悪人

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

悪人の評価:

4.01/5点 レビュー 407件。 B ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.01pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全435件 341〜360 18/22ページ
No.95
(5pt)

圧しつぶされそうな今日の日本を描く

新聞連載小説ですが、連載しながらストーリーを考えて最後に辻褄合わせをした本ではありません。最初はバラバラに見える事柄が次第につながって最後に主題に行き着く見事な構成になっており、連載開始時に結末までの緻密な構想が立てられていたことがよく分かります。作者は題名に「悪人」と謎かけをして読者に「誰が悪人だったのか?」と考えさせる仕掛けになっています。答はあえて書かれていませんが、ヒントは被害者の父親がある若者に言った次の言葉です。「アンタ、大切な人はおるね?」、「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎったい。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがなかっち、それで自分が強うなった気分になっとる。・・・本当はそれじゃ駄目とよ」。結局悪人として逃避行していた男は大切な人を見つけて、自ら彼女を拉致したと名乗り出ます。少しだけ悪人であっても、大切な人を守ろうとする人間はもはや悪人ではないというのが作者の視点だと思います。 毎日何千人という人が失職してホームレスが増えている、年収200万円で一家を支えている人達が大勢いる、当然そこにはいろいろな犯罪も生まれ、それに巻き込まれる人も増えている、そのような現在の日本の状況をこの小説は象徴的に書いています。圧し潰されそうになって、もがきながら不器用に生きている人々への作者の温かい気持ちが伝わってきます。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.94
(3pt)

悪人?

難解な表現や抽象的な概念が全くなく、筆者が表現する世界にすっと入っていける。その一方で、観察力、表現力は静謐であるが豊富であり、誰もが情景や心情を容易にかつ詳細に思い浮かべることができる。最近この手の作家が多いような気がするが、その中でも人物描写は一流だ。 ストーリーのテンポや展開もいい。特に前半は読者に半歩先に何かあると思わせる『思わせぶり』のところがいいし、人物と時間が多少前後するところも1つのことを多様な角度から見ている感じがしていい。 でも、題名をみて選んだ読者を納得させられているのか?犯罪の温床で魑魅魍魎が跋扈していると思っていた『出会い系サイト』が実は田舎の孤独な若者で構成されているかもしれないと思わせる辺りにはリアリティを感じたが、とうてい祐一の言動をもって『悪人』が表現されているとは思えない。 文章のテクニックに惚れ惚れするし、1つ1つの場面は読んでいながらそこにいるような錯覚を覚えさせられる。『加害者や被害者の縁者ってどんな心境だろう』って疑問に対する1つの解を得た気もする。しかしながら、そのリアリティによって何を言いたかったのか?表現力と表現したい内容のギャップを感じる。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.93
(5pt)

人間臭さがいい。

久しぶりに泣けた作品。年齢を重ねたから感じる事なのか、登場人物皆がとても人間臭くていい。登場人物皆悪人なのか、そうさせる環境で生きて来たのか・・・綺麗事の多い小説の中で人間味のある人々の心にふと足を止めてみたい作品。「生まれて初めて人の匂いがしたっていうか・・」と始まる少年の言葉が今の世の中に重なるような気がした。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.92
(5pt)

リアリティー

分厚い一冊ですけれど、読むほどに入り込めます。瑣末なやりとり、感情を細かく細かく描いていて、何とも生々しいですね。自分が役に移りこんでしまうような感覚さえ覚えます。「悪人」という言葉そのものについて、読み終えたあと随分考えてしまいました。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.91
(3pt)

複雑な心模様

人の犠牲になってでも 愛を貫き通す強さを持ちながら、人を殺めてしまった男(悪人)。その彼を取り囲むのは、ねたみ、嫉妬、猜疑心、卑屈な心 など暗黒な心を押し隠し、巧みに人当たりが良い人間を演じる 心弱き人間(悪人)たちだった。他には比べ物にならないほどの深い愛情をもちながらも、犯罪をおかしてしまう人間と、邪悪な心をもちながら、かろうじて犯罪をおかしてはいない人間。『良くない心を持った人、または 良くない事をする人を “悪人”という(国語辞書より)』のなら、どちらの種類も悪人といえるのではないか・・・・。全編、むせかえるほどドロドロとした人間の暗黒面をみせつけられる内容です。問題を直視することができない心の弱さと、傲慢な心が、人を傷つけ、取り返しの付かないような邪悪な念を生む、という悲劇を見せ付けられました。ギリギリの中で彼らのみせた底力が、涙を誘う。人間て、想像以上に、実は強いんだ・・・と。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.90
(4pt)

