悪人

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評判

悪人の評価:

4.01/5点 レビュー 407件。 B ランク

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平均点4.01pt

Amazonレビュー一覧

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全435件 161〜180 9/22ページ
No.275
(4pt)

あまりにも切ない「悪人」となった彼

「悪人」
そのタイトルからどんな残酷な人間像が描かれた作品なんだろうかというのが最初の印象だった。

主人公の「清水祐一」はある一人の女性を殺してしまう。

殺人は決して許されるべきことではない。

その殺人を犯してしまった「清水祐一」は悪人なのか。

「悪人」と「清水祐一」という人物のギャップが切なさを大きくするのかもしれない。

読み終えて何とも言えない哀しい気持ちになった。

だからといてこの作品が悪いものでは決してない。
この作品には読み手の心を捉える大きな力があると思う。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.274
(5pt)

祐一は光代を被害者にするために、首を絞めたと思いたい。

殺された佳乃の父・佳男が言った、「今の世の中、大切な人もおらん人間が多すぎる。大切な人がおらん人間は、何でもできると思い込む。自分には失うもんがない、それで自分が強くなった気になる。失うものもなければ、欲しいものもない。だから、自分を余裕のある人間と思い込んで、失ったり、欲しがったり一気一憂する人間を、馬鹿にした目で眺める。」て言う台詞、考えさせられる。
悪人(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.273
(5pt)

殺された佳乃の物語。

祐一(妻夫木聡)と光代(深津絵里)の話はまだちょびっとだけで、殺された佳乃(満島ひかり)の物語を中心に描かれている。
殺した犯人は祐一なのか増尾(岡田将生)なのか。続きが気になる。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.272
(1pt)

汚物感の残る小説

映画を見てから原作を読んだ。
映画はつまらなかったがそれ以上につまらない小説。

わざとボタンの掛け違いによる悪意に基づく行動を
書きすぎていて、そんなことありえないだろうと感じた。
出演者のミスばかり書きすぎていて吐き気を催した。

故意に、無理やり悪意のもとを作り出している
だけでどこが面白いのかぜんぜんわからなかった。

悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.271
(1pt)

無意味な登場人物たち

会社の方から、借りて読んだ作品。

ヒロインの光代が、物語に関わるまでの時間が、
長すぎる気がします。

上巻を読んでいて、人間造形されていない登場人物たちに
飽きてしまい、とても辛かったです。下巻になって、少々
緩和されましたが・・・。

もう少し登場人物の配置を絞った方が、良かった気がします。
映画で賞を取った作品なので、期待して読みだしましたが、
外しました。

「万人は、罪人なり」というテーマは、良いだけに、
もったいないです。

悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.270
(4pt)

悪人とは

福岡・佐賀県境にある三瀬峠で若い女性の絞殺死体が発見される。被害者は福岡の保険外交員で、犯人は長崎の土木作業員である。二人は出会い系サイトで知り合った。

こう書くと週刊新潮の名物読物「黒い報告書」(その時々に実際にあった痴情事件を基にしたフィクション)からピックアップしたものを長編化したと思われがちだが、底は浅くない。

死体という表層面的な事実の背景に、犯人・被害者の裡を事件に関わった者が多層面的に捉える。

この構成が巧い。ミステリー度は弱いが、その分ノンフィクションを読んでいる錯覚を持ってしまう。

犯人は本来的な意味での悪人だったのか? この謎を問うのであるが、神のみぞ知るだ。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.269
(5pt)

