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この限りある世界で



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この限りある世界での評価: 6.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(6pt)

たどたどしいリード、肩透かしの終盤。もどかしさが募る

著者が得意とするイジメ、罪と罰、加害と被害の公平さをテーマにした書き下ろし作品。物語の構成はミステリー的だが、ストーリーはヤング・アダルトな自分探しである。
新人文学賞の最終候補になりながら落選した15歳・中学3年生の少女が教室で同級生を刺殺した。少女が「最終候補で落選。哀しいので明日、人を殺します」とコメントを付けて自分の小説を投稿したため、ネットで騒動になる。受賞作より落選作の方がいい、コネで受賞したのだろう、などと誹謗中傷された受賞作家が追い詰められ「自分が受賞して申し訳ない」と残して自殺したため、担当編集者は自責の念に駆られる。一方、加害者の少女は犯行動機を二転三転させ、少年院で入所者の更生を手助けする篤志面接委員に「私の本当の犯行動機を見つけてください」と語る。何が少女を犯行に導いたのか…。
犯行動機を解明するのがメインの物語で、最後にどんでん返しも仕掛けられているのだが、読んでいる時はミステリーであることを忘れてしまう。犯行からその波紋、担当編集者、篤志面接委員、犯人のキャラクターが明らかになるリード部分はたどたどしく、犯行動機の解明プロセスも同じテーマの堂々巡りでテンポが悪い。ミステリーというよりは、若者の社会的成長や常識形成を巡るヒューマン・ドラマというべきか。2時間ドラマなら高評価されそうな作品だ。

iisan
927253Y1

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