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ゲット・ショーティ



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【この小説が収録されている参考書籍】
ゲット・ショーティ (角川文庫)

ゲット・ショーティの評価: 10.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点10.00pt

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(10pt)

レナード作品一の主人公登場!

数あるレナード作品の中で最も好きな人物を挙げよと云われたら、私は迷うことなく本書の主人公チリ・パーマーを挙げる。
本作は映画化もされ、ヒットしたレナードの大傑作!

マイアミの高利貸し屋チリ・パーマーは飛行機事故で亡くなった男の遺族から金を取り立てることになったが、なんとその男は生きていることを知る。偽装死亡による保険金詐欺をまんまと成功させたその男はラスヴェガスに逃げていることを知らされる。しかしさらにその男はラスヴェガスで大儲けした後、LAに高飛びしていた。チリは借金を取り立てるため、ハリウッドに乗り込む。しかしそこで出会ったのは借金を抱えた映画プロデューサーと売れない女優。映画好きのチリは彼らとともに映画でひと山当てようと企み、ハリウッド映画界の内幕に入り込んでいく。

『五万二千ドル~』の感想でも述べたがレナードの映画好きはつとに有名で、本書ではその趣味が実に物語と融合して痛快な1作に仕上っている。レナード自身、脚本家でもあり、また自作の映画化作品などでハリウッド映画業界に携わったことがあるため、業界の内幕には詳しく、暴露話が織り込まれている。これが作品のテーマと非常に密接に関わり、相乗効果を上げている。
この設定に「おれの目を見ろ」が殺し文句のはったりで世間を渡り歩くタフガイ、チリの造型がマッチして、非常に小気味よい。さらにかつての栄光をもう一度と願う冴えない映画プロデューサー、ハリー(またこの名前だ)とかつてホラームーヴィーで絶叫女優としてひっぱりだこだったキャレン、さらにセレブ俳優マイケルと出てくるキャラクターは他のレナード作品と比べても豪華。私が持っているのは映画化の際に出版された物で表紙は同映画の宣伝ポスターのような装丁になっており、ハリーがジーン・ハックマン、キャレンがレネ・ルッソ、マイケルがダニー・デビートとキャスティングさえも頭に浮かびやすくなっていた。とにかくこんなに面白い本があるのかとずっと思いながら読んでいた。
そしてあわやチリの語る数々の逸話が映画の脚本として採用されそうになるのだが、そこはレナード、全く予想も付かない結末に導く。

しかもこの結末はもう物語の神様がレナードに下りてきたかのように散りばめられた布石がカチッと嵌る。私は最後の方で思わず声を挙げたくらいだ。
作者もチリ・パーマーをよほど気に入ったのであろう、続編『ビー・クール』も書かれている。
なお、題名の意味は「あのチビを手に入れろ」。
チビの正体はすぐ解るが、それも素人が遭遇する芸能界のあるギャップを表していて面白い。

なお、往々にしてレナードの映画化作品は出来が悪く、不満が残り、また作者自身も公然と不平をぶちまけているが、バリー・ソネンフェルド監督による本作の映画は原作同様、実にいい仕上がりになっている。初めてレナードが手放しでその出来栄えを誉めたくらいだから、それからも解るだろう。映画版は本書とは別の結末で閉じられる。これについては賛否があるようだが、私個人としてはそれもまた秀逸と思っている。
興行成績も良かったようで、この映画からレナードの作品が次々と映画化されだした。
先の読めないストーリー、個性的なキャラクターにレナード個人の趣味が実に有機的に混ざり合った傑作だ。こういう作品があるからレナードはやめらない。
比較的手に入りやすいし、初心者には本書から入ることをお勧めしたい。

Tetchy
WHOKS60S

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