心優しすぎた悪人

私にとって、容疑者Xの献身(東野圭吾著)以来の感動する小説でした。
登場人物の多くが社会的弱者で、みな戸惑いながらも必死に人生を生きている様子がひしひしと伝わってきました。
主人公の清水佑一の、育てられた環境の複雑さゆえの心の弱さと、おそらく生まれつき持っている、自己犠牲を払ってでも他者を思いやる優しさが、この作者の巧みな描写によって、みごとなまでに切なく心に染み入ってきました。とくにラスト2行を読み、涙がとまらくなってしまい、また読み返し、佑一の愛のかたちの哀しさに深く胸を打たれました。
また、どうしようもない馬鹿娘の佳乃を思う父の愛情、佑一の祖母の愛情、イケメンボンクラ息子の増尾の軽薄で自己中な態度など、どの登場人物もあざやかに描かれていると思いました。
重たい話ではありますが、非常に人物描写が豊かな深い小説だと思います。
悪人(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.268
(3pt)

リアル博多っ子、祐一同世代の意見

少ししか読んでませんが、いちいち違和感があるんですよね。今時のこんなこてこてな博多弁つかう子いるみたいな。それから湯布院から西南大に通学するため福岡市にでて来て、博多駅にマンション?西新、唐人町あたりでいいんじゃいとか。福岡でアウディA6に乗ってる西南大生いるかな〜、いないでしょみたいな。

これから読み進めることができたら、また改めてレビューしようと思います。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.267
(3pt)

タイトルから伝えたかったことは何であろう?

タイトルから、作者が言いたかったことは何なのであろうか?
いろいろな形の悪人があるということだろうか?
すべての人が悪人であるというのであろうか?
悪人と呼ばれる人にも正義や歴史があるということであろうか?
期待が大きかった分、下巻を読み終えた今、何も感じなかったことに
残念に思っている。
映画はもっとおもしろいのであろうか?期待したい。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.266
(5pt)

作家として大化けした記念碑的作品

吉田修一の作品は、デビュー作から数冊読んだが、軽いという印象が拭えず、読後もあまり印象に残らない作家だったので、ずっと読んでいなかった。映画化にあたり、深津絵里が出ているということで彼女ファンである僕は映画を見ようと思い、念のためにその前にこの作品を読んでみた。
平坦なキャラクター設定や描写が彼の持ち味であるが、一歩間違うと印象の薄い作品になる。しかし、この作品ではそれらの表現方法が、かえって作品に凄みを持たせている。

地方都市の典型的な現象、若い人が少ない、仕事はない、金もなければ、遊ぶ場所もないという地方のやるせなさと、そこに住まう人達の生活や思いを見事に描いている。

自分を信じ、他人を守る強さが現代において如何に複雑で困難なことかを考えさせる作品である。

悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.265
(5pt)

2回買いました。

1回目は古本屋で見つけて悩んだあげく購入しました。読んでみて買ってよかったと思いました。古本屋で悩んでたのがばかみたいに。
そして読み終わったら他の単行本やまんがと一緒に古本屋に売りました。
で、やっぱりまた何時でも読めるように、綺麗な状態のを手元に持って置きたくてamazonさんで購入しました。
もう手放さないと思います。
今迄読んだ小説の中で私はいちばん好きです。

読んでると深津絵里さんの声が聞こえます。

吉田修一さんのこれだけの発想力は素晴らしいです。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.264
(1pt)

殺した人が悪人なら人殺しも問題ない?

大変不愉快だったとしか言いようがない・・・。
違和感も残りました。

主人公が実はそこまで悪くないと説明しつつ、
殺された女性が”淫ら”であったことから、
こんなくだらない女(被害者)のために主人公が罰せられるのが可哀そうだとでも
いいたげに、ストーリが進んでゆく・・・。
大きな疑問点はなぜヒロインはこの主人公に
人生までをもかけるようなまねをしたのか・・・。
愛してるから?
しかし、どう読んでも、主人公のセックステクニックがよかったから
惚れましたっという説明しかない・・・。

主人公の頭もイカれている。
出会いサイトで交流を得て、あった瞬間に”はい、セックス!”という女性に対して、
いきなりドタキャンされて怒り狂うとか・・・。
そんな女にいったいどんなモラルを求めていたのか。

