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警官の血
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警官の血の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全86件 61~80 4/5ページ
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読んでから数日経っていますが、面白い警察小説です。親子三代、それぞれのストーリーを描いた警察小説なんて初めて読みました。それでいて、その時代の背景もしっかりしていて、素晴らしいの一言です。もっと早く読めば良かったと思っています。物語は安城清二から始まる。清二の妻・多津の妊娠をきっかけに警官になる。上野警察署に配属、やがて念願の駐在所勤務になる。父の死後、民雄は警官の道を選ぶ。しかし、父の警官人生とはまるで違う過酷な環境に身を置く事になる。清二から民雄に時間が流れるだけでなく、彼らに関わった人物の時間も流れている。清二が駐在所で担当した万引きの中学生が民雄の前に警官として現れる。清二に憧れて警官になったと言う言葉に、父の死の真相を知りたいと強く思う民雄。上巻は民雄の話の途中まで。下巻も読まずに入られない。 | ||||
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評判のよい作品で、早く読みたかったのですが、 タイトルから想像する内容は、恐らく地味な人間物語ものかと 考えていました。 しかし、一旦読み始めたら、その地味になりがちなテーマを 素晴らしい筆力での人物描写とエピソードで、ぐいぐいと 引き込まれました。 私は作品中の民雄と近い年代なので、民雄編の赤軍派や その近辺の事件やエピソードを、自分の記憶をたどりながら 興味を持って読み進めましたが、清二の警官としての考えや、 行動が現代の警察が失ってしまって久しい、本来の姿なんだと 思えます。 現職の警官に読んでもらいたい作品ですね。 | ||||
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これをつまらない、物足りないという方がいるのもよく分かる。話はドラマチックでも、情熱的でもない。祖父、父、子3代に渡り警官になった男達の人生を、実際にあった事件を挿入しながら、終始淡々とした筆致で進む。真っ直ぐな正義感を貫き通せた祖父。任務が長期化し、自らの精神を病んで行く父。何年もの苦悩の果てに、ようやく理想とした警官人生を送れるようになったのだが…。そして3代目。時代が進むにつれ犯罪は複雑化、潜在化し、捜査する側される側が…。どこが、何がというのはうまく言えないが、こんなに作品世界に引き込まれたのは久しぶりだ。平日にも関わらず上下巻を2日で読覇。2代目の、学生運動華やかなりし頃の時代情勢が最も興味深く、任務に自分の方が食い潰されてしまった感があるのだが、それに引き換え3代目のふてぶてしさが悲しいような…。しかし生き抜いてこそ、ではある。 | ||||
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上巻を読んだだけですので途中の評価なのですが、戦後の騒擾史の描写と安城家の三代にわたる警察官人生の系譜が巧みに撚り合わされて、大変奥行きのある大河的なエンターテインメントになっていると思いました。特に、過激派に対するスパイ活動にのめり込めばのめり込むほど精神を病んでいく二代目安城民雄の不安神経症にかかわる描写にはリアリティーが感じられ、一気に読まされました。下巻をこれから読むのが楽しみです。 | ||||
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どんどん読み進めてゆける物語とは、 謎が深まり先が気になって仕方がない場合、自分が取り込まれて没頭してしまうか、のいずれかだ。 最近は冒頭で投げる、途中であきらめる、あるいは自分の都合でいつでもどこでもすぐページを閉じることができるなどという作品まであるから面白いといえる作品に巡り合うのが貴重だ。 その点、これは一気に読める作品だった。 それぞれの時代を反映した事件が三代の警官にうまく取り入れてあり、特に2代目の物語はこれだけで一つの作品になりそうな面白さであった。 しかし、読み終わった時点では何かが書き足りていないような淡白さが残った。 時代や事件、警官たちのそれぞれの生き方を踏まえた全体の描き方は、読み終えた時点で予定調和のようにきれいなおさまり方をしていて肩すかしをくらった気分もあった。 どこかが破たんしていようが、圧倒的な筆力で描き切り読者を翻弄してゆく、というやや暴力的な部分がもう少しあればこれは本当の力作になりえたのではないだろうか。 少しずつ、少しずつ物足りない部分があって、それを一気に消化できるほどの終わり方ではなかったのかもしれない。 それぞれの料理は美味いが、全体のコースになると印象が残らないといった感じ。 | ||||