良作品です

人は愛なしには生きていけない。心の底に沈殿する愛の渇望に突き動かされて出会い系サイトで知り合った男と女が、運命のイタズラによってその歯車を少しずつ狂わせていく。 ワイドショーがセンセーショナルに報じる殺人事件の舞台裏で進行する家族たちの苦悩や葛藤が丹念に描かれ、作品の陰影をより深いものにしている。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.89
(2pt)

ノータイトル

性欲を持て余して女漁りをしている無口で暗い男が出会い系で会った女をたまたま殺して、また懲りずに女と会い、一緒に逃げ回るっていうしょうもない話。それだけの話に無駄にページ数を費やしているだけ。まあ面白いことは確かとは思うけど。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.88
(4pt)

人は、何を根拠に人を悪人と決めるのだろう?

なぜにこんなにも女性同士の会話特有の駆け引きを表現できるのだろう? その嫌らしさのリアルさは、林真理子女史に引けをとらないであろう。男性作家でここまで自然に、女性の心理描写を描ける人は珍しい。それは本書の枝葉の部分でしかないけれども、全体的に、これだけ「  」の多い作品でありながら、一つも不自然な「  」がないのが素晴らしい。だからこそぐいぐいと引き込まれる。さて、悪人とは、誰なのか? 罪を犯した人間だけが、わかりやすく裁かれる。それは当然のこと。自分自身を正当化するために、心を誤魔化し、他者を切り捨てて生き延びる人間は、裁きは受けずとも、正真正銘の悪人ではないのだろうか? 自戒を込めて・・・そんなことを考えさせられる小説だった。 
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.87
(5pt)

本気の淋しさ

吉田修一の集大成のようだと思いました。今までの小説のいろんな要素がいい具合に盛り込まれています。嫌な役でも嫌な事でもなんでも引き受けてしまうのが当たり前になっている祐一の、底なしの優しさが切なかったです。自分が犠牲になることの苦痛なんかより、おいてきぼりにされることの恐怖がずっと大きい。祐一の優しさと淋しさが見事に表現されているラブシーンがとてもよかったです。祐一も光代も、ほんとうに淋しかったのです。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.86
(4pt)

良かった

純文学系の作者なので、面白いか不安だったが、とても面白く読めた。事件自体は出会い系で知り合った男と女をめぐる話で、新聞の三面記事にのるような、小説としては、地味な話なのだが登場人物すべてが生々しく描かれているので非常にリアル感があった。ストーリーもこの後主人公の男はどうなっていくのかが気になり、ページの厚さも気にならずあっという間に読み終えてしまった。登場人物の中では、被害者の女性の父親がよく描けており、事件にかかわったある男に謝れと詰め寄ったシーンが印象に残った。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.85
(4pt)

悪人はそばにいる。

知っている町が舞台の小説は何故か興味が深い。この作品も福岡、佐賀、長崎と青春を過ごした場所が随所に現れる。現実逃避、独り、嘘、いろんなところで悪人は存在している。事実・・この小説を面白いと思えた自分にも悪人なココロは存在している気がする。とにかく一気に読めた久々の小説。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.84
(5pt)

そんなつもりではなかった。とです。

そんなつもりではなかったとです。「吉田修一って作家名、なんか聞いたことある」くらいのもんでした。本はうんざりするくらいぶ厚く、こげな本読もうなんて更々なかったとです。 一気に読みました。読ませられたとです。【いつでもつながる】携帯の先にあるものってなんやろね。 ・・・・孤独感・・・・焦燥感・・・・言葉にできないもどかしさが胸をかきむしるとです。「悪人」というタイトルには違和感もあるとじゃけど滅びにいたる道は、普通に何気なくそこにあるもんなんじゃろな。祐一!お前はホンに優しか男なんじゃね。一体誰が「悪人」なんじゃろね。つらかね。でもその弱さは罪なんよ。祐一!最後のお前のあの行動は、全てを超えた優しさやったね。三瀬峠に花ば手向けに行こうごたるよ。ありがと!この本に出会えてホンにうれしかよ。おなごの人にぜひぜひ読んでほしかとよ。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.83
(5pt)