ヒロインと主人公の逃亡生活がはたして”美しかった”のか・・・。
主人公がヒロインの首を絞めて、ヒロインを”かばった”・・・?はい?
そもそもかばいたいのなら、本当に守りたいのなら、
最初っから突き放せばよかった。それができなくて、最後の最後でしたから感動的なのか?
そして、ヒロインが”あの人は悪人だった”と思い込もうとしているとこが
健気で悲しいと大半の読者は思うのだろうか・・・。
読み終えた後の感想は”結局なにを伝えたかったのかがわからない”でした。
そこまでの流れが面白かったわけでもないですし・・・。

この作品の最低な点は

'@”殺害された側”の醜さを伝えることによって、主人公を哀れに思わせること。
'Aほかに”悪人”を出すことによって、まるで主人公の罪が軽くなるべきだと
読者に思わせること。

殺人は殺人だ。
相手の女性がどんな女性であろう、重たく罰せられるべきである。同情などいらない。
まして、このケースだと、
セックスのために、あっていた女性にキレて、キレ返されて、女性がけがをしてしまい、
”訴えてやる!”と言われたから、はい、殺しちゃいました♪など
ふざけているにもほどがある。
同情される余地なし。
本当に同情されるべき人間ほど、殺人などしない。

ああああ!不愉快!
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.263
(3pt)

映画が原作を凌駕した一例

「都市」と「地方」、「富」と「貧」、「もてる」と「もてない」、「既婚」と「未婚」、そういう対立軸のなかで劣位にある男女の主人公は、逃避行の中でつかの間の恋を燃え上がらせる。
いや二人が渇望したのは恋というよりはもっともっと根っこにあるもの、かけがえのない人間として互いに求め、求められるという存在の意味そのものだったかもしれない。
それは、誰もが欲望や嫉妬、憎しみに翻弄されるこの世界の中で、逃避行という例外的な状況においてのみ純粋に成立しえた善悪を超えた特権的な経験であったろう。

祐一が逮捕されたあとの光代が、「昔のまんまです。あの人と出会う前の生活のまんま。」と語っているように、その出来事は光代の表面的な人生を変えてしまうことはなかったが、恋愛というよりもお互いの存在そのものを求め合う根源的な経験は、「生きた証」として二人の中に深く刻みつけられて生き続けるに違いない。

九州の福岡、佐賀、長崎を舞台に、実際の地名を挙げてそれぞれの土地の特色をよく描き出していることが、この作品のリアリティを支えている。
特に佐賀平野のあののっぺりとしたとりとめのなさの描写は、不発の人生を送ってきた光代が住む舞台としてぴったりで(佐賀の人すいません)、効果をあげていたと思う。

映画を見てから原作を読んだのだが、むしろ映画が原作のエッセンスをつかんでよく表現できていることに感心した(原作者も映画の脚本を担当したらしい)。もともと場面転換の手法などが映画的で、映画化に適した小説だったともいえるかもしれない。
主演の深津、妻夫木の二人は言うに及ばず、樹木希林、柄本明の真に迫る名演、久石讓の音楽、李相日の演出と、脚本、俳優、音楽、監督の揃い踏みで、個人的には映画を見さえすれば十分にこの作品を味わうことができると感じた。映画が原作を凌駕しえた一例だと言えるのではなかろうか。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.262
(2pt)

自分の読みかたが変なのだろうか

文庫版上下巻を読んだ。
久しぶりに読んだ吉田修一の小説。

映画を見た何人かの人間から、
「何がいいたいのかよく分からない」ということを聞いたので、
「悪人」というタイトルにも引かれ、
小説をまず読むことにしたのだ。
実は諸事情で上巻を読んでから2ヶ月くらい間が空いたため、忘れてしまった部分が多い。

この話、一言で言えば
善人だが、生きることが不器用な若者がひょんなことで殺人を犯し、
その後、生まれて初めて本当の愛を知る。
だが、殺人者である彼は、逃亡後恋人に迷惑をかけないために、
逮捕された後“悪人”を演じて供述する。

もっと煎じ詰めて言えば、間の悪い男の不幸な事件。
てこと?