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北大のシーン、大菩薩峠のシーン、五重塔のシーンなどメリハリがあり、飽きさせない内容です! ぜひ、読んでほしいですね!! | ||||
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本作は「2008年版このミステリーがすごい!」で見事に第1位を獲得した、佐々木譲らしい重厚な歴史小説であり、警察小説である。 3代に渡り、警官人生を歩んだ安城家。親の清二の時代に起きた殺人事件の真相を根に据え、親(清二)、子(民雄)、孫(和也)、それぞれの警官人生を描いている。彼らが立ち会う事件、犯罪は、それぞれの時代背景によって性質をかえ、警官とは、正義とは、という葛藤も時代々々によって変わっていることがうかがえる。 清二の時代は戦後間もない時代であり、世の中全体が混沌としている。清二は23年組と後に呼ばれる大量採用で警官となる。このとき、香取、窪田、早瀬という同僚に出会う。上野公園の浮浪者、秋葉原のバラックなどの表現、その時代の風俗が伺える。そして起こる、男娼殺人事件。チラつく警察の影。後に起こる国鉄職員の殺人事件との関連性を疑う清二は独自に捜査する。1957年、谷中五重塔放火心中事件が発生。そのさなか、清二は死亡する。事件の真相まで後一歩のところでその真相と主人公は、子の民雄へと引き継がれる。民雄は清二の同僚であった3人の「おじさん」の協力もあり、高校を卒業、父の意思を継ぎ警察学校への進学を決意する。卒業の直前、民雄は北海道大学への進学を勧められる。表向きは対ソ要員としてのロシア語を修得するため、実際はそのとき高まりをみせていた学生運動のスパイとしてである。大菩薩峠での赤軍派逮捕に大きく貢献した民雄は、評価を得、赤軍派へのスパイとして重宝されるようになる。しかし、その潜入捜査のような任務ゆえに、民雄の精神は病んでゆく。身も心もぼろぼろになった民雄は公安部への出向をとかれ制服警官へと、そして父と同じく、天王寺派出所の警官となる。それをきっかけに、先の殺人事件、父の死の真相にたどりつくのだが、それを話す前に少女を人質に取った殺人犯に銃殺され殉職する。主人公と真相は孫の和也へ。和也は、大学卒業後、警察官となる。警察学校卒業後の現場研修後、警務課から呼び出された和也は、ある警察官の内務調査を極秘に依頼される。対象の警察官は裏社会との太いパイプゆえ、数々の手柄を上げてきた。しかしそのパイプは、警視庁のキャリア幹部とのつながりもあったのだ。彼の逮捕に大きく貢献した和也はその後、やはり祖父の死、父の死に疑問を持ち独自に調査、真相にたどりつくのだが。。 戦後から現代までそれぞれの犯罪をおいながら、最初の事件の伏線を張りつつ、最後にその真相を持ってくるという、ミステリではベタながらも最もおもしろい構成を根底に持っているのに加えて、実際に起きた事件をなぞりながらそこへ主人公たちを当てはめていく佐々木譲らしい手法に、歴史のロマンを感じずにはいられない、ミステリな歴史小説に仕上がっている。警官の血という主題もところどころ、ほろりとしてしまうよ。そういえば、端々に出てくるのが、薬物による悲劇である。過去の伏線が思いもよらぬところで、この薬物の悲劇を思い出させたり、主人公が危機におちいったり、恋人を失ったり(というか仕返しのような)。そんなものに逃げ道を作らずに現実を見つめたいものである。 | ||||
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完全にはまった。完敗です。他の作品も読んでみたくなりました。 "戦後の混乱期を超えて成長していく三代の警官の物語。したたかな結末" | ||||
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平成19年下半期第138回直木賞候補作。冒険小説に実績のある著者による警察官もの。『笑う警官』『制服捜査』『警察庁から来た男』に連なる、集大成とも言うべき警察官親子三代にわたる年代記。静かな緊張感が持続し、上下巻計800頁を一気に読み通しました。言いしれぬ感動が読後に残ります。名作です。 | ||||