すごすぎました

最初はあまり作品に入っていけませんでした。自分も経験した虚飾の若い世代の表現の仕方がとてもリアルで読んでいる私が身につまされるような・・・。そのうちに時間も忘れて引き込まれて、泣きました。誰が被害者だったのか、誰が加害者だったのか・・。でもそれ自体もうどっちでもいいような気さえしてくるパンチの効いたストーリーに出会えました。自分を飾るために嘘を重ねた佳乃、愛する人を守るために自分を犠牲にしてまで嘘をついた裕一。自分を守るための嘘、他人を守るための嘘、結局どちらが人を傷つけるのか。。私はそんなことを考えてしまいました。図書館で借りた本ですが、迷わず自分用に購入しました。私の愛読書となりそうです。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.82
(4pt)

評判通りの1冊でした

殺人事件に関しては、犯人が早い段階でわかってしまうのですが、1.その後、誰と誰がつながり、話がどう展開するのか。2.そもそも、なぜタイトルが『悪人』なのか?というのが、最初の段階では全く読めなかったため、先が気になり一気に読み終えてしまいました。様々な要素が絡み合っているため、「事件モノ」というような、単純なカテゴリーわけをすることができない1冊です。視点を登場人物のそれぞれに変えることにより、一連の場面の流れが思いもよらない方向に導かれる様子はかなり引き込まれました(同様の構成は他著者の作品でもありますが、視点を変える効果が特によく出ている作品だと感じました)ただ、タイトルが『悪人』ですが、まずこの本を読んで考えるのが、最終章「私が出会った悪人」で、「あの人は悪人だったんですよね」と言われているその「あの人」が本当に悪人だったのかということなのですが、全て読み終わると、「マスコミで大々的に取り上げられる、いわゆる犯罪を犯した人だけが「悪人」なのだろうか」と思わせられます。「悪人」という言葉を辞書で引くと、「悪いことをした人、悪い心を持っている人」と出ていますから、犯罪者も「悪人」ではあるのでしょうが、法で裁かれることはないけど、犯罪者以上の「悪意」を持つ人間も、ここには何人か登場します。背筋がぞっとするような「悪」の描写はありません。ただ、日常に当たり前のようにひそんでいる「悪」に関し、読者に考えさせる1冊ではありますから、この作者は十分な仕事をしていると感じました。吉田氏の小説はこれが初めてでしたが、今後も読んでみたいと思いました。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.81
(4pt)

微かに垣間見える優しさ

1つの殺人事件に関わる人々。登場人物のインタビュー形式のコメントからは、まるで実際のドキュメンタリーを読んでいるような気持ちを感じさせられる。人と人の出会いや繋がりから生まれる喜びや、憎しみ、恐怖、登場人物の一人一人の心情や行動がとてもリアルに伝わり、胸を締めつけるような苦しい環境の中で、微かに垣間見える優しさがとても眩しく思える。そんな作品だった。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.80
(5pt)

誰にでも悪人になる要素がある

視点が次から次へと切り替わって飽きさせなかった。殺人を犯した裕一はある面では悪人なのだが、彼のこれまでの行動を見ていると悪人とは思えない面もある。一方、殺害されてしまった佳乃は好意を寄せている男性のために裕一と会う約束をすっぽかし、かつ、好意を寄せている男性に捨てられるところを目撃された恥ずかしさから、裕一に八つ当たりする最低の女だが、彼女も根っからの悪人というわけではない。人の心には誰でも少なからず悪人になる要素が潜んでいるのだと思う。物語の終盤に、佳乃の父親が娘を捨てた大学生に会いに行くシーンがあり、その中で父親が「大切な人がいない人間が多すぎる。そんな人間が大切な人を失ったり欲しがったり一喜一憂する人を馬鹿にした目でみるのは間違っている」と言うのだが、これはまさにその通りだと思った。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.79
(5pt)

