■スポンサードリンク


遠くて浅い海



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
遠くて浅い海
遠くて浅い海 (文春文庫)

遠くて浅い海の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

遠くて浅い海の感想

初めて読む作家である。

ほかの著作の題名見ていても、軽そうな題名が多くあるし、文庫本の裏の説明も軽めだし。

ということで、気軽に時間つぶしのつもりで1頁目を開いてみた。



前半は軽く、消し屋(殺し屋)将司とそのオカマの彼女 蘭子のウィットに富んだ軽快で雰囲気でスタートすることで、難なく物語の世界に同化。

ひとつの仕事を終えて、新たな仕事(殺し)を引き受けることから、本題に入る。

次のターゲットは、大富豪で若き天才科学者?発明化?の天願。

彼の殺害を依頼するのが小橋川という代理人なのだが、殺し方は「自殺」と見せかけること。

ターゲットを知らなければ自殺させられない、という将司の要求で、天願が所有するの沖縄の山原地区の広大な所有地に建てられた豪邸のゲストハウスに泊まり込むことに。

そこで1ヶ月同居することになるのだが、カレ天願の歴史を調べるうちに。。。

この辺までは ほんとうにテンポもよく軽快であるのだが、騙されてはいけない。

作家がほんとうに述べたかったのはここからが本題。

一見 気楽で明るく能天気に装おっていた登場人物たちの素顔が徐々に明らかになっていく。

ターゲット 天願の生い立ちを調べるうちに、また将司や蘭子のココロの葛藤、小橋川とはなにものなのか、本来の依頼者は。。。

とそれぞれの裏の暗い面が、沖縄という表向き海と珊瑚礁とという明るさに対して、今尚 戦争によって受けたキズが所々に残っている隠れた裏の歴史と交錯し合いながら、哀しいハードボイルド模様に知らず知らずに変わっていく。



個人的には、沖縄に行きたいと思ったことがない、というよりは行きたくもない。

それは、同じ日本ということで近い場所でありながら、距離だけでなくその島の生い立ち、歴史、民族などから、近代の悲惨な歴史的事実を考えれば、遊びで楽しみに行けるような場所ではない。

それでも、4島とそれに列なる従来の日本領土であれば違うのかもしれないが、歴史や民族の違いのため、日本に属しながらも 一線を画しているという意味で遠い避けたいクニなのである。

最後の一文にあった、この海では泳げない、という一言。

私も同じで、近隣諸島にはいったことがあるものの、未だ本島にだけは足を踏み入れたことがない理由も同じで、あの観光客の神経には目を覆うものがあるが、これは単なる個人的主観であるので。。。


どちらにしても、考えさせられる作品を、初めから重くすれば その作品を手にとられないだろうから、一見手に取り読みやすくした作品を作った作家に うまく騙されたということか。  了

とも
4ND5R58B

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!