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三代にわたる、警察官の問う真の正義とはなにか....を描いた作品です。上下巻別れた作品ですが、まず2巻とも揃えて読まれることをお薦めします。上巻>過激派のスパイとして着任した二代目民雄の全共闘時代の描写が若干くどく、ところどころ飛ばし読みになってしまいましたが、ここは物語の大勢にあまり影響ないのでそれはそれでよいかと思います。上巻でのエピソードが十分な伏線となって下巻では物語の勢いとキレが段違いにUPします。祖父、父の時代に抱えた事件性はきちっとした解決という形には至らずに終わりますからミステリーと呼ぶよりはむしろ「警官」という職業に生きる男たちの特殊な心情を丁寧に描いた心理小説。どちらかといえば悲愴な生き様だった祖父、父の無念をはらすかのような三代目、和也のクールでタフな勇姿は爽快で読んでよかったなぁとしみじみ思わせます。 | ||||
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祖父→父→息子と3代にわたる警察官の話。 昨年度の「このミス」1位に選ばれた作品だけれど ミステリー感はそんなになく。 たぶん犯人は、誰もがなんとなく想像がつく。 でも、その時々の時代背景がとっても詳しく丁寧に書かれていて ぐいぐいと作品に引き込まれていく感じ。 同じ警官でも、時代によってここまで違ってくるのか、と 驚かされる。 三代目の話は、少し物足りない感があったけれど 最後はちゃんと解決してくれたのですっきり。 でも、二代目は切なすぎたなぁ…。 もう少し報われてもよかったんじゃないかな、と思ったのは私だけ? 盛り上がり感には欠けるけれど 全体的にすごくよくまとまっていて 実際の事件も絡んでいて臨場感も伝わるので とても読みやすかった。 こういうのって映像化されたら面白いんじゃないのかなぁ? | ||||
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ダイナミックな仕掛けはない。登場人物は凡庸で、末路はなかなかに痛々しい。それにも関わらず人生の機微と時代がきちんと描かれて郷愁を誘う。何というか、読んでいる時間が実に楽しかった。 | ||||
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もともと著者のファンでしたので、即購入し、読むべきタイミングを考えていました。二冊分冊だから、休みの前日で翌日予定のない日と決め、先週やっと・・警察署長と似た話かなと思っていましたが、良い意味で裏切られました。ただ他の方も書いていましたが、ラスト近くが少し結末を急ぎすぎた?そんな印象を受けました。もう少し分量が多くてもよいのになという印象です。 | ||||
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上下巻に渡る佐々木氏の大作「警官の血」であるが、上巻がしっかりとした伏線を引いているので、下巻がしっかりと重厚なドラマとして生きてくる。 欲をいえば、さらにストーリーを先に膨らましてほしかったということである。祖父・父と完結したものだったので、子も同じように最後まで描いてほしかった。佐々木氏が続巻を考えているのなら、かなり期待します。 | ||||
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ひとことで言うなら「読み応えがある」。「このミステリーがすごい!」で一位にランクされた作品だが、いわゆるミステリーのような謎解きの物語ではない。三代にわたる警官一家の生涯を描いていて、その中に秘められた謎というのはあるが、恐らく多くの人は、上巻のかなり早い段階で犯人を推測できるはず。それでも、戦後の東京を見事に描く一代目をはじめ、それぞれの主人公が時代背景の中で生き生きと描かれていて、「戦後」や「学生運動」など敬遠したくなるようなテーマにもすんなり入っていける。全体を通じて大事件こそ起きないけれど、それぞれに描かれるエピソードもおもしろくて親子や夫婦の関係、組織の中での人間関係などリアリティがあり、共感できる部分も多い。「正義とは?」という重いテーマも作品の奥深くに隠されていて、何か声高に訴えるわけではないけれど、心に残る。 | ||||
