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(短編集)

校庭には誰もいない



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【この小説が収録されている参考書籍】
校庭には誰もいない (日本文学)

校庭には誰もいないの評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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(7pt)

「校庭には誰もいない」の感想

横溝正史ミステリ大賞受賞の受賞第1作として書かれたミステリで、そのときのタイトルは「たゆたいサニーデイズ」でした。文庫化に際して、このタイトルになったと言うことですが、こちらの方が良いタイトルだと思います。

さて、本書ですが、「春のしずく」、「夏のにおい」、「秋のとばり」、「冬のむこう」と言うタイトルがつけられた四つの季節ごとの章と「エピローグ」から出来ていて、それぞれの章に、ちょっとした謎が入って居ます。

部員が二人しか居ない合唱部の一人で、二年生になったばかりの葉音梢(はおと こずえ)の視点で話が進んでいきます。
作者は男性のはずなのに、女子高校生の目線で書かれていることに読んでいても違和感が無く、しかも高校生の気持ちの揺れようがとても上手く書かれているように感じました。
探偵役となる、合唱部の三年生・部長の宮本耕哉の描き方も、本気なのかおとぼけなのかよくわからないような態度ですが、なかなか良い味を出しています。

学校を舞台にした話って、高校生の目線では無く、大人の目線で高校生を書いている場合が多いので、あまり好きでは無いのですが、本書を読んでいると、ふと自分たちの世代の高校生活を思い出してしまいました。(そういう意味では今の時代には合わないのかも知れませんが・・・)
何か特別なことがあるのでも無く、誰にでもあるごく普通の高校生活を送っている様子が、ほのぼのと感じらます。

最後に、各章に書かれていたちょっとした謎が一つにまとまってきて、違った解釈がなされてきますが、この話も、少し間違えばどろどろした変な感じの話になってしまいそうな流れなのですが、とても爽やかにまとめられているのも良いです。
ミステリとすれば、少し物足りないところはありますが、少し前に読んだ「夕暮れ密室」でも感じたことですが、高校生たちの世界が興味深く書かれているのに感心しました。

読みやすい文体で、最初から最後まで気持ち良く読みました。オススメとまでは行きませんが、私はけっこう気に入って居ます。

トラ
WFY887SY

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