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魔女の館の殺人



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【この小説が収録されている参考書籍】
魔女の館の殺人 (ハーパーBOOKS+)

魔女の館の殺人の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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(8pt)

魔女の館の殺人の感想

現代設定ながら、90年代の本格ミステリを味わえた作品で大変好みでした。
謎解きが大好きな学生2人の主人公が宿泊型の脱出ゲームに参加したところ、演出ではなく本物の殺人事件に巻き込まれてしまうという流れ。

読者にも脱出ゲームを体験させようと実際に謎解きクイズが掲載されているのが面白い試みで新鮮でした。
読む前はクイズを題材にした軽い小説かと思っていたのですが予想以上にしっかりしたミステリで驚かされました。謎解きクイズはあくまで雰囲気づくりの一要素で読者を悩ませて読書を止める事はないです。謎は作中人物たちが解いていく形式なので、脱出ゲームを知らない人にちょうど良い体験かと思われます。そして、この脱出ゲームの体験がミステリの謎解きの考え方に関わってくるのが見事です。ロジカルな推理模様と発想のヒントが伏線的に巧く合わさっていると感じました。

本書の解説にありましたが、作者自身が脱出ゲーム好きとのことで、その体験が巧みに作品へ活かされています。本作で特に本格ミステリとしての魅力を感じたのは、「謎を解くための手がかりの提示が巧い点」です。私自身もいくつか脱出ゲームを体験していますが、最初に解いた問題や、何気ない仕掛けが後半の鍵になることが多くあります。その感覚が小説の伏線として見事に昇華されており、古き良き推理をする本格ミステリを感じた次第でした。

主人公の2人も好印象でした。
意見がすれ違ったり互いを補ったりと良い雰囲気です。男女にせず男同士なので友情的な感覚で見守れます。今後の成長も気になりますね。

個人的には非常に好みの作品ですが、人に薦める際に少し悩む点があるとすれば動機の設定でした。扱っている題材に対してもう少し社会派的な重みが必要に思えます。本作のライトな謎解き作品の中に入れるには後味がやや重く感じました。シリーズ化した場合、本作が第1作目となるため、ここから読まざるを得ない点も少し気になります。

とはいえロジカルな推理と丁寧な伏線が光る本格ミステリとして、学生二人のコンビが織りなす青春らしさも魅力的で、読後は非常に満足しました。シリーズ化希望の続編を読みたい作品です。

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T4OQ1KM0

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