これって傑作なのですか。
正直そうは思えないのですが。

文章はうまいしすらすらとストーリーが進むので、
ひっかかることなくあっという間に読める。

祐一と光代の愛の経緯はさすがにうまく描いている。

あと、
かなりの場面展開があり、
祐一のことを語るコメント部分とカットバックしながら物語が進んでいく。
これは何なのだろう、映画的手法を使っているということ? 

映画、小説ともに“何が悪人か”ということをうたっていたので、
そのことを思いつつ読み進めた。
でも肩透かしを食った感じ。
そういう話ではないですよ、これ。
というのが私の感想だ。

最終章は、
人としてくだらない、唾棄すべき存在、軽薄な俗物を誇張して話が進む。
マスコミのこと世間のこと、軽薄な存在として描く増尾のこと、
それにコントラストをつける存在である増尾の友人の鶴田のこと。

上巻のことを忘れてしまったので、
なんで増尾と鶴田が親しい友人なのか理由がさっぱりわからなかった。
増尾の逃亡生活にはかなりの文字数をさいていたと記憶するが、
増尾がどうしてこんなに軽薄な人間なのか掘り下げもなかったのでは。

加害者、被害者。

祐一は加害者(悪人)を演じることで光代を救おうとした。
光代はそのことで被害者となり、
周囲からの悪意にさらされることなく過ごすことができるようになった。

「祐一は悪人、そんな悪人を私は好きになってしまったんですよね」
心とは裏腹の光代の最後の言葉。

そこで物語が終わる。こんな終わり方でよかったのか。

そんないい作品なのだろうか?
世界観的にも魅力、心を動かされる点はなかった。
文章はこなれているが、内容については?の大いに疑問のある作品だ。

世間的な評価と自分の評価にあまりに隔たりがあるので
私の読み方にもしかしたら足りないところがあるのかもしれない。
李相日と共作のシナリオも読んで、そちらにも感想を書きたい。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.261
(2pt)

期待し過ぎた!?

とても読みやすくて1日半で読み終えた。が・・・特に心に残るような作品では無かった。
重みを持たす意味でも『パレード』のように個々の人間性をしっかり書いて欲しかった。
登場人物一人一人のストーリーが薄っぺらく、だれにも感情移入できずのまま読み終わった。
しいて言うなら主人公の祖母があまりにも不幸で心が痛んだ。
しかし何故映画化されたのかが不思議。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.260
(4pt)

心を揺さぶられる

良かった。映画で理解し切れなかった全てが読み解けた。
小説の方が素晴らしいと思える部分と、映画の方が凄いと思える部分が、それぞれあって、どちらも完全ではなく、両方を経験するのがベストだと思える、不思議な作品だった。

映画のラスト近くになって、追いつめられた祐一が光代の首を絞めるところが、どっちの意味か、はっきりと分からなかったので、すぐに小説を買って読んだ。 「やっぱり」というか何と言うか、私が、そうであって欲しいと思っていた方の理由だった。いや、そうとは書いてはいなかったけれど、私は、はっきりとした確信を持ってそう読みとった。
光代を大切に思うからこそ、彼女を「殺人犯と逃走したバカな女」ではなく、「完全な被害者」として、自分のいない現実社会に返してやったのだ。 あの瞬間、狂おしく愛した女のために自分ができる最後のことを、力の限り、してやったのだ。

光代の最後のモノローグからは、祐一の偽りの証言に揺れる彼女しか見えず、「そうじゃないんだ!なぜわからないんだ!」と叫びたくなるような歯がゆさしか感じられない。後味が悪くてどうにもいけない。 性善説を信じる甘ちゃんの私は、映画のラストシーンの方を強く支持する。

