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マルチエンディング・ミステリー(犯人選挙)



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【この小説が収録されている参考書籍】
犯人選挙
マルチエンディング・ミステリー (講談社文庫)

マルチエンディング・ミステリー(犯人選挙)の評価: 6.50/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.50pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

超ユニークで超メタ的小説

7つの答があるミステリー小説というテーマだけで、興味を惹かれました。さすがメフィスト賞出身の作家だけに、超ユニークな小説です。他の誰も書かないような挑戦的なミステリは好きなので、高評価となりました。文体も軽妙で読みやすいです。
マルチエンディング・ミステリー(複数の結末のある作品)という少し長ったらしいタイトルですが、改題前の『犯人選挙』の方がスッキリしていて、私は好みでした。おそらく、同じく多重解決モノの、作者の『ミステリー・アリーナ』と方向性が同じなので、タイトルを片仮名で揃えたのでしょうね。
舞台は大泰荘というシェアハウス。主人公は純文学の作家を目指す文学青年。住人の一人、ボディビルダーを目指す、マッチョの男が密室で殺され、一体誰が、どうやって殺したかを推理します。
容疑者は主人公を除いた他の住人六名。それぞれ犯人の場合と、犯人が外部の者という、計七通りの解答が提示されます。珍妙な解答もありますが、なかには説得力のある解答もあり、なかなか楽しめます。

一つ、評価が分かれるとしたら、本書は本格ミステリと呼べるか怪しく、脱力的な話ということでしょうか。なので、冒頭に"本書は三人の人物が殺されるので、殺人が嫌いで日常ミステリを楽しみたい方は本を閉じてください"と注意書きされていますが、あまり気負わず読むとよいでしょう。そして、三人目に誰が殺されるか、予想しながら読んでみてください。
こういう話があるからこそミステリは面白いと実感できる小説です。きっと作者は、楽しみながら執筆されたのだと思います。
超ユニークで超メタ的、脱力できる良作でした。メタ的描写は、以前に読んだ瀬名秀明さんの『八月の博物館』と類似していました。登場人物の存在についてフォーカスしていて、かなり面白いです。

登場人物の若い刑事が、頓珍漢なことを言って上司に叱られるという描写は、軽妙すぎるきらいがあります。実際、こんな刑事がいて事件が迷宮入りしてないことを望みますが、、、。

bamboo
NU17PFML
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

犯人選挙の感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.2:
(4pt)

犯人選挙の感想

回答編を読む前に
犯人投票に参加する気持ちで考えればよかった。
普通に電車の中で読み進めてしまったので
新しい試みは楽しめなかった。
アリーナはクイズ番組形式で笑って読めたが
今回はイマイチ

jethro tull
1MWR4UH4
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

犯人選挙の感想

深水黎一郎作品は1作ごとに個性的なテーマを感じます。本作は『読者が犯人を決める』というもの。

事前にネット上で問題編を公開し、誰を犯人にしたいか投票を行った企画作品です。
誰が犯人かを読者が考えるのではなく、投票された人物を犯人にする為に作者はどのような物語を作るのか?という趣旨。
誰でも犯人にできるという事から本書は7つの解決編が収録されています。
一昔前なら多重解決ものと呼ばれる作品ですね。そこを読者参加型にする事で新しさを生み出しています。SNSが一般的になった今の世だからできた作品であり、その着眼が見事です。

講談社は昔から読者を巻き込む企画が多く、金田一少年の犯人当てや最近のメフィスト賞なら木元哉多『閻魔堂沙羅の推理奇譚』でもWEB投票をしています。読者に犯人を決めてもらうという応募企画と作品の実現は版元と著者が見事にマッチした結果だと感じました。

一方この企画に参加していない人。本書単体で楽しむ人にとっては、誰でも犯人になる事からミステリにおける推理や驚きを楽しみ辛い作品となります。一番のネックは、各解決編はご都合主義が多く、ルールに沿った上で何でもアリだと感じてしまう所。指定の人物を犯人する物語を書けばよいので追加設定が多いのが敬遠されそうです。またバカミスのように笑って誤魔化せるような軽い雰囲気で描かれるので好みが分れる事でしょう。

プラス面でみれば、各解決方法は人物の性格が様変わりしミステリの趣旨も変化するのが凄まじい。よく考えられており、かつ作り上げる技巧の凄さが味わえます。先程、追加設定が多いのが気になると書きましたが個人的にはアリです。
過去作の多重解決もの『ミステリー・アリーナ』の作者側の視点に読者を立たせた作品であるとも感じます。著者は過去作でもクラシックのオペラにおける解釈の多様性を述べていることから、1つの物語の中にいろんな可能性を生み出す事に一貫していると思います。これはとても好みです。

という感じで、本書はミステリを読み慣れた人向き。さらに著者の過去作品に触れている程楽しめる作品です。
初めて触れる方でも、どの結末が自分の好みであるかで好きな作品傾向が分る性格判断テストになっているのが面白いと思います。自分は開陽界の意外な流れや玉衡界の〇〇ものになる流れが好きでした。今回選択肢がなかったですが個人的には建物が犯人みたいなトンデモ話が好きなので、自分が想像していない所から答えがくる刺激がやはりミステリの面白さだと思いました。

▼以下、ネタバレ感想

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egut
T4OQ1KM0

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