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各所で評判だったので、読む事にしたものの、題名からも、作家からも地味で重い雰囲気が出ててるわ、 上下巻だわ、読むの辛そうだな・・・と思いながら読み始めたところ、 おもしろい! 話は地味で、エンターテイメントしてるところはないし、親子3代に引きずる事件にしても すぐ、察しはついちゃうので、推理小説として読む本ではないけれど いわゆる警察小説として、ものすごく面白い。 駐在として、毅然と正しい清二。 清二を尊敬して、警察官になった民雄。 心が壊れ母に暴力を振るう父に反発しながらも父と同じ道に進む和也。 警察では、親の後を継いで、息子も警察になることを、 「親が正しい姿を息子に見せた」として、歓迎されていて、期待もされる。 警察官の仲間意識の有様の変化も 清二の時代では、清二の死後、清二の一家に不自由がないように家計も支えた同期との連帯に対し 3代目の和也は、先輩刑事を密偵する側に。 すごく地味な話だけれど、上下巻のなかに、無駄なエピソードがまったくなく 人物の書き方も、逆に、大袈裟な部分がないので、入り込みやすい。 長さも全然感じられない。 他のレビューでは、3代目の和也の章は、希薄とあって、なるほど確かにそうかも。 でも、3章が希薄なわけではなくて、「現代が希薄」なんじゃないかなと。 すごく良い小説なので、ラストに和也が、あんな風になってしまったことが残念です。 | ||||
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戦後日本警察の黎明期が、歴史小説のように力強く描かれている。そして父の謎の死を契機に、警官をめざす民雄。多くの父が正しく強かった時代の、清貧ながら美しい姿がしっかりと目に浮かぶ。 一転して舞台は大学紛争の潜入捜査へ。武力闘争を現実化しようとする赤軍派へ、民雄は公安警察のスパイとして渦中にとびこみ、神経をすりへらす。警察官二代の大河小説のような趣の上巻。父の死の謎は下巻へ。 | ||||
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週末、馴染みの店のマスターがしきりに賞賛するので、 上巻のみを借りた。 ところが、前夜の酒が残ったおそい土曜日の午前、 ふと読み始めたら、もう止まらない。 (未読の方は、必ず上下一緒に買われることをお薦めします) 終戦直後の東京下町から幕が開く、ある平凡な警察官親子の物語。 しかし、「平凡さ」とともに、時代の相貌を見事に織り込みながら (ときに臭覚にも訴えつつ)展開される確固たる筆力は、 ほんとうに唖然とするくらい上手い。 もう、最初の10数頁でぐいぐい惹きつけられてしまった。 土曜深夜に上巻を読了する“危険性”を回避するため、 夕暮れ時に下巻を買いに行くことになったが、 寒気を凌ぐ、物語に籠められた熱さが体を貫いていく。 結局、土日全部と月曜の朝までほぼぶっ通しで、 2冊を読み切ってしまった。 上巻は、応召体験のある清二と、その子民雄が主人公。 民雄は昭和40年代の学生運動最盛期に成人する。 下巻は、民雄と、その子和也が主人公。 時代は昭和から平成へと移り、犯罪者の質的変化、 警察機構の軋みなどが、存分に盛り込まれてゆく。 もし、ミステリーとして評価されたのなら、それはそれでいい。 しかし、犯人捜しだけに限ったら、大抵の読者は途中で、 「誰か」に(或いは「なぜ」にも)気づくはず。 だからといって、この作品が二流な訳では、決してない。 むしろ自分は、この上下2冊を、戦後日本人が備えていた 「種」が、半世紀をかけてじりじりと変容し、 脆弱になりながらも、継承し続けた遺伝子の尊さ、 …その軌跡を描いた博物誌、として読んだ。 傑作。 | ||||
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下巻の内容は警察官2代目の民雄が程なく天王寺駐在所勤めになるところから始まり、いよいよ父の死の真相についての調査に着手。ここでのストーリーも特に大きな事件はなく、管轄内のアパートにすむ暴力亭主の案件がメイン。その亭主が何者かに殺されるところから急展開で最後は殉職。続いて三代目の和也の話。和也は大卒で警官となるが、警察大学校卒業後、意外な配置につく。そしてそこですべての謎が解き明かされて・・・というストーリー。本当に面白くて下巻も二日で読み終わりました。昭和23年から平成19年までを駆け足で一気に描き、最後の終わり方はちょっとアテが外れた感がなくもないんですが、とにかく買って損はないと思います。おそらく一度読んだ後に読み返すと、見逃してた伏線が色々でてきそう・・・。 | ||||
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内容がとても濃い作品です。警察官としての三世代の物語に終わらず、日本の社会、犯罪の歴史を交え、個人と組織の葛藤、そして祖父、父親死亡の謎、ラストの爽快感、一気読みの充実度120%。字数は、あまり多くないが、場面展開、人物造詣、登場人物の心理等、思わず何度も、「旨いなぁー」と唸らせる文章、とてもレベルが高いと思います。読んでいて、近年、ここまで自分の感情を作品に注入できた小説はなかったです。最高レベルの作品です。 | ||||
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