祐一が実母にお金をせびるエピソードは、ラストに繋がる重要な伏線となっているんだけど、ちょっと出来過ぎの感があって、あまり好きではない。そんなに気の利く男なら、こんなことにはなってないよ。
祐一が風俗嬢に手作りの弁当を差し入れる場面では、不覚にも泣いてしまった。
風俗嬢の戯れ言を真に受けて、2人で住むためのアパートを借りる、という、わけの分からない痛さと唐突さが、友人が語るところの「起承転結の間がなくて起と結だけいきなりある」という祐一の全てを物語っていると思う。
この風俗嬢との一件が、祐一という人物を語る上で、何よりも重要な鍵だと思う。
祐一は、出会う全ての女に、乱暴なほどに、心も身体も、恐ろしいほどに、全てを全力でぶつけることしかできない、どうしようもなくバカで不器用な男なのだ。
そんな男が、母の罪悪感を軽減するために要りもしない金をせびり続ける、というのは、どうにも矛盾していて受け入れがたい。そんな器用な男であるはずないじゃん。

一方、被害者の佳乃は、父親の姿が切ない。 佳乃は、無惨に殺された上に、不名誉な事実を晒されてしまった。
嫌な思いさせてごめんと言う佳乃と、嫌な思いなんてしとらん、おまえの為ならどんなことも我慢できる、と言う父。
殺されても仕方のないような軽薄なビッチ、という見方に捕われた読者の心を、「あ!そうだようね。大切なひとり娘だよね。被害者だよね。ごめん、ごめん」と引き戻す、良い場面だった。
どのような娘でも、「お前は悪くなんかない」と全力で守ってくれる親がいることを、生きているうちに知れたなら、彼女だって、違う生き方をしただろう。 それまでの自分を悔いるチャンスが与えられていたなら!

心をいろんな方向に揺さぶられて、どうしたら良いのかまだ整理がつかない。そんな作品だった。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.259
(5pt)

悪人(上・下)

殺人を犯した犯人と、出会い系サイトで出会った女性が一緒に逃亡生活をするという現実にはあり得ない出来事に至るストーリーである。しかしながら、登場するキャラクターのディテールがしっかりと描かれており、彼らは実際に存在していてもおかしくないリアリティがあるのである。

九州の片田舎の国道沿いの生活。将来になんの明るいものがない生活を送る登場人物達...なんとも言えないリアリティがストーリー全体に流れており、上下巻聞き込まれるように読み終えることが出来ました。

映画、まだ、観ておりません。是非、映画ではどのように描かれているのか?興味!観たいです。
悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237
No.258
(1pt)

違和感。。。

結果から言うと「で、何が言いたいの?」。
 タイトルの「悪人」が名前負けしているように思えます。

 九州の田舎の人々の話ですが、こんなにステレオタイプの「田舎者」っていませんよ。私も九州の出身ですが、ここまでヒドくない。
田舎の人たちは、田舎には田舎の良さっていうのを都会の人よりよく知っているものだと思います(不便なところもあわせて)。
 その部分だけでも共感できなかったし、登場人物たちの思いや行動はもっと不可思議でした。

 あまりにも短絡的、単純、魅力に欠けている。

 娘を殺された父親に誹謗中傷するようなメールや電話をかけてきた人々の話がありましたが、そういう人たちと主人公は違うと著者は言いたかったのかもしれません。しかし、どうちがうのか?「素朴な人VS意地悪な人」くらいの違いしか読み取れませんでした。

 何となく呼び込みは派手だったから入ってみたお店のご飯がインスタントの味と変わんなかったっていうようなガッカリ感。
 
 読んだ後、幸せなため息が出るほどの本を最近読んでないなーと痛烈に感じた本でした。
悪人 Amazon書評・レビュー: 悪人より
402250272X
No.257
(4pt)

