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アメリカの夜
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アメリカの夜の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.61pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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自己を表現したくてたまらない才気ある若者が自分を特別だと思い込もうとして書く、よくある過剰に饒舌な少し恥ずかしくなってしまうような小説である。ただそこに工夫のなされているところが良い点。 自分を特別だと思おうとしている唯生(ただいきているってことかな?)なる人物は、ドン・キホーテなど虚構の人物を模倣しているだけで、さらにその唯生の話はエスなる分身が書いている話で、分身が書く形にしたのは小説のキャラクターの狂気を、これまた模倣するためだよという言い訳があって。もちろんそれを小説として上梓している阿部和重がいるという何重にも、いわゆる中二病的な自意識を囲い込んだ、阿部和重のかわいい処女作だ。 ここまでしないと、自分は、唯生きている普通の人間なのだと宣言できない著者の若き自意識がとてもいじらしい。 | ||||
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自分を特別視できるのは若さの特権だが、こんな痛く青くても、ここまで自己を対象化できるかは疑問。 | ||||
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物語冒頭からいきなりブルースリーの武術論についてだらだらと始める部分は、知らない人にとってはあまりにもどうでもいい内容なのでこの時点でこの作品に縁のない人間は本を投げ出してもかまわないだろう。しかし小生のように「逆に」この媚びてない感じに惹きつけられた人間は、読み進めていくうちにその感覚が正しかったことを確信するはずだ。なぜならこの作者は、すべてを計算済みのうえでこの作品をこのような形にしたのだから。作者は「ドンキホーテ」から「神聖喜劇」、「アメリカの夜」、「ブルースリー」と古今の文学、映画を縦横無尽に引用し、この世界において人間が何者かを仮構し、演じることの不可能性を批評的な「私」の視点と物語的な「唯生」を駆使して書き上げていく。そしてその矛先は作品内の登場人物をはじめ、これを書く「私」とその分身たる「唯生」にまで及ぶ。物語はあくまで「唯生」までも突き放して見ている「私」を軸として進められているはずなのだが、「私」が狂気じみた論理を展開し、それにつれて「唯生」が狂気じみた行動をしていくにつれ、読者は、正しさの拠り所を見失い、知らずにこの狂気に巻き込まれることとなる。狂気と滑稽はしばしば隣り合わせに存在するのだ、ということを強く思い知らされた。主題が人間生活の根源にかかわるものである分、繰り返し読んでも新たな発見に期待できそうだ。 | ||||
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