鋼鉄都市
評判
鋼鉄都市の評価:
4.49/5点 レビュー 86件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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今回、本当に久しぶりに読み返してみて、記憶にあったのは「高速自動走路」という便利な乗り物 (動く歩道) のみ。
カバー絵も、黒々としたロボットの手と鋼鉄板が穿たれた向こうに宇宙空間と地球らしき星が見える旧版よりも、鋼鉄都市そのものを描いたような新版のほうが断然カッコいいです。
ただし、翻訳は旧版とおなじ福島正実氏。だけど、今からジャスト60年前の1959年の訳業なのに日本語的に古臭くは感じられませんでした。やはり名訳ですね。
宇宙市側で、宇宙人(注)が何者かに殺されたという、前代未聞の宇宙人殺害事件が発生する。
(注)元は地球人だけど遥かな過去に宇宙へと進出し、現在、旧弊な地球人を啓発するために異邦人ならぬ異星人として地球の宇宙市 (スペース・タウン) に住んでいる人々
その宇宙人殺人事件を担当したのが、地球人ライジ・ベイリ刑事と、宇宙人側の最新アンドロイド (人型ロボット) R・ダニール・オリヴォーのコンビ。
最初はギクシャクしていた2人 (1人と1台?) の仲も、捜査が進むにつれて次第に慣れ親しみ、最後のほうは男の友情と呼んでいいようなものが芽生える。
はじめて宇宙市とニューヨーク・シティ (巨大ドームに覆われた鋼鉄都市・人口2千万人) の接点出入口で、ベイリが人型ロボット・ダニールと会ったあと、ニューヨーク・シティへ戻ったところで早くも事件が発生。
靴屋の接客ロボットの応対が悪いと女性客が店主に難癖をつけたのをきっかけに、普段からロボットに不満と悪感情を募らせていた市民らが集まってきて、あわや暴動が勃発かという寸前で、ロボット・ダニールが熱線銃をかまえて市民を制圧、退去させるところはカッコよかった。
まあ、ロボット・人工知能に仕事や地位を奪われた市民の怒りと嫌悪感はよく分かるし、2019年現在、あと10年以内には現実にロボット・人工知能から奪われる仕事が、かなり出てくるだろうと言われている。
いやいや、すでにコンピュータ (パソコン&事務処理ソフトウェア) のおかげで事務職が絶滅危惧種になっているという現実がある。
さらには今後、数年以内に完全自動操縦の自家用車が出回ることは確実。そうなると文字通り10年を経ずしてタクシー、バス、運送トラックなど、運転で生活している人々の多くは確実に職を失うはずだ。
すっかり忘れていてほとんど初読に近かったせいで、今回の再読はよけいに楽しめました。
高速自動道路を6名の追跡者に追われて必死で逃げるベイリ&ダニールの逃走シーンや、殺人事件の謎解きへの興味、さらにはアシモフの《銀河帝国もの》の諸作へとつながる伏線とも呼べそうな「作中の旧弊な地球人達を大宇宙への移住へと駆り立てる」気宇壮大なヴィジョン等々、見どころ満載です。
加えて、先述したような、日本で近い将来予想されるロボット・人工知能普及による大量失業という不可避の大きな社会問題を、何と70年近くも前に予見していたアシモフの慧眼に、ただただ感服したしだいです。★アシモフ恐るべし!!