なんていうか・・・もう、

普通に日常にいる・・こういう登場人物たち。目くそ鼻くそでつまらない腹の探り合いをする佳乃と沙里。二人の機嫌を伺い嫌われないように努める眞子。関東出身で標準語を話し佳乃達を見下した観がある鈴香。井の中の蛙ですごく生々しい。ボンボンで挫折や屈辱を知らない増尾。親の愛情を知らず祖父母の下で育てられ、寂れた田舎で黙々と日常を送る祐一。佐賀の片田舎で職場とアパートの往復だけの光代。出会い系サイトが元で起こるひとつの殺人。誰が誰をどんな風に思い、どんな態度をとって、どんな言葉を投げかけたのか。携帯やネットで繋がってる時代だからこその孤立感や焦燥感。性格や収入、外見で容赦なくランク付けされる今の時代を恐ろしいほど生々しく描いている。本当は誰が悪人で、誰が弱者なのか。なんか、もう・・魂吸い取られました。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.78
(5pt)

【吉田 修一】のファンになりました!

【殺人】【出会い系サイト】【コンプレックス】【引きこもり】【悪質商法】現代社会における様々な問題を取り入れた内容、ストーリー展開も見事で一息に読みたくなる秀作。人物の描写がとても細かく独創的で、その人物の性格や背景をも物語ってくれます。舞台が東京ではなく、九州という所も良いですね。陰湿になりがちな内容ですが、九州弁の温かみで緩和されている様な気がします。そして、何より主人公 『祐一』 に惹き付けられます。あまりミステリーには登場しない朴訥としたタイプ。前編は何を考えているのか不明で掴みどころがありませんが、中盤から徐々に引き込まれ、最後には実在人物に対するような感情移入をしていました。強いて言えば、祐一と光代の結末をもっとハッキリさせて欲しかったなと。。。祐一ファンの私としては、祐一は光代を犯罪に巻き込みたくない一心で演技&嘘の況実をしたのであり、性癖などではなく、祐一なりの愛なのだと解釈しているのですが。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.77
(4pt)

寂しい

祐一、せっかくイケメンで背も高く生まれたのにね、その上、根が優しい。人生勿体無いよなぁ。犯罪者になってしまうだけの価値、ないのに、佳乃って子に。純ないい人に限って、こういう女の子と付き合ったりする。もっと早く光代と出会えてたら、まだ眞子のが相手として向いてるだろ〜といくら傍から思っても・・世の中結構そういうパターン多しですよね。ああ残念。佳乃は他人に自慢できるなら、誰でもいいの?光代は、自分のことを激しく求めてくれる人ならーそれで全部いいの?祐一は、温めあうことができるなら誰でも良かったの?(光代と出会うまで)全部がまず「寂しさとそれを埋める目的」の関係みたいで・・(佳乃は底の浅い見栄や競争心やコンプレックスからでもありますが)寂しい人ばかり・・。旅館のボンボンやそのボンボン親友も別の意味で寂しい人間だしね。祐一と光代は「この人だからこそ」惚れた、一緒にいたいーという関係に発展できたのに、悲しい最後です。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.76
(5pt)

本当の「悪人」はごく普通の人なのかも。

この本はだいぶ前に読んだのですが、それ以降、この本以上に心に残った作品には出会えませんでした。 一般的な普通の生活を営んでいると勝手に自覚していた私にはかなりショッキングな内容でした。 主人公・・・良い青年ですよね。家庭環境に恵まれているとは言い難いですが、とても心優しい青年だと思いました。 そんな彼が道を踏み外してしまうきっかけは、ちょっと我が儘な今時の若者の浅はかな言動です。 最後まで彼に寄り添う彼女も結局はただのエゴで彼を縛り付けていたように思います。 人が心から人を思いやるということが果たして可能なのだろうか、ただの自己満足で終わる事が多いのではないかと考えさせられました。 現代社会は悪人の素質を備えていなければ渡っていけず、純粋な人ほど世の中の負の部分を背負わされるように思いました。 その辺を子供たちにどう教えればよいものか、果たして教えるべきものなのか・・・・。  
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X