美しく芸術に昇華させている.多くの人に読んでもらいたい素敵なな小説だ.
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.93
(5pt)

数学的なことを感性を使って書くということ

著者は独自の世界観を作るのが非常に上手い.物語を包み込む空気に何時も引き込まれる.また,文章が非常に優れている.変に感傷的になりすぎず分かりやすさは抜群,それでいて美しさがある.
 博士の愛した数式を読んだときにも思ったが,いわゆる数学的なことを文学的に書くとこうなるのかと非常に驚かされた.論理と感性を対極とするならば,数学やチェスは論理が世界を支配している.誤解を恐れずにいれば,論理的なものというのは得てして造形美的には実につまらないものとなる(その分,機能美的には非常に優れているのだけれど).そんな論理の世界の産物を著者は美しく芸術に昇華させている.多くの人に読んでもらいたい素敵なな小説だ.
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.92
(5pt)

幾多の犠牲の上に成り立った、透明で美しすぎる世界

題名通り、登場するキャラクターが海底を自由に動き回っていると主人公がイメージできた一瞬がとても素晴しく、愛おしく思え、そして肉体は滅びてもチェスの美しい棋譜が残されたことに、切なさと共に主人公が精一杯生きたことに対する限りない共感を覚える。

主要キャラクターは何らかの意味で犠牲を払っている。主人公と猫のポーンはマスターとその心地よい居場所だったバスを失い、主人公は十一歳の身体で成長を止め、象のインディラはデパートの屋上で生涯を終え、幻のミイラは壁にはさまれ、現実のミイラは主人公と別れる悲劇に巻き込まれる。老婆令嬢は記憶を失った。

しかし、それらの犠牲は、主人公がチェスの海をさ迷って居場所を求め、幾多の名勝負、つまり詩を作るために必要だった。その透明な、ブルーの、ガラス細工のような世界の美しさの描写はため息がでるほどに素晴らしい。

チェスの勝負のはかなさと美しさがともに見事に表現された大傑作だ。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.91
(5pt)

幾多の犠牲の上に成り立った、透明で美しすぎる世界

題名通り、登場するキャラクターが海底を自由に動き回っていると主人公がイメージできた一瞬がとても素晴しく、愛おしく思え、そして肉体は滅びてもチェスの美しい棋譜が残されたことに、切なさと共に主人公が精一杯生きたことに対する限りない共感を覚える。

主要キャラクターは何らかの意味で犠牲を払っている。主人公と猫のポーンはマスターとその心地よい居場所だったバスを失い、主人公は十一歳の身体で成長を止め、象のインディラはデパートの屋上で生涯を終え、幻のミイラは壁にはさまれ、現実のミイラは主人公と別れる悲劇に巻き込まれる。老婆令嬢は記憶を失った。

しかし、それらの犠牲は、主人公がチェスの海をさ迷って居場所を求め、幾多の名勝負、つまり詩を作るために必要だった。その透明な、ブルーの、ガラス細工のような世界の美しさの描写はため息がでるほどに素晴らしい。

チェスの勝負のはかなさと美しさがともに見事に表現された大傑作だ。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.90
(3pt)

前半は面白い

途中から読むのが大変でした。
最後は良かったですが。
私にはまだ早いかもしれません。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.89
(3pt)

前半は面白い

途中から読むのが大変でした。
最後は良かったですが。
私にはまだ早いかもしれません。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.88
(5pt)

リトル・アリョーヒンの、静かな冒険

物語の後半から、とてもせつなくなり、たびたび涙を流しながら
読み進めました。

馴染みのないチェスの話ときき、読むのをためらいましたが、
数学嫌いでも博士の生み出す数字の美しさが伝わってきたように、
きっとチェスを知らなくてもそれらが醸し出すメッセージを
受け取ることができるのではと思い、読み始めました。
実際、その通りでした。

全ての小さなエピソードが美しく細やかに織り重なっていて、
ここで物語の要約を書くことができません。
一言でいえば、猫と象と一緒に、リトル・アリョーヒンが静かに
進んでいった、冒険のお話し。

小川洋子さんは、社会的に弱い人や、不器用な人たちを
愛のこもった言葉と文章で丁寧に描き、
いつのまにか彼らの強さと美しさを読者に伝えることができる
素晴らしい作家だと、今回改めて思いました。
猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.87
(5pt)

リトル・アリョーヒンの、静かな冒険

物語の後半から、とてもせつなくなり、たびたび涙を流しながら
読み進めました。

馴染みのないチェスの話ときき、読むのをためらいましたが、
数学嫌いでも博士の生み出す数字の美しさが伝わってきたように、
きっとチェスを知らなくてもそれらが醸し出すメッセージを
受け取ることができるのではと思い、読み始めました。
実際、その通りでした。

全ての小さなエピソードが美しく細やかに織り重なっていて、
ここで物語の要約を書くことができません。
一言でいえば、猫と象と一緒に、リトル・アリョーヒンが静かに
進んでいった、冒険のお話し。

小川洋子さんは、社会的に弱い人や、不器用な人たちを
愛のこもった言葉と文章で丁寧に描き、
いつのまにか彼らの強さと美しさを読者に伝えることができる
素晴らしい作家だと、今回改めて思いました。
猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501
No.86
(4pt)

静かで優しい作品

「博士の愛した数式」を数年前に読んで、優しい小説を書く人だなあとは思っていましたが、この作品もまた一段と優しい。全篇を通してパステルカラーで描かれているかのようです。


ワクワクして次のページが待ちきれない!という話ではないのですが、文章の一つ一つがとても丁寧で、染み込むように心に響いてきます。

登場人物もそれぞれ魅力的。皆きちんと自分をもっている人たちで、すごく愛おしい。


小川さんの小説の魅力は、作品の中に人の悪意が無いことだと思っています。綺麗すぎるかもしれないけれど、そのファンタジーな部分にたまらなく癒やされました。


猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫) Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐ (文春文庫)より
4167557037
No.85
(4pt)

静かで優しい作品

「博士の愛した数式」を数年前に読んで、優しい小説を書く人だなあとは思っていましたが、この作品もまた一段と優しい。全篇を通してパステルカラーで描かれているかのようです。


ワクワクして次のページが待ちきれない!という話ではないのですが、文章の一つ一つがとても丁寧で、染み込むように心に響いてきます。

登場人物もそれぞれ魅力的。皆きちんと自分をもっている人たちで、すごく愛おしい。


小川さんの小説の魅力は、作品の中に人の悪意が無いことだと思っています。綺麗すぎるかもしれないけれど、そのファンタジーな部分にたまらなく癒やされました。


猫を抱いて象と泳ぐ Amazon書評・レビュー: 猫を抱いて象と泳ぐより
4163277501