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鈍い球音



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鈍い球音の評価: 7.50/10点 レビュー 2件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

4人のパーティ

日本シリーズ目前に、東京タワーに登った監督が忽然と消えてしまう謎を追う本格ミステリ。野球を絡めているのが新鮮で面白かったです。
事件を推理するのは新聞記者達。4人の個性が際立っていて魅力的でした。よくあるのは探偵と、いてもせいぜい無能な助手役。探偵からの視点を避けるための役でしかないのがなんともつまらないことがありますが、本作は一線を画していました。

複雑な事件であり、所々に謎の会話が挟まるので少しわかりにくいです。読んでる途中はハテナだらけでしたが、最後にはスッキリするので憎めません。

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.1:
(8pt)

天藤劇場の始まり始まり~ぃ!

『遠きに目ありて』をきっかけに名作『大誘拐』と読み進んできた私の天藤作品体験にある意味、決定打を打ち込んだのは数年前に古本で購入した本書であったと今にして思う。前作『死の内幕』までの時には私の目に狂いがあったかとも思ったが、本書を久々に読んで、ああやはり間違ってはなかったと思いを新たにした。ここには天藤作品のエッセンスがぎっしり詰まっており、また本書から天藤テイストが定着したかのように感じられる。

まず登場人物全てが魅力的。天藤作品の場合、『陽気な容疑者たち』、『死の内幕』、『大誘拐』などの傾向を見ると主人公がいるものの、万能ではなく寧ろ他の協力者と一つのチームを成して事を解決していくパターンである。前2作については些か彼ら・彼女らのキャラクターが弱く、今一歩といった感じだったが本書に至って見事に成熟された感じが強い。
次に最後の先の読めない展開。本書もベレー帽と髭を残して監督が失踪するという仰天の発端から次から次へと収拾がつかないくらいに事件は右往左往し、終章まで散らかりぱなしといった感じで読んでいる最中は不安がいっぱいだった。
そして達者な筆捌き。ユーモアが滲み出るその文体は事件が陰惨なものであってもほのかに温かみを感じさせる。これが最初に述べた登場人物陣の魅力を引出しているのは云うまでもない。

また今回は構成も凝っていて、何者とも判別しない電話のやり取りが随所に挿入され、事件の黒さ・壮大さを想像させられるし、何よりも今回のメインキャラクターである桂監督を最初と最後にしか登場させずに印象深い人物に仕立てている辺りの見事さは特筆物である。
さぁ、ここからが天藤ワールドの始まりである。愉しめない訳がない。

Tetchy
WHOKS60S

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