犯罪者の周囲を描くことで悪人の定義に揺さぶりをかける

悪人とは‥?  作者はその判断を
読み手それぞれの解釈でよいと取れる帰結をしている。
私たちが一つの事件をニュースとして知る時、
それは報道による情報から得た、一面的なイメージでしか
犯罪者を捉えることはできない。
殺人を犯した悪人が、実は心やさしい善人であったとしても、
犯罪に至るまでの過程や犯罪時の心理、
そして生育歴や背景が詳細に伝わらない限り、
殺人犯に情状酌量の余地はない。

作者はそこに焦点を当てたのだと思う。
犯罪者の周囲にいた者を正確に描くことで、
また犯罪者の人間像や背景を丁寧に描くことで、
読み手の中の「悪人」の定義に揺さぶりをかける。
そして“最も悪いヤツ”をあぶり出す。
そして、悪人も、最も悪いヤツも、
周囲にいる多くの善意ある人びとに
支えられているということに気づかされる。
犯罪者を愛した光代、そして見守り続けた祖母の房枝、
被害者の父親や、彼を助けた大学生の鶴田のように
まっとうな人びとの良心に‥‥。

かつて推理小説の巨匠松本清張氏を、田宮虎彦氏が解説した時、
「松本清張氏の用いた手法は人間の影の落ちている周囲から描き
中心にあるものを際立させる」と解説した言葉をふと思いだす。
だからこそ映画になり、TVドラマに起用されるのだろう。
清張作品に通ずるこの「悪人」も然り。読み応えのある秀作。

《第34回大佛次郎賞》《第61回毎日出版文化賞》

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悪人(下) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(下) (朝日文庫)より
4022645245
No.256
(5pt)

読後感は満点!

その先が早く読みたくて、お風呂に浸かっている時も読んでました。
最後の方は、読んでいて涙が自然と出てしまい、とても満足しました。
この本を読んでから、どうしても映画が見たくなり銀座で上映していたので
1800円出して見に行ってしまいました。

自分を捨てた母親に対して、金をせびる祐一。 
自分を捨てた母親が「負い目」を抱いている事を感じ取って、母親の負い目を軽減させる為に、
本当は欲しくもないお金をわざわざ母親にせびるという行為をする祐一の気の使い方。 
これで母親は「負い目」よりも、母親に祐一に対する幾ばくかの「嫌悪感」を持たせることによって、
「負い目」を忘れさせてあげることができた。 

灯台の管理小屋に警察が入ってくる間際に光代の首を絞める祐一。 
この場面を見た警察官は「光代はやはり脅されて、連れ回されていたんだ」と信じる。 
殺人犯である自分を恐がりもせず「一緒に逃げよう」と言ってくれる光代。
祐一にとって心を許しあったかけがえのない人だからこそ、自分が捕まった後のことを考えて、
光代に犯人隠避の罪や、他人からの誹謗・中傷・罵倒を受けたりしないようにとの思いから
為せる祐一の言動・行動はあまりにもやさしくて、切ない。
結果、光代は会社にも戻ることができて、普通の生活を営むことができて、祐一が光代に
与えてあげることができなかった「幸せな生活」を得ることができる。
 
最後の部分で逆説的に光代のことを酷く語っているのは、光代がその話をどこからともなく聞き
及ぶだろうことを予想して、「オレのことなんか忘れて幸せになってくれ!」との祐一の叫びだった。 
もし最後に至って、まだやさしい言葉をかけたり、抱きしめたりという行動を取っていたなら、
光代は祐一を忘れることができず、普通の生活を取り戻すことができない。

でもこれらの優しさは祐一が頭で考えてした行動ではなく、本能のまま自然と出てくる優しさなん
だろうと思う。 
本当は無骨なんかじゃない、無私の愛を与えられる祐一は本当に優しい。

本の事とは違うけれど、第34回日本アカデミー賞」で「悪人」が今年最多の5冠を獲得したのも
納得です。



悪人(上) (朝日文庫) Amazon書評・レビュー: 悪人(上) (朝日文庫)より
4022645237